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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Y03
管理番号 1264356 
審判番号 取消2010-300858 
総通号数 155 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2012-11-30 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2010-08-04 
確定日 2012-10-18 
事件の表示 上記当事者間の登録第4776699号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4776699号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、平成15年9月25日に登録出願、同16年5月14日に登録査定がなされ、第3類「せっけん類,化粧品,香料類」を指定商品として、同年6月4日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張
請求人は、「商標法第50条第1項の規定により、本件商標の指定商品第3類『せっけん類,化粧品,香料類』についてその登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証及び甲第2号証を提出している。
1 請求の理由
本件商標は、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもがその指定商品、第3類「せっけん類,化粧品,香料類」について、継続して3年以上日本全国において使用をした事実が存在しないから、商標法第50条の規定によりその登録は取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
(1)本件商標の使用が立証されていないこと
ア 「乙第7号証は、『AOIRECOMMEND/for All Skin Types』と題したアオイ生物科学の『基礎化粧品』についての商品パンフレットであるが、商標権者は、これを商品の問い合わせに対し試供品を送付する際、及び、注文に応じて商品を発送する際に同封している。」と主張しているが、証拠は提出されていない。
イ 「前記商品パンフレットに加えて、商標権者は、乙第8号証として提出の『AOI COSMETIC/アオイ化粧品/スキンケアステップ』と題したスキンケアの方法や情報、アオイ生物化学のせっけんや基礎化粧品の紹介(商品の説明及び金額)等が記載されたリーフレットも同封している。」と主張していが、証拠は提出されていない。
ウ 「さらに平成21年7月4日商品配送分からは、乙第9号証として提出のアオイ生物化学自身が作成した、前記各パンフレットに掲載された商品のセット販売メニューについての案内及び注文書も、試供品申込の者ならびに基礎化粧品購入者に商品を発送する際に同封している。」と主張していが、証拠は提出されていない。
エ 「また、乙第10号証は、試供品に付している商品の内容を説明する表示であるが、当該表示にも本件商標及び『アオイ生物科学』の連絡先が明示されている。」と主張しているが、「試供品に付している。」ことを示す証拠は提出されていない。
オ 「乙第13号証は、この職域販売の際使用している各種化粧品についての『ポップ広告』であり、いずれにも本件商標が付されている。」と主張しているが、乙第13号証が、「この職域販売の際使用している」ことを示す証拠は提出されていない。
カ 「また、商品購入者に対しては、先に提出の商品パンフレット(乙第7号証及び乙第8号証)や通信販売の注文書(乙第9号証)を商品と併せて渡している。」と主張しているが、乙第7号証、乙第8号証及び乙第9号証が、商品購入者に対して、「商品と併せて渡している。」ことを示す証拠は提出されていない。
キ 「先に乙第13号証として提出のポップ広告は、この店頭カウンセリングにおいても使用している。また、先に示した商品パンフレット(乙第7号証及び乙第8号証)や通信販売の注文書(乙第9号証)も店頭に常備し、店頭において販売促進の広告として使用するほか、商品購入者に対し商品の包装をする際同封して配布している。」と主張しているが、「乙第13号証として提出のポップ広告は、この店頭カウンセリングにおいても使用している」ことを示す証拠は提出されていない。
ク 乙第7号証、乙第8号証及び乙第9号証が、「店頭に常備し、店頭において販売促進の広告として使用する」ことを示す証拠は提出されていないし、「商品購入者に対し商品の包装をする際同封して配布している。」ことを示す証拠も提出されていない。
