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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Y43
管理番号 1265997 
審判番号 取消2011-300439 
総通号数 156 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2012-12-28 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2011-05-12 
確定日 2012-10-15 
事件の表示 上記当事者間の登録第4967230号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4967230号商標の商標登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4967230号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおり、「海鮮炭火焼岩山海」の文字を縦書きに表してなり、平成17年11月22日に登録出願、第43類「飲食物の提供」を指定役務として同18年7月7日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張
1 請求の趣旨
請求人は,結論と同旨の審決を求め、その理由、答弁に対する弁駁及び審尋に対する回答を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第18号証を提出している。
2 請求の理由
本件商標は、その指定役務である第43類「飲食物の提供」について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者及び通常使用権者のいずれによっても使用されていないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。
3 答弁に対する弁駁
(1)本件商標の使用の立証を要する期間
本件商標の使用の立証を要する期間(以下「要証期間」という。)は、本件審判の請求の登録前3年以内であり、本件審判の請求の登録日は平成23年5月31日であるから、平成20年5月31日ないし平成23年5月30日である(審決注:弁駁書記載の本件審判の請求の登録日及び要証期間は誤記と判断した。)。
(2)本件商標の使用であると主張する事実について
被請求人は、「海鮮炭火焼岩山海」(乙第12号証、乙第14号証、乙第16号証、乙第19号証、乙第21号証及び乙第31号証)の他、「海鮮炭火焼き!!岩山海 布施店」(乙第17号証)、「海鮮!炭火焼岩山海」(乙第22号証)を、本件商標の使用であると主張している。
各乙号証中に表れるその他の標章については、本件商標と社会通念上同一であると認められないことは明らかである。
よって、前記被請求人の主張に対し反論する。
ア 乙第12号証及び乙第14号証について
(ア)乙第12号証及び乙第14号証は、何れも、「岩山海 布施店」(大阪府東大阪市)において使用されているメニュー表として提出されたものである。両者は、表示されている飲食物の内容が異なるものの、同様の体裁であるから、両者は一連のメニュー表を構成するものと認められる。
(イ)但し、要証期間中に乙第12号証及び乙第14号証のメニュー表が「岩山海 布施店」の店内において展示等されていたという事実については、いずれの乙号証によっても立証されておらず、そのような事実を認めることはできない。
被請求人は、乙第13号証及び乙第15号証は、それぞれ、乙第12号証及び乙第14号証のメニュー表を「岩山海 布施店」で使用するためにコピーした際の領収書であり、各領収書の日付以降継続的に「岩山海 布施店」の店内において使用されていると主張するが、乙第13号証及び乙第15号証には、そのような事実を証明する内容は見当たらない。
(ウ)乙第12号証及び乙第14号証は、本件商標と同様の態様の「海鮮炭火焼岩山海」の文字が、右にやや傾いた状態で、且つ、メニュー表の仕切り線(縦線)等を覆って消したような不自然な状態(特に乙第14号証は左側の料理の写真の右下部を覆って消した状態)で、列挙された料理の品目の間に埋もれたような位置、すなわち商標を表示する位置としては不自然な位置に表示されている。
このように、本件商標と同様の態様の文字が明らかに不自然に表示されている乙第12号証及び乙第14号証のメニュー表については、「岩山海 布施店」の店内において展示されていたものと認めることはできない。
(エ)乙第19号証の2枚の写真には、乙第14号証と同じメニュー表が写っているが、乙第14号証における「海鮮炭火焼岩山海」の文字が位置する部分にその文字はなく、その位置には上方からの仕切り線(縦線)が連続し、乙第14号証については、左側の料理の写真の右下部は消えずに表示されている。
なお、「岩山海 布施店」に関する調査報告書(甲第1号証)には、平成23年8月7日及び同月14日に、乙第12号証及び乙第14号証と同様の一連のメニュー表が、両者が表裏を構成する状態で「岩山海 布施店」の店内において使用されていたが、そのメニュー表には、乙第12号証及び乙第14号証において「海鮮炭火焼岩山海」の文字が位置する部分にその文字はなく、その位置には上方からの仕切り線(縦線)が連続し、乙第14号証については、左側の料理の写真の右下部は消えずに表示されていた旨報告されている。
また、調査報告書には、「岩山海 布施店」関係者からの聴取内容として、乙第12号証及び乙第14号証のようなメニュー表は、「あかし酒販」(乙第23号証及び乙第30号証)が平成23年6月初旬に「岩山海 布施店」の実質的な経営又は経営参加を行い始めたことに伴い使用を開始したものであると聴取した旨報告されており、平成23年5月26日以前にはこのようなメニュー表は使用されていなかったものと認められる。
これらの点からすれば、「海鮮炭火焼 岩山海」の文字が表示された乙第12号証及び乙第14号証の一連のメニュー表は、本件審判の請求の登録後に、本件審判の答弁書に添付して提出するために作成されたものであると推認せざるを得ない。
(オ)したがって、乙第12号証及び乙第14号証のメニュー表によって要証期間中に本件商標がその指定役務について使用されたと認めることはできない。
イ 乙第16号証について
(ア)乙第16号証は、「岩山海 布施店」において、当日のおすすめ料理を示すために使用された品書きとして提出されたものである。
被請求人は、乙第16号証について、「右側の位置には、『海鮮炭火焼岩山海』が使用されている」と述べ、「左端には、縦書きで、『H22・4月六日』の文字が印刷されており、この日付から・・・・本日のおすすめ料理が『はも湯引き』であることを、客に知らせるために、・・・・平成22年4月6日に使用されたことが、明らかである。」と述べているが、要証期間中に乙第16号証の品書きが「岩山海 布施店」の店内において展示等されていたという事実については、何れの乙号証によっても立証しておらず、そのような事実を認めることはできない。
(イ)しかも、乙第16号証における「海鮮炭火焼岩山海」の文字は、右にやや傾いており、不自然であると言わざるを得ない。さらに、同号証において、使用された日付とされている「4月6日」と、「夏がやってきました」という文言は、明らかに矛盾している。
(ウ)なお、調査報告書には、乙第16号証と同様の品書きが「岩山海 布施店」の店内の壁等に貼られて使用されていたが、その品書きには、日付は記載されておらず、「海鮮炭火焼岩山海」の文字も記載されていなかった旨報告されている。
これらの点からすれば、「海鮮炭火焼岩山海」及び「H22・4月六日」の文字が表示された乙第16号証の品書きは、本件審判の請求の登録後に、本件審判の答弁書に添付して提出するために作成されたものであると推認せざるを得ない。
(エ)したがって、乙第16号証の品書きによって要証期間中に本件商標がその指定役務について使用されたと認めることはできない。
ウ 乙第17号証について
(ア)乙第17号証は、「岩山海 布施店」において客に配布されていたビンゴカードとして提出されたものである。
