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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない X0216
管理番号 1265972 
審判番号 不服2011-27757 
総通号数 156 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2012-12-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-12-26 
確定日 2012-10-18 
事件の表示 商願2011-5948拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「LOW HALOGEN MARKER」の文字を表してなり、第2類及び第16類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、平成23年1月31日に登録出願され、その後、指定商品については、原審における同年7月29日付けの手続補正書により、第2類「カナダバルサム,コパール,サンダラック,セラック,松根油,ダンマール,媒染剤,マスチック,松脂,木材保存剤,染料,顔料,塗料,印刷インキ,絵の具,塗装用・装飾用・印刷用又は美術用の非鉄金属はく及び粉,塗装用・装飾用・印刷用又は美術用の貴金属はく及び粉」及び第16類「事務用又は家庭用ののり及び接着剤,電気式鉛筆削り,電動字消し,装飾塗工用ブラシ,紙類,筆記用具,印刷物,写真,写真立て」と補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『低いハロゲンのマーカー』程度の意味を極めて容易に認識させる『LOW HALOGEN MARKER』の文字を普通に用いられる方法で表示してなるところ、本願の指定商品中、『文房具類』に含まれる『筆記用具』の分野においては、その用途に応じて適切なものが製造、販売されている実情があり、実際に低ハロゲンであることを特徴とした商品が見受けられる(別掲)。そうとすると、本願商標を指定商品中の『筆記用具』に使用しても、これに接する取引者、需要者は、その商品が低ハロゲンであることを特徴としたマーカーであること、すなわち、商品の品質を表示したものと認識し理解するにとどまるものである。したがって、本願商標は、指定商品中の『筆記用具』について商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
(1)本願商標の商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標は、前記1のとおり、「LOW HALOGEN MARKER」の文字よりなるところ、その構成中「LOW」の文字は、「低いさま」の意味を有し、「HALOGEN」の文字は、「周期表の17族元素の総称。『フッ素』・『塩素』・『臭素』・『ヨウ素』など。」の意味を有し、「MARKER」の文字は、「しるしをつけるための筆記用具」を意味する語であるから、これらの既成の語を組み合わせた本願商標からは「低ハロゲンの筆記用具」の意味を容易に認識するものというのが相当である。
そして、原審の挙示した別掲の商品のほかにも、「低ハロゲン」であることを商品の特長とする「筆記用具」として、次のような商品が販売されている事実がある。
ア 栄進化学のインターネットウェブサイト
栄進化学のインターネットウェブサイト(http://www.eishinkagaku.co.jp/pt/special.htm)には、「低ハロゲン・低イオウタイプ<スペシャル>」の項目中「●マーキングペン」の商品説明に「塩素・ふっ素・硫黄などの不純物成分をおさえたマーキングペン。ステンレス鋼やニッケルチタン合金等のマーキングに使用します。黒・赤・白・青の4種類を用意しています。」との記載がある。
イ オレンジブック.Comのインターネットウェブサイト
オレンジブック.Comのインターネットウェブサイト(http://www.orange-book.com/detail/obwfk53010/index/article_cd:D44729++++++++++++++++++++++++4075)の商品カタログに「デブコン HIGH PURITY MARKERS44(ホワイト)」の特長として「●油性タイプのカラーペンで金属、塩化物、ステンレス部品、ガラスなどに描けます。●乾燥時間は45秒?1分です。●低ハロゲンなので原子力設備に使用できます。(GEスペック:米ゼネラルエレクトリック)」との記載がある。
ウ オレンジブック.Comのインターネットウェブサイト
オレンジブック.Comのインターネットウェブサイト(http://www.orange-book.com/detail/obwfk53010/index/article_cd:XSCLH49BK+++++++++++++++++++++3008)には、「サクラ 低ハロゲンマーカー 中字 黒」の特長として「●低ハロゲンの原料を使ったインキ」、用途として「●ハロゲンに敏感な材質、筆記箇所にも気にすることなくマーキングできます。」との記載があり、商品写真によれば、その軸部分に「LOW HALOGEN MARKER」の文字が表示されている。
また、これに関連するとみられる「2012/COLLECTION/SAKURA COLOR PRODUCTS CORPORATION」との名称の電子カタログ26ページ(http://www.craypas.com/2012collection/index.html)には、「技術 色材の進化。」として「・・・成分中のハロゲンや不純物を抑え金属の腐食を起こさない『ローハロゲンマーカー』・・・の開発など着実に新しい時代に向けて技術開発に取り組んでいます。」との記載がある。
