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審決分類 審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない X44
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない X44
管理番号 1267065 
審判番号 不服2011-17686 
総通号数 157 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2013-01-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-07-28 
確定日 2012-11-16 
事件の表示 商願2010- 57427拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 本願商標
本願商標は,「蒸しタオル」の文字を書してなり,第44類に属する願書記載のとおりの役務を指定役務として,平成22年7月7日に登録出願されたものであり,その後,指定役務については,原審における平成23年2月14日付け提出の手続補正書により,第44類「美顔のための美容」に補正されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定において,「本願商標は,『蒸しタオル』の文字を普通に用いられる方法で表示してなるところ,該文字は,『常温で湯気が立つ程度の温度まで温めた水分を含むタオル』の意味を有する語として広く一般に認識されている語であり,また,『蒸しタオル』は,美容やスキンケアの分野で,『顔に当てることにより毛穴を開かせ,汚れを落としやすくし,美容液の浸透を促進させる効果』を得るため使用されるものである。そうとすると,これを本願指定役務中,『蒸しタオルを用いた美顔のための美容』に使用しても,単に役務の質・提供の用に供する物を表示するにすぎないものと認める。したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当し,前記役務以外の役務に使用するときは,役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるので,同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定,判断し,本願を拒絶したものである。

第3 当審における手続の経緯
当審において,平成24年2月13日付けの証拠調べ通知書により,請求人に対し,下記第4,1(1)ないし(6)に係るインターネットのウェブページを提示した上で,本願商標は,その指定役務との関係において,美顔のための美容に用いられる物(蒸しタオル)を容易に理解させるものであるから,その指定役務に使用するときは,役務の提供の用に供する物を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものであることにより,商標法第3条第1項第3号に該当する旨開示し,請求人に意見を求めたところ,請求人は,平成24年3月26日付けで意見書を提出した。

第4 当審の判断
1 商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号の該当性について
本願商標は,「蒸しタオル」の文字を普通に用いられる方法で書してなるところ,「蒸しタオル」は,「常温で湯気が立つ程度の温度まで温めた水分を含むタオル」の意味を有する語として広く一般に認識されている語である。
そして,平成24年2月13日付け証拠調べ通知書において開示したとおり,美容に「蒸しタオル」が用いられている事実が,以下の(1)ないし(6)のとおり見いだせる。
なお,以下のウェブサイトは,上記証拠調べ通知書の起案時に検索されたものであり,現時点においても継続して掲載されている。
(1)「太陽製薬ヘルスケア」に係るウェブサイト
(http://www.manier.jp/shop/contents3/mushitowel_oteirei.aspx)
「蒸しタオル美容法とは?」の見出しで,「蒸しタオルの熱を利用した,肌への美容効果が高い美容法です。熱を加えることで奪われる水分を,蒸しタオルの水分で補うことができ,その後の基礎化粧品の効果も上がります。モデルさんや美容業界の方が,数多く実践している美容法です。」「蒸しタオル効果は? 1)お肌をやわらげ,蒸気により毛穴をひらかせて奥の汚れを浮き上がらせてくれます。 2)ニキビや吹き出物の原因となる老廃物を除去し,お肌を清潔に保ちます。 3)肌を温めて血液やリンパ液の循環を活発にし,新陳代謝を高めます。」と記載されている。
(2)「美容と健康なび」と題するウェブサイト
(http://www.beauty-treatment.net/hottowel/index.php)
「蒸しタオル美容」の見出しで,「蒸しタオルを使うことで,毛穴を開かせ余分な汚れを落としたり,肌が柔らかくなるため美容液の浸透をスムーズにしたり様々な効果が得られます。洗い流さないタイプのマッサージクリームを使っている場合は,マッサージ後の蒸しタオルの併用で新陳代謝をさらに高めることができます。蒸しタオル後の肌はいつも以上に柔らかくなっている為とても敏感で,指で肌をこすると消しゴムの様にポロポロと皮膚の表面が取れてきます。」と記載されている。
(3)「洗顔で5歳肌を若がえらせよう」と題するウェブサイト
(http://bihada.25niko.info/musitaoru/)
「蒸しタオル美容法」の見出しで,「蒸しタオルは毛穴を開かせ余分な汚れを落としたり,美容液の浸透をスムーズにしたり蒸しタオルをすることで肌がスッキリぷるんとなった実感を得られると思います。」「洗顔後に蒸しタオルを使う事によって肌を柔らかくして洗顔後普段使っている美容液等の肌への浸透力をUPさせることが出来ます。」と記載されている。
(4)「蒸しタオル美容法!蒸しタオルの作り方」と題するウェブサイト
(http://www.hamnida.com/musitowel/)
「蒸しタオルひとつで肌のプリプリを取り戻せる美容法があるのです。ご紹介しましょう。蒸しタオルを顔の上に乗せることで毛穴を開くことができますが,毛穴が開いた時にできる美容法がたくさんあります。」と記載されている。
(5)「美容ベース」と題するウェブサイト
(http://biyoubase.com/skin2/towel/)
「蒸しタオル美容法とは,蒸しタオルの熱を利用した,肌への美容効果が高い美容法です。美容外科のプチ整形によく使用される,レーザーも,岩盤浴,サウナなどが美容効果があるといわれているのも,肌の内部へ,熱を加えてあげられるからです。それに加えて!蒸しタオル美容法では,熱を加えることで奪われる水分を,蒸しタオルの水分で補うことができます。さらに!毛穴を広げる効果があるので,その後の,基礎化粧品の効果も上がります。」と記載されている。
(6)「蒸しタオル洗顔」と題するウェブサイト
(http://kirara.x0.com/towel/)
「蒸しタオルの作り方や,蒸しタオル洗顔やクレンジング方法ってご存知でしょうか?電子レンジで簡単に作れる蒸しタオル。スキンケアや美容にも最適です。」「蒸しタオル洗顔とは,そのネーミングのとおり,蒸しタオルを顔の上に乗せて毛穴をしっかり開いて中に詰まった頑固な汚れを取るという,お金のかからない美容法の一つとして知られています。」と記載されている。

