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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Y03
管理番号 1264402 
審判番号 取消2011-300809 
総通号数 155 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2012-11-30 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2011-08-25 
確定日 2012-10-01 
事件の表示 上記当事者間の登録第4864583号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4864583号商標(以下「本件商標」という。)は、「レサージュ」の片仮名を横書きしてなり、平成16年8月18日に登録出願、第3類「化粧品」を指定商品として、平成17年5月20日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張
請求人は、「本件商標の登録を取り消す。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求めると申し立て、その理由、答弁に対する弁駁及び口頭審理における陳述において次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第4号証を提出した。

1 請求の理由
本件商標は、その指定商品について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても使用されていないから、その登録は、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。

2 答弁に対する弁駁
(1)乙第1号証について
乙第1号証(レサージュの商品カタログ)は、その発行日を示す記載はない。また、いつ、どこで、どのような経路を経て何枚頒布されたのかも不明である。
さらに、乙第1号証には、当該商品に関する製造者・販売者等の出所を示す表示はないから、掲載に係る商品が商標権者によって製造販売されている商品か不明である。
したがって、乙第1号証は、本件商標を使用していることを示す証拠にはなり得ない。
(2)乙第2号証について
ア 乙第2号証は、「****のためのワーキング情報誌 情報誌A」と題した通信販売雑誌であるところ、この背面右下には「発行 2010年3月1日(年1回発行)」との表示のほか、発行所、発行人、定価等の情報が記載されている。この情報から発行された日にちは把握できるものの、いつ、どこで、どのような経路で頒布された雑誌なのか不明である。発行されたものの、何らかの理由で市場に流通しない雑誌もある。
したがって、乙第2号証のみでは真に市場に流通した雑誌と判断することはできない。
イ 乙第2号証には、「レサージュ Newリンクルイレイザーペン」「レサージュホワイトリッシュ化粧水」「レサージュクリーム」が紹介された記事があることは認められる。
しかし、乙第1号証同様に、製造者・販売者等の情報が見当たらず、商標権者を出所と認定できる情報は何一つない。
したがって、商標権者によって本件商標が化粧品に使用されたとはいえない。
ウ ところで、化粧品は、薬事法第61条にて製造販売業者の氏名又は名称及び住所、製造番号、成分表示や使用期限を容器や容器の箱に記載しなければならないとされている。これは購入者に情報を開示して購入者の保護を図ることを趣旨とする。しかし、乙第2号証に表示されている「レサージュホワイトリッシュ化粧水」と記載されている商品の外形からは、これが真に化粧水なのか不明である。同頁に記載されている他の化粧品と比べてみても情報量の少なさは明らかで、どのような成分が含まれているのか不明である。したがって、「化粧水」の表示が正確であるかどうか不明である。さらに、「レサージュクリーム」が化粧品なのか、クリーム状の薬剤なのか潤滑クリームなのか明らかではない。
よって、乙第2号証に表示される商品が、第3類「化粧品」であると判断することはできない。
(3)むすび
以上述べたとおり、被請求人が使用証拠として提出した資料は、いずれも出所表示及び商品性が欠けており、本件商標の使用を立証するものではない。
したがって、本件商標は、請求に係る指定商品について、本件審判の請求の登録前3年以内に、使用されているとはいえないから、その登録は、商標法第50条第2項により取消しを免れないものである。

3 口頭審理(平成24年6月26日付け口頭審理陳述要領書)における陳述
(1)カタログ発行者「企業B」と商標権者との関係が、明らかにされていない。また、被請求人が「情報誌A」の営業主体と述べる企業Aと、商標権者との関係が、不明である。
(2)乙第6号証では、本件商標と同一とはいえない商標が掲載されている。
(3)乙第4号証について、売計と在庫との数が合わない。
(4)乙第9号証(「企業C」と記載のあるちらし)は、いつ、どのような形で、消費者等に頒布されたのか明らかにされたい。
(5)乙第12号証の業務委託契約書は、漠然としたもので委託内容が不明である。また、乙第11号証の1(株式会社スタジオ・ビーの履歴事項全部証明書)による代表取締役就任時期と当該業務委託契約書の締結時期が合わない。さらに、当該業務委託契約書で「業務は、甲の名義をもって行い」となっているところ、全ての証拠に被請求人の名称が登場しないのは不自然である。
(6)以上のように、被請求人提出の証拠は、不可解な点が多く、証拠としての信用性に乏しく、商標の使用を認定することはできない。