被請求人は、乙第17号証について、「『有効期限/23年12月末』であることが印刷されており、この有効期限から、・・・・『岩山海 ビンゴカード』が、少なくとも、平成23年には、客に配布されていたことが、明らかである。」と述べているが、要証期間中に乙第17号証のビンゴカードが「岩山海 布施店」において客に配布されていたという事実については、いずれの乙号証によっても立証されておらず、そのような事実を認めることはできない。
(イ)しかも、乙第17号証における「有効期限/23年12月末」(「有」の文字の左半分は右端に表示されている)の上方には、「7月度ビンゴカード」(「7」の文字及び「月」の文字の左端部分は右端に表示されている)と記載されていることから、該ビンゴカードは、客に配布されていたとしても、それは平成23年7月以降のことであると認められる。
(ウ)したがって、乙第17号証のビンゴカードによって要証期間中に本件商標がその指定役務について使用されたと認めることはできない。
エ 乙第18号証について
乙第18号証は、「岩山海 布施店」において、当日のおすすめ料理を複数品示すために使用された品書きとして提出されたものである。
ただし、要証期間中に乙第18号証の品書きが「岩山海 布施店」の店内において展示等されていたという事実については、いずれの乙号証によっても立証されておらず、そのような事実を認めることはできない。
オ 乙第19号証について
(ア)乙第19号証は、「岩山海 布施店」においてオープン当初(平成18年2月13日)から現在において、客に対し、日本酒の提供をする際に使用しているとっくり及びぐい飲み、並びに、料理の提供をする際に使用している皿を撮影した写真として提出されたものである。
被請求人は、乙第19号証の「とっくり」には、縦書きで、「海鮮炭火焼岩山海」の文字が表示され、同号証の皿には、四角形の枠内に、縦書きで、「海鮮炭火焼」の文字が、また、その下方斜め位置に、縦書きで、「岩山海」の文字が、表示されている旨述べている。
(イ)「海鮮炭火焼」「岩山海」の文字が表示されている皿というのは、同号証上段の写真に表れている薄緑色の角皿であり、縦書きで「海鮮炭火焼岩山海」の文字が表示されている「とっくり」というのは同号証下段の写真に表れている青みがかったガラス製の飲み物入れ(カラフェ)であると認められる。
(ウ)乙第19号証の写真には、ピンク色の陶磁器製のとっくり及びガラス製の酒瓶も表れているが、それらにはいずれも「海鮮!」の文字が「岩山海」の文字の右肩に表示されており、乙第1号証、乙第2号証、乙第3号証、乙第8号証及び乙第24号証における「海鮮!」及び「岩山海」の文字とも共通性がある。
(エ)しかしながら、乙第19号証の薄緑色の角皿及び「とっくり」であるとされている青みがかったガラス製の飲み物入れに表示されている「海鮮炭火焼」及び「岩山海」の文字は、これらとは相違しており、しかも、薄緑色の角皿の「海鮮炭火焼」における「鮮」の文字は途中で分離しており、青みがかったガラス製の飲み物入れにおける「海鮮炭火焼」の文字は、波打っているように見え、いずれも明らかに不自然である。
(オ)乙第20号証は、平成20年5月26日付の銀行振込みの利用明細書であり、オープン当初から現在において使用されているとっくりのプリント元板の代金をプリント元板製作者に振り込んだものであると述べているが、乙第20号証が本件商標のプリントに関するものであると認め得る内容は見当たらない。
(カ)よって、これらの薄緑色の角皿及び「とっくり」であるとされている青みがかったガラス製の飲み物入れは、「岩山海 布施店」において客に対し飲食物を提供するにあたり使用されていたものと認めることはできない。
(キ)特に、「とっくり」であるとされている青みがかったガラス製の飲み物入れは、「岩山海」の文字の上方に「ソウル」「マッコリ」と表示されているところから明らかなように、「マッコリ」(韓国酒)用の飲み物入れであり、サントリー酒類株式会社が平成22年11月末から業務用としてテスト販売を開始し、その後、本販売された業務用の1リットル入り「ソウルマッコリ」(甲第2号証及び甲第3号証)及び平成23年3月22日に発売された350ml缶入り「ソウルマッコリ」(甲第4号証)の販売促進用品(甲第5号証ないし甲第7号証)として、同社が配布したものであることは明白である。
(ク)なお、乙第22号証の上段の写真の左上には、「海鮮炭火焼」及び「岩山海」の文字がない、色違いの「ソウルマッコリ」用飲み物入れが写っている。
(ケ)したがって、乙第19号証に写っている「海鮮炭火焼」及び「岩山海」の文字が表示された「とっくり」であるとされている青みがかったガラス製の飲み物入れが、「岩山海 布施店」のオープン当初から使用されていたということは有り得ないから、被請求人の主張は信用性を欠くものと言わざるを得ない。
カ 乙第21号証について
(ア)乙第21号証は、「岩山海 布施店」においてオープン当初から現在において、客に対し、料理の提供をする際に使用している皿を撮影した写真として提出されたものであり、同号証の上段の写真には、「海鮮炭火焼岩山海」の文字が縦書きされた丸皿が写っている。
(イ)しかしながら、丸皿に表示されている「海鮮炭火焼岩山海」の文字と縦書きされた文字の周囲の縦長長方形部分は、丸皿全体の色よりも白く写っており、明らかに不自然である。
よって、乙第21号証の上段の写真に写っている丸皿は、「岩山海 布施店」において客に対し飲食物を提供するにあたり使用されていたものと認めることはできない。
(ウ)これらの点からすれば、乙第21号証の「海鮮炭火焼岩山海」の文字が表示されている皿は、本件審判の請求の登録後に作成されたものであると推認せざるを得ない。
キ 乙第22号証について
(ア)乙第22号証は、「岩山海 布施店」においてオープン当初から現在において、客に対し、「焼酎」の提供をするために、店独自で造った、焼酎の瓶の写真として提出されたものである。
(イ)同号証の酒瓶のラベルには、「海鮮!炭火焼」及び「岩山海」の文字が表示されており、あかし酒販に対する発注書(乙第23号証)に記載されている「9072131*オリジナル焼酎スリム B 麦720ml 4」及び「9072135*オリジナル焼酎丸 B 芋720ml 4」が、乙第22号証に示す、店独自で造った、「焼酎」(瓶入り)を、あかし酒販に発注したことを意味し、この発注書の日付が、H22年7月8日であることから、少なくとも、H22年7月8日以降において「岩山海 布施店」において、乙第22号証に示す「焼酎」(瓶入り)が展示され、客に提供されていたことが、明らかであると述べている。
(ウ)しかしながら、乙第23号証における前記記載が乙第22号証の「海鮮!炭火焼」及び「岩山海」の文字が表示されたラベルを有する酒瓶の焼酎についてのものであると認めるに足りる内容は、乙第22号証及び乙第23号証のいずれにも見当たらない。
(エ)乙第22号証の酒瓶のラベルは、「炭火焼」の文字の有無を除けば、乙第19号証の酒瓶のラベルとほぼ同一であると認められ、しかも、乙第22号証の酒瓶のラベルにおける「炭火焼」の文字は、乙第22号証に示された3本の酒瓶において互いに相違する手書き文字であると認められる。
(オ)これらの点から見て、乙第22号証の酒瓶の焼酎を、オープン当初から現在において客に対し提供していたという被請求人の主張を認めることはできない。
(カ)これらの点からすれば、乙第22号証の酒瓶は、本件審判の請求の登録後に作成されたものであると推認せざるを得ない。
ク 乙第30号証について
(ア)乙第30号証は、あかし酒販から岩山海ふるさと村II(八尾市山城町)に対する2009年1月31日から同年3月7日付の請求書(兼領収書)である。被請求人は、その請求書に記載されている品名「オリジナル瓶麦1.8」は、乙第22号証に示す焼酎(瓶入り)のことであるから、乙第22号証に示す焼酎(瓶入り)が、岩山海ふるさと村IIにおいて、客に焼酎を提供するために用いられていたことは明らかであると主張する。
(イ)しかしながら、乙第30号証における前記記載が乙第22号証の酒瓶の焼酎についてのものであると認めるに足りる内容は、乙第30号証及び乙第22号証のいずれにも見当たらない。
(ウ)また、要証期間中に乙第22号証の酒瓶の焼酎が「岩山海ふるさと村II」において客に提供されていたという事実については、いずれの乙号証によっても立証されていない。
ケ 乙第31号証について