以上のとおり,美容に「蒸しタオル」が用いられている事実及び,「蒸しタオル」の文字から理解,認識させる意味を勘案すれば,「蒸しタオル」の文字からなる本願商標を,その指定役務中,「蒸しタオルを用いた美顔のための美容」に使用したときは,「美顔のための美容に用いられる物(蒸しタオル)」を認識するにとどまるから,本願商標は,役務の提供の用に供する物を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標というべきであって,自他役務の識別標識としての機能は,果たし得ないものである。
したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当し,前記役務以外の役務に使用するときは,役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるので,同法第4条第1項第16号に該当する。

2 請求人の主張について
(1)請求人は,「請求人が化粧品業界及び美容役務業界において『蒸しタオル』なる用語を導入した業界最初の企業である」旨,及び「本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当しない」旨主張し,証拠方法として,当審において,平成24年3月26日付け意見書と共に,甲第1号証ないし甲第3号証を提出している。
しかしながら,仮に「請求人が化粧品業界及び美容役務業界において『蒸しタオル』なる用語を導入した業界最初の企業である」としても,前記認定のとおり,本願商標は,前記インターネットのウェブページにおいて示されている事実から,審決時において「美顔のための美容に用いられる物(蒸しタオル)」を認識するにとどまり,自他役務の識別標識としての機能は果たし得ないものであるから,請求人の主張は採用することができない。
また,甲第1号証はパンフレット「キレイの基本」の写し,甲第2号証は広告記事(平成14年6月11日付け産経新聞)の写し,甲第3号証は情報誌「銀河」創刊号(昭和59年7月7日発行)の写しであるところ,請求人がこれらに,請求人の業務に係る紹介記事や広告等を掲載していることは認められる。
しかしながら,これらの内容をみると,「『素肌のベーシックケア』の題字のもと,肌の手入れに関する図解及び説明文中に『蒸しタオル』の文字」,「『1 蒸しタオル美容法』の題字のもと,肌の手入れに関する説明中に『蒸しタオル』の文字」及び「『エモリエントクリーム ニューロイヤル』の商品紹介文中に『蒸しタオル』の文字」(以上,甲第1号証),「『温泉の恵み』と称するボディーソープの説明文中に『蒸しタオル美容』の文字」(甲第2号証),「文章及び写真の説明文中に『蒸しタオル』の文字」(甲第3号証)などの記載が認められるものの,これらの証拠資料は,「蒸しタオル」の文字が請求人の業務に係る紹介記事や広告の説明文等の一部として用いられていることを表すにすぎないものであって,このことだけをもって,「蒸しタオル」の文字が請求人の業務に係る役務を表すものとして,自他役務の識別標識としての機能を果たすものとはいい難い。
(2)請求人は,登録商標,審決例を引用して,「本願商標が自他役務の識別標識としての機能を果たすものである」旨主張し,証拠方法として,当審において平成23年7月28日付け審判請求書と共に甲第1号証ないし甲第3号証及び,平成24年3月26日付け意見書と共に甲第4号証ないし甲第6号証を提出している。
しかしながら,商標の識別性の判断は,各商標につき,それぞれの構成態様や取引の実情等をも勘案し,指定商品,指定役務ごとに個別具体的に判断されるべき性質のものであるばかりでなく,請求人の引用する登録商標,審決例をもって本件の判断が拘束されるものでもないから,請求人の主張は採用することができない。

3 まとめ
以上から,本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとした原査定は,妥当なものであって,取り消すべき限りでない。
よって,結論のとおり審決する。
審理終結日 2012-09-06 
結審通知日 2012-09-14 
審決日 2012-09-25 
出願番号 商願2010-57427(T2010-57427) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (X44)
T 1 8・ 272- Z (X44)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 新井 音哉海老名 友子和田 恵美 
特許庁審判長 小林 由美子
特許庁審判官 谷村 浩幸
小川 きみえ
商標の称呼 ムシタオル 
代理人 中島 正次 
代理人 中島 正次 

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