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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 X2930
審判 全部申立て  登録を維持 X2930
管理番号 1267202 
異議申立番号 異議2012-900196 
総通号数 157 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2013-01-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2012-07-13 
確定日 2012-11-29 
異議申立件数
事件の表示 登録第5485212号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 
結論 登録第5485212号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第5485212号商標(以下「本件商標」という。)は,平成23年8月12日に登録出願,別掲(1)のとおりの構成からなり,第29類「食用油脂,乳製品,肉製品,加工水産物,加工野菜及び加工果実,油揚げ,凍り豆腐,こんにゃく,豆乳,豆腐,納豆,お茶漬けのり,ふりかけ,豆」及び第30類「茶,コーヒー及びココア,菓子及びパン,調味料,穀物の加工品,ぎょうざ,サンドイッチ,しゅうまい,すし,たこ焼き,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,べんとう,ホットドッグ,ミートパイ,ラビオリ,米,脱穀済みのえん麦,脱穀済みの大麦,食用粉類」を指定商品として,同24年3月2日に登録査定,同年4月6日に設定登録されたものである。

第2 申立ての理由の概要
1 登録異議申立人「三島食品株式会社」(以下「申立人A」という。)の申立て理由
本件商標は,商標法第4条第1項第11号及び同第15号に該当するものであるから,同法第43条の2第1号により,その登録を取り消されるべきものである。
(1)商標法第4条第1項第11号について
ア 引用商標
(a)登録第561358号の2(以下「引用商標1」という。)
商標の構成:「ゆかり」(縦書き)
登録出願日:昭和34年 9月 9日
設定登録日:昭和35年12月10日
書換登録日:平成13年 4月18日
指定商品 :第29類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品
(b)登録第4643720号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成:「ゆかり」(標準文字)
登録出願日:平成14年 5月20日
設定登録日:平成15年 2月 7日
指定商品 :第29類,第31類及び第32類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品
(c)登録第5056119号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の構成:「ゆかり」(標準文字)
登録出願日:平成15年 4月 8日
設定登録日:平成19年 6月22日
指定商品 :第30類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品
(d)登録第5106222号商標(以下「引用商標4」という。)
商標の構成:「ゆかり」(標準文字)
登録出願日:平成19年 6月13日
設定登録日:平成20年 1月18日
指定商品 :第30類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品
(e)登録第5120699号商標(以下「引用商標5」という。)
商標の構成:「ゆかり」(標準文字)
登録出願日:平成19年 9月19日
設定登録日:平成20年 3月21日
指定商品 :第29類,第30類及び第33類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品
(f)登録第5297211号商標(以下「引用商標6」という。)
商標の構成:「ゆかり」(標準文字)
登録出願日:平成21年 2月 9日
設定登録日:平成22年 1月29日
指定商品 :第32類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品
