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この審決には、下記の判例・審決が関連していると思われます。
審判番号(事件番号) データベース 権利
不服20143153 審決 商標
平成24行ケ10197審決取消請求事件 判例 商標
不服201317721 審決 商標
不服201018107 審決 商標
不服201027054 審決 商標

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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない X24
管理番号 1267090 
審判番号 不服2012-4247 
総通号数 157 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2013-01-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-03-05 
確定日 2012-11-15 
事件の表示 商願2011- 20844拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、別掲のとおりの構成よりなり、第24類「タオル」を指定商品として、平成23年3月24日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『水に浸してすぐひんやり!』の文字と、これよりもやや大きく『ひんやり』の文字と『タオル』の文字とを、未だ普通に用いられる域を脱し得ない方法で三段書きにして書してなるところ、本願指定商品の分野においては、水に濡らすと冷たくなるタオルが『ひんやりタオル』と称されていたり、また、そのような性質をもったタオルが販売されている実情にあることから、これよりは全体として『水に浸すとすぐにひんやりと冷たくなるタオル』等の意味合いを容易に認識させるにすぎず、これを本願指定商品に使用しても、前記意味合いのタオルであると理解させるに止まり、単に商品の品質を表示するにすぎないものと認められる。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
(1)本願商標は、別掲のとおりの略三段構成よりなるところ、上段には、「水に浸してすぐひんやり!」の文字を赤色と青色で書き分けて、それらに黄色い縁取りを施し、中段には、大きく「ひんやり」の文字を籠字かつ青色のグラデーションで表し、下段には、中段とほぼ同じ大きさにてやはり籠字かつ青色で「タオル」の文字を表してなり、その構成中の「浸して」の文字の上部には、水色で「水滴」と思しき図形を配してなるとはいえ、近時、各種のレタリング文字が広く使用され、様々なデザイン化が行われている現状にあっては、本願商標は、未だ普通に用いられる方法の域を脱しない程度で表してなるものとみるのが相当である。
そして、本願商標中の「ひんやり」の文字部分は、「冷たい感触・雰囲気であるさま」(広辞苑第六版 株式会社岩波書店発行)を意味するものとして、親しまれていることに加え、実際、「水でぬらして首等に巻くことで冷感が得られることをうたったタオル」が、多数見受けられる事情があり、このことは、例えば、以下の新聞記事及びウェブサイトの記事からも裏付けられるものである。
ア 2012年7月22日付けの朝日新聞 東京朝刊 33頁には、「スカーフ・スプレー・ベスト・腕カバー…冷感グッズ、効果いろいろ」の見出しのもと、「・・・水を吸わせて首や頭に巻く冷却タオル、冷却スプレー、霧状の風を送る扇風機……。・・・米国で開発された『クールコンフォートテクノロジー』という高機能素材を使ったタオルやスカーフ。水にぬらして軽く絞り、強く数回振ると冷たくなる。」との記載がある。
イ 2012年5月22日付けの産経新聞 大阪朝刊 8頁には、「“涼”グッズ 好スタート ミニ扇風機、アロマスプレー、肌用冷却ゲル」の見出しのもと、「東急ハンズ心斎橋店(大阪市中央区)では、水にぬらすとひんやりと感じる特殊繊維を使った涼感スカーフや涼感タオルがずらり。」との記載がある。
ウ 2011年8月8日付けの東京新聞 朝刊 8頁には、「脱電源 涼感グッズ」の見出しのもと、「若者向けの生活雑貨などを扱う渋谷ロフト・・・中でも人気が高いのは、水にぬらすと気化熱効果で冷たく感じる約二十種類のタオル類。最も売れている『アイスタオル』(Mサイズ千円、Lサイズ二千円)はゴムに似た感触で、首筋などにかけて使う。『真夏の日中でも一時間ぐらい冷たさが保てる。温まっても、水にぬらせば再びひんやりします』。勢いよく広げると、衝撃でさらに気化熱効果が高まるタイプもある。」との記載がある。
エ 2011年5月25日付けの毎日新聞 西部朝刊 17頁には、「ものコレ:クールタオル ミスターマックス」の見出しのもと、「首筋、腕などに当てると、ひんやりした涼感を味わえる『クールタオル』。ディスカウントスーパーのミスターマックス(福岡市)が、プライベートブランド商品として売り出している。・・・タオルを水に浸し、軽く絞った後、冷やしたい体の部分に当てて使う。」との記載がある。