(ア)乙第31号証は、「岩山海 布施店」において、当日のおすすめ料理を一品示すために使用された品書きとして提出されたものである。
ただし、要証期間中に乙第31号証の品書きが「岩山海 布施店」の店内において展示等されていたという事実については、いずれの乙号証によっても立証されていない。
(イ)しかも、同号証における「海鮮炭火焼岩山海」の文字は、右にやや傾き、更に、「海」の文字のやや上方に位置する朱色の縦線の下端に横方向の薄い線が表れている。このような薄い線は、元の紙の一部に貼り付けた紙の縁部が複写時に表れる類のものであり、非常に不自然である。
(ウ)なお、調査報告書には、乙第31号証と同様の品書きが「岩山海 布施店」の店内の壁等に貼られて使用されていたが、その品書きには、日付は記載されておらず、「海鮮炭火焼岩山海」の文字も記載されていなかった旨報告されている。
(エ)したがって、乙第31号証の品書きは、本件審判の請求の登録後に、本件審判の答弁書に添付して提出するために作成されたものであると推認せざるを得ない。
コ 以上のように、乙第12号証、乙第14号証、乙第16号証ないし乙第19号証、乙第21号証、乙第22号証、乙第30号証、乙第31号証及びそれ以外のいずれの乙各号証も、本件商標がその指定役務について使用された事実を証明するものであるとは認められない。
(3)商標権又は使用権に基づく使用について
被請求人は、要証期間のいずれの時期にいずれの者が本件商標を使用したと主張・立証しようとしているのか不明である。
答弁書には、商標権者である松田金光、株式会社岩山海、及び乙第11号証の一方当事者である沖隆弘が登場する他、「岩山海 布施店」が本件商標権の通常使用権者であり、要証期間中に本件商標をその指定役務について使用していたと主張している。さらに「少なくとも、平成18年2月8日から同21年12月25日ころまで、松田金光が、株式会社岩山海代表者であったことが明らかである。」と主張しているが、松田金光は、株式会社岩山海の代表取締役を始めとする役員であったことはない(甲第9号証及び甲第10号証)。
また、松田金光と沖隆弘の間で締結したとされる乙第11号証には、本件商標権に基づく使用権の許諾に関する記載は見当たらないし、「岩山海 布施店」が本件商標権の通常使用権者としての権利能力を有する者であるとは認められない。
よって、以上の点よりしても、要証期間中に本件商標がその指定役務について本件商標権の通常使用権者又は商標権者によって使用されたと認めることはできない。
4 審尋に対する回答
(1)「鶴橋 岩山海」について
「鶴橋 岩山海」「岩山海 布施店」及び「岩山海ぐみ 鳥取ふるさと村」のインターネットのウェブサイトにおける表記、被請求人が「鶴橋 岩山海」の大谷智弘氏に対し内容証明付書留郵便にて送付した通知書における記載及びそれについての審判事件答弁書の記載、エヌ・ティ・ティ番号情報株式会社のインターネットのウェブサイト「iタウンページ」での電話番号検索結果、並びに店舗外観写真のいずれにおいても、「鶴橋 岩山海」という名称は表れるが、「海鮮炭火焼岩山海 鶴橋店」という名称は登場しない。「大阪府大阪市生野区鶴橋3-1-40」に所在する飲食店の名称として表れるのは「鶴橋 岩山海」のみである。
なお、「鶴橋 岩山海」が本件商標権の通常使用権者としての権利能力を有する者であるとは認められない(乙第8号証、乙第29号証、甲第11号証ないし甲第15号証及び甲第17号証)。
(2)「岩山海ぐみ 鳥取ふるさと村」について
「岩山海ぐみ 鳥取ふるさと村」「岩山海 布施店」及び「鶴橋 岩山海」のインターネットのウェブサイトにおける表記、「月間飲食店経営2007年8月特大号」の記事、被請求人が「岩山海ぐみ 鳥取ふるさと村」の間森佑樹氏に対し内容証明付書留郵便にて送付した通知書における記載及びそれについての審判事件答弁書の記載、並びに店舗外観写真のいずれにおいても、「岩山海ぐみ 鳥取ふるさと村」という名称は表れるが、「海鮮炭火焼岩山海 八尾店」という名称は登場しない。「大阪府八尾市山城町1-2-8セントラルハイツ1F」に所在する飲食店の名称として表れるのは「岩山海ぐみ 鳥取ふるさと村」のみである。
なお、「岩山海ぐみ 鳥取ふるさと村」が本件商標権の通常使用権者としての権利能力を有する者であるとは認められない(乙第3号証、乙第8号証、乙第28号証、甲第12号証、甲第16号証ないし甲第18号証)。
(3)乙第32号証ないし乙第35号証、乙第39号証ないし乙第41号証について
ア 乙第32号証に示される使用許諾契約の第2条(通常使用権の範囲)には、使用許諾契約における最も重要な内容の一つである通常使用権の許諾範囲として、「下記に記載する所在地における店舗の名称並びに看板などの装飾、当該店舗内において使用する包装その他当該店舗の経営に必要な物に限られる」と記載されており、当該店舗については、「店舗所在地 大阪市生野区鶴橋3-1-40、店舗名称 海鮮炭火焼鶴橋山岩海」と記載されている。
ところが、上記(1)のとおり「大阪市生野区鶴橋3-1-40」には「鶴橋 岩山海」という名称の店舗が存在するのみであり、乙第32号証に記載されている「海鮮炭火焼鶴橋山岩海」(「海鮮炭火焼鶴橋 岩山海」の誤記と認められる)という名称の店舗は存在しない。また、「鶴橋 岩山海」のホームページによれば、同店舗は平成19年11月ころに開店したものと認められる(甲第12号証)にもかかわらず、乙第32号証の契約日が当該開店日より2年4ヶ月後の平成22年3月1日であることは整合しない。これらのことから、乙第32号証の契約は、無効な契約であるか、或いは、内容自体の真実性が疑われる。
イ 乙第33号証ないし乙第35号証は、いずれも、「海鮮炭火焼岩山海鶴橋店」で作成し、使用しているメニュー表であって、それぞれ「2フォルダー(2010年4月版)」、「1枚もの(2010年4月版)」及び「2フォルダー(2011年3月版)」として提出されたものである。
しかしながら、実際の店舗名と異なるメニュー表を用いることはあり得ないし、要証期間中に該メニュー表が「鶴橋 岩山海」(又は「海鮮炭火焼岩山海鶴橋店」)において展示等されていたという事実については、いずれの乙号証によっても立証されておらず、そのような事実を認めることはできない。
ウ 乙第39号証は、「平成22年9月10日に、商標権者である松田金光氏と、「海鮮炭火焼岩山海八尾店」の経営者である、二宮正弘氏との間で締結された「『炭火焼海鮮!岩山海』加盟店基本契約書」(商標使用許諾契約書)」である。しかしながら、該契約書には、本件商標権に基づく使用権の許諾に関する記載は見当たらない。
仮に、該契約書によって本件商標権についての使用許諾契約が成立していたとしても、乙第39号証によっては、要証期間中に本件商標がその指定役務について使用されていたという事実は何ら証明されていない。
エ 乙第40号証及び乙第41号証は、いずれも、「海鮮炭火焼岩山海八尾店」で作成し、使用しているメニュー表であって、それぞれ「2009年8月版」及び「2010年3月版」として提出されたものである。
しかしながら、要証期間中に該メニュー表が「岩山海ぐみ 鳥取ふるさと村」(又は「海鮮炭火焼岩山海八尾店」)において展示等されていたという事実については、いずれの乙号証によっても立証されておらず、そのような事実を認めることはできない。
したがって、被請求人の当該主張を認めることはできない。
(4)以上に述べたとおり、被請求人が本件商標の使用を示すものとして上申書と共に提出したいずれの乙号証によっても、本件商標が、第43類の「飲食物の提供」について、本件審判請求前3年以内に日本国内において商標権者である被請求人又は専用使用権者若しくは通常使用権者により使用されたことが証明されたものとは認められない。
5 むすび
以上のとおり、本件商標は、乙各号証によっては、その指定役務について、本件審判請求前3年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者により使用されたことが証明されたものとは認められない。

第3 被請求人の主張
1 答弁の趣旨
被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とするとの審決を求めると答弁し、その理由及び審尋に対する回答を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第66号証を提出している。
