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審判番号(事件番号) データベース 権利
異議2012900259 審決 商標

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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 X35
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管理番号 1267197 
異議申立番号 異議2012-900029 
総通号数 157 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2013-01-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2012-01-27 
確定日 2012-11-27 
異議申立件数
事件の表示 登録第5452837号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 
結論 登録第5452837号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第5452837号商標(以下「本件商標」という。)は,「インテルコ」の片仮名を標準文字で表してなり,平成23年4月21日に登録出願,第35類「広告,公園用遊具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定役務として,平成23年11月9日登録査定,同月25日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録商標は,以下のとおりであり,いずれも現に有効に存続しているものである。
1 登録第5054296号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成 別掲1のとおり
商品及び役務の区分 第9類
指定商品又は指定役務 商標登録原簿記載のとおり
2 登録第4997875号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成 別掲1のとおり
商品及び役務の区分 第14類,第18類,第21類,第25類及び第28類
指定商品又は指定役務 商標登録原簿記載のとおり
3 登録第4634154号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の構成 「INTEL」(標準文字)
商品及び役務の区分 第9類及び第42類
指定商品又は指定役務 商標登録原簿記載のとおり
4 登録第4456379号商標(以下「引用商標4」という。)
商標の構成 「INTEL」
商品及び役務の区分 第9類
指定商品又は指定役務 商標登録原簿記載のとおり
5 登録第4362619号商標(以下「引用商標5」という。)
商標の構成 「INTEL」(標準文字)
商品及び役務の区分 第14類,第16類,第18類及び第25類
指定商品又は指定役務 商標登録原簿記載のとおり
6 登録第3314090号商標(以下「引用商標6」という。)
商標の構成 「INTEL」
商品及び役務の区分 第28類
指定商品又は指定役務 商標登録原簿記載のとおり
7 登録第3244229号商標(以下「引用商標7」という。)
商標の構成 「INTEL」
商品及び役務の区分 第25類
指定商品又は指定役務 商標登録原簿記載のとおり
8 登録第4441585号商標(以下「引用商標8」という。)
商標の構成 「INTEL」(標準文字)
商品及び役務の区分 第9類
指定商品又は指定役務 商標登録原簿記載のとおり
9 登録第1415772号商標(以下「引用商標9」という。)
商標の構成 「インテル」
商品及び役務の区分 第7類ないし第12類,第17類及び第21類
指定商品又は指定役務 商標登録原簿記載のとおり
10 登録第1415771号商標(以下「引用商標10」という。)
商標の構成 「INTEL」
商品及び役務の区分 第7類ないし第12類,第17類及び第21類
指定商品又は指定役務 商標登録原簿記載のとおり
11 登録第1373591号商標(以下「引用商標11」という。)
商標の構成 「INTEL」
商品及び役務の区分 第9類
指定商品又は指定役務 商標登録原簿記載のとおり

上記,引用商標1ないし11をまとめていうときは,「引用各商標」という。

