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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 X1825 審判 全部申立て 登録を維持 X1825 審判 全部申立て 登録を維持 X1825 審判 全部申立て 登録を維持 X1825 |
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管理番号 | 1267199 |
異議申立番号 | 異議2012-900140 |
総通号数 | 157 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2013-01-25 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2012-05-24 |
確定日 | 2012-11-30 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第5472374号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第5472374号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
1 本件商標 登録第5472374号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1に示すとおりの構成からなり、平成23年8月2日に登録出願、第18類及び第25類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、同年12月13日に登録査定、同24年2月24日に設定登録されたものである。 2 登録異議申立ての理由 (1)引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録商標は、以下のアないしクのとおりである(以下まとめていうときは「引用商標」という。)。 ア 国際登録第1048069号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲2に示すとおりの構成からなり、2010年(平成22年)6月28日に国際商標登録出願、第9類、第16類、第18類及び第25類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、平成23年7月29日に設定登録されたものである。 イ 登録第5057229号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲2に示すとおりの構成からなり、平成18年6月9日に登録出願、第32類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、同19年6月22日に設定登録されたものである。 ウ 登録第5010968号商標(以下「引用商標3」という。)は、「M MONSTER ENERGY」の文字を標準文字で表してなり、平成18年3月28日に登録出願、第32類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、同年12月15日に設定登録されたものである。 エ 登録第5393681号商標(以下「引用商標4」という。)は、「MONSTER ENERGY」の文字を標準文字で表してなり、平成22年7月8日に登録出願、第32類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、同23年2月25日に設定登録されたものである。 オ 登録第5379390号(以下「引用商標5」という。)は、「MONSTER」の文字を標準文字で表してなり、平成22年7月8日に登録出願、第32類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、同年12月24日に設定登録されたものである。 カ 登録第5043703号商標(以下「引用商標6」という。)は、「JAVA MONSTER」の文字を標準文字で表してなり、2005年12月8日にアメリカ合衆国においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張し、平成18年6月8日に登録出願、第32類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、同19年4月27日に設定登録されたものである。 キ 登録第5431412号商標(以下「引用商標7」という。)は、「JAVA MONSTER」の文字を標準文字で表してなり、平成22年10月27日に登録出願、第5類、第29類、第30類、第32類及び第33類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、同23年8月12日に設定登録されたものである。 ク 登録第5476620号商標(以下「引用商標8」という。)は、「MONSTER REHAB」の文字を標準文字で表してなり、平成23年6月23日に登録出願、第5類、第30類及び第32類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、同24年3月9日に設定登録されたものである。 (2)理由の要点 ア 商標法第4条第1項第11号に該当する理由 本件商標は、図形部分と文字部分が視覚的に明らかに分離しており、それぞれの部分が独立の自他商品識別標識として機能し得るものである。