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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 X45
審判 全部申立て  登録を維持 X45
管理番号 1263149 
異議申立番号 異議2012-900070 
総通号数 154 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2012-10-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2012-03-26 
確定日 2012-09-21 
異議申立件数
事件の表示 登録第5458625号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5458625号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5458625号商標(以下「本件商標」という。)は、「NEXT」の欧文字と「ネクスト」の片仮名とを二段に横書きしてなり、平成23年6月14日に登録出願、同年11月10日に登録査定がなされ、第45類「婚礼(結婚披露を含む。)のための施設の提供並びにこれに関する情報の提供,宴会のための施設の提供,結婚式・結婚披露宴に関する助言,結婚式・結婚披露宴の企画・運営又は開催,ウェディングドレスの貸与その他の衣服の貸与,婚礼(結婚披露を含む。)のための身飾品又は頭飾品の貸与その他の身飾品又は頭飾品の貸与,ファッション情報の提供,新聞記事情報の提供,結婚又は交際を希望する者への異性の紹介,施設の警備,身辺の警備」を指定役務として、同年12月16日に設定登録されたものである。

2 登録異議申立ての理由
本件商標は、以下のとおり、商標法第4条第1項第15号、同第19号及び同第8号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の3第2項の規定によりその登録を取り消されるべきである。
(1)引用商標の周知著名性について
ア 「NEXT」及び「next」商標(以下、併せて「引用商標」という。)は、登録異議申立人「ネクスト・グループ・ピーエルシー」(以下「申立人」という。)及びその関連会社を含むネクストグループのハウスマークである。
イ 申立人及びそのグループ会社について
申立人及びそのグループ会社は、衣料等の製造販売を業とするイギリス法人であり、今から30年前の1982年、「NEXT」ブランドの婦人服、婦人靴、婦人向けアクセサリーの販売を開始し、その後、紳士服、子供服及び家庭用品へと展開し幅広い商品を継続して取扱っている。「NEXT」ブランドの洋服は、社内のデザインチームがデザインしており、ファッションの先端をいくお洒落で高品質でありながら手頃な価格である点に特徴がある。現在では、イギリス及びアイルランドに500以上の店舗並びに日本を含む世界30か国において約200の店舗を有する巨大企業であり(甲2)、さらに、日本を含め世界50か国を超える国においてオンラインショッピングが提供さている(甲3)。ネクスト ピー エル シー(以下「NEXT社」という。)を含むグループ全体の2012年1月期末の年間総収入は?34億(約4,460億円)であり、税引前の利益は?5億7千万(約747億円)にも達している。この利益から判断すると、申立人及びその関連会社を含むグループ会社は、イギリス最大級の製造販売グループであることが容易にうかがわれる。
日本においては、ゼビオ株式会社(以下「ゼビオ社」という。)が、1997年にNEXT社と提携し(甲9)、「next」の名称で自由が丘、横浜、仙台等において14店舗を運営し(甲10)、NEXT製品を継続して販売している。さらに、「next Japan」のホームページにおいて「next」ブランドの婦人服、紳士服、乳幼児服、及び、子供服を販売するオンラインショップも運営されている(甲11)。
ウ 引用商標の使用状況及び宣伝広告について
本件商標の出願日前から引用商標が積極的に使用された結果、周知著名に至ったことを示す証拠として、引用商標の使用状況や宣伝広告活動のごく一例を示せば、甲第12号証ないし甲第30号証のとおりである。
以上の事実から、申立人及びその関連会社が使用する「next」及び「NEXT」商標は、取引者及び需要者間に広く認識され周知著名性を獲得するに至っていたものと認められる。
エ 申立人所有の登録商標について
なお、申立人は、日本において、「NEXT」又は「ネクスト」の語からなる登録商標を4件(別掲)を所有している(甲31ないし甲34)。
オ 小括
上述のとおり、引用商標「NEXT」及び「next」は、本件商標の出願日前から現在に至るまで、少なくとも「被服」、「靴類」、「かばん類」及び「身飾品」等について本国であるイギリスはもとより、日本においても周知著名となっている事実があることは、明らかである。
