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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 X25
審判 全部申立て  登録を維持 X25
審判 全部申立て  登録を維持 X25
審判 全部申立て  登録を維持 X25
管理番号 1264483 
異議申立番号 異議2012-900119 
総通号数 155 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2012-11-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2012-05-07 
確定日 2012-10-04 
異議申立件数
事件の表示 登録第5470252号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5470252号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
登録第5470252号商標(以下「本件商標」という。)は、「PALADIN」の欧文字を標準文字で表してなり、平成23年7月14日に登録出願、第25類「履物」を指定商品として、同年12月1日に登録査定、同24年2月10日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録商標は、以下の(1)ないし(3)のとおりであり、いずれも現に有効に存続しているものである。なお、以下、これらをまとめていうときは「引用商標」という。
(1)登録第1516932号商標(以下「引用商標1」という。)は、「PALLADIUM」の欧文字を書してなり、昭和53年12月19日に登録出願、第22類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同57年5月25日に設定登録され、その後、3回にわたり商標権の存続期間の更新登録がなされたものである。
そして、指定商品については、平成15年2月12日に第25類「靴類,靴合わせくぎ,靴くぎ,靴の引き手,靴びょう,靴保護金具,げた,草履類」を指定商品とする書換登録がなされたものである。
(2)登録第5470954号商標(以下「引用商標2」という。)は、「PALLADIUM」の欧文字を書してなり、平成22年9月27日に登録出願、第35類「履物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定役務として、同24年2月17日に設定登録されたものである。
(3)国際登録第825737号商標(以下「引用商標3」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、2003年8月1日にフランス国においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して、2004年(平成16年)1月27日に国際商標登録出願、第25類「Shoes (excluding special sporting/gymnastic footwear).」を指定商品として、平成17年6月17日に設定登録されたものである。

3 申立ての理由
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、標準文字で「PALADIN」と書して成る構成を有し、かかる構成から、「パラディン」の称呼が生じる。
これに対して、申立人は、上記引用商標1ないし3を有し、該引用商標は欧文字で「PALLADIUM」と書してなる構成から成り、かかる構成から「パラディウム」の称呼が生じる。
両商標の外観を対比すると、中間部に「L」を2つ重ねて有する構成となっているか、及び語尾に「N」あるいは「UM」を有するかという点のみが相違し、両商標の外観を見誤るおそれがある。
また、両商標の称呼については、本件商標からは「パラディン」の称呼が生じ、一方、引用商標からは「パラディウム」の称呼が生じる。両商標を比較すると、称呼の識別上重要な要素を占める語頭「パラディ」が共通しており、相違点は語尾が「ン」と「ウム」であるという点でのみである。語尾における「ン」と「ウム」の音は、それ自体響きの弱い音であるだけでなく、比較的聴取され難い語尾に位置していることから、両商標は全体としての語調、語感が近似し、これらを互いに聞き誤るおそれがある。
なお、観念においては、本件商標は、「英雄、擁護者、十二勇士」を意味し(甲5)、引用商標は「白金属に属する遷移元素の一つであるパラジウム」を意味する語であり(甲6)、観念においては共通するものではない。
しかしながら、たとえ観念において両商標が相違していることを考慮したとしても、これが外観及び称呼の類似性を凌駕するものとは言い難いものといえる。
したがって、本件商標は、引用商標と外観及び称呼において類似することから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第10号について
ア 「PALLADIUM(パラディウム)」の周知・著名性
「PALLADIUM(パラディウム)」は、もともとフランスにおいて航空機のタイヤメーカーとして創業した会社の名前であり、第二次世界大戦後、1947年にはタイヤメーカーとしてのゴムの専門知識を有していたため、フランス軍隊からの靴の製作を依頼されたところから始まった靴のブランドである。その後1990年にはニューヨーク、ロンドン、東京をはじめとする全世界でヒットした商品である(甲7ないし甲10)。
また、少なくとも2007年において、男性誌、女性誌を問わず各種雑誌記事等に掲載されており(甲7ないし甲22)、遅くとも、本件商標の出願日である平成23年7月14日までには、日本においても欧文字表記の「PALLADIUM」や片仮名表記の「パラディウム」は、靴について使用される商標として既に周知著名のレベルに達していたものと考えられる。
また、2009年には、申立人と株式会社エービーシー・マートとの間においてライセンス契約が締結され、日本全国のエービーシー・マートにおいて2012年2月まで「PALLADIUM(パラディウム)」のブランドの靴が販売された(甲23)。全国的な靴の小売りチェーンである同社により販売されたことにより、日本市場における「PALLADIUM(パラディウム)」の商品名及びブランド名は一気に高まった。
また、「PALLADIUM(パラディウム)」が表示された雑誌記事・宣伝広告記事により、広くPALLADIUMの名称が消費者に知られているものである。
「PALLADIUM(パラディウム)」の名称は、海外においても、申立人の靴製品を示すものとして周知となっている。
イ 商標の類似性
上述のとおり、本件商標と商標「PALLADIUM(パラディウム)」は称呼及び外観において類似するものである。
したがって、本件商標は商標「PALLADIUM(パラディウム)」と類似し、また、商標「PALLADIUM(パラディウム)」は、本件商標の出願前に既に我が国においても周知・著名なものとなっていることから、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当する。
(3)まとめ
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同第11号の規定に該当するものであるから、取り消されるべきである。

