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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 X0914182425 審判 全部申立て 登録を維持 X0914182425 |
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管理番号 | 1263137 |
異議申立番号 | 異議2012-900049 |
総通号数 | 154 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2012-10-26 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2012-02-27 |
確定日 | 2012-08-31 |
分離された異議申立 | 有 |
異議申立件数 | 2 |
事件の表示 | 登録第5452795号商標の商標登録に対する登録異議の申立て(申立番号01)について、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第5452795号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第5452795号商標(以下「本件商標」という。)は、「off the wall」の文字を標準文字により表してなり、平成22年4月22日に登録出願され、第9類、第14類、第18類、第24類及び第25類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、同23年11月7日に登録査定、同年11月25日に設定登録されたものである。 2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録第4774066号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成15年9月12日に登録出願され、第25類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として平成16年5月28日に設定登録されたものである。加えて、申立人は、申立人の業務に係る履物等について使用する「OFF THE WALL」の文字からなる商標(以下「引用商標2」という。)を引用している。 以下、引用商標1及び2を一括して単に「引用商標」ということがある。 3 登録異議申立ての理由の要点 (1)引用商標は、本件商標の登録出願時には、申立人の業務に係る商品「靴、アパレル商品」を表示する商標として周知著名になっていたこと、引用商標1の指定商品である帽子、履物、被服は本件商標権者が運営する店舗・ウェブページにおいて本件商標の指定商品と共に販売されていることなどから、引用商標と類似する本件商標がその指定商品に使用された場合には、該商品が申立人の商品であるかの如く誤信され、出所の混同を生ずるおそれがある。よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものである。 (2)本件商標は、周知著名な引用商標の欧文字部分を表記したものであり、引用商標の顧客吸引力を利用し又は希釈化させる等、不正な目的で使用するものであるから、商標法第4条第1項第19号に該当するものである。 4 当審の判断 (1)本件商標の商標法第4条第1項第15号該当性について 申立人は、遅くとも本件商標の登録出願時までには、引用商標が申立人の取扱いに係る商品(以下「申立人商品」という。)を表示する商標として周知著名になっていたと主張し、証拠を提出しているので、該証拠について検討する。 (ア)甲第4号証は、申立人会社の起源(History)について記載されたウェブページの写しと認められるところ、これには、引用商標1と略同様の図形中に「VANS」及び「OFF THE WALL」の文字を二段に併記した構成からなる標章(以下「使用標章」という。)が表示されており、「1966年・・・3月16日カリフォルニア州アナハイム704Eブロードウェイ通りに初めてのショップをオープンする。・・・」、「1976年・・・この年、Vans Off The Wallロゴもデビューする。」等の記述がされている。 (イ)甲第5ないし第7号証は、「VANS靴売上(ABC-MART)」、「VANSアパレル売上(ABC-MART)」又は「VANSアパレル売上(卸し)」と題する各書面の写しと認められるところ、これらによれば、申立人商品の「靴」のABC-MARTによる売上高が、例えば、2004年は約51億円、2005年は約63億円、2010年は約144億円、2011年は約153億円に達していること、同じく「アパレル商品」のABC-MARTによる売上高が、例えば2008年度に約877万円、2009年度に約4084万円、2012年度に約1億8千万円に達していること、などが認められるが、これらの商品に引用商標が実際に使用されていたかどうかは不明である。 (ウ)甲第8ないし第12号証は、申立人商品の靴若しくはアパレル商品の卸し店舗又は同靴若しくはアパレル商品を取り扱うABC-MARTの店舗の各一覧表の写しと認められ、これらによれば、上記各店舗は略全国に及んでいることが認められる。しかしながら、これらには、「VANS VAULTシリーズ店舗リスト」、「VANSアパレル店舗リスト」、「VANS靴店舗リスト」等の表示が見られるものの、引用商標の表示は一切なく、靴等について引用商標が実際に使用されているかどうかは不明である。 (エ)甲第13号証は、申立人商品が販売されている店舗のディスプレイを示すものであるとのことであるが、不鮮明であり、「VANS」の文字が表示されていることが認められるものの、引用商標が表示されていることを確認することはできない。 (オ)甲第14ないし第16号証は、申立人商品が掲載されている雑誌3点の抜粋写しと認められるところ、これらによれば、申立人商品の靴(スケートボード用スニーカー)又はシャツについて、「VANS」若しくは「Vans」の文字からなる標章又は使用標章が使用されていることが認められる。また、これらの雑誌は申立人の主張によれば、本件商標の登録出願前に発行されたものといえる。しかしながら、これらの雑誌の発行部数、頒布地域等は明らかでない。 (カ)甲第17号証は、申立人商品のスケートボード用スニーカーについて特集した記事を掲載した雑誌の抜粋写しと認められ、この記事中には、上記スニーカーの写真等と共に、使用標章、「VANS」の文字からなる標章、「VANS」の文字及び使用標章等に「OFF THE WALL!!」の文字を重ねた構成からなる標章が随所に表示されていることが認められる。しかしながら、上記雑誌は、申立人の主張によれば、本件商標の登録出願後に発行されたものであるから、本件商標の登録出願前における事情を示すものとはいえない。 (キ)甲第18号証は、申立人商品のスケートボード用スニーカーが掲載された各種雑誌の抜粋写し又はパンフレットの写しと推認されるものの、雑誌名、発行日、頒布状況等は確認することができない。もっとも、記載内容に照らし、本件商標の登録出願前に発行されたと見るのが自然というべきものも若干含まれている。そして、これらによれば、申立人商品のスケートボード用スニーカーの写真と共に、使用標章、「VANS」の文字からなる標章、引用商標1又は2と社会通念上同一といえる標章が表示されていること、上記スニーカーの一部商品には、かかと部分又は舌革(ベロ)部分に引用商標1若しくは2と社会通念上同一といえる標章又は使用標章が付されていること、などが認められる。 (ク)甲第19ないし第28号証は、申立人の商品カタログの写しと認められるところ、これらには、ティーシャツ、フリース、パンツ、ジャケット、帽子、鞄類、ベルト、靴類等の商品が掲載されていること、商品の写真と共に、使用標章、「VANS」の文字からなる標章、引用商標1又は2と社会通念上同一といえる標章が表示されていること、一部商品には使用標章が直接付されていることなどが認められ、記載内容に照らし2008年又は2009年に発行されたものと推認されるものの、これら商品カタログは全文が英文からなるものであり、日本国内で頒布されたものとは認め難いばかりでなく、それぞれの発行部数、頒布場所、頒布方法等も一切明らかでない。 (ケ)甲第29号証は、「2001/11/20 VANS PRESS CONFERENCE & VANS presents OFF THE WALL PARTY」と書された書面及び数葉の写真の写しと認められるところ、これによれば、上記表題のイベントが2001年11月20日に開催されたことが推認されるものの、その詳細は明らかでなく、引用商標の具体的な使用状況等は不明である。 以上検討したところによれば、スケートボードの分野においては一部マニアの間で申立人商品が注目されていることが窺われ、申立人商品に使用標章が使用されていることが認められるものの、引用商標自体が単独で使用されている例は少なく、多くは「VANS」の文字と組み合わせて使用されているものであり、また、日本国内においても申立人商品の靴が相当多く販売されているものといえるものの、引用商標が使用されていたかは不明であり、むしろ「VANS」として取引されていたというべきであるから、申立人の提出に係る証拠によっては、引用商標が申立人商品を表示する商標として、本件商標の登録出願時及び登録査定時において我が国の取引者、需要者の間に広く認識されていたものということはできない。 他に、引用商標が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示する商標として、日本国内の取引者、需要者の間に広く認識されていたものと認めるに足る証拠はない。 加えて、引用商標を構成する「OFF THE WALL」の文字は、「突拍子もない、型破りな、ばかげた」の意味を有する英語の成句であり(甲第3号証)、独創性や指標力が格別強いものでもない。 かかる事情の下において、本件商標をその指定商品について使用した場合には、本件商標と引用商標とが類似するものであるとしても、取引者、需要者が引用商標ないしは申立人を連想、想起するようなことはないというべきであり、該商品が申立人又は申立人と経済的、組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、その出所について混同を生ずるおそれはないものと判断するのが相当である。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものではない。 (2)本件商標の商標法第4条第1項第19号該当性について 本件商標は、引用商標を構成する「OFF THE WALL」の文字と同一の綴りからなるものであって、引用商標と類似するものであるとしても、引用商標は、上記(1)のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示する商標として、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されていたとは認められないものである。 また、申立人提出の証拠からは、米国等の外国における引用商標の具体的な使用事実が明らかでなく、引用商標が本件商標の登録出願時及び登録査定時において外国の取引者、需要者の間に広く認識されていたものということもできない。 そして、本件商標が引用商標の名声、信用等にただ乗り(フリーライド)し、不正の利益を得る目的、申立人に損害を加える目的、その他の不正の目的をもって出願し登録を受けたものであることを具体的に示す証左はなく、本件商標は不正の目的をもって使用するものとはいえない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当するものではない。 (3)むすび 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第15号及び同第19号のいずれの規定にも違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲 引用商標1 |
異議決定日 | 2012-08-23 |
出願番号 | 商願2010-32501(T2010-32501) |
審決分類 |
T
1
651・
222-
Y
(X0914182425)
T 1 651・ 271- Y (X0914182425) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 瀬戸 俊晶、松浦 裕紀子 |
特許庁審判長 |
小林 由美子 |
特許庁審判官 |
小川 きみえ 鈴木 修 |
登録日 | 2011-11-25 |
登録番号 | 商標登録第5452795号(T5452795) |
権利者 | 株式会社ワールド |
商標の称呼 | オフザウオール |
代理人 | 達野 大輔 |
代理人 | 特許業務法人三枝国際特許事務所 |