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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Z30
管理番号 1265921 
審判番号 取消2012-300138 
総通号数 156 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2012-12-28 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2012-02-24 
確定日 2012-10-09 
事件の表示 上記当事者間の登録第4528288号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4528288号商標の商標登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4528288号商標(以下「本件商標」という。)は、「およげ!たいやきくん」と「およげ!たいやき君」の文字を二段に横書きしてなり、平成12年7月21日に登録出願、第30類「たい焼き」を指定商品として、同13年12月14日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張
1 請求の趣旨
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第4号証を提出している。
2 請求の理由
本件商標は、継続して3年以上日本国内おいて商標権者(又は専用使用権者、通常使用権者)によって指定商品「たい焼き」について使用された事実が存在しないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。
3 答弁に対する弁駁
(1)乙第1号証及び乙第2号証について
取消対象となっている指定商品は「たい焼き」であるが、「大辞泉」によると、たい焼きとは「鯛の形の鉄型に溶いた小麦粉の生地を流し込み、あんを入れて焼いた菓子」(甲第3号証)とある。
しかしながら、乙第1号証に写っている「およげ!たいやき君」の文字が付された商品は本件商標の指定商品「たい焼き」ではない。写真が不鮮明であるために判別しづらいが、魚を乾燥させたおつまみのようなものであると認識できる。
よって、乙第1号証及び乙第2号証は商標「およげ!たいやき君」を指定商品「たい焼き」に使用したとの証拠にはならない。
(2)乙第3号証について
売上伝票の日付は2009年2月20日であり、本件審判請求日である平成24年2月24日より3年以上前のものである。よって「過去3年間にわたって日本国内では使用されていない」との審判請求理由を否定する証拠とはなり得ない。
また、伝票に記載されている商品は文字どおり「焼鯛」であって本件商標の指定商品「たい焼き」ではない。
なお、売り元である株式会社オカベについて調べたところ、製造している商品は「乾燥おつまみ」や「佃煮」など海産物の加工品が主であり、本件商標の指定商品「たい焼き」を製造しているとは考え難い(甲第4号証)。
(3)以上により、被請求人は、本件商標を指定商品に使用したとの立証ができないものである。

第3 被請求人の主張
1 答弁の趣旨
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とするとの審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第3号証を提出している。
2 答弁の理由
被請求人(商標権者)の直売店において従来より販売数量はわずかであるが現在でも店売りを継続して行ってきていることは、乙第1号証及び乙第2号証の写真にて判明するものである。また、乙第3号証の2009年2月当時の「売上伝票」のコピーでも使用していたことを証明できるものである。
なお、被請求人は、下記第4 3の審尋に対して、指定した期間を経過するも何ら回答していない。