2 答弁の理由(上申書の内容を含む)
(1)本件商標の使用事実の要点
本件商標の通常使用権者である、「岩山海 布施店」(大阪府東大阪市所在)は、本件審判請求登録前3年以内に我が国においてその請求に係る指定役務の第43類「飲食物の提供」について、本件商標を使用している。
(2)本件商標の使用の事実
ア 商標の使用者
乙第1号証ないし乙第9号証によれば、平成18年2月8日から平成21年12月25日頃まで、松田金光が、株式会社岩山海 代表者であったことが明らかである。
平成22年9月10日に、松田金光と、沖隆弘との間で締結した「『炭火焼海鮮!岩山海』加盟店基本契約書」には、「岩山海 布施店」の住所が、「大阪府東大阪市高井田本通2丁目2番1」であることが表示されている(乙第11号証)。
乙第11号証には、被請求人(商標権者)である、松田金光が、本部、沖隆弘(「海鮮 岩山海」布施店)に本件商標の使用を、指定役務、第43類「飲食物の提供」について許諾した旨が記載されている。
イ 使用に係る商標
(ア)乙第12号証の「炭火焼海鮮!岩山海」の加盟店(「海鮮!岩山海」布施店)で作成し、使用しているメニュー表(お品書き)の中央位置からやや左側の位置には、「海鮮炭火焼岩山海」が使用されており、乙第14号証の同じくメニュー表の中央位置からやや右寄り下方位置には、「海鮮炭火焼岩山海」が使用されており、乙第18号証の同じくメニュー表の右側の位置には、「海鮮炭火焼岩山海」が使用されている。
(イ)乙第17号証の同じく「岩山海 ビンゴカード」の表面には、「海鮮炭火焼き!!岩山海 布施店」が表示されている。
(ウ)乙第19号証の「海鮮!岩山海」布施店において、オープン当初(2006年2月13日)から現在において客に対し、日本酒の提供をする際に使用している、とっくり及び皿には、縦書きで「海鮮炭火焼」「岩山海」の文字が表示されている。
(エ)乙第21号証の同じく使用している皿には、縦書きで「海鮮炭火焼岩山海」の文字が表示されている。
(オ)乙第22号証の同じく客に対し「焼酎」の提供をするために店独自で造った焼酎の瓶には、縦書きで「海鮮!炭火焼」の文字が表され、その左隣には、縦書きで「岩山海」の文字が表されたラベルが貼着されている。
(カ)乙第31号証の、メニュー表(お品書き)の右側下方位置には、縦書きで「海鮮炭火焼岩山海」が、印刷されている。
ウ 使用時期
(ア)乙第13号証の領収書の日付は、平成21年4月24日となっており、この領収書の日付の記載から、乙第12号証のメニュー表が、平成21年4月24日以降、「海鮮!岩山海」布施店において、継続的に使用されていることが明らかである。
(イ)乙第15号証の領収書の日付は、平成21年5月17日となっており、この領収書の日付の記載から、乙第14号証のメニュー表が、平成21年5月17日以降、「海鮮!岩山海」布施店において、継続的に使用されていることが明らかである。
(ウ)乙第16号証の「海鮮!岩山海」布施店において、本日のおすすめ料理が「はも湯引き」であることを客に知らせるためのお品書きの左端には、縦書きで「H22・4月六日」の文字が印刷されており、この日付から、乙第16号証のお品書きが、平成22年4月6日に使用されたことが明らかである。
(エ)乙第17号証の「海鮮!岩山海」布施店において使用している「岩山海 ビンゴカード」には、「有効期限/23年12月末」と印刷されており、この有効期限から、「岩山海 ビンゴカード」が、少なくとも平成23年には、客に配布されていたことが明らかである。
(オ)乙第19号証のとっくり、ぐい飲み及び皿、及び乙第21号証の皿は、「海鮮!岩山海」布施店のオープン当初から現在においても使用されている。
(カ)乙第23号証の発注書には、「コード 商品名 容量 単位 入数 ケース バラ」の項目に、「9072131 *オリジナル焼酎 スリムB 麦720ml 4」及び「9072135 *オリジナル焼酎 丸B 芋720ml 4」の記載があるが、これは、乙第22号証に示す「海鮮!岩山海」布施店独自で造った「焼酎」(瓶入り)を、あかし酒販に発注したことを意味しており、また、この発注書の日付が、平成22年7月8日であることから、少なくとも、平成22年7月8日以降において、乙第22号証に示す「焼酎」(瓶入り)が「海鮮!岩山海」布施店において展示され、客に提供されていたことが明らかである。
(キ)乙第31号証のメニュー表の右側付近の下方位置には、「H21・7月3日」が印刷されており、この日付から乙第31号証のメニュー表が「海鮮!岩山海」布施店において、使用されたことが明らかである。
(ク)乙第30号証の請求書(兼領収書)中、商品名「オリジナル瓶 麦1.8」は、乙第22号証に示す「海鮮!炭火焼 岩山海」のラベルが付された焼酎(瓶入り)のことである。同号証によれば、2009年1月31日頃ないし2009年3月7日頃に、乙第22号証に示す「焼酎」が、岩山海ふるさと村II(八尾市山城町)において、客に焼酎を提供するために、乙第22号証に示す「海鮮!炭火焼 岩山海」のラベルが付された焼酎が展示され、客に焼酎の提供が行われていたことが明らかである。
なお、岩山海には、下記に示すチェーン店がある。
1)布施本店(大阪府東大阪市)
2)小阪店(大阪府東大阪市)
3)鳥取ふるさと村(大阪府八尾市)
4)鶴橋店(大阪市生野区)
5)とっとり岩山海(大阪市中央区)
(ケ)乙第27号証ないし乙第29号証は、代表取締役 橋本雅資氏(株式会社岩山海:大阪市中央区難波)、間森 佑樹氏(岩山海ぐみ鳥取ふるさと村:大阪府八尾市)、及び、大谷智弘氏(鶴橋岩山海:大阪市生野区)の各々に対し、「従前、松田氏(本件商標の商標権者)が株式会社岩山海の経営にあたっていたため、株式会社岩山海において本件商標を使用すること(チェーン店に使用させることを含みます)を承諾していた経緯がありました。・・・しかしながら、このたび、松田氏におきましては、株式会社岩山海に対する本件商標使用許諾を取消しました。・・・つきましては、貴殿が、本件商標の使用を継続されるにあたり、松田氏との間で本件商標の使用に関する契約を締結し、・・・行って下さるように申し入れます、」という旨の通知である。
(コ)上述したとおり、布施本店(大阪府東大阪市)は、本件商標を本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において通常使用権者として指定役務に使用している。
(3)本件商標の通常使用権者である大谷智弘が、要証期間内に海鮮炭火焼岩山海 鶴橋店(大阪市生野区)において、本件商標の指定役務「飲食物の提供」について、使用している(乙第32号証ないし乙第38号証)。
ア 商標の使用者
乙第32号証は平成22年3月1日に、商標権者と「海鮮炭火焼岩山海 鶴橋店」(審決注:被請求人は「海鮮炭火焼岩山海鶴橋店」とスペースのない表記をしているが、以下スペースを有する表記に統一する。)の経営者である大谷智弘との間で締結された商標使用の許諾契約書であり、これによって通常使用権者である大谷智弘が同店において本件商標を「飲食物の提供」について使用していることが明らかである。
イ 使用に係る役務
乙第32号証の「商標使用許諾契約書」、乙第33号証ないし乙第35号証の「海鮮炭火焼岩山海 鶴橋店」で使用しているメニュー表、乙第37号証のトウズ(大阪府東大阪市)の請求書によれば、「飲食物の提供」について、本件商標を使用していることが明らかである。
ウ 使用に係る商標
乙第34号証及び乙第35号証の「海鮮炭火焼岩山海 鶴橋店」で使用しているメニュー表には、本件商標と、縦書きと横書きで相違するが、社会通念上同一の商標が表されている。
エ 使用の時期
(ア)乙第33号証の「海鮮炭火焼岩山海 鶴橋店」で使用しているメニュー表には、2010年4月版であることが記載されている。乙第36号証の請求書によれば、乙第33号証の最終ゲラが平成22年3月29日前に作成されていたことが明らかである。
(イ)乙第34号証の「海鮮炭火焼岩山海 鶴橋店」で使用しているメニュー表には、2010年4月版であることが記載されている。乙第37号証の請求書によれば、乙第34号証の最終ゲラが平成23年4月26日前に作成されていたことが明らかである。