第3 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求め、答弁、口頭審理における陳述及び上申書において、その理由を次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第16号証(枝番を含む。また、平成24年6月29日付け手続補正書に添付された乙第6号証について、その1枚目を乙第14号証の1、その2枚目を乙第14号証の2とし、同年7月13日付け上申書に添付された乙第14号証の1ないし3及び乙第15号証は、乙第14号証の1について、その1枚目(ちらし)を乙第15号証の1の1、同2枚目(注文書、写し)を乙第15号証の1の2、同3枚目(送付の封筒、写し)を乙第15号証の1の3とし、乙第14号証の2について、その1枚目(ちらし)を乙第15号証の2の1、同2枚目(注文書、写し)を乙第15号証の2の2、同3枚目(請求書、写し)を乙第15号証の2の3とし、乙第14号証の3について、その1枚目(ちらし)を乙第15号証の3の1、同2枚目(注文書、写し)を乙第15号証の3の2、同3枚目(送付の封筒、写し)を乙第15号証の3の3とし、また、乙第15号証について、乙第16号証とする。)を提出した。

1 答弁の理由
本件商標は、本件審判の請求の登録(平成23年9月12日)前3年以内に日本国内において、通常使用権者である企業Cにより化粧品及び美顔機器について使用され、これらの商品は、美容業界で販売され、「企業B」のカタログに掲載されている(乙1、乙2)。

2 口頭審理(平成24年6月12日付け口頭審理陳述要領書)における陳述
(1)東京都新宿区所在の「企業B」による2010年3月1日発行のカタログ「情報誌A」の営業主体は、企業Aである。企業Aが商品を仕入れ、「企業B」に商品を卸しているものである。
(2)企業Aに対し、企業Cは、本件商標を用いて営業を行った(乙3?8(枝番を含む。))。なお、両社は、消化仕入れで取引を行っている。
(3)企業Cは、独自に本件商標に係る商品の販売を行った。(乙9、乙10)
(4)企業Cは、本件商標の商標権者である株式会社スタジオ・ビーと住所・代表者を同じくするもので、一心同体であり、かつ、業務委託契約を行っており(乙11の1及び2、乙12)、通常使用権者である。

3 平成24年7月13日付け上申書
(1)企業Bのちらし、その注文書の写し及び送付された封筒の写しを提出する(乙15の1の1?3)。また、企業Bのちらし、その注文書の写し及び印刷会社からの請求書の写しを提出する(乙15の2の1?3)。さらに、企業Bのちらし、その注文書の写し及び送付された封筒の写しを提出する(乙15の3の1?3)。
(2)化粧品パッケージ(乙16)を提出する。