しかして、当該商品は、請求人の業務に係る商品であるところ、前記インターネットウェブサイトからすれば、「LOW HALOGEN」ないし「ローハロゲン」は、原料の成分中のハロゲンを抑えて、金属の腐食を起こさないとの商品の品質を直接表示したものと認識されるものである。
してみれば、本願商標は、「LOW HALOGEN MARKER」の文字を普通に用いられる方法で表してなるにすぎず、これよりは「低ハロゲンの筆記用具」の意味を、容易に認識、理解させるものであり、これを、その指定商品中の「筆記用具」について使用しても、これに接する取引者、需要者は、その商品が低ハロゲンの筆記用具であること、ひいてはハロゲンに敏感な筆記箇所への記入に適したものであること、すなわち、商品の品質、用途を表示したものと認識、理解するにとどまるものであって、自他商品の識別標識として機能し得ないものというべきである。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)請求人の主張について
請求人は、「LOW HALOGEN MARKER」の使用例がなく、本願商標の前半の「LOW HALOGEN」(或いは「ローハロゲン」や「ロー ハロゲン」)と後半の「HALOGEN MARKER」(或いは「ハロゲンマーカー」や「ハロゲン マーカー」)とに分けてそれぞれインターネット検索しても、数社において電気関係(パソコン関係を含む)の専門家向けの製品に関連して記載されているにすぎない(参考資料1ないし14)。一方、本願の指定商品は上記のとおり「染料,顔料,塗料,印刷インキ,絵の具,紙類,筆記用具」などであり、その需要者、取引者は電気関係とは全く異なる。かかる状況からすれば、本願の指定商品の需要者、取引者が、「LOW HALOGEN MARKER」から、直ちに“低いハロゲンのマーカー”との意味合いを想起するものではない。したがって、本願商標「LOW HALOGEN MARKER」は、自他商品の識別標識として機能する旨主張している。
しかしながら、商標法第3条第1項第3号に該当する商標であるか否かについて、現実の使用の事実が、同号の適用の要件となるものではないから、「LOW HALOGEN MARKER」ないし「ローハロゲンマーカー」の使用例がないとしても、本件の判断が左右されるものではない。
また、原審の挙示する別掲の商品や前記(1)で挙示した商品が存在し、それらは、「低ハロゲン」を商品の特長とし、その特長故に、ハロゲンに敏感な筆記箇所に適しているという用途を有するものである。
しかして、本願商標中の「LOW」は、「低い」を意味するものとして我が国において広く親しまれた英語であり、本願商標中の「LOW HALOGEN」は、「低ハロゲン」を認識させるものである。
加えて、「LOW HALOGEN MARKER」が、商品の品質、用途表示と認識される使用例が前記(1)ウのとおり存在する。
そうすると、本願の指定商品の需要者は、本願商標を「低ハロゲンの筆記用具」と認識するにとどまり、自他商品の識別標識として認識し得ないものというのが相当である。
したがって、請求人の主張は、理由がなく採用することができない。
(3)まとめ
以上からすれば、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するものとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すべきではない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲(原審(拒絶理由通知)において挙示した事実)
●http://marktec.jp/shopdetail/021000000015/product/
テックスペンHP (低ハロゲン・低イオウ)
用途:産業用原子力マーカー (HIGH PURITY TEX)
使用温度:常温
規格:RDT規格F-7-3T
1.マーキング材は、スペクトル分析により測定した時、鉄・銅・鉛・亜鉛・水銀および硫黄の含有量の合計が300ppm以下
2.全ハロゲン(遊離および化学結合)は、試料を燃焼式高温加水分解処理法、又は、同様の燃焼法を用いるか、滴定法か鉄の電解法で定量分析した場合200ppm以下

●http://www.marktec.co.jp/product/pdf/Super_markter_pen.pdf
スーパーマーカーペン赤(低ハロゲン・低イオウ用)
ハロゲン等の元素含有量が極めて微量で、その数値は分析表を添付して証明します。
硫黄50PPM以下 塩素+フッ素100PPM以下
染料をベースにしていますが、水で消えることはありません。
スーパーマーカーペン(低ハロゲン・低イオウ用)にてマーキングされた文字の除去には、アオタケゾール除去剤※1が最適です。


審理終結日 2012-08-09 
結審通知日 2012-08-21 
審決日 2012-09-03 
出願番号 商願2011-5948(T2011-5948) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (X0216)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 浜岸 愛 
特許庁審判長 水茎 弥
特許庁審判官 内田 直樹
前山 るり子
商標の称呼 ローハロゲンマーカー、ローハロゲン 

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