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は,本件商標は商標法第4条第1項第8号,同第11号,同第15号,同第19号及び同第7号に該当するから,同法第43条の2第1号により,その登録は取り消されるべきであると申立て,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第68号証(枝番号を含む)を提出した。
1 申立人会社の沿革及び商標「INTEL」の著名性
申立人は,1968年(昭和43年)7月18日にアメリカ合衆国カリフォルニア州で創業した世界最大の半導体製品メーカーである。
申立人の日本での本格的な営業活動は,1971年(昭和46年)10月開設の「インテルコーポレーション日本支社」(東京都渋谷区)により開始され,同社は1997年(平成9年)に「インテル株式会社」と名称変更して現在に至る(以上,甲第50号証)。
半導体業界における申立人の名声は,1970年(昭和45年)に世界初のICメモリ(商用DRAM)「1103」を,また,1971年(昭和46年)に世界初のマイクロプロセッサ「4004」を開発したことに始まり,これ以後,現在に至るまで,数年毎に先進技術のマイクロプロセッサを開発,製品化し,マイクロプロセッサの世界市場の約80%を占めている(甲第6号証,甲第7号証及び甲第42号証)。
申立人の世界半導体市場の売上ランキングは,1992年(平成4年)以降,2010年(平成22年)まで連続して半導体売上高で世界第1位を維持している(甲第8号証及び甲第50号証)。
1990年(平成2年)末から1991年(平成3年)初頭,申立人は,商標「INTEL」を冒頭に冠した「INTEL INSIDE」の文字及び甲第9号証に示すとおりの構成からなる「inte1 inside」の文字からなるロゴマークを商標として採択し,当該商標に関して「インテル・インサイド・プログラム」(INTEL INSIDE PROGRAM)と命名した商標使用許諾制度を導入した(甲第10号証)。
インテル・インサイド・プログラムに基づいて,日本国内では,日本電気,松下電器産業(現パナソニック),日立製作所,シャープ,三菱電機,東芝,ソニー,富士通,日本IBM,セイコーエプソン,デルコンピュータといった日本を代表する大手電機・コンピュータメーカー等に申立人の商標が使用許諾され,これらのライセンシーが製造販売するコンピュータ関連の商品及びその広告活動に広く使用されるに至った(甲第11号証ないし甲第38号証)。
このインテル・インサイド・プログラムの成功と申立人及びライセンシー各社による「inte1 inside」のロゴマークをはじめとする申立人の商標の広範な使用により,申立人の個別商品の商標が,家庭の一般消費者の目に触れる機会が増大し,コンピュータ関連製品を取り扱う取引者のみならず,一般の消費者の間における申立人の知名度は大きく上昇した(甲第39号証及び甲第40号証)。
加えて,1994年(平成6年)頃から急速に浸透した職場環境におけるパソコン一人一台時代の到来(甲第41号証),一般家庭へのパソコンの普及,インターネット等情報通信技術産業の発展と相まって,申立人は,半導体・コンピュータ関連の取引者,需要者のみならず,業種を越えて,一般の消費者を含む広範囲の需要者の間でも広く知られるようになっている。
そして,申立人の商標「INTEL」は,コンピュータ関連用語辞典の他,英和辞書等に掲載されている程度に需要者の間で広く認識されるに至っている(甲第51号証ないし甲第56号証)。
このように,申立人の商標「INTEL」は,創造語を用いた斬新なネーミング,当該商標を使用したマイクロプロセッサの優れた性能,数年毎に継続的になされている申立人の新商品の発売,インテル・インサイド・プログラムに基づく「INTEL」商標の数多くのOEMメーカーヘの使用許諾と当該メーカーによる広告宣伝活動等が相まって,申立人の業務に係る商品を表示するものとして本件商標の登録出願時及び登録査定時には,取引者,需要者に広く認識されていたことが明らかである。
2 商標法第4条第1項第8号について
(1)本件商標は,「インテルコ」と表示する商標であり,申立人の名称であるインテル・コーポレーションの著名な略称「インテル」を含むものであって,かつ,その登録につき,申立人の承諾を得ていないものである。
(2)申立人の名称であるインテル・コーポレーションは,前述のとおり,主にマイクロプロセッサ,チップセット,フラッシュメモリなどを製造・販売する世界最大の半導体企業の商号として周知であり,その略称である「インテル」は,インテル・コーポレーションの略称として著名な名称である。
(3)日本においては,「インテル」の称呼が唯一発生する,引用商標1,引用商標3,引用商標4,引用商標8ないし引用商標11が,申立人の名義にて第9類の指定商品「電子応用機械器具及びその部品」等に関して商標登録されている。