(g)登録第5353166号商標(以下「引用商標7」という。)
商標の構成:「ゆかり」
登録出願日:平成19年 4月 1日(特例出願,重複商標)
設定登録日:平成22年 9月10日
指定商品 :第35類に属する商標登録原簿記載のとおりの役務
(h)登録第5439666号商標(以下「引用商標8」という。)
商標の構成:「ゆかり」と「縁」の上下二段書き
登録出願日:平成22年 6月22日
設定登録日:平成23年 9月16日
指定商品 :第29類,第30類及び第32類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品
イ 理由の要点
本件商標は,その構成中の「屋」及び「本舗」が一定の職業ないし事業を営む組織を表す言葉として「商会」や「組合」などに準じ,自他商品識別力を有しない言葉というべきであるから,その要部は「ゆかり」の部分にあり,本件商標からは「ユカリ」の称呼が生ずる。一方,引用商標1ないし8も「ユカリ」の称呼を生ずる。よって,両商標は称呼において類似する。
また,本件商標の指定商品中第29類「食用油脂」及び第30類「茶,菓子及びパン」以外の商品は,引用商標1ないし8の指定商品又は指定役務と抵触する。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第15号について
商標「ゆかり」は,商品「ふりかけ」を始め食品の分野において,申立人Aの商標として著名である。また,本件商標の指定商品中第29類「食用油脂」及び第30類「茶,菓子及びパン」以外の商品は,引用商標1ないし8の指定商品又は指定役務と抵触する。更に,申立人Aの商標「ゆかり」は,赤紫蘇ふりかけの優れた品質から,おにぎり,スナック菓子などの原材料としても使用されていることから,「食用油脂」や「茶,菓子及びパン」についても申立人Aの製品が原材料などとして使用されることは十分に想定される。
このような状況下,本件商標がその指定商品に使用されれば,当該商品はあたかも申立人Aあるいは申立人Aと経済的又は組織的に何らかの関連を有する企業によって製造・販売された商品であるかのようにその出所につき誤認・混同を生じさせるおそれがある。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当する。
2 登録異議申立人「株式会社坂角総本舗」(以下,これを「申立人B」,申立人Aと申立人Bを併せて「申立人」という。)の申立て理由
本件商標は,商標法第4条第1項第11号及び同第15号に該当するものであるから,同法第43条の2第1号により,その指定商品中の「菓子及びパン」についての登録を取り消されるべきものである。
(1)商標法第4条第1項第11号について
ア 引用商標
(a)登録第2715589号商標(以下「引用商標9」という。)
商標の構成:「ゆかり」
登録出願日:昭和63年 9月10日
設定登録日:平成 8年 8月30日
書換登録日:平成18年11月22日
指定商品 :第30類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品
(b)登録第2715590号商標(以下「引用商標10」という。)
商標の構成:別掲(2)のとおり
登録出願日:昭和63年11月16日
設定登録日:平成 8年 8月30日
書換登録日:平成18年11月22日
指定商品 :第30類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品
(c)登録第5365243号商標(以下「引用商標11」という。)
商標の構成:「ゆかり」
登録出願日:平成19年 6月29日(特例出願,重複商標)
設定登録日:平成22年11月 5日
指定商品 :第35類に属する商標登録原簿記載のとおりの役務
以上,申立人Aの引用する引用商標1ないし8及び申立人Bの引用する引用商標9ないし11を,併せて「引用商標」ということがある。
イ 理由の要点
本件商標は,その構成中の菓子やパンなどの商品との関係では全く無関係の言葉である「ゆかり」の文字が強い識別力を発揮し,「屋」及び「本舗」は識別力を発揮しないか,若しくは極めて弱い文字部分と見るべきであるから,本件商標の要部は「ゆかり」の文字部分であり,そこから「ユカリ」の称呼が生ずる。一方,引用商標9ないし11は,「ユカリ」の称呼及び「かかわりあい,つながり,縁」の観念を生ずる。よって,本件商標は,引用商標9ないし11と称呼と観念を共通にする類似商標である。また,本件商標の指定商品中,第30類の「菓子及びパン」及び第35類に属する役務は,引用商標9ないし11の指定商品又は指定役務と同一又は類似である。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第15号について
