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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 114
管理番号 1267111 
審判番号 取消2011-300887 
総通号数 157 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2013-01-25 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2011-09-22 
確定日 2012-11-19 
事件の表示 上記当事者間の登録第1686167号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第1686167号商標(以下「本件商標」という。)は、「GLOIRE」の欧文字を横書きしてなり、昭和56年8月27日に登録出願、第21類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同59年5月29日に設定登録、その後、平成8年3月28日及び同16年4月13日の2回にわたり商標権の存続期間の更新登録がされ、さらに、同17年9月14日に指定商品を第14類「貴金属製のがま口及び財布」及び第18類「かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ」とする指定商品の書換登録がされたものである。
そして、本件審判の請求の登録は、平成23年10月13日にされているものである。

第2 請求人の主張
請求人は、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証及び甲第2号証を提出している。
1 請求の理由
本件商標は、請求人の調査によれば、被請求人が過去3年間において、本件商標の登録に係る指定商品について、本件商標を使用していた事実を発見することができない。また、本件商標については、専用使用権者又は通常使用権者の登録は存在しない。さらに、本件商標が指定商品について不使用であることに正当な理由があるとも考えられないから、本件商標の登録は、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
(1)広告的使用態様による使用の立証に対する反論
被請求人は、「総合カタログ2008」(乙第2号証。以下「カタログ」という。)及び商品の拡大画像(乙第3号証及び乙第4号証)を提出して、該カタログには、パス挿入用開口部に配置した商品紹介用ペーパーに「GLOIRE」の文字が付されたパスケース(「本件商品1」ないし「本件商品4」)が表示されていること、さらに、「カタログは毎年更新されて発行されるものであり、当該年度のカタログは、当該年度において通年にわたって取引業者等に頒布されるもの」であることを主張し、2008年度にパスケースに関する広告に本件商標を付して頒布した旨主張している。
しかし、上記カタログの実際の作成者(印刷業者)、作成時期及び作成部数については一切不明であり、また、該カタログの頒布先(取引業者)、頒布場所、頒布時期及び頒布部数についても一切不明であるから、本件審判の請求の予告登録日前3年以内に該カタログが頒布された事実を認めることは不可能であり、商標法第2条第3項第8号の使用がなされたものとは認められない。
(2)商品販売による使用の立証に対する反論
被請求人は、2009年1月度の「商品別売上仕入在庫表」(乙第6号証。以下「在庫表」という。)を提出し、2009年1月に本件商品1及び本件商品3を販売した旨主張しているが、その主張に係る「T」、「S」及び「TL」という店舗の所在地、店舗名については、何ら主張立証がなく、本件商品1及び本件商品3の販売場所は不明であり、該各店舗と被請求人との関係も不明である。
また、該在庫表に表示された売上高のデータは、カタログに記載された商品価格と対応しない。すなわち、該力タログに記載された商品単価と在庫表に記載された売上数及び売上高から計算される商品単価は、一致しない。
例えば、カタログでは、「くさり付単パス(GLP117B)」(以下「本件商品1」という。)の単価は、「1,000円」と表示されているのに対し、在庫表では、「125260 GLP117B クサリツキタンパス」は、店舗「T」においては「年間売上数511」及び「年間売上高237630」と表示されているから、その単価は465円であり、店舗「S」においては「年間売上数125」及び「年間売上高59680」と表示されているから、その単価は477円であり、店舗「TL」においては「年間売上数636」及び「年間売上高297310」と表示されているから、その単価は467円である。また、カタログでは、「くさり付パス(2つ折り、ファスナーポケット付)(GLP154B)」(以下「本件商品3」という。)の単価は、「1,500円」と表示されているのに対し、在庫表では、「125262 GLP154B クサリツキ2ツオリパス」は、店舗「T」においては「年間売上数158」及び「年間売上高111595」と表示されているから、その単価は706円であり、店舗「S」においては「年間売上数125」及び「年間売上高59680」と表示されているから、その単価は728円であり、店舗「TL」においては「年間売上数210」及び「年間売上高149440」と表示されているから、その単価は712円である。
