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審決分類 審判 査定不服 観念類似 登録しない X09
審判 査定不服 外観類似 登録しない X09
審判 査定不服 称呼類似 登録しない X09
管理番号 1266051 
審判番号 不服2011-17314 
総通号数 156 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2012-12-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-08-10 
確定日 2012-10-24 
事件の表示 商願2010-7554拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、別掲1に示すとおりの構成からなり、第9類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、平成22年2月3日に商標登録出願されたものであり、その後、指定商品については、原審における同年9月7日付け手続補正書によって、第9類「テレビジョン受信機」に補正されたものである。

2 引用商標
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録第5252287号商標(以下「引用商標」という。)は、「TruBlack」の欧文字を標準文字で表してなり、平成21年2月24日登録出願、第9類「電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」を指定商品として、同年7月31日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

3 当審の判断
(1)本願商標
本願商標は、別掲1のとおり、極細の細線枠内に、上段に肉太で表された「TruBlack」の欧文字を、横細線をはさみ、その下段に上段の「TruBlack」の文字幅とほぼ同じくし、該文字と比して細字の「FILTER」の欧文字を配し、それらの左側に、三つの正方形を重ね合わせ、その中心から左右対称に内部の色を白色と黒色で反転させて塗り分けた図形を配した構成からなるところ、構成中央の「TruBlack」の欧文字部分が肉太で表されているのに対し、「FILTER」の欧文字部分が細字で表されていることから、かかる構成においては、肉太で顕著に表された「TruBlack」の欧文字部分が独立して取引者、需要者の注意をひき、商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものとみるのが相当である。そして、これらを囲む枠線も極細で印象が薄く、各欧文字部分と図形部分とは、重なり合う部分もないことからすれば、これらは視覚的に容易に分離して看取され、また、常に一体のものとして把握すべき関連性も認められないものである。
しかして、「TruBlack」の欧文字は、辞書などに記載のない造語であって、このような造語にあっては、看者をして、我が国において広く親しまれている英語の読みに倣って、「トゥルーブラック」の称呼を生ずるものとみるのが自然である。
次に、「FILTER」の欧文字は、「ろ過、フィルター」等(「小学館ランダムハウス英和大辞典第2版」株式会社小学館 1994年1月1日発行)の意味を有する英語として親しまれている。また、該文字の表音を片仮名で表記した「フィルター」の語においても、上記意味合いでカタカナ辞典に掲載され、同様に親しまれた語ということができ、かつ、本願の指定商品を取扱う業界において、「テレビジョン受信機」の機能を表す記述的な表示として、多数使用されている実情からすれば、該片仮名に通ずる「FILTER」の欧文字は、自他商品の識別標識としての機能が極めて弱いか、又はその機能を果たさないものとみるのが相当である。
以上によれば、本願商標は、その構成文字全体から「トゥルーブラックフィルター」の称呼を生ずるほか、自他商品の識別標識としての機能を有する「TruBlack」の文字部分から「トゥルーブラック」の称呼をも生ずるものであり、また、特定の観念を生じないものとみるのが相当である。
(2)引用商標
引用商標は、前記2のとおり、「TruBlack」の欧文字を横書きに表してなるところ、該文字は前記1(1)と同様に、「トゥルーブラック」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
(3)本願商標と引用商標の類否
本願商標と引用商標を比較するに、前記3(1)及び3(2)のとおり、本願商標と引用商標はいずれも「トゥルーブラック」の称呼を生ずるものである。
また、本願商標と引用商標とは、構成全体としては相違するものであるが、本願商標の構成中、自他商品の識別標識としての機能を有する「TruBlack」の欧文字部分と、引用商標とは、その構成文字中の「T」及び「B」の文字のみが大文字という綴りの特徴も含め、同一の欧文字からなることからすれば、外観上似通った印象を与えるものである。
さらに、両商標は、上記のとおり、いずれも特定の観念を生ずることのない造語からなるものであるから、観念上これらを比較することはできない。
そうとすれば、本願商標と引用商標とは、観念上、比較することはできないとしても、称呼を共通とし、外観においても、その構成中の「TruBlack」の欧文字部分において似通った印象を与える互いに相紛れるおそれのある類似の商標というべきであり、また、その指定商品についても、本願商標の指定商品である「テレビジョン受信機」は、引用商標の指定商品に含まれる「電気通信機械器具」に包含される商品である。
(4)取引の実情
「TruBlack」の欧文字は、別掲2によれば、引用商標の商標権者であるソニー株式会社が、2009年3月に発表した「液晶ディスプレイ」に関する技術の名称であり、ソニー株式会社は、この技術を使用した「デジタルフォトフレーム」や「デジタルカメラ」(いずれも「電気通信機械器具」の範疇に属する商品である。)等を生産、販売し、それらの商品について、「TruBlack」の文字を使用している事実が認められる。
(5)請求人の主張
請求人は、本願商標の構成中の「TruBlack」の欧文字は、「真実の、本来の、本当の、正確な」の意味を有する「True」の欧文字と「黒い、黒色」等の意味を有する「Black」の欧文字からなる「True Black(真の黒、本当の黒)」に由来するものと容易に認識されること、そして、「True Black」の欧文字が色彩表示として多数使用されていることからすれば、「TruBlack」の欧文字もこれと同様の色彩表示として認識されるにすぎず、商品の品質・内容等を表示するにとどまることから、自他商品の識別力を発揮することができない文字部分である旨主張し、さらに、これを前提として、本願商標は引用商標と非類似である旨主張する。
しかしながら、「TruBlack」の欧文字と「True Black」の欧文字とは、綴りが異なるものであって、これを同一視すべき特段の理由は認められず、また、「TruBlack」の欧文字は、上記のとおり造語であり、特定の色彩表示として一般に用いられている実情も認められない。
そうとすれば、「TruBlack」の欧文字を色彩表示の一として捉え、これを前提に本願商標は引用商標と非類似であるとする請求人の主張は、上記のとおり、その理由を欠くものであるから採用することはできない。
(6)まとめ
以上によれば、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するものであるとして本願を拒絶した原査定は、妥当なものであって、取り消すべきではない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲1 本願商標