第4 当審の判断
1 被請求人提出の乙各号証によれば、次のとおりである。
(1)乙第1号証及び乙第2号証は、被請求人(商標権者)が同人の直売店で販売しているとする写真であり、乙第1号証の上段の写真には袋詰めの煎餅及び豆菓子などが棚に陳列されている様子が写されており、下段の棚には(不鮮明で明らかではないが)小魚の乾製品と思われる袋詰めされた商品があり、そこには「およげ!たいやき君」と表示されたラベルと「およげ!たいやき●/¥315」(一部不鮮明で判読できない。)と表示された値札がある。また、下段の写真には「inaba イナバピーナツ 直売店」の看板が掲げられた店頭が写されている。
乙第2号証には、上下段の写真のいずれにも上記同様の袋詰めの製品が写されている。
しかしながら、乙第1号証及び乙第2号証のいずれの写真にも日付の記載はなく、また、「たい焼き」は確認できない。
(2)乙第3号証は、本社を「愛媛県伊予市市場150」とする「株式会社オカベ」が、「稲葉ピーナツ(株)」(岐阜県岐阜市)にあてた、2009年2月20日付けの「売上伝票」の写しであり、その表には、「品名/荷姿」欄の1段目に「あご浜焼 6K×2」、2段目に「焼鯛 5K×2」の記載があるほか、「個数/数量」「単位」「単価」及び「金額」などが記載され、「備考」欄に「02/23AM 配達指定」の記載がある。
2 請求人提出の甲第4号証及び職権調査によれば、次のとおりである。
(1)甲第4号証は、「株式会社オカベ」のウェブページを2012年5月10日にプリントアウトしたと認められるものであり、各ページの左上部に「商品紹介 株式会社オカベ」の記載があり、1ページ目には「商品案内」のタイトルの下に「アーモンド小魚」の写真が掲載され、2ページ目以降には「乾燥おつまみ」「佃煮」「ギフト」「OEM商品」の各タイトルの下に魚介類を原材料とする製品の写真と説明が掲載されている。
そして、1ページ目、3ページ目などの中段には「株式会社オカベ 愛媛県伊予市市場150番地」の記載がある。
(2)職権調査によれば、甲第4号証と同じ「株式会社オカベ」のウェブページには、「事業案内」の「生産部」の項に、「・・・第一課では乾燥調味製品であるゴマイリコ、五色煮、骨せんべい、海藻類などを製造しており、第二課ではロール製品(カワハギ・穴子)および佃煮などを主に製造しています。業務課は製造に関わる原料と副原料の調達、工務による工場施設の保守・点検・修理を行っています。・・・」の記載がある(http://www.okabe-group.com/jigyo/jigyo.html#seisan)。
しかしながら、同社のウェブページに「たい焼き」は見いだせない。
3 被請求人に対する審尋
被請求人に対して、期間を指定して平成24年7月5日付けで次のとおりの審尋を送付した。
(1)本件商標の使用に関する暫定的な見解
商標法第50条による商標登録の取消審判の請求があったときは、同条第2項の規定により、被請求人において、その審判請求の登録前3年以内に、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、その請求に係る指定商品又は指定役務について登録商標を使用していることを証明し、又は使用していないことについて正当な理由があることを明らかにしない限り、その登録の取消しを免れない。
そして、本件審判の請求に対し被請求人は、平成24年4月18日付け審判事件答弁書において、「商標権者の直営店においては、従来より販売数量はわずかではあるが現在でも店売りを継続して行っている」旨述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第3号証を提出している。
しかしながら、これらの証拠によっては、「およげ!たいやき君」の表示は確認できる(乙第1号証)が、ア)指定商品「たい焼き」を確認することも、イ)本件審判請求の登録前3年以内(平成21年3月13日から平成24年3月12日の期間)であることなども確認できない。
なお、本件商標の指定商品「たい焼き」は、「鯛の姿をした鉄製の型に、水に溶いた小麦粉を入れ、餡を挟んで焼いた菓子」(広辞苑)をいうものと認める。
(2)審尋の内容
被請求人は、ア)本件審判請求の登録前3年以内に、イ)商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、ウ)「たい焼き」について、 エ)本件商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)の使用をしていたことが確認できる証左を提出されたい。
4 判断
(1)本件商標は上記第1のとおり「およげ!たいやきくん」と「およげ!たいやき君」の文字からなり、第30類「たい焼き」を指定商品とするものである。
ところで、本件審判の請求に係る商品「たい焼き」は、「鯛の姿をした鉄製の型に、水に溶いた小麦粉を入れ、餡を挟んで焼いた菓子」をいうもの(広辞苑、同旨:大辞泉(甲第3号証))と認められる。
(2)そして、上記1によれば、次のとおり判断できる。
ア 商品について
乙第1号証及び乙第2号証の写真には、商品「たい焼き」は見いだせない(上記1(1))。
乙第3号証の「売上伝票」に記載された「焼鯛」は、同「売上伝票」の発行者である「株式会社 オカベ」(社名が一致する他、乙第3号証に記載された本社住所とウェブページの住所が一致する。)が「乾燥おつまみ」「佃煮」など魚貝類を原材料とする商品を取り扱う会社であり、同社が「たい焼き」を取り扱っていることも確認できない(上記2)ことから、該「焼鯛」は「(魚の)鯛を焼いた商品」と判断するのが相当である。
そうとすれば、被請求人提出の乙各号証によっては、指定商品「たい焼き」に商標(本件商標)を使用しているものと認めることはできない。
イ その他の要証事項
上記アのとおり、乙各号証によっては、本件審判の請求に係る指定商品「たい焼き」についての使用と認められない以上、その他の要証事項である使用商標、使用時期及び使用者については検討するまでもないが、以下、付言する。
(ア)使用商標
乙第1号証の上段の写真に写されたラベルに表示された「およげ!たいやき君」の文字(以下「本件使用商標」という。)は、本件商標の構成中下段の「およげ!たいやき君」の文字と構成文字を共通にするから、本件使用商標は本件商標と社会通念上同一と認められる商標といえる。
(イ)使用時期
乙第1号証及び乙第2号証の写真はその撮影時期が不明であり、また、乙第3号証の発行日「2009年02月20日」及び配達指定日「02/23」(2009年2月23日)は、いずれも要証期間(平成21年(2009年)3月13日ないし平成24年(2012年)3月12日)以前である。
したがって、本件使用商標を要証期間内に使用した事実は証明されていない。
なお、乙第3号証の「売上伝票」のあて先の住所は、商標権者の住所と一致していない。
(ウ)使用者
乙第1号証及び乙第2号証の写真は、乙第1号証下段の写真の「inaba イナバピーナツ 直売店」の看板から、商標権者(被請求人)の直売店とうかがえるとしても、商標権者の店舗であるとまでは認められない。
したがって、本件商標の商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが使用した事実は証明されていない。
(3)被請求人は、上記3の審尋に対して、指定した期間を経過するも何ら回答していない。
(4)小括
そうとすれば、被請求人は、本件審判の請求に係る指定商品「たい焼き」についての使用を証明していないから、商標法第50条第2項に係る所定の要証事項を証明したものということはできない。
その他、本件審判の請求に係る指定商品「たい焼き」について本件商標の使用をしていることを認め得る証左は見いだせない。
5 まとめ
以上のとおりであるから、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが請求に係る指定商品「たい焼き」について、本件商標を使用していたことを証明したものと認めることはできない。また、被請求人は、本件商標を使用していないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、その登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2012-08-14 
結審通知日 2012-08-16 
審決日 2012-08-28 
出願番号 商願2000-87401(T2000-87401) 
審決分類 T 1 31・ 1- Z (Z30)
最終処分 成立  
前審関与審査官 寺光 幸子 
特許庁審判長 森吉 正美
特許庁審判官 堀内 仁子
梶原 良子
登録日 2001-12-14 
登録番号 商標登録第4528288号(T4528288) 
商標の称呼 オヨゲタイヤキクン、オヨゲタイヤキ、オヨゲ 
代理人 山下 彰子 
代理人 井澤 幹 
代理人 茂木 康彦 
代理人 井澤 洵 

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