申立人Bの商品ブランド「ゆかり」は,同人の菓子の商標として日本全国に広く知られ著名商標といえるものである。そして,本件商標は,「ゆかり」の文字に「屋本舗」を結合した商標であるから,これに接する需要者は,申立人Bの「ゆかり」を販売する店のうち大元の店であると認識し,本件商標権者が「ゆかり」の本店であると誤認するおそれがある。しかも,申立人の屋号は「坂角総本舗」であるために,「ゆかり」や「本舗」の文字によって構成された本件商標と,誤認される可能性がある。
以上により,本件商標権者が本件商標をその指定商品の「菓子」や「パン」に使用した場合には,その商品の需要者は,申立人Bの業務に係る商品と誤認するか,申立人Bと経済的又は組織的に何らかの関係がある者の業務に係る商品であると誤認し,その商品の需要者が商品の出所について混同をするおそれがある。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当する。

第3 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号について
本件商標は,別掲(1)のとおり,「ゆかり屋本舗」の文字を横書きしてなるところ,該文字は,やや特徴のある筆書き風の同じ書体をもって外観上まとまりよく一体的に表されているばかりでなく,これから生ずると認められる「ユカリヤホンポ」の称呼も無理なく一気に称呼し得るものである。
また,本件商標を構成する「ゆかり屋本舗」の文字は,「血のつながり,よすが。えん。赤紫蘇の葉を乾燥させ粉末にしたもの。」などの意味を有する「縁・所縁」に通じる「ゆかり」の文字,「その職業の家や家号」の意味を有する「屋」の文字及び「本店」の意味を有する「本舗」の文字(語義はいずれも「広辞苑第六版」)を結合したものと容易に理解し得るものであるから,全体として,「ゆかり屋という店の本店」ほどの観念を生ずるものとみるのが自然である。
この点に関し,申立人は,「本件商標の構成中の『屋』と『本舗』が商号の一部として使用されるものであって,識別力のない文字であるから,本件商標の要部は,『ゆかり』の部分にある。」旨主張する。
確かに,「屋」と「本舗」が商号の一部として使用されるものであるとしても,前記のとおり,本件商標は,全体として「ゆかり屋という店」の本店ほどの観念を生ずるものであるから,仮に「ゆかり屋」という屋号の店との関係において,本店,支店といった混同が生じることがあるとしても,「ゆかり屋本舗」から「屋」をも捨象し,「ゆかり」の部分のみをもって取引に資され,単なる「ゆかり」との関係で混同が生じるとは言い難い。
したがって,本件商標は,その構成態様及びその構成文字の有する意味合いなどからして,一体のものとしてのみ把握すべきものであって,これからは,「ユカリヤホンポ」の称呼及び「ゆかり屋という店の本店」ほどの観念を生ずるものとみるのが相当である。
一方,引用商標は,「ゆかり」と「縁」の各文字の上下二段書きかなる引用商標8と「縁」のかご文字の上に「ゆかり」文字を重ねて書した構成からなる引用商標10以外は,「ゆかり」の平仮名の横書き又は縦書きからなるものであるから,それぞれの構成に相応し,「ユカリ」の称呼を生じ,前記の「ゆかり」の語義のうち,世人に親しまれた「血のつながり,えん」ほどの観念を生ずるものとみるのが自然である。
そこで,本件商標と引用商標を比較すると,本件商標と引用商標とは,前記の構成からみて,外観上明らかに区別し得るものである。
また,本件商標から生ずる「ユカリヤホンポ」の称呼と引用商標から生ずる「ユカリ」の称呼は,「ヤホンポ」の有無という構成音数の著しい相違により,それぞれの称呼を一連に称呼した場合においても,明りょうに聴別し得るものである。
更に,本件商標から「ゆかり屋という店の本店」ほどの観念が生ずるのに対し,引用商標からは,「血のつながり,えん」ほどの観念が生ずるものであるから,両商標は,観念上においても互いに紛れるおそれはない。
したがって,本件商標と引用商標とは,外観,称呼及び観念のいずれの点においても,相紛れるおそれのない非類似の商標というべきであるから,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当しない。
2 商標法第4条第1項第15号について