一方,引用商標4「INTEL」が,登録第4456379号の防護標章登録第1号(甲第5号証の2及び甲第57号証)及び登録第4456379号の防護標章登録第2号(甲第5号証の2及び甲第58号証)として登録されている事実からも,「インテル」の名称が,日本においても申立人が製造販売する「マイクロプロセッサ,チップセット,フラッシュメモリ」の商標として周知な名称であることは明らかである。
(4)商標法第4条第1項は,商標登録を受けることができない商標を各号で列記しているが,需要者の間に広く認識されている商標との関係で商品又は役務の出所の混同の防止を図ろうとする同項第10号,第15号等の規定とは別に,第8号の規定が定められていることからみると,第8号が,他人の肖像又は他人の氏名,名称,著名な略称等を含む商標は,その他人の承諾を得ているものを除き,商標登録を受けることができないと規定した趣旨は,人(法人等の団体を含む。以下同じ。)の肖像,氏名,名称等に対する人格的利益を保護することにある(平成17年7月22日,最高裁判所第二小法廷,平成16年(行ヒ)第343号「国際自由学園事件」同旨)。
(5)「インテル」の名称が日本において「マイクロプロセッサ,チップセット,フラッシュメモリ」等の商標として周知であることは,裁判所においても,「『INTEL』は,本件商標(平成19年12月20日,・・・)が出願された平成14(2002)年当時において,パソコンを日常生活や業務で使用するなどパソコンに何らかの関係を有する極めて広範囲の国民の間に,「INTEL」といえば原告(インテル・コーポレーション)を表す略称として知れ渡っていたものと推認することができる」と認定した事実からも,疑問を差し挟む余地はない(平成19年12月20日,知的財産高等裁判所 第4部判決,平成19年(行ケ)第10113号,甲第59号証)。
(6)本件商標は「インテルコ」から構成されるところ,申立人の名称の著名な略称である「インテル」をそっくりそのまま含むものであり,かかる登録は申立人の人格的利益を毀損するものである。
(7)申立人の略称「インテル」は,本件商標の指定役務の需要者において周知・著名である。仮にそうでないとしても,その同一の称呼を持つ表示「INTEL」が,第1類から第45類に属する商品・役務の商品・役務区分において,防護標章登録されている。このことは,とりもなおさず,第三者が表示「INTEL」若しくは「インテル」を,第1類ないし第45類に属するいずれかの商品・役務に使用した場合は,申立人の商標「INTEL」と混同を生じるおそれがあるものとして認定されている証左である。
(8)本件商標は,これを構成する各文字が同一の書体,大きさで,一連に表示されており,各文字の書体に格別の特異性はないものであるところ,五文字のうち,語頭からの四文字は,さきに認定した申立人の著名な略称である「インテル」と完全に一致しているのに対し,これに付随する語尾の文字「コ」は,殊更,需要者・取引者の印象・記憶に強く残るとは言えないものである。
よって,本件商標は,商標法第4条第1項第8号に該当する。
3 商標法第4条第1項第11号について
本件商標の自然称呼「インテルコ」と引用商標1ないし7の自然称呼「インテル」は,称呼を比較する上で重要な要素となる語頭の4音「インテル」が共通する。
そして,本件商標の自然称呼のうち,「コ」の音は,語尾において消え入るように弱く発音され,明瞭に発音され難く,聴取され難いというのが相当である。
本件商標の指定役務中「公園用遊具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」と引用商標1ないし7の指定商品とは,互いに類似の商品・役務である。
よって,本件商標は,引用商標1ないし7との関係において,その指定役務中「公園用遊具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」について,商標法第4条第1項第11号に該当する。
4 商標法第4条第1項第15号について
引用商標1,引用商標3,引用商標4,引用商標8ないし引用商標11(以下,これらをまとめて「引用商標」という。)は,出所表示機能の極めて高い商標である。
一方,本件商標は,「インテルコ」の片仮名を横書きしてなるものであり,当該文字に照応して「インテルコ」と発音されるものであるから,その前半部分は,申立人の商品出所標識として広く認識されている「INTEL」の文字に対応する「インテル」の文字と,その称呼「インテル」の音を含むものである。