文字部分は、英語で「アナグマ」を意味する「BADGER」と「怪獣、モンスター」を意味する「MONSTER」を結合したものと認められるが、文字全体が既成の熟語的な意味、観念を生じさせるものではなく、全体が常に一体不可分の自他商品識別標識として機能するものとはいえず、簡単迅速を旨とする取引過程においては、構成文字中の「BADGER」及び「MONSTER」がそれぞれ独立の自他商品識別標識として認識理解され、取引に資されるとみるべきである。よって、本件商標からは、「モンスター」の称呼及び「怪獣、モンスター」の観念が生ずる。 これに対し、引用商標1は、その構成態様に照らせば、構成中の「MONSTER」部分に基づき、「モンスター」の称呼及び「怪獣、モンスター」の観念が生ずる。 したがって、本件商標と引用商標1は、「モンスター」の称呼及び「怪獣、モンスター」の観念を共通にする類似のものであり、同一又は類似の商品に使用されるものである。 イ 商標法第4条第1項第15号に該当する理由 (ア)申立人は、1930年代に創業した米国の飲料メーカーであり、本件商標の登録出願前から、エネルギー補給及びスポーツ用飲料のブランド名として「MONSTER ENERGY」の使用を開始し、同ブランドの飲料は米国を含む諸外国で販売され、申立人の取扱いに係る商品出所表示として世界的に広く知られている。2012年5月からは我が国でも「MONSTER ENERGY」及び「MONSTER KHAOS」の2種のエネルギー飲料の販売も開始している。また、「MONSTER ENERGY」の名称は、申立人の商号の主要部分と一致する。 (イ)申立人は、「MONSTER ENERGY」ブランドのエネルギー・スポーツ飲料の個別商品名として、引用商標1及びこれと同一の構成からなる引用商標2のほか、引用商標3ないし8といった「MONSTER」の文字を構成中に包含する多数の商標を同シリーズの商品名として商標登録している。 また、エネルギー・スポーツ飲料の個別商品名として「MONSTER ENERGY」及び「MONSTER KHAOS」等を使用している。 (ウ)申立人の「MONSTER ENERGY」のブランド名は、上記のエネルギー・スポーツ飲料に止まらず、スポーツウエア(被服)、運動用特殊衣服、運動用ヘルメット、ステッカー、リュックサックなどの商品についても商標登録しており、実際にこれらの商品が同ブランド名で販売されている。 申立人は長年にわたり、商品の販売促進活動の一環として、「MONSTER ENERGY」の名称の下で、様々な分野のスポーツで活躍する世界の一流選手やレーシングチームとスポンサー契約を交わし、その競技活動の支援活動を行っている。これらの選手等が着用するスポーツウエアなどの被服、運動用特殊衣服、運動用ヘルメット、車体等には、「MONSTER ENERGY」の文字、そのロゴマーク及び「M」のデザインのロゴマークが付され、その写真やビデオが申立人のホームページほかを通じて紹介されて話題になっており、我が国の需要者の間でも同ブランド名が広く認識されるに至っている。 (エ)本件商標の指定商品は、申立人が「MONSTER ENERGY」のブランド名を使用している被服、運動用特殊衣服、運動用ヘルメット、ステッカー、リュックサック等と同一又は類似の商品及びこれらと密接に関連する商品を多く含むものである。 本件商標の「MONSTER」部分は、「MONSTER」シリーズの商品名と一致する。「MONSTER」は、「モンスター」の称呼と「怪獣、モンスター」の観念を直感させる外来語として我が国の国民一般に広く親しまれているから、需要者の記憶・印象に鮮明に残りやすい文字ということができる。 また、申立人は、構成中に「MONSTER」の文字を包含する異なる名称をエネルギー・スポーツ飲料の個別商品名として使用し、これらはシリーズ商品として認識理解されている。 (オ)したがって、本件商標が使用された場合は、申立人のシリーズ製品の一つと誤信され、あるいは、申立人と組織的又は経済的な関連を有する者の取り扱いに係る商品であると誤信され、その出所について混同を生ずるおそれが高い。また、ブランドの知名度、顧客吸引力にフリーライドし、その出所表示機能を希釈化するおそれがある。 3 当審の判断 (1)商標法第4条第1項第11号について 本件商標は、別掲1に示すとおり、図形部分と「BADGERMONSTER」の文字部分からなるところ、いずれの部分も独立して自他商品の識別機能を果たし得るものというべきである。 そして、文字部分についてみると、その構成各文字は、同じ書体、同じ大きさ、等間隔をもってまとまり良く表されているものであり、たとえ、「BADGER」が「アナグマ」、「MONSTER」が「怪物」を意味する英語で、両語を一連に表したものであったとしても、いずれかの部分のみをもって印象し記憶されて取引に資されるとすべき特段の理由はみいだせず、特定の観念を理解させない一連の造語として看取されるとみるのが相当である。また、構成文字全体に相応して生じる称呼「バジャーモンスター」も、格別冗長でなく一気に称呼し得るものである。 さらに、本件商標の図形部分からは、特定の称呼及び観念は生じないものである。 したがって、本件商標からは、「バジャーモンスター」の一連の称呼のみを生じるものであり、特定の観念は生じないとするのが相当である。 一方、引用商標1は、別掲2に示すとおり、縦向きに運筆を乱した様に表した、中央のものがやや長い3本の線からなる図形を配し、その下方に、やや図案化した欧文字で「MONSTER」(「O」に該当する部分は縦線が加えられているが、「O」を表したとみて不自然なものとはいえないものである。)