以上のように、被請求人は、本件商標が表示されたパンフレット等が、商品と同封されていたり、店頭に常備されていることについて、何らの証拠も提出していないから、被請求人は、本件商標の使用を立証するための何らの証拠も提出していない。
(2)乙第7号証ないし乙第10号証及び乙第13号証における、「三相乳化」の表示は、化粧品の製法を示すにすぎず、商標的使用態様における使用ではない。
乙第7号証ないし乙第10号証及び乙第13号証のパンフレット等が、商品と同封されていたり、店頭に常備されていることについて、何らの証拠も提出されていない以上、使用事実の立証はなされていないことになるのであるが、そもそも、乙第7号証ないし乙第10号証及び乙第13号証のパンフレット等における「三相乳化」の表示は、化粧品の製法を示すにすぎず、商標的使用態様における使用ではない。
ア 乙第7号証について
乙第7号証には、「三相乳化をご存知ですか」、「三相乳化と呼ばれる技術を取り入れ化粧品を作りました。」、「天然素材で三相乳化されたアオイ生物科学の化粧品を毎日使い続けますと」、「三相乳化の基礎化粧品」との記載がある。
以上の記載から、需要者は、「三相乳化」は化粧品の製法を示すにすぎず、化粧品の名称を示すものではないと認識するのが当然である。需要者の認識としての化粧品の商標は、乙第7号証に記載の商品に表示された「AOIRECOMMEND/BEAUTY PACK」、「AOIRECOMMEND/MOISTURE CREAM」、「AOIRECOMMEND/SKIN LOTION」、「AOIRECOMMEND/OIL」等である。
イ 乙第8号証について
乙第8号証には、「人間の皮脂の組成に最も近く完成された三相乳化した乳液」、「三相乳化されたクリーム」、との記載がある。
以上の記載から、需要者は、「三相乳化」は、化粧品の製法を示すにすぎず、化粧品の名称を示すものではないと認識するのが当然である。乙第8号証は、そもそも、肌の手入れ方法(スキンケアステップ)を示すパンフレットにすぎず、化粧品の商標は表示されていないとも思われるが、あえて化粧品の商標というのであれば、乙第8号証に記載の「クレンジング」、「ソープ」等である。
ウ 乙第9号証について
乙第9号証には、「自然の素材を、三相乳化をして」、との記載がある。
以上の記載から、需要者は、「三相乳化」は化粧品の製法を示すにすぎず、化粧品の名称を示すものではないと認識するのが当然である。需要者の認識としての化粧品の商標は、乙第9号証の「注文書」に記載の「スキンローション」、「スキンミルク」等である。
エ 乙第10号証について
乙第10号証には、「人間の皮脂の組成にかぎりなく近い素材で三相乳化の技術を取り入れた製品です。」、「洗顔のあと化粧水をつけ、三相乳化した乳液とクリームをキュッとなるまで皮脂線にすり込んで下さい」、「当社の化粧水、三相乳化した乳液」との記載がある。
以上の記載から、需要者は、「三相乳化」は化粧品の製法を示すにすぎず、化粧品の名称を示すものではないと認識するのが当然である。需要者の認識としての化粧品の商標は、乙第10号証に記載の「AOI COSMETIC/基礎化粧品」及び「AOI COSMETIC/コットン」である。
オ 乙第13号証について
乙第13号証には、「人間の皮脂の組成にかぎりなく近い天然の素材を三相乳化した基礎化粧品です。」、「三相乳化されています。」、「三相乳化したハンドクリーム」、「三相乳化しておりますのでキュッとなるまで皮脂線に浸透させます」、「天然素材の三相乳化した栄養クリーム」との記載がある。
以上の記載から、需要者は、「三相乳化」は、化粧品の製法を示すにすぎず、化粧品の名称を示すものではないと認識するのが当然である。需要者の認識としての化粧品の商標は、乙第13号証に記載の「AOI COSMETIC」及び「ハンドクリーム」等である。
以上から、乙第7号証ないし乙第10号証及び乙第13号証のいずれの記載も「三相乳化」を化粧品の製法を示すものとして使用しているにすぎず、商標的使用態様には該当しない。なお、乙第7号証ないし乙第10号証及び乙第13号証において、「三相乳化」の文字が通常の表示態様ではなくて、本件商標と同様に暖簾の中に白抜きで記載されているが、そうであっても、化粧品の製法を示すものとして使用されているにすぎないことに変わりない。
(3)注文書等に「三相乳化」の表示が一切ないこと
乙第11号証及び乙第12号証、乙第14号証ないし乙19号証は、被請求人の商品の注文書等であるが、これらの注文書等には、本件商標が一切記載されていない。この事実は、「三相乳化」を化粧品の商標として使用しているという被請求人の主張とは乖離するものであり、本件商標が指定商品に使用されていないことを推認させるものである。