(2)商標法第4条第1項第15号の該当性について
前述のとおり、引用商標は、本件商標の出願日前、「被服」等について使用された結果、取引者や需要者間で既に周知著名の域に達しており、また、本件商標の登録査定時においても同様に周知著名であった。さらに、引用商標は、申立人及びその関連会社を含むネクストグループのハウスマークである。
他方、本件商標は、引用商標と全く同一の欧文字綴りの「NEXT」とその片仮名表記とを二段に横書きしてなるものである。
本件商標をその役務について使用する場合には、これに接する需要者や取引者は、周知著名になっている申立人の引用商標を連想、想起し、その指定役務があたかも申立人やそのグループ会社と経済的又は組織的に何らかの関係がある者の業務に係る役務であると誤認し、申立人らの業務にかかる役務であるかのごとくに出所について混同を生ずるおそれがあることは明らかである。
とりわけ、本件商標の指定役務中、「ウェディングドレスの貸与その他の衣服の貸与」、「婚社(結婚披露を含む。)のための身飾品又は頭飾品の貸与その他の身飾品又は頭飾品の貸与」及び「ファッション情報の提供」について使用する場合には、これらの役務が正にファッションの分野で提供される役務であり、その主な需要者がファッションに関心の高い女性であって、引用商標の商品及び役務とは密接な関係があり、需要者を共通にすることも多い。
また、現在では、企業の多角経営が一般的に行われている実情があり、企業が異業種分野に進出する例もごく普通である。
したがって、本件商標がその指定役務について使用された場合には、これに接する取引者、需要者は、その役務があたかも申立人又はその関連会社と何らかの関係を有する者の取扱いに係る役務であるかのごとく、その出所について混同するおそれがあるから、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(3)商標法第4条第1項第19号の該当性について
上述のとおり、本件商標は、世界的に有名なイギリスの被服等のブランド名と同じ「NEXT」の語とこれを片仮名で表記した語から構成される商標であることから、本件商標は、申立人及びそのグループ会社のブランド「NEXT」及び「next」を容易に想起させるものであり、申立人としては、本件商標の権利者が、「NEXT」や「next」の名声を利用し、その信用にただ乗りする意図を持って、商標登録したものと判断する。
したがって、本件商標は不正の利益を得る目的をもって使用されるものであり、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。
(4)本件商標の商標法第4条第1項第8号の該当性について
申立人の法人名称の要部は「Next」であり、申立人は、「Next」(ネクスト)及び「next」と略称されている。
また、本件商標の出願前及び登録査定時において、申立人の名称の略称が「被服」等の需要者及び取引者間において周知著名となっていたことは、上述のとおりである。
よって、本件商標は、他人である申立人及びその関係会社の名称の著名な略称である「NEXT」及び「ネクスト」を明瞭に含むものであり、また、申立人らの承諾も得ていないのであるから、商標法第4条第1項第8号に該当する。

4 当審の判断
(1)引用商標の周知・著名性について
申立人及びそのグループ会社は、衣料等の製造販売を業とするイギリス法人であり、1982年、「NEXT」ブランドの婦人服、婦人靴、婦人向けアクセサリーの販売を開始し、その後、紳士服、子供服及び家庭用品へと展開し幅広い商品を継続して取扱っている。現在ではイギリス及びアイルランドに500以上の店舗並びに日本を含む世界30か国において約200の店舗を有し、2011年1月末のグループ全体の年間総収入は、33億?であることが認められる(甲2)。
また、日本においては、1997年にゼビオ株式会社と提携し、現在、「next」の名称で14店舗が開設され、さらに、「next」ブランドのオンラインショップが運営されていることが認められる(甲9ないし甲11)。
そして、本件商標の登録出願時前にカタログ、チラシ、セール案内の作成がなされたこと(甲14ないし甲19)、申立人の商品が雑誌に紹介されたこと(甲22及び甲24)等が認められる。
しかしながら、提出された証拠によっては、我が国における商品の販売数量、売上高は明らかではなく、カタログ、チラシ等の作成回数も多いといえず、その配布部数、配布時期も明らかではない。また、申立人の商品が雑誌に掲載された回数もそれほど多いとはいえないから、引用商標が婦人服、紳士服、子供服等の商品について我が国でもある程度は使用されていることは認め得るとしても、これをもって、本件商標の登録出願時及び査定時において、引用商標が申立人(グループ会社を含む。)の業務に係る商品を表示する商標として、我が国における取引者・需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。
(2)商標法第4条第1項第15号について