以上の観点に照らせば、在庫表に示されたデータの信ぴょう性について疑念を抱かざるを得ない。
さらに、在庫表は、被請求人自身の作成に係る社内管理用のコンピュータデータを打ち出したものにすぎず、販売の事実を立証するものとはいえないことは明白である。加えて、被請求人が本件審判の請求の予告登録日3年以内に販売したと主張している本件商品1及び本件商品3について、その具体的な販売日、販売個数、販売価格及び販売先等を客観的に示す資料も存在しない。
したがって、本件審判の請求の予告登録日3年以内に本件商品1及び本件商品3が販売された事実を認めることは到底不可能であり、本件商標について商標法第2条第3項第1号の使用がなされたものとは認められない。
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の予告登録前3年以内に本件商標が指定商品に使用された事実を立証していない。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求める、と答弁し、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第6号証を提出している。
1 本件商標の使用
商標権者は、本件審判の請求の登録前3年以内に、本件商標「GROIRE」をその請求に係る指定商品に使用している。
2 広告的使用態様による使用の立証
商標権者の発行に係るカタログの100ページ最下段左側には、「鎖付パスケース」の商品欄があり、「くさり付単パス(2面)」という商品紹介があり、商品番号「GLP117B(ブラック)」(本件商品1)及び「GLP117C(ブラウン)」(本件商品2)というパスケースが掲載されており、同じく、最下段右側には、「くさり付パス(2つ折り、ファスナーポケット付)」という商品紹介があり、商品番号「GLP154B(ブラック)」(本件商品3)、「GLP154C(ブラウン)」(本件商品4)というパスケースが掲載されている(乙第2号証)。
これらのパスケースには、そのパスが挿入される開口部内に配置された広告として機能する商品紹介用ペーパーに「GLOIRE 自動改札対応&くさり付」の文字が付されている(乙第3号証及び乙第4号証)。
カタログは、商標権者の2008年度版の商品総合カタログである。商品の総合カタログは毎年更新されて発行されるものであって、当該年度のカタログは、当該年度において、通年にわたって取引業者等に対して頒布されるものである。
したがって、2008年度に商標権者により頒布された商品カタログには、商品「パスケース」に関し、本件商標「GLOIRE」が、2008年において通年にわたって掲載され、頒布されており、また、商品「パスケース」は、第18類「袋物」に含まれる商品概念である(乙第5号証)。
以上のとおり、商標権者は、本件審判の請求の予告登録日3年以内に、自己の総合カタログに商標「GLOIRE」を付して頒布しているものであり、本件商標を広告的使用態様により使用している。
3 商品販売による使用の立証
商標権者は、毎月末に取り扱い商品の売上及び在庫を確認して、経営的、営業的、業務的、経理的な管理を行っており、自らのコンピュータ管理により作成された2009年1月度の在庫表が存在する(乙第6号証)。
上記在庫表には、その中段から下段にかけて、本件商品1ないし本件商品4が記載されており、本件商品1(125260 GLP117B クサリツキタンパス)は、2009年度1月には、「T」、「S」及び「TL」という店舗において、「売上数」及び「年間売上数」は、それぞれ290個及び511個、70個及び125個並びに360個及び636個の販売実績があって、各店舗における「売上高」及び「年間売上高」は、それぞれ131,150円及び237,630円、33,250円及び59,680円並びに164,400円及び297,310円であることがわかる。
また、本件商品3(125262 GLP154B クサリツキ2ツオリパス)は、2009年1月には、「T」、「S」及び「TL」という店舗において、「売上数」及び「年間売上数」は、それぞれ35個及び158個、30個及び52個並びに65個及び210個であって、各店舗における「売上高」及び「年間売上高」は、それぞれ25,350円及び111,595円、21,300円及び37,845円並びに46,650円及び149,440円であることがわかる。
以上によれば、本件商品1及び3に関しては、本件審判の請求の予告登録日3年以内の2009年1月において、実際に販売実績があることがわかる。
したがって、商標権者は、本件審判の請求に係る指定商品「袋物」に属する「パスケース」(パス入れ)について、本件商標を使用している。

第4 当審の判断
1 被請求人の主張及びその提出に係る証拠によれば、以下の事実が認められる。
(1)乙第2号証は、商標権者の「総合カタログ2008」とされるものであって、その「INDEX」には、「システム手帳&リフィル」、「携帯小物 皮革小物、合皮小物、キーチェーン」、「ハサミ・定規」、「バインダー」及び「一般文具 コンパス、単語カード、のり」等の記載があるところ、その100ページの最下段には、「鎖付パスケース」の見出しの下、「くさり付単パス(2面)」及び「くさり付パス(2つ折り、ファスナーポケット付)」と称する2種類の商品が、その写真や価格等と共に紹介されており、前者については、その品番として、「GLP117B(ブラック)」及び「GLP117C(ブラウン)」の記載があり、また、後者については、その品番として、「GLP154B(ブラック)」及び「GLP154C(ブラウン)」の記載がある。