なお、乙第18号証の最終ページに通常の表示態様で「乳液と同様、三相乳化された製品です。」との記載があるが、当該記敵中の「三相乳化」は製法を示すにすぎず、商標的使用態様ではない。
(4)その他
以上において、被請求人が、本件商標を指定商品に使用していたことを立証していないことは明らかであるが、被請求人の主張が証拠を欠くものであったり、証拠がそもそも本審判においては採用され得ないものである点が散見される。
ア 乙第3号証について
乙第3号証の第1ページないし3ページには、何らの日付も記載されていないから、所定期間における商標の使用を問題とする本審判にける証拠としての能力ないし価値を有さない。乙第3号証の最終ページには日付けの記載があるが、ウェブサイトにおける日付けの改変が自在であることは周知であることから、商標の使用を問題とする本審判にける証拠としての能力ないし価値を有さない。
イ 乙第4号証について
乙第4号証には日付けの記載があるが、ウェブサイトにおける日付けの改変が自在であることは周知であることから、商標の使用を問題とする本審判にける証拠としての能力ないし価値を有さない。
ウ 乙第5号証及び乙第6号証について
「ホームページの『今後の取り組みについて』(乙第5号証)及び2010年10月14日打ち出しの『試供品のご提供』(乙第6号証)の項にあるとおり、アオイ生物科学では、問い合わせに対して試供品を配布し、フリーダイヤル、メール及びファックスにより注文を受けて商品を送付している。」と主張する。
しかし、乙第5号証は、被請求人自身が主張するように「今後の取り組みについて」記載するにすぎず、「問い合わせに対して試供品を配布し、フリーダイヤル、メール及びファックスにより注文を受けて商品を送付している。」ことの証拠にはならない。また、ウェブサイトにおける日付けの改変が自在であることは周知であることから、乙第5号証は、商標の使用を問題とする本審判にける証拠としての能力を有さない。
さらに、乙第6号証は、本件審判請求後の日付けが記載されているから、なおさら、本件審判における証拠にはなり得ない。
エ 乙第7号証について
「なお、商品パンフレットは、もとは東京都杉並区所在のリード印刷にて印刷したものを配布していたが、最近は、印刷費用ならびに重量による郵送費用の軽減を考慮して、平成20年1月27日にリード印刷にて印刷したものを原本として両面コピーして使用しており、乙第7号証は、実際に配布している商品パンフレットそのものである。」と主張する。
しかし、上記主張を裏付ける証拠は一切提出されていないから、上記主張には理由がない。また、乙第7号証には、日付けすら記載されておらず、所定期間内の商標の使用を問題とする本審判の証拠とはなり得ない。
オ 乙第8号証及ないし乙第10号証拠について
乙第8号証ないし乙第10号証には、日付けすら記載されておらず、所定期間内の商標の使用を問題とする本審判の証拠とはなり得ない。
カ 乙第11号証ないし乙第19号証について
「被請求人が販売する商品は、設立以来現在に至るまで、本答弁書の乙第7号証及び乙第9号証に示された『人間の皮脂が三相になっていることに着目した、人間の皮脂線の皮脂の組織に限りなく近い天然素材を用いて独自に製造した基礎化粧品』1種類のみである」と主張する。
しかし、上記主張を裏付ける証拠は一切提出されていないから、上記主張には理由がない。さらに、仮に、被請求人の商品が上述の1種類のみであったとしても、上記のように、当該1種類の商品に本件商標を使用した証拠は、提出されていない。
以上のように、被請求人は、本件商標を使用した証拠提出していない。また、被請求人が提出した証拠は、日付が記載されていなかったり、改変が自在なウェブサイトの写しであり、本審判における証拠としての能力ないし価値はない。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第20号証(枝番号を含む。ただし、以下、枝番号のすべてを引用する場合は、その枝番号の記載を省略する。)を提出している。
(1)本件商標の権利者である被請求人「株式会社アオイ生物科学」(以下「アオイ生物科学」という。)は、昭和59年5月2日に化粧品製造・販売を事業内容として設立(乙2)、その後日本大学工学部助教授として同大学で皮脂の研究をしていた佐藤寅男が30年余りの研究の結果完成した、人間の皮脂に着目した独自の技術を取り入れて、人間の皮脂に限りなく近い天然素材を用いて皮膚になじみやすく、浸透や吸収にすぐれた化粧品を佐藤及び皮膚科医と共に共同開発し(乙3)、製造・販売して現在に至る。
そして、被請求人は、この自身が製造・販売する一連の基礎化粧品についての商標として、本件商標登録直後から本件商標の使用を開始し、現在まで一貫して同商標を使用するものである。
なお、被請求人の商品は、職域販売及び通信販売されているほか、小売店等における店頭・通信販売といった方法で、一般消費者に販売されている。
