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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 X03
審判 全部申立て  登録を維持 X03
管理番号 1264490 
異議申立番号 異議2012-900024 
総通号数 155 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2012-11-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2012-01-30 
確定日 2012-10-11 
異議申立件数
事件の表示 登録第5447434号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5447434号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5447434号商標(以下「本件商標」という。)は、「ヴィーザ」の文字を横書きしてなり、平成23年4月13日に登録出願され、第3類「化粧品,せっけん類,歯磨き,香料類」を指定商品として、同年8月18日に登録査定、同年10月28日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録商標は、以下に掲げるとおりである。
(1)登録第3200011号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成:VISA
登録出願日:平成4年9月29日 (特例商標)
設定登録日:平成8年9月30日
更新登録日:平成18年9月26日
指定役務 :第36類「クレジットカ?ド利用者に代わってする支払代金の清算,旅行者用小切手の発行及び買取り,資金の貸付け,小切手の検証,旅行傷害保険契約の締結の媒介」
(2)登録第3253066号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成:ビザ
登録出願日:平成4年9月29日 (特例商標)
設定登録日:平成9年1月31日
更新登録日:平成19年1月23日
指定役務 :第36類「クレジットカ?ド利用者に代わってする支払代金の清算,旅行者用小切手の発行及び買取り,資金の貸付け,小切手の保証,旅行傷害保険契約の締結の媒介」
(3)登録第3253068号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の構成:別掲(A)のとおり
登録出願日:平成4年9月30日
設定登録日:平成9年1月31日
更新登録日:平成19年1月23日
指定役務 :第36類「資金の貸付け,小切手の保証,旅行傷害保険契約の締結の媒介,クレジットカード利用者に代わってする支払代金の清算,旅行者用小切手の発行及び買取り」
(4)登録第3253069号商標(以下「引用商標4」という。)
商標の構成:別掲(B)のとおり
登録出願日:平成4年9月30日 (特例商標)
設定登録日:平成9年1月31日
更新登録日:平成19年1月23日
指定役務 :第36類「資金の貸付け,小切手の保証,旅行傷害保険契約の締結の媒介,クレジットカード利用者に代わってする支払代金の清算,旅行者用小切手の発行及び買取り」
(5)登録第4774456号商標(以下「引用商標5」という。)
商標の構成:別掲(C)のとおり
登録出願日:平成15年8月1日
設定登録日:平成16年5月28日
指定役務 :第36類「コンピュータ通信ネットワークを利用する振替・振込等資金の移動,キャッシュカードによる預金の支払及び残高照会に関する情報の提供」を含む第36類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務
(6)登録第4993862号商標(以下「引用商標6」という。)
商標の構成:別掲(D)のとおり
登録出願日:平成17年3月9日
設定登録日:平成18年10月6日
指定役務 :第36類「コンピュータ通信ネットワークを利用する振替・振込等資金の移動,キャッシュカードによる預金の支払及び残高照会に関する情報の提供」を含む第36類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務
(7)登録第3275002号商標(以下「引用商標7」という。)
商標の構成:別掲(B)のとおり
登録出願日:平成4年9月30日
設定登録日:平成9年4月4日
更新登録日:平成19年1月23日
指定役務 :第39類「旅行に関する契約(宿泊に関するものを除く。)の代理・媒介又は取次ぎ」
(8)登録第4078744号商標(以下「引用商標8」という。)
商標の構成:VISA
登録出願日:平成4年9月29日
設定登録日:平成9年11月7日
更新登録日:平成19年10月16日
指定役務 :第39類「旅行に関する契約(宿泊に関するものを除く。)の代理・媒介又は取次ぎ(旅券の査証取得手続の代理・媒介又は取次ぎを除く。)」
(9)登録第4078745号商標(以下「引用商標9」という。)
商標の構成:ビザ
登録出願日:平成4年9月29日
設定登録日:平成9年11月7日
更新登録日:平成19年10月16日
指定役務 :第39類「旅行に関する契約(宿泊に関するものを除く。)の代理・媒介又は取次ぎ(旅券の査証取得手続の代理・媒介又は取次ぎを除く。)」
(10)登録第3238623号商標(以下「引用商標10」という。)
商標の構成:別掲(A)のとおり
登録出願日:平成4年9月30日
設定登録日:平成8年12月25日
更新登録日:平成18年8月29日
指定役務 :第39類「旅行に関する契約(宿泊に関するものを除く。)の代理・媒介又は取次ぎ」
(11)登録第3136904号商標(以下「引用商標11」という。)
商標の構成:別掲(B)のとおり
登録出願日:平成4年9月30日
設定登録日:平成8年3月29日
更新登録日:平成18年4月18日
指定役務 :第42類「宿泊施設の提供の契約の媒介又は取次ぎ」
(12)登録第3136903号商標(以下「引用商標12」という。)
商標の構成:別掲(A)のとおり
登録出願日:平成4年9月30日
設定登録日:平成8年3月29日
更新登録日:平成18年4月18日
指定役務 :第42類「宿泊施設の提供の契約の媒介又は取次ぎ」
(13)登録第3092526号商標(以下「引用商標13」という。)
商標の構成:VISA
登録出願日:平成4年9月29日
設定登録日:平成7年11月30日
更新登録日:平成17年12月27日
指定役務 :第42類「宿泊施設の提供の契約の媒介又は取次ぎ」
なお、上記引用商標1ないし13は、いずれも現に有効に存続しているものであり、以下、これらを一括して単に「引用商標」ということがある。