したがって,引用商標の著名性とその出所表示機能の強さに照らせば,本件商標が,たとえ外観上一連一体に「インテルコ」と表示した構成からなるものであるとしても,これに接した需要者・取引者は,「インテル」の文字部分とその発音「インテル」に着目し,容易に周知・著名な引用商標を連想するものである。
また,本件商標の指定役務は,コンピュータやインターネット通信を利用した広告や公園用遊具の小売など,コンピュータあるいは電気通信機器と密接に関連した役務を含むものである。このように,本件商標の指定役務は,引用商標が使用されている商品と密接な関連性を有するものである。
よって,本件商標をその指定役務に使用したときには,当該役務が申立人の商品に係るものであると誤信されるおそれがあるのみならず,当該役務が申立人との間にいわゆる親子会社や系列会社等の緊密な営業上の関係等にある者の業務に係る役務であると誤信されるおそれ(いわゆる「広義の混同を生ずるおそれ」)があるものである。
また,商標法第4条第1項第15号の適用に関する特許庁商標審査基準(改訂第9版)の「第3 十三 5.」に照らしても,本件商標は,申立人の著名な商標「インテル」と他の文字「コ」を結合した商標であり,その外観構成がまとまりよく一体に表されているとしても,観念上の繋がりはなく,申立人の著名な商標「インテル」の部分が既成の語の一部になっているものではなく,また,指定役務との関係において出所の混同のおそれがないとは断定できないものであるため,本件商標は役務の出所の混同を生ずるおそれがあるものと推認して,取り扱われるべきものである。
商標法第4条第1項第15号に規定されている「混同を生ずるおそれ」について,高等裁判所の各判決,特許庁における審決等がある(甲第60号証ないし甲第63号証,甲第66号証及び甲第67号証)。
本件商標は,引用商標の著名性へのフリーライド,出所表示力の希釈化(ダイリューション)という観点からも商標法第4条第1項第15号に該当することが明白である。
以上より,本件商標は,申立人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがあるから,商標法第4条第1項第15号に該当する。
5 商標法第4条第1項第19号について
本件商標の「インテル」の文字は,特定の意味を観念し得ない語であり,本件指定役務の分野で使用される必然性のない語であるから,商標権者が自ら考案し引用商標と偶然一致したとは想定し難い。そして,申立人が提供する商品と密接な関連性を有する指定役務を取り扱う商標権者が,本件商標登録出願時に,申立人の業務に係るマイクロプロセッサの名称として世界的に広く知られている引用商標について不知であったとは到底考えられない。むしろ,引用商標に依拠し採択されたものと推認せざるを得ないものである。
よって,本件商標は,引用商標に化体した信用や世界的な名声と顧客吸引力にただ乗りし,商標権者の市場参入を容易化し,不当に商業的利益を得んとする意図で採択されたものと考えられ,本件商標の使用により引用商標の出所表示機能を希釈化しその名声を毀損させるおそれがある,すなわち,不正の目的があると推認し得るものである。
本件商標は,申立人の業務にかかる商品,即ち,マイクロプロセッサを表示するものとして日本国内及び外国における需要者の間に広く認識されている商標と類似の商標であって,不正の目的をもって使用するものであるから,商標法第4条第1項第19号に該当する。
6 商標法第4条第1項第7号について
本件商標は,申立人の業務に係る商品と出所混同を生ずるおそれがあるのみならず,申立人の商標の著名性にフリーライドしようとする不正の目的の下に,商標登録出願をしたものであることは前述のとおりであり,引用各商標の出所表示機能を毀損,希釈化し,その経済的な価値を低下させ,申立人に精神的及び経済的な損害を及ぼすおそれのあるものである。
本件商標の登録を認めることは,高い著名性を有する引用各商標の世界的な名声,顧客吸引力へのただ乗り(フリーライド)を是認するものであり,また,申立人と無関係の商標権者が本件商標を使用することは,申立人の著名商標の出所表示力及び顧客吸引力の稀釈化(ダイリューション)を招来するものである(東京高裁 平成10(行ケ)185,平成11年12月22日判決。東京高裁 平成16(行ケ)219,平成17年1月31日判決)。
商標権者のこのような行為は,社会一般の道徳観念に反し,また,公正な競業秩序の維持を旨とする正常な取引慣行に違反するものであり,さらには国際信義に反するものである。
よって,本件商標は,公の秩序又は善良な風俗を害するおそれのある商標であり,商標法第4条第1項第7号に該当する。
7 結語
以上詳述したとおり,本件商標は,商標法第4条第1項第7号,同項第8号,同項第11号,同項第15号又は同項第19号に該当することは明らかであるから,その商標登録は,直ちに取り消されるべきである。

