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審決分類 |
審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 012 |
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管理番号 | 1264332 |
審判番号 | 取消2012-300095 |
総通号数 | 155 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2012-11-30 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2012-02-09 |
確定日 | 2012-09-18 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第4332912号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 登録第4332912号商標の商標登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標
本件登録第4332912号商標(以下「本件商標」という。)は、「DFK」の欧文字を横書きしてなり、平成11年1月18日に登録出願、第12類「自動車の天井材・ドアトリム・トランクルームの内張り等用に成形された繊維、プラスチックあるいはそれらの組合せからなる内装材」を指定商品として、同11年11月5日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。 第2 請求人の主張 請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第8号証(枝番を含む。)を提出した。 1 請求の理由 請求人の調査では、被請求人は、過去3年以上にわたって、我が国において本件商標を指定商品について使用していないことが判明した。 2 答弁に対する弁駁 (1)被請求人は、通常使用権者である、有限会社デーエフケー(以下「デーエフケー」という。)が、本件商標を商品「不織布にDFK樹脂と称するフェノール系樹脂を含浸させて成形した加工不織布からなる商品」に審判請求予告登録日前3年以内に使用していると主張する。 しかしながら、これらの証拠によっては、本件商標が、通常使用権者により、指定商品「自動車の天井材・ドアトリム・トランクルームの内張り等用に成形された繊維,プラスチックあるいはそれらの組み合わせからなる内装材」に使用されていることを立証しているとはいえない。 なお、乙第5号証の3及び乙第7号証、甲第3号証が示すとおり、「DFK」は、不織布の原材料の一般名称である。本件商標は、「DFK樹脂を用いた不織布」程度にしか認識されず、そもそも、本件商標の使用に係る商品「不織布」について識別力を持つ商標とはいえない。 (2)本件商標は、通常使用権者である、デーエフケーにより使用されていると主張するが、デーエフケーが本件商標の通常使用権者である旨を立証する証拠が提出されていないから、本件商標が通常使用権者により使用されていないことは明らかである。 (3)本件商標の指定商品は、「自動車の天井材・ドアトリム・トランクルームの内張り等用に成形された繊維,プラスチックあるいはそれらの組み合わせからなる内装材」であるから、当該指定商品について、本件商標が使用されていることを立証する必要があるが、被請求人の提出した証拠では、このような事実は立証されていない。 被請求人の提出した証拠(乙第1号証ないし乙第7号証)によると、本件商標が使用されているのは、商品「不織布」であることは、明らかである。 すなわち、これらの証拠によれば、本件商標は、自動車の部品として使用される商品の素材としての「不織布」について使用されているのであり、指定商品に使用されているとはいえない。 被請求人の提出した証拠には、本件商標の使用に係る商品が自動車会社と取引されたことを立証するものがない。かかる点からも、本件商標の使用に係る商品「不織布」が指定商品に含まれないことは明らかである。 乙第3号証の3は、企業Aとの取引を示すものであるが、企業Aは、グラスウールを製造するメーカーであり、自動車会社ではない(甲第4号証)。 