また、乙第3号証及び乙第4号証は、上記各商品の写真の拡大画像とされるものであるところ、該商品のパス挿入部と思しき箇所に、「自動改札対応&くさり付」及び「PASS CASE」の記載と共に、「GLOIRE」の記載が認められる。
(2)乙第6号証は、2009年1月分の「商品別売上仕入在庫表」とされるものであって、日付の欄に「2009/01/31」の記載があるものであり、「品番」、「品名」、「店」、「売上数」、「売上高」、「年間売上数」及び「年間売上高」等の記載欄がある一覧表のうち、「品番」の欄には、「GLP117B」、「GLP117C」、「GLP154B」及び「GLP154C」の記載があり、かつ、それらの「品名」の欄には、前二者については「クサリツキタンパス」の記載、後二者については「クサリツキ2ツオリパス」の記載がある。
また、上記のうち、「品番」を「GLP117B」及び「GLP154B」とするものについては、いずれも「店」の欄に、店ごとの識別のための符号と思しき「T」、「S」及び「TL」の欧文字の記載があり、かつ、該店ごとの「売上数」、「売上高」、「年間売上数」及び「年間売上高」等の記載がある。
2 上記1において認定した事実によれば、商標権者は、自己の取扱いに係る商品についての「総合カタログ2008」を発行し、該カタログには、品名を「くさり付単パス(2面)」とし、品番を「GLP117B」等とする商品及び、品名を「くさり付パス(2つ折り、ファスナーポケット付)」とし、品番を「GLP154B」等とする商品が掲載され、かつ、両商品には、「GLOIRE」の標章が付されていたことを認めることができる。
また、上記カタログに掲載されている「くさり付単パス(2面)」(品番:GLP117B)及び「くさり付パス(2つ折り、ファスナーポケット付)」(品番:GLP154B)については、本件審判の請求の登録前3年以内(平成20年10月13日から同23年10月12日までの期間。以下「要証期間」という場合がある。)である2009年(平成21年)1月に、複数の店を通じて、一定の数量の販売がされたものと推認される。
そして、商標権者の使用に係る商品(「くさり付単パス(2面)」及び「くさり付パス(2つ折り、ファスナーポケット付)」)は、商品「パスケース」といえるものであり、該商品は、本件商標の指定商品中に含まれる商品である。
3 請求人は、上記カタログについて、その作成ないし頒布の時期や部数等が一切不明であるから、これをもって、本件商標の使用の事実を認めることはできない旨主張する。
しかしながら、該カタログは、その表題を「総合カタログ2008」とし、かつ、その「INDEX」の記載に照らせば、商標権者の取扱いに係る商品を網羅的に掲載してなるものといえるところ、そのような体裁からなるカタログは、少なくともその該当する年ないしは年度を通して、顧客ないしは需要者に対して頒布することを予定して、その有効期間に先立ち、相当数を製作し、頒布するというのが、実際の商取引の経験則に照らして相当というべきであるから、該カタログは、2008年ないしは2008年度を通して、顧客ないしは需要者に対し、一定の数が頒布されたものと推認される。
また、請求人は、該力タログに記載された商品単価と在庫表に記載された売上数及び売上高から計算される商品単価とが一致しないことから、該在庫表に示されたデータの信ぴょう性について疑義がある旨主張するが、実際の商取引においては、例えば、その取引における両者の関係や取引数量の多少等により、カタログ上に記載された金額と異なる金額をもって取引されることがしばしば見受けられることからすれば、上記単価の不一致をもって、直ちにデータの信ぴょう性を欠くということは適切でない。
4 以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者が本件審判の請求に係る指定商品に含まれる「パスケース」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用をしていたことを証明したものということができる。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2012-06-22 
結審通知日 2012-06-26 
審決日 2012-07-09 
出願番号 商願昭56-72621 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (114)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 寺光 幸子
特許庁審判官 酒井 福造
田中 敬規
登録日 1984-05-29 
登録番号 商標登録第1686167号(T1686167) 
商標の称呼 グロイル、グロワール、グロイレ 
代理人 木村 高明 
代理人 佐久間 剛 
代理人 中熊 眞由美 
代理人 柳田 征史 

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