第4 当審の判断
1 「INTEL」及び「インテル」の著名性について
申立人の提出に係る甲第6号証ないし甲第8号証,甲第10号証ないし甲第40号証,甲第42号証及び甲第50号証によれば,楕円様図形と「intel」の欧文字からなる引用商標1及び2(別掲1),又は,楕円様図形内に「intel inside」の欧文字(別掲2)と「MMX」又は「pentium」を表した商標が,申立人の業務に係る商品であるマイクロプロセッサや半導体等を表示するものとして多数使用されていることから,これらの商標は,マイクロプロセッサや半導体等の商品の取引者・需要者の間において広く知られているものということができる。
そうとすれば,「INTEL」の欧文字は,申立人の業務に係る商品であるマイクロプロセッサや半導体等を表示するものとして,また,申立人の略称として,本件商標の登録出願時及び査定時において,取引者・需要者の間に広く認識されていたものと認められる。
また,「インテル」の片仮名は,上記した「INTEL」の欧文字の表音であって,甲第10号証の申立人のプレスリリース,甲第39号証及び同第40号証の雑誌記事,同第50号証の申立人の日本法人のパンフレットにおいて申立人の名称の略称として使用されていることが認められ,甲第51号証ないし同第56号証においては,「INTEL」の欧文字とともに申立人を示すものとして紹介されていることなどから,「インテル」の片仮名も,「INTEL」の欧文字と同様に申立人の業務に係る商品,又は,申立人の略称として我が国において広く知られているものということができる。
2 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標について
本件商標は,前記第1のとおり,「インテルコ」の片仮名を同書,同大,等間隔でまとまりよく表してなり,これより生ずる「インテルコ」の称呼も,一気に称呼できるものであって,該文字は,特定の語義を有しない造語といえることから,特定の観念は生じないものである。
(2)引用商標1ないし7について
引用商標1ないし7は,前記第2のとおり,「INTEL」の欧文字からなるところ,これよりは「インテル」の称呼が生じ,また,「INTEL」の著名性からすれば,アメリカの大手半導体メーカーである「インテルブランド」の観念が生ずるものである。
(3)本件商標と引用商標1ないし7との類否について
本件商標と,引用商標1ないし7とを比較するに,これらは,外観においては明らかに区別し得るものである。
次に,本件商標から生ずる「インテルコ」の称呼と,引用商標1ないし7から生ずる「インテル」の称呼とを比較すると,両者の5音と4音という比較的短い音構成にあっては,たとえ末尾に位置するとはいえ,「コ」の音の有無が称呼全体に及ぼす影響は小さいとはいえず,互いに相紛れるおそれはないということができる。
また,本件商標は,特定の観念が生じないものであるのに対し,引用商標1ないし7からは,アメリカの大手半導体メーカーである「インテルブランド」の観念が生ずるものであるから,観念においては明確に区別することができるものである。
したがって,本件商標と引用商標1ないし7とは,外観,称呼及び観念において十分に区別することができる,全体として非類似の商標というのが相当であるから,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当しない。
3 商標法第4条第1項第15号該当性について
「INTEL」又は「インテル」は,前記1のとおり,本件商標の登録出願時及び査定時において,申立人の業務に係る商品を表示する商標,又は,申立人の略称として,我が国おいて広く知られていたものと認められる。
しかしながら,本件商標は,外観上一体のものとして把握されるものであって,前記2で述べたとおり,「INTEL」とは十分に区別し得る別異の商標と認められるものであり,また,本件商標と「インテル」の片仮名も,十分に区別し得るものということができる。
そして,本件指定役務である,第35類「広告,公園用遊具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」と,申立人の業務に係る「マイクロプロセッサ,半導体」等の商品とは,その需要者,取引者,用途等において関連性は薄いものと認められる。
そうとすれば,申立人の引用各商標の著名性を考慮しても,本件商標をその指定役務に使用した場合,需要者がこれより申立人の引用各商標を想起,連想することはないというのが相当であるから,本件商標は,申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係がある者の業務に係る役務であるかのように,その役務の出所について混同を生ずるおそれはないものである。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当しない。