乙第4号証の4は、企業Bとの取引を示すものであるが、企業Bは、グラスウールを製造するメーカーであり、自動車メーカーではない(甲第5号証)。 「不織布」は、これらの会社が製造するグラスウールの表皮材として使用されものである(甲第6号証)。 「不織布」は、指定商品に成形され得るとしても指定商品の原材料にすぎない。原材料への商標の使用は、完成品への商標の使用とは異なる。完成品として成形される前は、24類の商品に分類されるものである(甲第7号証)。このことは、過去、用途の限定されている「不織布」が24類に分類されていることからも明らかである(甲第8号証の1ないし甲第8号証の8)。 第3 被請求人の答弁 被請求人は、本件審判は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める、と答弁し、その理由を以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第7号証(枝番を含む。)を提出した。 1 答弁の理由 (1)使用の実態 被請求人は、不織布にDFK樹脂と称するフェノール系樹脂を含浸させて成形した加工不織布からなる商品を平成15年3月から製造し、本件商標を付したうえで、被請求人の製品販売を担当するデーエフケーを通じて複数の自動車関連メーカーに販売している。なお、デーエフケーは、被請求人の子会社であり、かつ本件商標の通常使用権者である。 (2)商品の態様 当該商品は、ロール状に包装し、本件商標が印刷されたラベルを貼付している(乙第1号証)。 (3)本件商標が印刷されたラベル 被請求人は、平成20年4月9日から現在に至るまで、八州商事(株)に適宜、本件商標を印刷した当該ラベルを発注している(乙第2号証の1ないし乙第2号証の10)。 (4)商品Aに関する平成23年度(2011年度)の販売実績 乙第1号証の1にかかる商品(種類 商品A)を被請求人が企業Aに対して供給した実績を示す(乙第3号証の1ないし4)。 当該商品(種類 商品A)に関しては、乙第3号証の1に記載のとおり、平成23年11月以降は、ほとんど使用しなくなったので、被請求人において停滞在庫として保存されていた。乙第1号証の1は、上記停滞在庫されていた当該商品を写真撮影したものである。 (5)商品B及び商品Cに関する平成23年度(2011年度)の販売実績 乙第1号証の2にかかる商品(種類 商品B及び商品C)を被請求人が企業Bに対して供給した実績を乙第4号証によって証する。 商品Cは、企業Bの下請け会社である企業Cに供給され、企業Cは、当該商品を所定の形状に成型して、企業Bに供給している。 (6)当該商品の広告宣伝 被請求人が運営するインターネットホームページ(最終更新日2011年12月20日)には、2005年7月8日から現在に至るまで「PRODUCTS」として「DFK加工不織布」が掲載されていることを乙第5号証によって証する。 (7)本件商標の周知性 本件商標は、業界に広く知れわたり、現在までに「DFK樹脂」を記載した公開特許公報が75件存在する。このことは、DFKという商標があまねく業界に知られていることを示す(乙第6号証)。 特に本件請求人自らが明細書に「DFK樹脂」を記載した特許出願が公告となっている(乙第7号証)。 第4 当審の判断 被請求人は、通常使用権者である「デーエフケー」が、要証期間内に、取消請求に係る商品中「不織布にDFK樹脂と称するフェノール系樹脂を含浸させて成形した加工不織布からなる商品」に本件商標「DFK」を付した上で、複数の自動車メーカーに販売していた旨主張する。 1 そこで、被請求人の提出に係る乙各号証及び請求人の提出に係る甲各号証によれば、以下の事実が認められる。 (1)乙第1号証の1及び2は、「商品写真」とするものであるところ、これらは、ラベルが貼付され、黒色のロール状に巻かれた商品及びその拡大写真、それを包装した商品の写真であり、ラベルには赤色の6角形枠内に「DFK」が配された標章が表示されている。そして、そのラベルには、「メーユカペーパー」、「有限会社デーエフケー」の文字とともに、乙第1号証の1には、品番「商品A」、乙第1号証の2には、品番「商品B」及び「商品C」の記載がある。 (2)乙第3号証の1は、企業Aからデーエフケーに対する平成23年11月度の「注文書」とするものであり、そこには、品番「商品A」の記載がある。 乙第3号証の2は、被請求人からデーエフケーに対する平成23年11月11日付け「売上伝票」であり、そこには、「メーユカペーパー商品A」、下方に「企業A(株)」の記載がある。 乙第3号証の3は、デーエフケーから企業Aに対する平成23年11月1日付け「売上伝票」であり、そこには、「メーユカペーパー商品A」の記載がある。 乙第3号証の4は、平成23年11月11日のデーエフケーの配送日報とするものであり、そこには、「納入先」として「企業AKK」とあり、品名欄に「メーユカペーパー商品A」の記載がある。 (3)乙第4号証の1は、企業Cから被請求人に対する平成23年11月度の「発注書」であり、そこには、商品番号として「商品B」及び「商品C」の記載がある。 乙第4号証の2及び3は、被請求人からデーエフケーに対する平成23年11月11日付け及び同年同月15日付けの「売上伝票」であり、いずれもその品名欄に、「メーユカペーパー商品B」、下方に「企業B→工場A」の記載がある。 乙第4号証の4及び5は、デーエフケーから企業Bに対する平成23年11月15日付けの「売上伝票」であり、いずれもその品名欄に、「メーユカペーパー商品B」、下方に「工場A 11/17分」の記載がある。 乙第4号証の6は、デーエフケーの平成23年11月15日の配送日報とするものであり、そこには、納入先として「工場A」とあり、その品名欄に、「メーユカペーパー商品B」の記載がある。 乙第4号証の7及び8は、いずれも被請求人のデーエフケーに対する平成23年11月4日付け「売上伝票」であり、その品名欄に、「メーユカペーパー商品C」、下方に「企業B→工場A 11/8分」の記載がある。 乙第4号証の9及び10は、いずれもデーエフケーの企業Bに対する平成23年11月4日付け「売上伝票」であり、その品名欄に、「メーユカペーパー商品C」、「工場A 11/8分」の記載がある。 乙第4号証の11は、デーエフケーの平成23年11月15日の配送日報とするものであり、そこには、納入先として「工場A」とあり、その品名欄に、「メーユカペーパー商品C」の記載がある。 (4)乙第5号証の1ないし7は、最終更新日を2011年12月20日とする被請求人のインターネットホームページであり、「製品案内」の「DFK加工不織布/[メーユカペーパー/メーユクロス]」の項に、「名古屋油化が独自の技術で開発したDFK樹脂(熱硬化性樹脂)を、不織布に含浸、塗布加工したものをプレキュアさせたプリプレグ材です。」等の商品説明と共に、乙第1号証と同一視得る、黒色のロール状に巻かれた商品写真が掲載されている(乙5の3)。 また、「DFK加工不織布」の「使用部位」として、「主に自動車エンジンルーム内の各種 吸・遮音部品のコア材(グラスウール・レジンフェルト・PETフェルト・ウレタン等)の表皮材として使用されています。車両の中でより高い音性能が求められる自動二輪においても、耐熱、吸・遮音部品の表皮材として使用されています。」との記載がされている(乙5の4)。 さらに、「DFK加工不織布」の「特徴」として、「硬化後の成型物は、形状保持及び難燃、撥水、撥油、撥軽油が同時に付与されますので、成型工程の合理化が可能です。」との記載がされている(乙5の5)。 (5)甲第4号証は、企業Aのウェブサイトであり、「自動車部材事業部」の項に、「愛知県の知立、安城、三重県大安にある3つの工場で、自動車ガラス、タイヤ・ホイールの組付加工、グラスウールの成形加工を行っています。工場毎で異なる車種を扱い、納入先に近い場所に生産拠点を設け、ジャストインタイムで各自動車組立工場に納入しています。」との記載、「GW(グラスウール)成形工場」の項に、「その特性を活かし、自動車部品に限らず、建築分野などあらゆる場面で活用される製品の成形加工を行っています」との記載がある。 (6)甲第5号証は、企業Bのウェブサイトであり、「製品情報」の「ガラス繊維」の項には、「ガラス長繊維(グラスファイバー)、ガラス短繊維(グラスウール)ともに、自動車関連、環境等の分野で採用されています。」との記載、「グラスウール成形吸音材」の項には、「グラスウール製インシュレーターは、他の素材と比較して軽量で優れた吸音性能を発揮します。