別掲2 「TruBlack」の文字について
(1)「IT用語辞典BINARY」のウェブサイトにおいて、「TruBlack」の見出しの下、「TruBlackとは、ソニーが2009年3月に発表した液晶ディスプレイに関する技術のことである。TruBlackでは、液晶パネルと前面のガラス板との間に特殊な樹脂を挟むことで光の乱反射を抑え、それによって、外光の映りこみを軽減し、コントラスト比や輝度を向上させ、黒色をより深く表現することに成功している。同タイプの従来の製品に比べて、コントラスト比は約15倍、輝度は約13%の向上が実現されているといわれる。TruBlackは、ソニーのデジタルフォトフレーム『S-Frame』の新機種(DPF-X1000)などに搭載される。」の記述がある。
(http://www.sophia-it.com/content/TruBlack)
(2)「ソニー株式会社」のウェブサイトにおいて、「TruBlackディスプレイ 液晶ディスプレイ」の見出しの下、「ソニーのデジタルフォトフレームや”サイバーショット”、”ハンディカム”などに使われているTruBlack(トゥルーブラック) ディスプレイは、太陽光や蛍光灯による光の散乱と映り込みを最小限に抑え、光の反射率をコントロールすることで高いコントラスト比と視認性を実現している。これはハイビジョン画質の美しさをそのまま再現するために、ソニーが機能性材料と構造を見直すことから始めた結果だ。」の記述がある。
(http://www.sony.co.jp/SonyInfo/technology/technology/theme/trublack_01.html)
(3)「ソニー、有機ELモニター採用のコンパクトデジカメなど9モデル発売」の見出しの下、「ソニーは13日、有機エレクトロ・ルミネッセンス(EL)モニターを採用したコンパクトデジタルカメラ『サイバーショット DSC-TX100V』など計9モデルを2月10日から順次発売すると発表した・・・『DSC-TX100V』は、3・5型ワイドのタッチパネルを搭載した。動きのある動画をなめらかに再生できる技術『TruBlack』を採用し、屋外撮影時でも高コントラストで深みのある黒を再現できる。」の記述がある(日刊工業新聞15頁 2011年1月14日)。
(4)「市場見聞・売り場から/ヨドバシカメラ梅田店-デジタルフォトフレーム」の見出しの下、「ソニーの『DPF-X800』(価格2万9800円)は独自技術『TruBlack(トゥルーブラック)』で黒色の深みをきれいに再現する。液晶の反射を抑えて外光の映り込みが少ないので高性能モデルとして人気だ。」の記述がある(日刊工業新聞17頁 2009年10月19日)。


審理終結日 2012-05-18 
結審通知日 2012-05-22 
審決日 2012-06-13 
出願番号 商願2010-7554(T2010-7554) 
審決分類 T 1 8・ 263- Z (X09)
T 1 8・ 261- Z (X09)
T 1 8・ 262- Z (X09)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 田中 敬規松浦 裕紀子 
特許庁審判長 関根 文昭
特許庁審判官 吉野 晃弘
寺光 幸子
商標の称呼 トルブラックフィルター、トルブラック、トル、テイアアルユウ、トゥルブラックフィルター、トゥルブラック、トゥル 
代理人 山口 現 
代理人 田島 壽 
代理人 青木 篤 

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