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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 X05
審判 全部申立て  登録を維持 X05
管理番号 1263151 
異議申立番号 異議2011-685022 
総通号数 154 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2012-10-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2011-10-31 
確定日 2012-07-31 
異議申立件数
事件の表示 国際登録第1064443号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 国際登録第1064443号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件国際登録第1064443号商標(以下「本件商標」という。)は、「TEKAMLO」の欧文字を書してなり、2010年(平成22年)11月26日に国際商標登録出願され、第5類「Pharmaceutical preparations in the cardiovascular field for treating hypertension and metabolic disorders.」を指定商品として、平成23年6月9日に登録査定、同年8月12日に設定登録されたものである。
2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録商標は、次の(1)及び(2)のとおりであり、その商標権は、いずれも現に有効に存続しているものである。
(1)登録第5341236号商標(以下「引用商標1」という。)は、「MICAMLO」の欧文字を標準文字で表してなり、平成22年2月23日に登録出願、第5類「薬剤」を指定商品として、同年7月30日に設定登録されたものである。
(2)登録第5344941号商標(以下「引用商標2」という。)は、「ミカムロ」の片仮名を標準文字で表してなり、平成22年6月3日に登録出願、第5類「薬剤」を指定商品として、同年8月13日に設定登録されたものである。
3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標の登録は取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第7号証を提出している。
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、欧文字の7字「T」「E」「K」「A」「M」「L」「O」を、大文字で表記してなるところ、これより「テカムロ」の称呼を生ずる。
これに対し、引用商標1は、欧文字の7字「M」「I」「C」「A」「M」「L」「O」を、大文字で表記してなり、「ミカムロ」の称呼を生ずる。
引用商標2は、片仮名の4字「ミ」「カ」「ム」「ロ」を書してなり、「ミカムロ」の称呼を生ずる。
そして、これらの商標は、その指定商品が同一又は類似である。
そうすると、本件商標は、その構成文字数が引用商標1と一致しており、その表記も大文字表記である点が共通し、その称呼は、「テ」と「ミ」の1音が相違するだけで、その他の音「カムロ」が一致しているために、引用商標1及び2と類似の商標であり、両商標の指定商品は需要者・取引者が同じである以上、本件商標がその指定商品について使用されたときは、引用商標1及び2を付した商品との間で出所の混同を生ずるおそれが極めて高い。
ところで、引用商標1及び2は、高血圧治療薬に使用されており、例えば「高血圧治療における併用療法」などの文献において、「レザルタス」、「エックスフォージ」、「ユニシア」と並び、主要な高血圧治療薬の名称としても紹介されているものである(甲第4号証及び甲第5号証)。この中において紹介されている引用商標1及び2以外の代表的な3つの治療薬の名称をみれば、本件商標がいかに引用商標1及び2と近似しているか容易に把握できる。近年、販売名が類似する後発品について取り違えによる事故防止のための対策が求められており、目的が同じ薬の場合でもその副作用に注意が必要である(甲第6号証)。
以上のように、本件商標と引用商標1及び2とは、外観において、文字種、構成する文字、そしてその配列が共通・近似するだけでなく、その称呼も近似するものであるから、同一目的の治療薬に使用されるとき、双方の間で混同を生ずるおそれが極めて高い。
したがって、本件商標がその指定商品に使用されれば、需要者と取引者が同じである以上、申立人の引用商標1及び2を付した商品との間で出所の混同を生ずるおそれは避けられない。
(2)結び
以上のとおり、本件商標は、引用商標1及び2と類似の商標であり、また、その指定商品も同一又は類似のものである。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、その登録は商標法第43条の2第1号の規定により取り消しを免れない。
4 当審の判断
本件商標は、「TEKAMLO」の欧文字からなるところ、該文字が特定の意味を有する成語とはいえないものであることから、特定の観念を生ずることのない一種の造語として認識されるものであり、その構成文字に相応して「テカムロ」の称呼を生じるというのが相当である。
他方、引用商標1は「MICAMLO」の欧文字、引用商標2は「ミカムロ」の片仮名からなるところ、これらの文字が特定の意味を有する成語とはいえないものであることから、引用の両商標は、本件商標と同様に、特定の観念を生じることのない一種の造語として認識されるものであり、「ミカムロ」の称呼を生じるというのが相当である。
そこで、本件商標と引用商標1及び2との類否について検討するに、これらの商標は、それぞれ上記のとおりの構成からなるものであって、欧文字からなる本件商標と片仮名からなる引用商標2とは、外観上明らかな差異を有するものであり、本件商標と引用商標1とについても、欧文字7文字中、語頭の3文字が相違し、外観上判然と区別し得る差異を有するものである。
次に、本件商標から生ずる「テカムロ」の称呼と引用商標1及び2から生ずる「ミカムロ」の称呼とを比較するに、両称呼は第2音以降の音を同じくし、第1音において「テ」と「ミ」の音の差異を有するものである。そして、相違する「テ」と「ミ」の音は、共に明瞭に発音されるものであって、しかも称呼による識別上重要な要素を占める語頭における差異でもあるから、比較的短い4音からなる両称呼において、この差異が両称呼全体の音調、音感に与える影響は大きいものといわざるを得ず、両称呼は、それぞれを一連に称呼するもなお十分聴別し得るものと判断するのが相当である。
また、本件商標と引用商標1及び2とは、いずれも特定の観念を生じ得ない一種の造語であり、観念上比較できないものである。
してみると、本件商標と引用商標1及び2とは、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標というのが相当である。
その他、本件商標と引用商標1及び2とが類似するとの理由は見当たらない。
なお、申立人は、本件商標がその指定商品中の「高血圧治療薬」に使用された場合は、医薬品の取り違えが起こっている医療現場の実際を考慮すれば、引用商標1及び2との間に混同が生じるおそれは非常に高くなる旨主張するが、取り違えの事故が発生した事実が存在するとしても、それは各事故ごとに様々な個別具体的な事情が原因となっていると考えられるばかりか、本件商標と引用商標1及び2とは、上記認定のとおり、その外観、称呼及び観念のいずれの点においても非類似の商標というべきものであるから、高度な専門知識・注意力を必要とする医療従事者のみならず、患者等の一般の需要者の有する通常の注意力をもってすれば、本件商標をその指定商品について使用しても、申立人商品との間に混同が生じるおそれはないとみるのが相当であり、申立人の主張は、採用できない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2012-07-25 
審決分類 T 1 651・ 262- Y (X05)
T 1 651・ 261- Y (X05)
最終処分 維持  
前審関与審査官 八木橋 正雄 
特許庁審判長 酒井 福造
特許庁審判官 松田 訓子
前山 るり子
登録日 2010-11-26 
権利者 NOVARTIS AG
商標の称呼 テカムロ 
代理人 アインゼル・フェリックス=ラインハルト 
代理人 齋藤 宗也 
代理人 山崎 和香子 

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