・・・主に自動車の車室外用途としてエンジンからエキゾーストパイプ周辺までの吸音・断熱材として広く採用されております。/自動車用プレス成型品/当社は原綿生産から成型加工までの国内唯一の一貫生産工場として、お客様の多様なニーズにお応えします。」との記載がある。 2 前記1で認定した事実及び被請求人の主張によれば、被請求人が本件商標を「不織布にDFK樹脂と称するフェノール系樹脂を含浸させて成形した加工不織布からなる商品」に使用したとする商品は、「DFK樹脂(熱硬化性樹脂)を、不織布に含浸、塗布加工したものをプレキュアさせたプリプレグ材です。」等の商品説明と商品写真等(乙5の3ないし5)及びその荷姿(乙1)からすれば、成形加工されていない「不織布にDFK樹脂と称するフェノール系樹脂を含浸させて成形した加工不織布」(以下「使用商品」という。)であると認め得るものである。 このことは、被請求人が製造する使用商品を子会社であるデーエフケーを通して、乙第1号証の1及び2の商品を、要証期間内に、企業A及び企業Bに販売したものと認められるところ、企業A及び企業Bは、被請求人が述べる「自動車関連メーカー」ではなく、自動車の吸音材などの部品のグラスウールの成形加工等を行っているメーカーであることからも、裏づけられるものである。 すなわち、企業A及び企業Bは、自動車エンジンルーム内の各種 吸・遮音部品のコア材(グラスウール等)の表皮材として使用される(乙5の4)使用商品をデーエフケーから買い受けて、自動車用の吸音材などの部品に成形加工しているということがいえる。 また、被請求人は、「商品C(使用商品)は、企業Bの下請け会社である企業Cに供給され、企業Cは、当該商品を所定の形状に成型して、企業Bに供給している」旨の主張していることからも、被請求人は、使用商品が成形加工していないものであることを自白しているものである。 さらに、売上伝票(乙4の2ないし5、乙4の7ないし10)及び配送日報(乙4の6及び11)における「企業C」等の記載からも、使用商品は、デーエフケーから企業Cを介して成形加工され、企業Bに供給していることが推認される。 そして、請求に係る本件商標の指定商品は、第12類「自動車の天井材・ドアトリム・トランクルームの内張り等用に成形された繊維、プラスチックあるいはそれらの組合せからなる内装材」であるところ、使用商品は、第24類に属する「不織布」の範疇に属する商品であって、上記請求に係る商品に含まれないこと明らかである。 その他、本件商標が、取消請求に係る指定商品について使用されていた事実を認めるに足る証拠は提出されていない。 してみれば、たとえ、デーエフケーが本件商標についての通常使用権者であるとしても、使用商品が、本件取消請求に係る指定商品に含まれることを前提として、本件商標が審判の請求の登録前3年以内に通常使用権者により使用をしていたという被請求人の主張及び立証は、その前提を欠くものである。 3 まとめ 以上のとおりであるから、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが請求に係る指定商品について、本件商標の使用をしていたことを証明し得なかったものといわざるを得ない。 したがって、本件商標の登録は、その指定商品である「自動車の天井材・ドアトリム・トランクルームの内張り等用に成形された繊維、プラスチックあるいはそれらの組合せからなる内装材」について、商標法第50条の規定により、取り消すべきものとする。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2012-07-24 |
結審通知日 | 2012-07-27 |
審決日 | 2012-08-09 |
出願番号 | 商願平11-3835 |
審決分類 |
T
1
31・
1-
Z
(012)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 山口 烈 |
特許庁審判長 |
小林 由美子 |
特許庁審判官 |
鈴木 修 小川 きみえ |
登録日 | 1999-11-05 |
登録番号 | 商標登録第4332912号(T4332912) |
商標の称呼 | デイエフケイ |
代理人 | 宇佐見 忠男 |
代理人 | 青木 博通 |
代理人 | 乾 てい子 |
代理人 | 柳生 征男 |
代理人 | 中田 和博 |