第4 当審の判断
1 被請求人の提出した証拠によれば、以下の事実を認めることができる。
(1)乙第2号証は、表紙及び裏表紙の上部に「企業B/美容材料の通信販売」、背表紙に「情報誌A 全国理美容室 美しい髪と元気なサロンづくりのバックアップ情報誌。 B&W2010 Vol.16」、裏表紙の右下に「理美容室のためのワーキング情報誌/情報誌A」、「発行 2010年3月1日(年1回発行)」、「発行所『企業B』東京都新宿区西新宿5-10-14・・・」、「定価3,000円」などと記載され、また、フリーダイヤル「FAX:0120・841328」と記載されたFAX注文用紙のページがある、カタログ雑誌である。
同カタログ雑誌の415頁には、「微弱電流で肌の気になる部分に!」などの表示のもと、「00067102 レサージュNewリンクルイレイザーペン」の文字と当該商品の写真が掲載され、その下には、「オススメ!別売り専用スキンケア」の表示のもと、「00044474 レサージュクリーム」、「00047610 レサージュホワイトリッシュ化粧水」の各文字とそれぞれの商品の写真が掲載されており、各商品には、いずれも筆記体で表した「Lessage」の文字が表示されている。
(2)乙第3号証は、平成21年7月31日付けの企業Cから企業Aに宛てた請求書と認められるところ、平成21年7月1日から平成21年7月31日の間の「今回御買上金額」、「消費税額等」、「今回御請求額」の各金額が記載され、備考として、「21.7.31」の品名、数量に「レサージュ クリーム」「8」、「レサージュ ホワイトリッシュ化粧水」「3」、「レサージュ リンクル イレーザーペン」「6」等の記載がされている。
(3)乙第4号証は、企業Aから企業Cに宛てた2009年8月1日にファックス送信された7月末の在庫報告と認められるところ、「商品名」、「6月在庫」、「入計」、「7月在庫」、「売計」の欄があり、「レサージュ(しわ取りクリーム)30g」について、「入計」に「50」、「売計」に「8」、「レサージュ ホワイトリッシュ化粧水 100ml」について、「入計」に「0」、「売計」に「3」と記載されている。
(4)乙第5号証は、2009年7月4日付けの企業Aから企業Cに宛てた発注書と認められるところ、商品名及び数量の欄には「レサージュ(しわ取りクリーム)30g」「50」等の記載がされている。
(5)乙第11号証の1は、平成24年6月6日付けの株式会社スタジオ・ビー(本件商標の商標権者)の履歴事項全部証明書であり、乙第11号証の2は、平成24年5月9日付けの企業Cの履歴事項全部証明書であるところ、両社は、本店の所在地及び代表取締役が同一である。
(6)乙第15号証の1の1は、企業BのB4版のちらしと認められるところ、右下部に「企業B/美容材料の通信販売」、「ご注文・お問い合わせは・・・0120・389713」と記載され、左側に「00048733 リンクルイレイザーペン」、「00047610 別売りレサージュホワイトリッシュ化粧水」、「00044474 別売りレサージュクリーム(30g)」と記載され、その上にそれぞれの商品の写真が掲載されており、「レサージュホワイトリッシュ化粧水」と「レサージュクリーム」とみられる商品には、いずれも筆記体で表した「Lessage」の文字が表示されている。
また、乙第15号証の1の2は、2008年11月17日注文の企業Cから有限会社アピアに宛てた企業B用B4チラシの注文書と認められるところ、品名欄に「レサージュ チラシ(B4 片面カラー)」等、納品先に「企業A」、納品日に「11月21日必着」の記載がされている。
(7)乙第15号証の3の1は、企業BのB4版のちらしと認められるところ、右下部に「企業B/美容材料の通信販売」、「ご注文・お問い合わせは・・・0120・389713」と記載され、左側に「00067102 Newリンクルイレイザーペン」、「00047610 別売りレサージュホワイトリッシュ化粧水」、「00044474 別売りレサージュクリーム(30g)」と記載され、その上にそれぞれの商品の写真が掲載されており、各商品には、いずれも筆記体で表した「Lessage」の文字が表示されている。
また、乙第15号証の3の2は、2009年10月9日注文の企業Cから有限会社アールコーポレーションに宛てたB4企業Bチラシの注文書と認められるところ、品名欄に「B4企業Bチラシ」「片面カラー」等、納品先に「企業A」、納品日に「10月15日必着」の記載がされている。
さらに、乙第15号証の3の3は、有限会社アールコーポレーション埼玉工場から企業C宛てに送付された速達の封筒と認められるところ、お届予定日として「10月15日」の表示がされている。
(8)乙第16号証は、包装箱(2点)と認められるところ、いずれも、筆記体で表した「Lessage」の文字が表示され、「発売元/企業C 東京都渋谷区神宮前2-30-9-205」の記載があり、また、「レサージュ〈クリーム〉¥3,990(本体価格¥3,800)30g」と表示されたものには、「用法用量:適当量のクリームを手にとり、顔、首、手の甲などに薄くのばして下さい。・・・保湿効果できめを整えハリを与え、しわが目だたなくなります。」の記載がされ、「レサージュホワイトリッシュ〈化粧水〉¥3,990(本体価格¥3,800)」と表示されたものには、「用法用量:適量を手にとり、顔、首などにのばして下さい。朝、晩、洗顔後におつけ下さい。」の記載がされている。