(ウ)乙第35号証の「海鮮炭火焼岩山海 鶴橋店」で使用しているメニュー表には、2011年3月版であることが記載されている。乙第38号証の請求書によれば、乙第35号証の最終ゲラが平成23年4月26日前に作成されていたことが明らかである。
(4)本件商標は、通常使用権者である二宮正弘が、要証期間内に岩山海八尾店(大阪府八尾市)において、本件商標の指定役務「飲食物の提供」について、使用をしている(乙第39号証ないし乙第43号証)。
ア 商標の使用者
乙第39号証は平成22年9月10日に、商標権者と「海鮮炭火焼岩山海八尾店」の経営者である二宮正弘との間で締結された商標使用の許諾契約書であり、これによって通常使用権者である二宮正弘が同店において本件商標を「飲食物の提供」について使用していることが明らかである。
イ 使用に係る役務
乙第39号証の「商標使用許諾契約書」、乙第40号証及び乙第41号証の「海鮮炭火焼岩山海八尾店」で作成し使用しているメニュー表によれば、「飲食物の提供」について、本件商標を使用していることが明らかである。
ウ 使用に係る商標
乙第40号証及び乙第41号証の「海鮮炭火焼岩山海八尾店」で使用しているメニュー表には、本件商標とは、縦書きと横書で相違するが、社会通念上同一の商標が表されている。
エ 使用時期
(ア)乙第40号証の「海鮮炭火焼岩山海八尾店」で使用しているメニュー表には、2009年8月版であることが記載されている。乙第42号証の請求書によれば、乙第40号証の最終ゲラが平成22年3月31日前に作成されていたことが明らかである。
(イ)乙第41号証の「海鮮炭火焼岩山海八尾店」で使用しているメニュー表には、2010年3月版であることが記載されている。乙第43号証の請求書によれば、乙第41号証の最終ゲラが平成23年3月11日前に作成されていたことが明らかである。
3 審尋に対する回答
(1)「海鮮!岩山海 ?事業紹介パンフレット?」(乙第44号証)による使用について
ア 乙第44号証ないし乙第49号証は、「海鮮!岩山海 ?事業紹介パンフレット?」、トウズの請求書、領収書及び印刷証明書であり、乙第44号証には、その表紙に「2009年5月制作」と記載されていること、乙第45号証のトウズから株式会社岩山海宛の「請求書」には、乙第44号証の「海鮮!岩山海業務紹介パンフレットの制作費」の請求金額の記載とともに、「作成日:平成21年5月30日」「御請求締日:平成21年5月末日」と記載されていること、乙第46号証ないし乙第48号証の、パンフレットの制作費を株式会社岩山海がトウズに支払った際の領収書には、それぞれの領収書日付が2009年6月8日、2009年9月25日及び2009年12月31日と記載されていること及び乙第49号証のトウズの代表である立花光太郎氏の印刷証明書に、「別添の業務用パンフレットは、『岩山海 布施店』において、平成21年5月に制作したものに間違いありません。」という記載があることから、乙第44号証が、要証期間内に作成され、配布されたものであることが証明された。
イ 乙第50号証は、インターネット検索エンジンGoogleを使用して、検索式を「”海鮮炭火焼”」(語順も含めて完全一致)として検索した際に該当した、約268,000件のサイト中、第1件目ないし第100件目を出力したものである。
乙第50号証によれば、「海鮮炭火焼」の文字は、「海鮮炭火焼七輪焼 夢や」「海鮮炭火焼ちそう亭別館」・・・等と、「魚介類の炭火焼」を提供する居酒屋の店舗名として、不特定多数の者が使用している。
また、第43類「飲食物の提供」という役務については、「海鮮炭火焼」の文字は、「魚介類の炭火焼の提供」といった役務の質を意味しているにすぎず、この部分には、自他役務識別力は無い、と考えるのが普通である。
以上のとおり、本件商標中「海鮮炭火焼」の文字は、「魚介類を炭火焼にして提供する場所」について、不特定多数の者が使用している点で、本件商標の指定役務との関係で、この部分には自他役務識別力がないことが証明された。
ウ 被請求人は、乙第44号証のパンフレットを、2009年5月以降2011年頃の期間、少なくとも、300部を鳥取県庁、鳥取銀行大阪支店(大阪市中央区)、南海都市創造株式会社(大阪市中央区)等及び本件商標の通常使用権者である、「海鮮!岩山海布施本店」、「岩山海組みとく洞」、鶴橋岩山組等及びこれらの店舗の関係者に配布している。
なお、請求人である壱番株式会社の代表取締役森山勇造氏は、株式会社岩山海に出入りし、乙第44号証が、要証期間内の平成21年5月以降に配布されていたことを知っている。
エ 以上によって、本件商標の通常使用権者による、要証期間内に、本件商標(社会通念上同一の商標を含む)についての使用が証明された。
(2)インターネットによる使用について
ア 乙第51号証ないし乙第58号証及び乙第60号証は、インターネット検索エンジンGoogleを使用して、検索式を、「”海鮮炭火焼岩山海”」(語順も含めて完全一致)として検索した結果を出力したものである。
イ これら乙各号証によれば、本件商標の通常使用権者が、本件商標(社会通念上同一の商標を含む。)を要証期間内において使用していることが明らかである。
(3)乙第59号証について
乙第59号証は、請求人である、壱番株式会社の商業登記簿謄本(履歴事項全部証明書)である。請求人は、屋号(とっとり岩山海なんば本店)について営業譲渡を受けており、その屋号を継続して商標的使用の態様で使用している。
(4)審尋における暫定的な見解に対する意見
ア 発行日等について
(ア)乙第2号証の発行日は、平成18年(2006年)4月11日である。
乙第2号証の第3頁の中央下段の上から第18行目の「2006年4月初版発行」という記載がある。
(イ)乙第3号証の発行日は、平成19年(2007年)8月である。
乙第3号証の第2頁の右上欄に、赤色の円内に、白色の文字で、「2007」及び「8」が表されている。
(ウ)乙第4号証の発行日は、正確にはわからない。但し、この新聞記事の「とっとり岩山海なんば店」のオープンが、平成16年(2004年)8月であるので、この頃に発行された新聞である。
(エ)乙第8号証は、2011年7月8日に印刷したインターネット情報である。
乙第8号証の右下欄に、「2011/07/08」が印刷されている。
(オ)乙第9号証は、2008年4月26日、27日頃に使用したものである。
被請求人は、当時、とっとりふるさと大使をしていた。
(カ)乙第10号証は、海鮮炭火焼岩山海布施店にて印刷したものであり、2008年4月26日、27日頃から使用したものである。
(キ)乙第12号証は、平成21年4月24日、25日頃から使用した。
乙第12号証は、コピーして作成したものであるが、その時の領収書(乙第13号証)の日付けが、21年(2009年)4月24日になっている。
(ク)乙第17号証は、平成23年7月からイベントとしてビンゴゲームを行うために作成したもので、平成23年5月中旬(15日頃)から、海鮮炭火焼岩山海布施店で、配布した記憶がある。
(ケ)乙第18号証は、要証期間の末日以降に使用したお品書きである。
(コ)乙第19号証の写真を撮影したのは、2009年11月頃である。
この写真中に写っている、「とっくり」は、平成20年(2004年)8月頃の海鮮炭火焼岩山海布施店の開店に向けて作成したものである。
(サ)乙第21号証の写真の上段の皿は、平成20年(2004年)8月頃の海鮮炭火焼岩山海布施店の開店に向けて作成したものである。
(シ)乙第22号証の写真に写っている、日本酒(海鮮!岩山海)は、平成20年(2004年)8月頃から、海鮮炭火焼岩山海布施店の独自ブランドとして、海鮮炭火焼岩山海布施店の客に提供しているものである。
(ス)乙第24号証の写真に写っているTシャツは、平成20年(2004年)8月頃から、海鮮炭火焼岩山海布施店の店員等が着用しているものである。
ただし、この写真に写っているTシャツは、その後において、追加発注したものであり、その領収書(乙第25号証)の日付け(平成20年10月3日)に基づけば、この写真に写っているTシャツは、平成20年9月頃に、追加発注したものである。
(セ)乙第26号証の写真に写っている看板は、海鮮炭火焼岩山海布施店が開店当初(2004年8月)から使用している看板である。
イ 本件商標と社会通念上同一と認められないことについて