オ 独立行政法人国民生活センター(http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20120119_1.html)の「発表情報[2012年3月30日:更新][2012年1月19日:公表]」中の「水でぬらすだけで冷感が得られることをうたったタオル-湿疹・かぶれの原因となることも-」の見出しのもとに、「東日本大震災の影響により、昨夏は例年にも増して、消費者の節電に対する意識が高まり、電気を使用せずに冷感を得られる『冷感グッズ』が売り上げを伸ばしたことが新聞等でも報道された。そのような『冷感グッズ』のひとつに『水にぬらすだけでひんやり』や『水に浸してすぐひんやり』など、水でぬらして首等に巻くことで冷感が得られることをうたったタオル(以下、『冷感タオル』とする)がある。」との記載がある。
カ 日本直販オンラインのウェブサイト(http://www.666-666.jp/product/4821.html)には、「ひんやりタオル ワイド&ロング」の見出しのもと、「水に濡らすだけで、ひんやり感が続く!ミストが出るミニファン付きで、さらに涼しさアップ!・・・お好みのサイズにカットしてもOK!ひとまわり大きくなって使いやすくなった、大人気の『ひんやりタオル』。・・・」との記載がある。
キ 楽天 High quality shop NOONE(ブランド枕・寝具インテリアセレクトショップ ヌーン)のウェブサイト(http://item.rakuten.co.jp/noone/de102-11/)には、「水に濡らすだけでひんやり冷たくなる不思議なタオル! 」との記載がある。
また、「浸して」の文字上の「水滴」の図形は、タオルを水に濡らしたときの水滴を表したに過ぎないものとみるのが相当であり、これとて、本願商標と本願の指定商品との関係からみれば自他商品の識別力を有する部分とは到底いい難い部分である。
そうとすると、本願商標は、これをその指定商品である「タオル」に使用するときは、これに接する取引者、需要者をして、「水に浸すとすぐにひんやりと冷たい感触になるタオル」を表すものと容易に認識・理解されるとみるのが相当であり、単にその商品の品質、使用方法を表示したにすぎないものといわなければならず、その表記方法も、前記のとおり、普通に用いられる程度のものというのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、本願商標は、全体の塊として斬新な表示形態のものであり、このような斬新な表示形態の本願商標は、当指定商品の業界において全く
使用されたことがないものであることから、「ひんやりタオル」なるものが如何なる商品であるのか、業界内、ユーザー間において全く知り得るようなものではなく、本願の指定商品に係る取引の実際及び取引の実情において、このような本願商標の全体の塊としての斬新な表示形態及び称呼のものは、市場においてこれを本願の指定商品に使用しても、商品の品質を表示するものとして受け取られるような虞はない。そして、本願の指定商品の分野において商品の品質を殊更強調して表示するようなものとして市場において未だかつて使用されたことがないことは勿論、そのような用例もない旨を述べている。
しかしながら、前記(1)アないしキのとおりの「水でぬらして冷感を得るタオル」についての取引の実情を踏まえれば、本願商標を構成する「水に浸してすぐひんやり!」「ひんやりタオル」の文字は、「水に浸すとすぐにひんやりと冷たい感触になるタオル」を認識させ、商品の品質、使用方法であることを意味する語として、需要者に一般に認識されるものというのが相当である。また、近時、本願の指定商品を含む様々な商品分野において、看者の注意を引くような視覚的効果をねらって、各種のレタリング文字やデザイン化された文字が広く用いられている実情にかんがみれば、本願商標の各文字が、縁取や籠字及びグラデーションによりややデザイン化されているとしても、その構成文字を容易に理解できる程度のものにすぎず、かつ、構成全体としても、未だ、特殊な構成態様とはいえないものであることよりすると、本願商標は、前記(1)のとおり、普通に用いられる方法の域を脱しない程度で表してなるものとみるのが相当であるから、請求人の前記主張は採用できない。
イ 請求人は、過去の登録例を挙げて、本願商標も識別力を有する旨も述べているが、請求人が主張する登録例に係る商標は、本願商標とは、その構成等が相違するものであって、本願とは事案を異にするものであり、そもそも登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第3号の規定に該当するか否かは、当該商標の査定時又は審決時において、個別具体的に判断されるべきものであるから、それらの登録例により前記(1)の判断が左右されるものではない。
(3)まとめ
したがって、本願商標が、商標法第3条第1項第3項に該当するとして、本願を拒絶した原査定は妥当であって、取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲(本願商標)



(色彩については、原本参照)

審理終結日 2012-08-17 
結審通知日 2012-08-28 
審決日 2012-09-28 
出願番号 商願2011-20844(T2011-20844) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (X24)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 渡辺 潤 
特許庁審判長 水茎 弥
特許庁審判官 前山 るり子
内田 直樹
商標の称呼 ミズニヒタシテスグヒンヤリヒンヤリタオル、ミズニヒタシテスグヒンヤリ、ヒンヤリタオル、ヒンヤリ 
代理人 前田 和男 
代理人 下山 冨士男 

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