3 登録異議の申立ての理由の要点
(1)引用商標は、申立人の業務に係る役務を表示する商標として広く一般に知られているから、これと類似する本件商標がその指定商品に使用された場合には、商品の出所について混同を生ずるおそれがある。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(2)本件商標は、周知著名な引用商標にフリーライドするものであり、公正な競業秩序を乱し、ひいては国際信義に反するものであって、公序良俗に反するものである。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。

4 当審の判断
(1)本件商標の商標法第4条第1項第15号該当性について
商標法第4条第1項第15号にいう「他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれ」の有無は、当該商標と他人の表示との類似性の程度、他人の表示の周知著名性及び独創性の程度や、当該商標の指定商品等と他人の業務に係る商品等との間の性質、用途又は目的における関連性の程度並びに商品等の取引者及び需要者の共通性その他取引の実情などに照らし、当該商標の指定商品等の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として、総合的に判断されるべきである(最高裁平成10年(行ヒ)第85号、平成12年7月11日第三小法廷判決参照)。
かかる観点から、以下、本件商標が商標法第4条第1項第15号に該当するものであるか否かについて検討する。
(ア)まず、本件商標と引用商標との類否について検討するに、本件商標は、「ヴィーザ」の文字からなるところ、「ヴィ」は日本語にはない表記であり、日本人にとってはその発音が困難で「ビ」と同様に発音され聴取され易いものであるから、「ビーザ」の称呼をも生ずるものというべきである。
他方、引用商標1、2、8、9及び13は、「VISA」又は「ビザ」の文字のみからなり、いずれも「ビザ」の称呼を生ずるものである。そして、引用商標3ないし7及び10ないし12は、いずれも「VISA」の文字が独立して自他役務の識別標識としての機能を果たすものであって、これより「ビザ」の称呼を生ずるものといえる。結局、引用商標は、いずれも「ビザ」の称呼を生ずるものである。
そこで、上記「ビーザ」の称呼と「ビザ」の称呼とを対比すると、両者は、第1音の「ビ」が長音を伴っているか否かの差異を有するのみで、他の音をすべて共通にするものであるから、全体の音構成が比較的短いとしても、それぞれを一連に称呼するときは、全体の音感、音調が近似し、彼此相紛らわしいものである。
そうすると、本件商標と引用商標とは、称呼において類似性の程度が高いものといわなければならない。
(イ)次に、引用商標の周知著名性についてみるに、申立人の提出に係る証拠によれば、(a)申立人の提供に係るクレジットカードには引用商標6と同一の標章が付されていること、(b)申立人のウェブサイトには引用商標6のほか、「Visa」及び「VISA」の文字が随所に用いられると共に、提供に係る役務について説明されていること、(c)各種新聞において、2010年のクレジットカードのショッピング取扱高(デビット決済を含む)が7兆5666億ドルに達すること、2010年3月末時点の国内のカード発行枚数が3億2233万枚で20歳以上の国民1人当たり3.1枚を持っている計算になること、クレジットカード業界では申立人のビザカードが首位であり、ビザカードとマスターカードの2社で世界シェアの約90%を占めること、申立人が国際オリンピック委員会(IOC)とのスポンサー契約を8年間延長したことにより2020年夏季五輪まで決済サービスにおける独占スポンサーとしての権利を保持すること等について報道されていること、などが認められる。
これらを総合勘案すると、引用商標は、申立人の業務に係る「クレジットカード利用者に代わってする支払代金の清算、旅行者用小切手の発行及び買取り」等の役務を表示する商標として、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、取引者、需要者の間に広く認識されていたものというべきである。
もっとも、引用商標は、申立人も主張するように、「(出入国)査証」の意味を有する英語「visa」及び同義の外来語として親しまれている「ビザ」に通ずる既成語であり、独創性の程度はそれ程高いものではない。