本件商標の「炭火焼」の部分は、本件商標の指定役務である第43類「飲食物の提供」との関係では、例えば、魚介類を炭火で焼いて提供する、といった役務の質を意味しており、「炭火焼」料理を売りにしている店舗では、「この店は、『炭火焼』料理を売りにしている。」ということを黙示的に示しているので、該役務に係る需要者・取引者は、使用商標(「海鮮!岩山海」)に接した場合、「海鮮炭火焼き料理を売りにしている、「岩山海」という屋号の店舗」であると認識し、これを本件商標と社会通念上同一の商標として認識すると考えられる。
ウ 記載振りや他の証拠との関係で事実認定が困難なものについて
(ア)乙第12号証は、印刷物のメニュー表に、「海鮮炭火焼岩山海」のシールを貼着したものをコピー機を用いてカラーコピーして作成したものであり、「海鮮炭火焼岩山海布施店」において、平成21年4月25日(土)から平成21年5月17日の期間、使用したものである。
乙第13号証は、乙第12号証のメニュー表を作成した際の、コピー代の領収書である。
(イ)乙第14号証は、印刷物のメニュー表に、「海鮮炭火焼岩山海」のシールを貼着したものをコピー機を用いてカラーコピーして作成したものであり、「海鮮炭火焼岩山海布施店」において、平成21年5月18日(土)から平成21年6月24日(日)の期間、使用したものである。
乙第15号証は、乙第14号証のメニュー表を作成した際の、コピー代の領収書である。
(ウ)乙第16号証は、「海鮮炭火焼岩山海布施店」において、平成22年4月6日(火)に使用したものである。
(エ)乙第18号証は、要証期間の末日以降に、海鮮炭火焼岩山海布施店で使用したお品書きであり、代理人が誤って提出したものである。
(オ)乙第31号証は、「海鮮炭火焼岩山海布施店」において、平成22年4月6日(火)に使用したものである。
(カ)上記(ア)ないし(ウ)及び(オ)の事実については、乙第61号証ないし乙第64号証として、当時の「海鮮炭火焼岩山海布施店」の店主である、沖隆弘氏の使用証明書を提出する。
4 むすび
以上のとおり、本件商標は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において通常使用権者により指定役務、第43類「飲食物の提供」に使用していることが明らかである。

第4 当審の判断
1 乙各号証について
提出された乙各号証中、「海鮮炭火焼」及び「岩山海」の両表示のあるもの(近似するものを含む。)によれば、次のとおりである。
(1)乙第10号証は、「海鮮炭火焼き!!岩山海 布施店」の名刺であり、4種類の名刺には「海鮮炭火焼き!!」の文字が赤色で、その下に「岩山海 布施店」の文字が黒色で大きく書され、その下に住所、電話・FAX番号、営業時間等が記載されている。
しかしながら、当該名刺を使用した時期及びいずれの者が使用したのか確認できない。
(2)乙第11号証は、「炭火焼海鮮!岩山海」の創業者で商標登録所有者の松田金光氏を本部とし、沖隆弘氏を加盟店とする、平成22年9月10日付けの「『炭火焼海鮮!岩山海』加盟店基本契約書」である。
該契約書の「第3条(営業名及び営業の場所)」には、「1 乙は甲が使用権を有する『海鮮!岩山海』『岩山海ぐみ』、サービスマーク・・・その他営業を象徴する標章を使用して営業を行う。」「2 乙が本契約に基づいて営業する店舗の名称は『海鮮!岩山海』『岩山海ぐみ』『岩山海布施店』とする。」「3 乙が本契約に基づいて営業する店舗は、次に定める場所とする。店舗所在地『大阪府東大阪市高井田本通2-2-1』」との記載がある。
第9条(ロイヤリティ等の支払)」には、「1 乙は甲に対し、ロイヤリティとして、平成22年8月から毎月末日限り 月額・・・支払う。」との記載がある。
また、「第18条(有効期間)」には、「本契約の有効期間は、平成22年9月10日より満1ヶ年とし・・・書面により条件の変更または解約の申出がないときは、更に満1ヶ年更新し以下これに準じる。」との記載がある。そして、文末に「甲」として松田金光氏及び「乙」として沖隆弘氏の署名捺印がなされている。
しかしながら、当該契約書には「炭火焼海鮮!岩山海」「岩山海ぐみ」の標章の記載はあるが、本件商標及びこれを含むと認め得る記載はない。
なお、本件商標は「海鮮炭火焼岩山海」であるのに対し、当該契約書では「炭火焼海鮮!岩山海」と記載されている。
また、第9条(ロイヤリティ等の支払い)の記載は、契約有効期間の前の「平成22年8月から」となっている。
(3)乙第12号証は、メニュー表であり、その中央やや左に「海鮮炭火焼岩山海」の文字が縦書きで表示されている。
しかしながら、当該メニュー表を使用した時期及びいずれの者による使用であるのか確認できない。
(4)乙第13号証は、平成21年4月24日付けのアートコピーなんばピア店から「海鮮炭火焼布施店 岩山海」宛の領収書写しである。
しかしながら、当該領収書が何に対するものであるのか確認できない。
(5)乙第14号証は、メニュー表であり、右下方に「海鮮炭火焼」の文字と「岩山海」の文字(「海」の文字は下の部分が表示されていない)が記載されている。
そして、「岩」の文字の左側の料理の写真は一部が欠けている。
また、当該メニュー表を使用した時期及びいずれの者による使用であるのか確認できない。
(6)乙第15号証は、平成21年5月17日付けのアートコピーなんばピア店から「上様」宛の領収書写しである。
しかしながら、当該領収書が何に対するものであるのか、及びいずれの者に対するものであるのか確認できない。
(7)乙第16号証は、「本日のおすすめ料理」のお品書きであり、右下の「海鮮炭火焼岩山海」「はも湯引き」の文字が縦書きで表示され、さらに、これらとは明らかに異なる書体で「H22・4月六日」の文字が縦書きで記載されている。
(8)乙第17号証は、「岩山海 ビンゴカード」であり、「海鮮炭火焼き!!」の文字を赤色で、その下に「岩山海 布施店」の文字が黒色で大きく書され、さらにその下に住所、電話・FAX番号、営業時間等が記載されている。また、当該ビンゴカードが有効期限を23年12月末までとする「7月度 ビンゴカード」であること(「7」の数字と「有」の文字の右半分は右側に表示)が認められる。
(9)乙第19号証は、上部はメニュー表の上に並べられたピンク色のとっくりとぐい飲み、酒瓶、緑色の角皿の写真であり、緑色の角皿には「海鮮炭火焼」「岩山海」の文字が表示され、ピンク色のとっくり及び酒瓶には「海鮮!」「岩山海」の文字が表示されている。
下部は、メニュー表の上に並べられたピンク色のとっくり、青みがかったガラス製の飲み物入れ、及び酒瓶の写真であり、ガラス製の飲み物入れには「海鮮炭火焼」「岩山海」の文字が表示され、ピンク色のとっくり及び酒瓶には「海鮮!」「岩山海」の文字が表示されている。
しかしながら、当該写真には日付等の記載は無く、またいずれの者による使用であるのか確認できない。さらに、とっくり等の下のメニュー表はいずれも乙第14号証のものと同じものと見られるが、同号証に見られた「海鮮炭火焼」及び「岩山海」の文字は確認できない。
(10)乙第21号証は、「海鮮炭火焼岩山海」の文字が表示された白い丸皿の写真である。
しかしながら、当該写真には日付等の記載は無く、またいずれの者による使用であるのか確認できない。
(11)乙第22号証は、「海鮮!炭火焼」「岩山海」の文字を縦書きに表示したラベルを貼付した酒瓶の写真であり、「焼」の文字の下に朱印が表示されている。
しかしながら、当該写真には日付等の記載は無く、またいずれの者による使用であるのか確認できないばかりでなく、3本の酒瓶に表示されている朱印はいずれも「焼」の文字に係るかのように表示されているがその位置はいずれも異なっている。
さらに、上段の写真には、乙第19号証のガラス製の飲み物入れと同じものと見られる飲み物入れが写されているが、当該飲み物入れには乙第19号証に見られた「海鮮炭火焼」の文字は確認できない。
(12)乙第27号証は、本件商標の商標権者である松田金光氏が、「株式会社岩山海代表取締役 橋本雅資氏」にあてた書留内容証明郵便物として送付した2011年(平成23年)4月5日付けの通知である。
これには、平成21年8月に商標権者が株式会社岩山海に本件商標の使用を認めたこと、ロイヤリティの支払い等に関する協議の結果、商標権者が株式会社岩山海に対し本件商標使用の承諾を取り消し、本件商標を使用することを禁止した旨記載されている。