(2)現在、被請求人の主たる商品販売方法は、2009年12月11日打ち出しのホームページの「ご注文方法」の項(乙4)にあるとおり、インターネットの商品紹介を通じての通信販売、あるいは後述の職域販売や店頭販売により購入したことのあるリピーターや口コミを通じての購入希望者への通信販売である。ホームページの「今後の取り組みについて」(乙5)及び2010年10月14日打ち出しの「試供品のご提供」(乙6)の項にあるとおり、アオイ生物科学では、問い合わせに対して試供品を配布し、フリーダイヤル、メール及びファックスにより注文を受けて商品を送付している。
乙第7号証は、「AOIRECOMMEND/for All Skin Types」と題したアオイ生物科学の「基礎化粧品」についての商品パンフレットであるが、商標権者は、これを商品の問い合わせに対し試供品を送付する際、及び、注文に応じて商品を発送する際に同封している。
当該パンフレットは、表面を一見して明らかなように「化粧品、せっけん」に関する商品パンフレットであるところ、「三相乳化の基礎化粧品」、「三相乳化をご存じですか」など、本件商標が大きく表示されている。また、裏面には、「スキンローション」「モイスチャークリーム」「クリームソープ」等、各種の化粧品及びせっけんの写真と販売価格、商品の説明等が掲載されると共に、その下方には、商標権者「アオイ生物科学」の名称・住所等が明示されている。
なお、商品パンフレットは、印刷したものを配布していたが、最近は、両面コピーして使用しており、乙第7号証は、実際に配布している商品パンフレットそのものである。
(3)前記商品パンフレットに加えて、商標権者は、乙第8号証として提出の「AOI COSMETIC/アオイ化粧品/スキンケアステップ」と題したスキンケアの方法や情報、アオイ生物化学のせっけんや基礎化粧品の紹介(商品の説明及び金額)等が記載されたリーフレットも同封している。
さらに、平成21年7月4日商品配送分からは、乙第9号証として提出のアオイ生物科学が自身で作成した、前記各パンフレットに掲載された商品のセット販売メニューについての案内及び注文書も、試供品申し込みの者並びに基礎化粧品購入者に商品を発送する際に同封している。
これら乙第8号証及び乙第9号証にも、本件商標及び「アオイ生物科学」の名称・連絡先等が明示されている。
また、乙第10号証は、試供品に付している商品の内容を説明する表示であるが、当該表示にも本件商標及び「アオイ生物科学」の連絡先が明示されている。
(4)以上の各証拠資料は、被請求人が本件商標を「せっけん,化粧品」について使用していることを明らかに示すものである。
そして、上記本件商標の使用が、本審判請求の登録前3年以内であることを示す取引書類として、平成19年1月?平成21年10月における、株式会社ベルライン及び株式会社システム・ラインからアオイ生物科学あてに送付された「フリーダイヤルによる注文書」(乙11の1及び2)並びに顧客からアオイ生物科学あてに送付された「ファックスによる注文書」(乙12の1ないし3)の中から、一部の写しを提出する。
各注文書には、単に「スキンローション」「モイスチャークリーム」(化粧品)、「クリームソープ」「ラベンダー石鹸」(せっけん類)等と商品種別のみが記載され、特に商品名・商標は明示されていないが、被請求人が販売する商品は、設立以来現在に至るまで、本答弁書の乙第7号証及び乙第9号証に示された「人間の皮脂が三相になっていることに着目した、人間の皮脂腺の皮脂の組織に限り無く近い天然資材を用いて独自に製造した基礎化粧品」1種類のみであることから、当該取引書類は、被請求人が当該商標を使用した「せっけん,化粧品」を販売している証左として何らの疑義を生ずるものではない。
(5)また、商標権者は、職域販売も行っている。アオイ生物科学の商品販売のスタートは、昭和59年の日本電信電話公社関西・関東での職域販売であり、その後、三菱グループ各社・大和銀行・三井住友信託ほか、いろいろな会社においてスペースを借りて美容相談コーナーを置き、デモンストレーションを行って商品の販売をしている。
乙第13号証は、この職域販売の際使用している各種化粧品についての「ポップ広告」であり、いずれにも本件商標が付されている。
なお、これらには「アオイ生物科学」の名称は記載されていないが、「ポップ広告」というのは、店頭で用いられる販売促進のための広告媒体であって、商品の価格や説明文、推奨ポイント等を簡単に記載して口頭説明の補助をするものであるから、「アオイ生物科学」の名称・看板の下に行う職域販売において使用するポップ広告に「アオイ生物科学」の名称が記載されていないことは当然であり、これをもって本件商標の使用者が特定できないということにはならない。