を表し、さらに、その下段に、前記文字に比して小さい「ENERGY」の文字を配した構成の標章からなるものである。 そして、上部の図形と文字とは、それぞれ独立しても自他商品の識別標識としての機能を果たし得ると認められるものであるが、上部の図形からは、特定の称呼や観念は生じないものである。他方、下段の欧文字は上下二段に横書きして表されているものの、上段の「MONSTER」の文字部分と下段の「ENERGY」の文字部分の間隔は極めて近接しており、かつ、上下段の各文字部分の横方向中央を同じ位置にそろえ、構成文字全体がまとまりよく配置されているものである。そして、構成文字全体から生ずる「モンスターエナジー」の称呼もよどみなく一連に称呼し得るものであり、また、文字全体から「怪物のエネルギー」程の観念が生ずるものであることからすれば、引用商標1構成中の文字部分は、その外観及び観念において極めて密接な一体性を有しているというべきである。 しかして、本件商標と引用商標1とを比較すると、両者の外観構成には顕著な相違があるから、外観上相紛れるおそれはないものである。 また、本件商標の称呼「バジャーモンスター」と引用商標1から生ずる「モンスターエナジー」の称呼を対比してみると、両者は、構成音数が相違する上、相違する各音の音質の相違により、全体の音感が相違し相紛れるおそれはないものである。 さらに、本件商標からは、特定の観念を生じないものであるから、「怪物のエネルギー」の観念が生ずる引用商標1とは観念について比較することができず、観念上相紛れるおそれはないというべきである。 してみれば、本件商標と引用商標1とは、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても類似する商標であるということはできない。 なお、仮に、引用商標1中の欧文字部分中、やや特異な表示態様で大きく表された「MONSTER」から「モンスター」及び「怪物」の称呼及び観念が生ずる場合があるとしても、「バジャーモンスター」の称呼が生じ、特定の観念が生じない本件商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても類似する商標ということはできない。 したがって、指定商品の類否について論及するまでもなく、本件商標は、引用商標1をもって、商標法第4条第1項第11号に該当するものとはいえない。 (2)商標法第4条第1項第15号について 申立人提出の証拠によれば、引用商標1が表示された炭酸飲料が販売されていること、当該商品が「モンスターエナジー」と称呼されていること、モータースポーツに関連して競技者のユニフォーム等に引用商標1が表示されたこと、前記飲料のほか、被服等にも引用商標1が使用されていること、などを窺い知ることができる。 しかしながら、全証拠に徴してみても、引用商標を使用した商品の販売実績(期間、数量等)や当該商品の広告宣伝の実績等を具体的に把握し得ないものであって、本件商標の登録出願時において、引用商標1をはじめとする引用商標が、我が国の需要者の間で広く認識されるに至っていたとまで認めることはできず、さらに、「MONSTER」が「モンスター」及び「怪物」の称呼及び観念をもって、申立人の商品を表示する標章として需要者の間で広く認識されるに至っていたとも認められないものである。 そして、本件商標が引用商標1に類似する商標といえないこと、前記(1)のとおりである。 しかして、本件商標の構成中には「MONSTER」の文字部分が含まれているとしても、そのことのみをもって直ちに、本件商標が引用商標1等の引用商標と関連あるものとして看取されるとは認め難いものである。 してみれば、本件商標をその指定商品に使用しても、これに接する需要者が引用商標1等の引用商標を想起し連想して、当該商品を申立人の業務に係る商品、あるいは同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く誤信するとは認められないから、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、商品の出所について混同を生じるおそれがあったとすることはできない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものとはいえない。 (3)むすび 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲1(本件商標) 別掲2(引用商標1及び2) |
異議決定日 | 2012-11-22 |
出願番号 | 商願2011-58480(T2011-58480) |
審決分類 |
T
1
651・
271-
Y
(X1825)
T 1 651・ 261- Y (X1825) T 1 651・ 263- Y (X1825) T 1 651・ 262- Y (X1825) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 半田 正人 |
特許庁審判長 |
野口 美代子 |
特許庁審判官 |
前山 るり子 内山 進 |
登録日 | 2012-02-24 |
登録番号 | 商標登録第5472374号(T5472374) |
権利者 | ジェイ・エム・エス株式会社 |
商標の称呼 | バジャーモンスター |
代理人 | 佐久間 剛 |
代理人 | 柳田 征史 |
代理人 | 中熊 眞由美 |