4 商標法第4条第1項第8号該当性について
商標法第4条第1項第8号の「著名な略称を含む」について,「他人の氏名や略称等を『含む』商標に該当するかどうかを判断するに当たっては,単に物理的に『含む』状態をもって足りるとするのではなく,その部分が他人の略称等として客観的に把握され,当該他人を想起・連想させるものであることを要すると解すべきである。」(知財高裁 平成20年(行ケ)第10074号判決)とされているところ,本件商標は,「インテルコ」の片仮名を標準文字で表してなり,構成文字数も5文字という比較的短いことも併せ考慮すると,外観上一体のものとして把握されるものとみるのが自然である。
そして,本件商標は,造語と理解されるものであるから,特定の観念は生じないものである。
そうとすれば,同書,同大,等間隔でまとまりよく表された本件商標に係る構成においては,「インテル」部分のみが独立して認識されるとはいい得ず,これに接する者に申立人を想起・連想させるものということができない。
したがって,「インテル」の片仮名が本件商標の登録出願時において申立人の名称の略称として知られているとしても,本件商標は,「他人の氏名若しくは・・・これらの著名な略称を含む商標」には当たらないというべきであるから,商標法第4条第1項第8号に該当しない。
5 商標法第4条第1項第19号該当性について
「INTEL」又は「インテル」は,本件商標の登録出願時及び査定時において,申立人の業務に係る商品を表示する商標,又は,申立人の略称として,我が国おいて広く知られていたものと認められる。
しかしながら,申立人提出の証拠によっては,商標権者が「INTEL」又は「インテル」の文字よりなる申立人の商標の出所表示機能を希釈化させ,その名声等を毀損させる目的を持って本件商標を出願し,登録を受けたと認めるに足る具体的事実を見いだすことはできないから,本件商標は,不正の目的をもって使用するものということができない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第19号に該当しない。
6 商標法第4条第1項第7号該当性について
申立人は,申立人の商標の著名性にフリーライドしようとする不正の目的の下に本件商標の商標登録出願をした商標権者の行為は,社会一般の道徳観念に反し,公正な競業秩序の維持に違反し,さらには国際信義に反する旨主張するが,申立人の証拠を検討しても,本件商標の登録出願の経緯に社会的妥当性を欠くものがあった等の事実を証する証拠を見いだすことができず,他に,本件商標をその指定役務について使用することが,社会の一般的道徳観念に反するような事情,あるいは,登録を認めることが商標法の予定する公正な競業秩序の維持に反し,国際信義に反するものとして到底容認し得ないとすべき事情等は見受けられない。
そして,本件商標は,「インテルコ」の片仮名を表してなるものであるから,その構成自体において公序良俗違反に該当するものでないことは明らかである。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第7号に該当しない。
7 まとめ
以上のとおり,本件商標は,商標法第4条第1項第7号,同項第8号,同項第11号,同項第15号及び同項第19号に違反して登録されたものではないから,同法第43条の3第4項の規定に基づき,その登録は維持すべきものである。
よって,結論のとおり決定する。
別掲 別掲1(引用商標1及び2)




別掲2





異議決定日 2012-11-12 
出願番号 商願2011-28100(T2011-28100) 
審決分類 T 1 651・ 262- Y (X35)
T 1 651・ 23- Y (X35)
T 1 651・ 22- Y (X35)
T 1 651・ 271- Y (X35)
T 1 651・ 261- Y (X35)
T 1 651・ 222- Y (X35)
T 1 651・ 263- Y (X35)
最終処分 維持  
前審関与審査官 池田 光治吉田 昌史 
特許庁審判長 関根 文昭
特許庁審判官 堀内 仁子
田中 亨子
登録日 2011-11-25 
登録番号 商標登録第5452837号(T5452837) 
権利者 インテルコ株式会社
商標の称呼 インテルコ 
代理人 伊藤 孝太郎 
代理人 中村 知公 
代理人 前田 大輔 

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