本件商標は、「NEXT」の欧文字と「ネクスト」の片仮名よりなり、引用商標「NEXT」「next」とは、類似の程度は極めて高いものであるが、引用商標は、前記のとおり、我が国において、需要者の間に広く認識されているとはいえず、また、「NEXT」は、「次に。今度は。」等を意味する語として広く使用されている平易な語であるから、本件商標をその指定役務について使用しても、これに接する取引者・需要者が申立人又は申立人と経済的・組織的に何らかの関係にある者の業務に係る役務であるかのごとく、役務の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第19号について
本件商標を構成する「NEXT(ネクスト)は、「次に。今度は。」を意味する語であって、一般に採択されやすいものといえる。そして、申立人提出の証拠をみても、商標権者が不正の目的(不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をいう。)をもって使用をするものであるとする証左はない。
そうとすれば、本件商標は、商標法第4条第1項第19号にも該当しない。
(3)商標法第4条第1項第8号について
申立人は、「NEXT」及び「next」は、申立人の略称であり、本件商標の出願前及び登録査定時において「被服」等の需要者及び取引者間において周知著名となっている旨主張している。
しかしながら、提出された証拠はいずれも「NEXT」又は「next」がブランド(若しくは店名)として使用されているものであり、申立人の略称として使用されている証左は示されていないから、本件商標は、他人の著名な略称と認めることもできない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に該当しない。
(5)結び
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号、同第15号及び同第19号に違反して登録されたものでないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲 申立人の所有する登録商標
(1)登録第2272314号商標
商標の態様 「NEXT」
登録出願日 昭和60年2月27日
登録設定日 平成2年10月31日
指定商品(指定商品の書換登録後) 第20類「クッション,座布団,まくら,マットレス」、第24類「布製身の回り品,かや,敷布,布団,布団カバー,布団側,まくらカバー,毛布」及び第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,和服,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い,ずきん,すげがさ,ナイトキャップ,ヘルメット,帽子」
(2)登録第2272315号商標
商標の態様 「ネクスト」
登録出願日 昭和60年2月27日
設定登録日 平成2年10月31日
指定商品(指定商品の書換登録後) 第20類「クッション,座布団,まくら,マットレス」、第24類「布製身の回り品,かや,敷布,布団,布団カバー,布団側,まくらカバー,毛布」及び第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,和服,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い,ずきん,すげがさ,ナイトキャップ,ヘルメット,帽子」
(3)登録第4845247号商標
商標の態様 「NEXT」(標準文字)
登録出願日 平成16年3月26日
登録設定日 平成17年3月11日
指定商品 第25類「履物」
(4)登録第5406709号商標
商標の態様 「NEXT」(標準文字)
登録出願日 平成19年6月30日
登録設定日 平成23年4月15日
指定役務 第35類「寝具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,履物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,傘の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」

異議決定日 2012-09-13 
出願番号 商願2011-41017(T2011-41017) 
審決分類 T 1 651・ 271- Y (X45)
T 1 651・ 222- Y (X45)
最終処分 維持  
前審関与審査官 箕輪 秀人大澤 恒介 
特許庁審判長 野口 美代子
特許庁審判官 内山 進
前山 るり子
登録日 2011-12-16 
登録番号 商標登録第5458625号(T5458625) 
権利者 株式会社エスクリ
商標の称呼 ネクスト 
代理人 特許業務法人 清水・醍醐特許商標事務所 
代理人 橘 哲男 

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