(13)乙第28号証及び乙第29号証は、本件商標の商標権者である松田金光氏が、「岩山海ぐみ鳥取ふるさと村 間森佑樹氏」及び「鶴橋岩山海 大谷智弘氏」にあてた書留内容証明郵便物として送付した2011年(平成23年)6月6日付けの通知である。
これには、本件商標の商標権者は、株式会社岩山海に対し本件商標の使用の承諾を取り消したこと、そのため、両者が本件商標の使用を継続するためには、商標権者との間で本件商標の使用に関する契約を締結するよう申し入れる旨が記載されている。
(14)乙第31号証は、「本日のおすすめ料理」のお品書きであり、「海鮮炭火焼岩山海」の文字が縦書きで表示され、これとは異なった書体で「H・21・7月3日」「夏の岩がき最高です」の文字が記載されている。
(15)乙第32号証は、松田金光氏所有の登録商標(本件商標)の使用を大谷智弘氏に許諾するにあたって締結した平成22年3月1日付けの「商標使用許諾等契約書」である。
該契約書の、「第1条(通常使用権の許諾)」には「1 甲は本件商標の通常使用権を乙に許諾する。」との記載がある。
第2条(通常使用権の範囲)」には「1 本件商標の通常使用権の許諾範囲は、下記に記載する所在地における店舗の名称並びに看板などの装飾・・・に限られる。店舗所在地 大阪市生野区鶴橋3-1-40、店舗名称 海鮮炭火焼鶴橋山岩海」「2 乙は前項の許諾範囲を超えて本件商標を使用してはならない。」との記載がある。
また、「第12条(有効期間)」には「1 本契約の有効期間は、本契約締結の日から3年とする。」との記載がある。
そして文末には「甲」として松田金光氏及び「乙」として大谷智弘氏の署名捺印がなされ、さらに「本件商標の表示」として、「1.商標 §海鮮炭火焼 岩山海」「2.商標登録番号 商標登録第4967230号」「3.商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務 43飲食の提供」の記載がある。
(16)乙第33号証及び乙第35号証は、「海鮮炭火焼 岩山海 鶴橋店」のメニュー表であり、それぞれ「2010年4月版」及び「2011年3月版」の記載がある。
(17)乙第36号証及び乙第37号証は、「平成22年3月29日」及び「平成23年4月26日」を作成日とするトウズ(大阪府東大阪市)から「鶴橋岩山海 松田様」あての請求書である。そのいずれにも大項目の品名欄に「メニュー訂正費」、備考欄に「概要:フード・ドリンク各所追加、削除の訂正に関する料金になります。」との記載がある。
(18)乙第38号証は、平成22年4月26日を作成日とするトウズ(大阪府東大阪市)から「鶴橋岩山海 松田様」宛の請求書である。その大項目の品名欄に「配布用チラシ制作費」、備考欄に「制作内容:チラシの原版の制作費になります。」との記載がある。
(19)乙第39号証は、「炭火焼海鮮!岩山海」の創業者で商標登録所有者の松田金光氏を本部とし、二宮正広氏を加盟店とする、平成22年9月10日付けの「『炭火焼海鮮!岩山海』加盟店基本契約書」である。
該契約書の「第3条(営業名及び営業の場所)」には、「1 乙は甲が使用権を有する『海鮮!岩山海』『岩山海ぐみ』、サービスマーク・・・その他営業を象徴する標章を使用して営業を行う。」「2 乙が本契約に基づいて営業する店舗の名称は『海鮮!岩山海』『岩山海ぐみ』『岩山海 店』鳥取ふるさと村とする。」「3 乙が本契約に基づいて営業する店舗は、次に定める場所とする。店舗所在地『大阪府八尾市山城町1-2-8セントラルハイツ1F』」との記載がある。
第9条(ロイヤリティ等の支払)」には、「2 乙は甲に対し、ロイヤリティとして、平成22年9月から毎月末日限り 月額・・・支払う。」との記載がある。
また、「第18条(有効期間)」には、「本契約の有効期間は、平成22年9月10日より満1ヶ年とし・・・書面により条件の変更または解約の申出がないときは、更に満1ヶ年更新し以下これに準じる。」との記載がある。そして、文末に「甲」として松田金光氏の記名押印及び「乙」として二宮正広氏の署名捺印がなされている。
しかしながら、当該契約書には「炭火焼海鮮!岩山海」「岩山海ぐみ」の標章の記載はあるが、本件商標及びこれを含むと認め得る記載はない。
なお、本件商標は「海鮮炭火焼岩山海」であるのに対し、当該契約書では「炭火焼海鮮!岩山海」と記載されている。
(20)乙第40号証及び乙第41号証は、「海鮮炭火焼 岩山海 八尾店」のメニュー表であり、それぞれ「2009年8月版」及び「2010年3月版」の記載がある。
(21)乙第42号証及び乙第43号証は、「平成21年8月31日」「平成22年3月11日」を作成日とするトウズ(大阪府東大阪市)から「岩山海ぐみ 鳥取ふるさと村 松田様」あての請求書である。それぞれの大項目の品名欄には「メニュー制作費」、備考欄には「概要:御店舗にて使用するメニュー原紙の制作費になります。」との記載がある。
(22)乙第44号証は、「海鮮!岩山海 ?事業紹介パンフレット?」であり、「2009年5月制作」の記載がある。
パンフレット中「名物!!七輪焼き」の項(4ページ)には、「2004年8月創設以来、皆様に愛され続けている炭火焼の手法です。・・・この手法は当社がどこよりも早く発案したもので、商標登録もしております。(第4967230号 海鮮炭火焼 岩山海 出願番号:2005-109906)」の記載がある。
また、「各店舗のご案内」の項(14ページ)には、「海鮮!岩山海 布施本店」(大阪府東大阪市高井田本通2-2-1)「鶴橋 岩山海」(大阪市生野区鶴橋3-1-40)「岩山海ぐみ 鳥取ふるさと村」(大阪府八尾市山城町1-2-8 TEL072-999-2226)を含め飲食物の提供を行う8店舗が紹介されている。
2 甲各号証について
提出された甲第11号証ないし甲第13号証及び甲第17号証からすれば次のとおりである。
(1)2012年(平成24年)3月頃に、「飲食物の提供」を行う「鶴橋 岩山海」なる店舗が、大阪市生野区鶴橋3-1-40に、「岩山海ぐみ 鳥取ふるさと村」なる店舗が、大阪府八尾市山城町1-2-8(TEL072-999-2226)に、及び「海鮮!岩山海 布施(本)店」なる店舗が、大阪府東大阪市高井田本通2-2-1にそれぞれ存在していた(甲第11号証、甲第12号証及び甲第17号証)。
(2)iタウンページにて「海鮮炭火焼岩山海鶴橋」を検索したが、該当する情報はなかった(甲第13号証)。
また、職権調査により「海鮮炭火焼岩山海鶴橋」「海鮮炭火焼岩山海八尾」を検索サイトGoogleにて検索したが一致するものはなかった。
3 判断
上記1及び2からすれば、次のとおり認めることができる。
(1)店舗について
ア 店舗の名称と住所が一致すると認められることから「鶴橋 岩山海」は「大阪市生野区鶴橋3-1-40」で、「岩山海ぐみ 鳥取ふるさと村」は「大阪府八尾市山城町1-2-8」で、「海鮮!岩山海 布施(本)店」は「大阪府東大阪市高井田本通2-2-1」で少なくとも2009年(平成21年)5月頃から2012年(平成24年)3月頃まで、それぞれの店舗名で継続して飲食物の提供を行っていたと推認できる(上記1(22)及び2(1)ほか)。
イ 被請求人から「海鮮炭火焼岩山海 鶴橋店」及び「海鮮炭火焼岩山海 八尾店」なる名称の店舗の存在を認めるに足る証左の提出がないこと並びにiタウンページにおける検索や検索サイト「Google」でいずれもヒットしなかったこと(上記2(2))からすれば、「海鮮炭火焼岩山海 鶴橋店」及び「海鮮炭火焼岩山海 八尾店」なる名称の店舗は存していないとみるのが相当である。
(2)使用権者について
ア 乙第32号証の「商標使用許諾等契約書」によれば、平成22年3月1日に商標権者が「鶴橋 岩山海」の大谷智弘氏に本件商標に係る通常使用権を許諾したかのようにもうかがえる(上記1(15))が、乙第29号証の「御通知」では、上記期日後である「2011年(平成23年)6月6日」に「本件商標の使用に関する契約を締結するよう申し入れている(上記1(13))こと(この時点では本件商標の使用に関する契約はなされていないこととなり)と整合しないから、該「商標使用許諾等契約書」によっては、大谷智弘氏に本件商標に係る通常使用権を許諾したものと認めることはできない。
また、他に、これを認めるに足る証左は見いだせない。
したがって、大谷智弘氏(鶴橋 岩山海)は本件商標に係る通常使用権者とはいえない。