(ウ)進んで、本件商標の指定商品(以下「本件商品」という。)と引用商標が使用されている役務(以下「引用役務」という。)との関連性、需要者の共通性その他の取引実情等についてみるに、本件商品は、いわゆる第二次産業によって製造され、転々流通する商品であって、日常生活において一般に使用されるものであり、その需要者は老若男女を問わず一般大衆といえるものである。他方、引用役務の典型である「クレジットカード利用者に代わってする支払代金の清算」は、いわゆる第三次産業といえる金融等に関する役務であって、その提供者は金融機関等であること、提供を受けるためには入会のための審査を通過する等一定の制限があり、需要者もある程度限定されること、などから本件商標の指定商品とは自ずと性質、性格が異なるものである。
そうすると、本件商品と引用役務とは、産業分野を異にするものであるばかりでなく、それぞれの取扱業者、流通・取引系統、用途、目的等が著しく相違し、需要者も相違するものといえるから、今日のクレジットカード等電子決済の普及度等を考慮したとしても、両者の関連性の程度は低いといわざるを得ない。
そして、たとえ、申立人が化粧品メーカーとタイアップし、カード会員限定の優待キャンペーンを行うといったマーケット活動を行っている事実があるとしても、それぞれの需要者が本件商品と引用役務とを誤認混同するようなことはないというべきである。
(エ)以上を総合勘案すると、本件商標をその指定商品に使用した場合には、これに接する取引者、需要者が引用商標ないしは申立人を連想、想起するようなことはないというべきであり、該商品が申立人又は申立人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、その出所について混同を生ずるおそれはないものと判断するのが相当である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものではない。
(2)本件商標の商標法第4条第1項第7号該当性について
申立人は、本件商標をその指定商品に使用することは、引用商標の著名性にフリーライドするものであって、引用商標に化体した莫大な価値を希釈化させるおそれがあり、公正な競業秩序を乱し、ひいては国際信義に反するものである旨主張する。
しかしながら、前示のとおり、本件商標は、引用商標と類似するところがあるとしても、本件商品と引用役務との関連性の程度は低いものであり、本件商標をその指定商品に使用しても引用商標を連想、想起させるようなことはなく、引用商標とは別異のものとして認識されるというべきであるから、本件商標をその指定商品に使用することが、直ちに引用商標の著名性にフリーライドし、引用商標に化体した価値を希釈化させるものとはいえないし、公正な競業秩序を乱するものでもなく、国際信義に反するものともいえない。
そして、本件商標は、その構成自体がきょう激、卑わい、差別的又は他人に不快な印象を与えるような文字からなるものではないし、その指定商品に使用することが社会公共の利益や社会の一般的道徳観念に反するものともいえない。また、本件商標は、他の法律によってその使用が禁止されているものではない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当するものではない。
(3)むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号及び同第15号のいずれにも違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲
(A)引用商標3、10及び12

(色彩については原本参照)

(B)引用商標4、7及び11


(C)引用商標5


(D)引用商標6

(色彩については原本参照)


異議決定日 2012-09-26 
出願番号 商願2011-25906(T2011-25906) 
審決分類 T 1 651・ 22- Y (X03)
T 1 651・ 271- Y (X03)
最終処分 維持  
前審関与審査官 竹内 耕平 
特許庁審判長 寺光 幸子
特許庁審判官 酒井 福造
田中 敬規
登録日 2011-10-28 
登録番号 商標登録第5447434号(T5447434) 
権利者 斉藤 知久
商標の称呼 ビーザ 
代理人 石田 昌彦 
代理人 稲葉 良幸 
代理人 田中 克郎 

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