(1)申立人Aの提出した証拠によれば,申立人Aは,昭和45年に「赤しそを主材料とするふりかけ」を開発・商品化し,これに「ゆかり」の商標を採択し,現在に至るまで継続して使用していること,そして,その商品は,1998年・1999年にふりかけ類の「POS」データに基づく品目別販売量の実績が1位であった外,近年に至るまで,ふりかけ類において上位の販売実績を維持していること,また,その商品は,申立人Aが各種新聞やテレビCMおいて継続して広告している外,各種新聞・雑誌などにおいてそのシュアの高さなどが紹介されていることなどの事実が認められる。
そうすると,「ゆかり」は,前記のとおり,その語義の一つに「赤紫蘇の葉を乾燥させ粉末にしたもの」の意味はあるとしても,本件商標の出願時・査定時には,申立人Aの取扱いに係る商品「ふりかけ」を表示するものとして,その需要者の間に相当程度知られていたものとみるのが相当である。
また,申立人Bの提出した証拠によれば,申立人Bは,昭和41年以来,その取扱いに係る「えびせんべい」の一つに「ゆかり」を商標として採択し現在に至るまで継続して使用していること,そして,その商品は,昭和56年第21回全国推奨観光土産品審査で厚生大臣賞を受賞した外,数度にわたり名古屋観光ブランド協会推奨品審査会において名古屋市長賞などの賞を受けるなど,名古屋の代表的な土産となっており,そのことが各種新聞・雑誌などで紹介され,また,申立人Bも当該商品の広告を新聞に掲載し,その広告が朝日広告賞の食品・飲料部門において部門賞を獲得していることなどの事実が認められる。
そうすると,申立人Bが使用する「ゆかり」もまた,本件商標の出願時・査定時には,その取扱いに係る商品「えびせんべい」を表示するものとして,その需要者の間に相当程度知られていたものとみるのが相当である。
(2)前記(1)のとおり,「ゆかり」は,申立人がそれぞれの業務に係る商品を表示するものとして,本件商標の出願時・登録時には,その需要者の間に相当程度知られていたものということができる。
しかしながら,本件商標と引用商標との類否については,前記1の商標法第4条第1項第11号の判断において記載したところと同様の理由により,両商標は,外観において十分に区別し得る差異を有しており,観念においても近似性が全くなく,また,本件商標から生ずる「ユカリヤホンポ」の称呼と引用商標から生ずる「ユカリ」の称呼とは聴者に与える印象が明らかに異なるものであるから,これらを総合勘案すれば,本件商標は,引用商標とは判然と区別し得る全く別異の商標というべきものである。
そして,本件商標は,申立人の使用する「ゆかり」の文字列を含むものであるが,「ゆかり」には「血のつながり,よすが。えん。赤紫蘇の葉を乾燥させ粉末にしたもの。」などの多義的な意味があることから,本件商標に接する需要者が,これから直ちに申立人の商標を認識するとは言い難い。
してみれば,商標権者が本件商標をその指定商品に使用しても,これに接する需要者をして,申立人の「ゆかり」商標を連想又は想起させるものとは認められず,その商品が申立人又は同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのごとく,その商品の出所について混同を生じさせるおそれはないものといわなければならない。
3 むすび
以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反してされたものではないから,商標法第43条の3第4項の規定により,その登録を維持すべきものである。
よって,結論のとおり決定する。
別掲 別掲(1)本件商標




別掲(2)引用商標10




異議決定日 2012-11-19 
出願番号 商願2011-58071(T2011-58071) 
審決分類 T 1 651・ 271- Y (X2930)
T 1 651・ 26- Y (X2930)
最終処分 維持  
前審関与審査官 大渕 敏雄 
特許庁審判長 小林 由美子
特許庁審判官 鈴木 修
小川 きみえ
登録日 2012-04-06 
登録番号 商標登録第5485212号(T5485212) 
権利者 ゆかり屋本舗株式会社
商標の称呼 ユカリヤホンポ、ユカリヤ、ユカリ 
代理人 熊倉 禎男 
代理人 加藤 ちあき 
代理人 辻居 幸一 
代理人 中村 稔 
代理人 石田 正己 
代理人 松尾 和子 
代理人 井滝 裕敬 
代理人 藤倉 大作 
代理人 田中 伸一郎 
代理人 石田 喜樹 
代理人 三原 靖雄 

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