また、商品購入者に対しては、先に提出の商品パンフレット(乙7、乙8)や通信販売の注文書(乙9)を商品と併せて渡している。
なお、アオイ生物科学が平成19年から平成22年において、実際に職域販売を行っていたことの証左として、株式会社丸の内よろずへの「展示販売申込書」(乙14)、東京海上日動コーポレーション株式会社からの「展示会の日程のご連絡」(乙15)及びMSK商事株式会社物販事業部あての「三井住友海上・展示販売出店申込書」(乙16)を提出する。
(6)さらに、被請求人は、2010年6月2日打ち出しのクレヨンハウスのホームページにあるように、東京都港区北青山3-8-15に所在のオーガニックコスメ等の専門店である「ミズ・クレヨンハウス」(株式会社クレヨンハウス)においても、定期的に化粧品の店頭カウンセリング(乙17)を行い、店内にて「せっけん,化粧品」を販売しているほか、当該クレヨンハウスのホームページ内の通販サイト(オーガニックタウン/Organic town)を介して、被請求人の商品が販売されている(乙18)。
先に乙第13号証として提出のポップ広告は、この店頭カウンセリングにおいても使用している。また、先に示した商品パンフレット(乙7、乙8)や通信販売の注文書(乙9)も店頭に常備し、店頭において販売促進の広告として使用するほか、商品購入者に対し商品の包装をする際同封して配布している。
乙第19号証は、ミズ・クレヨンハウスからの注文書・在庫管理表であるが、これは、被請求人が平成19年から平成21年において、実際にミズ・クレヨンハウスで商品を販売していたことを明らかに示すものである。
(7)なお、本件商標については、平成20年10月2日付けで、本審判請求と同様に指定商品「せっけん類,化粧品,香料類」について不使用取消審判を請求(取消2009-301102)されたが、本答弁書においても提出した前記証拠資料に基づき、平成22年7月14日付けで「被請求人は、商標権者及び通常使用権者によって、本件商標を請求に係る商品中の『化粧品』について使用していたことを証明したというべきであり、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すべきではない。」との審決(乙20)がなされたことを付言する。

第4 当審の判断
1 乙各号証及び被請求人の主張によれば、以下のとおりである。
(1)乙第3号証は、被請求人の取扱いに係る基礎化粧品の特性についての説明書と2009年11月18日付け打ち出しの被請求人のホームページである。その内容は、被請求人であるアオイ生物科学の基礎化粧品の特性に関するものであり、本件商標と同一の商標を使用した「『三相乳化』した基礎化粧品」の項目の記載がある(なお、『三相乳化』の部分は、別掲の本件商標を表示したものである。以下、同様とする。)。
(2)乙第4号証は、2009年12月11日付け打ち出しの被請求人のホームページである。その内容は、被請求人の基礎化粧品の注文方法であり、これによれば、その基礎化粧品は、フリーダイヤル、メール、ファックスの注文方法により通信販売されているものである。
(3)乙第5号証は、2009年12月11日付け打ち出しの被請求人のホームページである。その内容には、「私共は、試供品を無料で26年間配布して続けています。無名の企業は、配布の試供品が広告、宣伝費だと思い現在も続けています。」の記載がある。
(4)乙第6号証は、2010年10月14日付け打ち出しの被請求人のホームページである。その内容には、「試供品のご提供」の項のもと、「問い合わせに対して試供品を配布し、フリーダイヤル、メール及びファックスにより注文を受けて商品を送付している。」旨の記載がある。
(5)乙第7号証は、被請求人の基礎化粧品に関する商品パンフレットである。その表面左側上部には、「AOIRECOMMEND/for All Skin Types」の記載があり、それよりやや下がった右側には、「21世紀は『三相乳化』の/基礎化粧品が/あなたの人生観を変えます」の記載がある。
また、左側中央部分には、「『三相乳化』をご存知ですか」の記載があり、複数の化粧品の写真が掲載されている。
そして、この商品パンフレット裏面には、「スキンローション」「スキンミルク」「モイスチャークリーム」等の表示とともに商品の写真が掲載され、その金額、商品の説明等の記載がある。
(6)乙第8号証は、「AOI COSMETIC/アオイ化粧品/スキンケアステップ」を表題とするスキンケアの方法等が記載された説明書である。
乙第9号証は、乙第7号証のパンフレットに掲載された商品のセット販売メニューについての案内及び注文書である。
そして、被請求人の主張によれば、試供品の申し込みの者並びに基礎化粧品の購入者に商品を発送する際に乙第8号証及び乙第9号証を同封しているということである。