2 前記1で認定した事実によれば、以下のとおり判断するのが相当である。
(1)使用の事実について
ア 企業Cは、平成21年7月31日、企業Aに「レサージュクリーム」(以下「使用商品1」という。)を8個、「レサージュホワイトリッシュ化粧水」(以下「使用商品2」という。)を3本販売したものと認められ、使用商品1及び2の包装には、筆記体で表した「Lessage」の文字(以下「使用商標1」という。)が付され、使用商品1の包装には「レサージュ」の文字(以下「使用商標2」という。)も付されている。
イ 企業Cは、2008年(平成20年)11月頃、2009年(平成21年)10月頃及び2010年(平成22年)3月頃に、企業Aを通じ「企業B」のカタログ雑誌又はちらしを頒布し、使用商標1及び「レサージュクリーム」の文字(以下「使用商標3」という。)を表示した使用商品1、並びに、使用商標1を表示した使用商品2の広告をしたことを推認することができる。なお、被請求人が乙第15号証の1の1のちらしに係る送付封筒と主張する乙第15号証の1の3については、荷札の枠外に手書きで「08.11月21日納品」の記載があるものの、荷札自体の年月日欄は空欄であるほか、荷札右上部には「08.10.14」との印字もされていることから、送付日について疑義が残るものの、全体から見ればちらしの作成及び頒布が全く行われなかったと否定することはできない。
(2)使用者
企業Cは、本件商標の商標権者と、その所在地及び代表取締役を同じくするものであるから、通常使用権者として黙示の許諾があったと認め得るものである。
(3)使用に係る商品
使用商品1及び使用商品2は、医薬部外品との表示はなく、肌に塗布するスキンケア商品とみるのが相当であるから、第3類の「化粧品」の範疇に属する商品と認めることができる。
(4)使用に係る商標
使用商標1は、その構成文字「Lessage」に相応して「レサージュ」の称呼を生ずるものであって、特定の観念を有しない造語よりなるものと認められ、本件商標は、その構成文字「レサージュ」に相応して「レサージュ」の称呼を生ずるものであって、特定の観念を有しない造語よりなるものと認められる。してみると、使用商標1と本件商標は、「レサージュ」の称呼を同じくするものであって、いずれも造語よりなるもので観念上相違するものとはいえないから、使用商標1は、商標法第50条第1項のかっこ書きにいう「平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標」に該当するものとみて差し支えないといえる。したがって、使用商標1は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標ということができる。
また、使用商標2は、本件商標と同一の商標と認めることができる。
さらに、使用商標3については、「クリーム」の文字が、化粧品の分野において当該商品が乳状(クリーム状)であることを表す語に過ぎないから、その要部は「レサージュ」である。したがって、使用商標3は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標ということができる。
(5)以上によれば、通常使用権者は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、請求に係る指定商品「化粧品」に含まれるスキンケア用クリーム及び化粧水について、本件商標と同一又は社会通念上同一と認められる、「レサージュ」の商標、「(筆記体で表した)Lessage」の商標又は「レサージュクリーム」の商標を使用していたものと認めることができる。
なお、請求人は、乙第2号証のみでは、これが実際に頒布されたか不明である旨主張するが、乙第2号証は、その表紙(裏表紙、背表紙を含む。)、頁数、ボリュームナンバー、価格、内容の性質等からみて、通信販売のカタログ雑誌としての体裁が十分に備わっているものであり、頒布されることを目的に作成されたものと優に推認することができ、実際に当該カタログ雑誌が頒布されなかったとすべき事情はうかがえない。したがって、乙第2号証に関する請求人の上記主張は理由がない。

3 むすび
以上のとおりであるから、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、通常使用権者が請求に係る指定商品「化粧品」に含まれるスキンケア用クリーム及び化粧水について、本件商標と同一又は社会通念上同一と認められる商標の使用をしていたことを証明したものと認めることができる。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことができない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2012-07-30 
結審通知日 2012-08-02 
審決日 2012-08-20 
出願番号 商願2004-79941(T2004-79941) 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (Y03)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 内山 進
特許庁審判官 前山 るり子
板谷 玲子
登録日 2005-05-20 
登録番号 商標登録第4864583号(T4864583) 
商標の称呼 レサージュ 
代理人 久保 司 
代理人 田畑 浩美 
代理人 西村 雅子 
代理人 宮永 栄 

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