4 当審の判断
(1)「PALLADIUM(パラディウム)」商標の周知性について
申立人は、「PALLADIUM(パラディウム)」の文字からなる商標が周知、著名である旨主張し、証拠を提出しているところ、当該証拠(甲7ないし甲37)によれば以下の事実が認められる。
「PALLADIUM」の文字は、もともとフランスにおいて航空機のタイヤメーカーとして創業した会社の名前であり、第二次世界大戦後、1947年に、フランス軍隊からの靴の製作を依頼されたところから始まった靴のブランドである。その後1990年からニューヨーク、ロンドン、東京においてファッションアイテムとして人気が定着した(甲10)。しかしながら、日本でブームになったのは、1990年代であり、その後、同ブランドの商品について、2007年以降の各種雑誌記事等に掲載されているものの(甲7ないし甲22)、継続して人気を有しているというほどの事実は見当たらないものである。
また、2009年に申立人と株式会社エービーシー・マートとの間においてライセンス契約が締結され、日本全国のエービーシー・マートにおいて2012年2月まで「PALLADIUM(パラディウム)」のブランドの靴が販売されたとしても(甲23)、同社によって販売される多数のブランド靴の一つであり、どの程度の販売数、販売額があったのか不明であり、また、宣伝広告等がどの程度なされたのかも不明である。
そうとすれば、申立人提出の全証拠によってみても、「PALLADIUM(パラディウム)」のブランドの靴に使用される商標を使用した商品の我が国における販売実績や広告宣伝の実態等を把握し得ないものであるから、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の商品を表示する商標として「PALLADIUM(パラディウム)」が、需要者の間で広く認識されるに至っていたと認めることはできないものである。
(2)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、「PALADIN」の欧文字よりなるところ、これは、一般に知られている語とはいえないものであるが、「(中世フランスの物語で)カール大帝の十二勇士の一人」の意味を有するものであり、その構成文字に相応して「パラディン」の称呼を生じ、「カール大帝の十二勇士の一人」の観念を生じる場合があるものである。
他方、引用商標は、いずれも「PALLADIUM」の欧文字よりなるものであるが、引用商標3は、中央の「A」の文字から左右の文字がだんだんと上下が短くなるようにデザイン化された文字の態様となっている。そして、該「PALLADIUM」の文字は、「(白金族元素の一)パラジウム」の意味を有するものであり、その構成文字に相応して「パラディウム」の称呼を生じ、「(白金族元素の一)パラジウム」の観念を生じるものである。
そこで、本件商標と引用商標との類否についてみると、外観において、両者は、その構成文字の相違により判然と区別し得るものである。
称呼においては、本件商標から生ずる「パラディン」の称呼と引用商標から生ずる「パラディウム」の称呼とは、その音構成及び構成音数において明らかな差異を有するものであるから、それぞれを一連に称呼するときは、全体の語感、語調が相違し、互いに聴き誤るおそれはないものである。
さらに、観念においては、本件商標は、「カール大帝の十二勇士の一人」の観念を生じる場合があるものであり、引用商標は、「(白金族元素の一)パラジウム」の観念を生じるものであるから、観念上明らかに類似しないものである。
してみれば、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものということはできない。
(3)商標法第4条第1項第10号について
「PALLADIUM(パラディウム)」商標は、前記(1)のとおり需要者間に広く認識されているものではなく、かつ、前記(2)のとおり、「PALLADIUM」の文字からなる引用商標と同様、本件商標とは非類似の商標である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に違反して登録されたものということはできない。
(4)まとめ
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同第11号に違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に
基づき、その登録は維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲(引用商標3)



異議決定日 2012-09-26 
出願番号 商願2011-49808(T2011-49808) 
審決分類 T 1 651・ 261- Y (X25)
T 1 651・ 262- Y (X25)
T 1 651・ 255- Y (X25)
T 1 651・ 263- Y (X25)
最終処分 維持  
前審関与審査官 渡辺 潤 
特許庁審判長 水茎 弥
特許庁審判官 渡邉 健司
井出 英一郎
登録日 2012-02-10 
登録番号 商標登録第5470252号(T5470252) 
権利者 パラディン,エセ.アー.デ セー.ベー.
商標の称呼 パラディン 
代理人 鈴木 礼至 
代理人 達野 大輔 

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