イ 「『炭火焼海鮮!岩山海』加盟店基本契約書」(乙第11号証及び乙第39号証)によっては、これに本件商標を含むと認め得る記載がないから、「海鮮!岩山海 布施(本)店」の沖隆弘氏及び「岩山海ぐみ 鳥取ふるさと村」の二宮正広氏は本件商標に係る通常使用権者と認めることはできない。
また、他に、これを認めるに足る証左は見いだせない。
したがって、沖隆弘氏(海鮮!岩山海 布施(本)店)及び二宮正広氏(岩山海ぐみ 鳥取ふるさと村)は本件商標に係る通常使用権者とはいえない。
(3)本件商標の使用について
ア 「海鮮!岩山海 布施店」における使用について
被請求人が「海鮮!岩山海 布施店」において使用しているとする乙各号証の「海鮮炭火焼 岩山海」の文字の表示が認められるものは、使用時期が確認できないもの(期日の記載が不自然なものを含む)(乙第10号証、乙第12号証、乙第14号証、乙第16号証、乙第19号証、乙第21号証、乙第22号証、乙第24号証、乙第26号証及び乙第31号証)、又は要証期間外のものと推認できるものに限られる(乙第17号証)。
なお、乙第12号証、乙第14号証及び乙第22号証の「海鮮炭火焼 岩山海」及び「炭火焼」の文字は、その表示されている位置が不自然であったり、該文字に近接する写真の一部が欠けていたり、他の証拠(乙第19号証)には該文字がないなど、これら乙号証には不自然な点が見られる。
イ 「鶴橋 岩山海」における使用について
被請求人が「海鮮炭火焼岩山海 鶴橋店」において使用しているとする乙第33号証ないし乙第35号証は、いずれも飲食店のメニュー又はチラシと認め得るものであって、「海鮮炭火焼 岩山海」「鶴橋店」及び「2010年4月版」「2011年3月版」の記載が認められる(上記1(16))。
ところで、飲食店のメニューやチラシには、それを利用又は配布する店舗名が記載されるのが一般であり、自己の店舗名を記載せずに他の名称を記載することは想定しがたい。
そして、上記(1)のとおり「海鮮炭火焼岩山海 鶴橋店」なる店舗の存在は認められず、チラシに記載された住所には「鶴橋 岩山海」なる名称の店舗が存在している。
さらに、メニュー及びチラシに記載されたURLも「鶴橋 岩山海」のホームページであり、また、乙第36号証ないし乙第38号証の「御請求書」のあて先も「鶴橋岩山海」と記載されている(上記1(17)及び(18))。
そうとすれば、「鶴橋 岩山海」なる名称の店舗で、その名称と異なる「海鮮炭火焼岩山海 鶴橋店」と記載されたメニューやチラシを実際に使用することは極めて不自然なこととみるのが相当である。
してみれば、乙第33号証ないし乙第35号証をもって、本件商標が使用されたことを認めることはできない。
ウ 「岩山海ぐみ 鳥取ふるさと村」における使用について
被請求人が「海鮮炭火焼岩山海八尾店」において使用しているとする乙第40号証及び乙第41号証は、いずれも飲食店のメニューと認め得るものであって、「海鮮炭火焼 岩山海」「八尾店」及び「2009年8月版」「2010年3月版」の記載が認められる(上記1(20))。
ところで、飲食店のメニューやチラシには、それを利用又は配布する店舗名が記載されるのが一般であり、自己の店舗名を記載せずに他の名称を記載することは想定しがたい。
そして、上記(1)のとおり「海鮮炭火焼岩山海 八尾店」なる店舗の存在は認められず、メニューに記載された電話番号は「岩山海ぐみ 鳥取ふるさと村」なる名称の店舗の電話番号と同一である(上記1(22)及び上記2(1))。
さらに、乙第42号証及び乙第43号証の「御請求書」のあて先も「岩山海ぐみ 鳥取ふるさと村」と記載されている(上記1(21))。
そうとすれば、「岩山海ぐみ 鳥取ふるさと村」なる名称の店舗で、その名称と異なる「海鮮炭火焼岩山海 八尾店」と記載されたメニューを実際に使用することは極めて不自然なこととみるのが相当である。
してみれば、乙第40号証及び乙第41号証をもって、本件商標が使用されたことを認めることはできない。
エ 乙第44号証の使用について
乙第44号証の「海鮮!岩山海 ?事業紹介パンフレット?」には「第4967230号 海鮮炭火焼岩山海 出願番号:2005-109906」の記載が認められる(上記1(22))が、これは、「…商標登録もしております。」の説明文の後に記載され、商標登録番号や登録商標の紹介であって、「海鮮炭火焼岩山海」の文字が「飲食物の提供」について、その出所を表示するものとして機能を果たしているものとは認めることはできない。
したがって、乙第44号証によっては本件商標が使用されたことを認めることはできない。
オ 小括
以上のとおりであるから、被請求人提出の乙第1号証ないし乙第49号証によっては、本件審判の請求の登録(平成23年5月31日登録)前3年以内に本件商標がその請求に係る指定役務「飲食物の提供」について使用されているものと認めることはできない。
(4)被請求人の主張について
ア 被請求人は、本件商標はその構成中「炭火焼」の部分は「飲食物の提供」との関係では役務の質を表示するなどとして「海鮮!岩山海」の文字からなる商標は、本件商標と社会通念上同一の商標として認識する旨主張している。
しかしながら、商標法第50条にいう社会通念上同一と認められる商標は、書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標、平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標、外観において同視される図形からなる商標その他の当該登録商標と社会通念上同一と認められる商標であって、「海鮮!岩山海」の文字からなる商標は「海鮮炭火焼岩山海」の文字からなる本件商標と「炭火焼」の文字の有無に明かな差異を有するものであるから、本件商標と社会通念上同一と認められる商標ということはできない。
したがって、この点についての被請求人の主張は採用できない。
イ また、被請求人は、本件商標(社会通念上同一の商標を含む)が通常使用権者によって要証期間内に使用されていたと主張し、乙第50号証ないし乙第66号証を提出している。
しかしながら、インターネットのサイト情報には、「海鮮炭火焼岩山海」の文字が表示されていることは認められるが、被請求人が通常使用権者であると主張する「海鮮炭火焼岩山海布施本店」(沖隆弘氏)が、本件商標に係る通常使用権者と認められないこと上記(2)のとおりであり、また乙第12号証、乙第14号証、乙第19号証及び乙第22号証に不自然な点があること上記(3)のとおりであるから、被請求人のかかる主張を採用することはできない。
(5)してみれば、被請求人提出の乙各号証によっては、商標権者、通常使用権者が本件審判の請求の登録前3年以内に本件商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)の使用をしていたものと認めることができない。
その他、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において本件商標が請求に係る指定役務について使用されていることを認めるに足る証拠はない。
4 結論
以上のとおりであるから、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが本件請求に係る指定役務について本件商標の使用をしていることを証明したものと認めることができない。また、被請求人は、請求に係る指定役務について本件商標を使用していないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲(本件商標)

審理終結日 2012-08-09 
結審通知日 2012-08-14 
審決日 2012-09-04 
出願番号 商願2005-109906(T2005-109906) 
審決分類 T 1 31・ 1- Z (Y43)
最終処分 成立  
前審関与審査官 蛭川 一治 
特許庁審判長 森吉 正美
特許庁審判官 梶原 良子
堀内 仁子
登録日 2006-07-07 
登録番号 商標登録第4967230号(T4967230) 
商標の称呼 カイセンスミビヤキイワサンカイ、カイセンスミビヤキイワヤマウミ、イワサンカイ、イワヤマウミ、ガンザンカイ 
代理人 高良 尚志 
代理人 森山 陽 

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