(7)乙第10号証は、「基礎化粧品(試供品)」及び「コットン(試供品)」についての説明が記載された2枚のカード状の説明書である。そして、説明文中には本件商標と同じ『三相乳化』の表示が使用されている。また、被請求人の主張によれば、この説明書は、試供品に付しているということである。
(8)乙第11号証は、平成19年8月ないし平成21年10月における、株式会社ベルライン又は株式会社システム・ラインから被請求人宛に送られた、フリーダイヤルからの化粧品に関する注文が書かれた書面である。
乙第12号証は、同じく平成20年6月ないし平成21年10月における、顧客から被請求人宛に送られた、メール・FAX・電話からの化粧品に関する注文が書かれた書面である。
(9)被請求人の主張によれば、被請求人が販売する商品は、設立以来現在に至るまで、答弁書の乙第7号証及び乙第9号証に示された「基礎化粧品」1種類のみである。

2 上記1を総合してみると、被請求人に係る商品パンフレット(乙7)には、本件商標と同一の商標が付されており、そこには、「スキンローション」「スキンミルク」等の化粧品が掲載されている。また、該商品パンフレットは、試供品及び注文品を顧客に発送する際に同封しているものである。
そして、被請求人は、FAX、フリーダイヤル等による、上記商品パンフレットに掲載されている化粧品の注文を、自社で受け付けるほか、株式会社ベルライン又は株式会社システム・ラインを通じて行い、その注文に基づいて、平成19年1月ないし平成21年10月頃に「化粧品」を販売したことが推認できるものである。
してみれば、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内の平成19年8月ないし平成21年10月頃に本件商標を「化粧品」についての商品パンフレットに使用し、その商品を販売したことが推認できるものであるから、被請求人のパンフレットによる広告、宣伝及び販売行為をもって、商標法第50条に規定する商標権者による本件商標の「使用」があったものと認めることができるというべきである。
なお、請求人は、「商品パンフレットを商品の問い合わせに対し試供品を送付する際、及び、注文に応じて商品を発送する際に同封していることについて、証拠は提出されていない。」旨を主張している。
しかしながら、被請求人の会社における化粧品の販売がFAX、フリーダイヤル等による通信販売を主とする注文販売であることからすれば、商品パンフレットを試供品を送付する際、及び注文に応じて商品を発送する際に同封していることに何ら疑念の余地はないというべきである。
さらに、請求人は、「乙第7号証ないし乙第10号証及び乙第13号証のいずれの記載も『三相乳化』を化粧品の製法を示すものとして使用しているにすぎず、商標的使用態様には該当しない。」旨を主張している。
しかしながら、乙第7号証の商品パンフレットにおいて、「21世紀は『三相乳化』の/基礎化粧品が/あなたの人生観を変えます」、「『三相乳化』をご存知ですか」の記載中の『三相乳化』の表示は、化粧品の製法を示すものとしての使用とはいえない。
また、本件商標である『三相乳化』の構成態様をもって、その商品の製法等の説明に使用したとしても、単なる製法等の説明に止まるものではなく、該商標部分が看者の注意を強く惹きつけるものであり、商標を同時に使用しているといっても差し支えないというべきである。
よって、これらの請求人の主張は、いずれも採用できない。

3 まとめ
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者によって、本件商標を請求に係る商品中の「化粧品」について使用していたことを証明したものというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第50条の規定により、その登録を取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別 掲(本願商標)




審理終結日 2011-06-03 
結審通知日 2011-06-07 
審決日 2011-06-23 
出願番号 商願2003-83100(T2003-83100) 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (Y03)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 芦葉 松美
特許庁審判官 井出 英一郎
渡邉 健司
登録日 2004-06-04 
登録番号 商標登録第4776699号(T4776699) 
商標の称呼 サンソーニューカ 
代理人 瀧野 文雄 
代理人 今井 貴子 
代理人 川崎 隆夫 
代理人 瀧野 秀雄 

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