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審決分類 |
審判 一部申立て 登録を維持 X42 審判 一部申立て 登録を維持 X42 |
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管理番号 | 1263134 |
異議申立番号 | 異議2012-900063 |
総通号数 | 154 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2012-10-26 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2012-03-16 |
確定日 | 2012-08-30 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第5456541号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第5456541号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第5456541号商標(以下「本件商標」という。)は、「ニコルソン」の文字を標準文字で書してなり、平成23年7月11日に登録出願、第9類、第38類、第41類及び第42類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成23年12月9日に設定登録されたものである。 2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が本件商標の登録異議の申立ての理由に引用する登録第4031599号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、平成6年10月27日に登録出願、第42類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として、平成9年7月18日に設定登録され、その後、平成19年2月27日に商標権存続期間の更新登録がされたものである。 3 登録異議の申立ての理由 (1)商標法第4条第1項第11号 本件商標は、「ニコルソン」の称呼を生ずるものである。また、引用商標は、「Camper」と「Nicholsons」を結合した商標であり、「Nicholsons」の部分より「ニコルソンズ」の称呼を生ずるものである。 したがって、本件商標と引用商標は、類似する商標であって、また、指定役務も類似する。 (2)商標法第4条第1項第19号 申立人は、1782年の創業以来、ヨット及び各種商品についてイギリス及びその他の諸外国(特に欧州)で商活動を行っているCamper & Nicholsonsグループ(以下「申立人グループ」という。)に属する企業であり、そのデザイン及び各種設計を担う企業である。引用商標は、長年の使用により、イギリス及びその他の諸外国(特に欧州)の需要者の間に広く認識されている(甲3、甲4)。 したがって、本件商標は、これをその指定役務について使用するときは、引用商標に化体された申立人グループの信用、名声、顧客吸引力が毀損されるおそれがあるなど、申立人グループの日本における商活動の阻害となり、不正の目的をもって使用するものと解される。 (3)むすび 以上のとおり、本件商標の登録は、その指定役務中、第42類に属する役務について、商標法第4条第1項第11号及び同第19号に違反してされたものであるから、取り消されるべきである。 4 当審の判断 (1)商標法第4条第1項第11号について ア 本件商標 本件商標は、前記1のとおり、「ニコルソン」の文字を標準文字で書してなるものであるから、これより「ニコルソン」の称呼を生ずるものであり、外国人の姓を片仮名で表記したものと理解されるというのが相当である。 イ 引用商標 引用商標は、別掲のとおり、「Camper &」の文字(「&」(アンパサンド記号)を含む、以下同じ)と「Nicholsons」の文字を二段に横書きしてなるものであるところ、これらの文字は、いずれも同一の書体をもって極めてまとまりよく表され、上段と下段の各文字との間に外観上の軽重の差は認められない。また、引用商標の文字全体より生ずると認められる「キャンパーアンドニコルソンズ」の称呼は、やや冗長であるとしても、これをいずれかの部分で区切って称呼しなければならないほど冗長なものではなく、よどみなく称呼し得る程度のものといえる。そして、引用商標中の「Camper &」ないし「Camper」の文字部分が、引用商標の指定役務との関係において、役務の質等を表示し、自他役務の識別機能を果たし得ない部分であるともいえない。その他、引用商標において、その構成中の「Nicholsons」の文字部分のみを分離、抽出して、称呼、観念しなければならない格別の理由は見当たらない。 そうすると、引用商標は、構成全体をもって一つの商標を表したと認識されるというべきものである。 したがって、引用商標は、その構成文字に相応して、「キャンパーアンドニコルソンズ」の一連の称呼を生ずるものであって、構成全体として、特定の観念を有しない造語よりなる商標といえる。 ウ 本件商標と引用商標との対比 本件商標と引用商標は、前記ア及びイのとおりの構成よりなるものであるから、外観において明らかに相違するものである。 また、本件商標より生ずる「ニコルソン」の称呼と引用商標より生ずる「キャンパーアンドニコルソンズ」の称呼は、前半部分において「キャンパーアンド」の音及び末尾において「ズ」の音の有無の差異を有するものであるから、該差異音が両称呼全体に及ぼす影響は極めて大きく、それぞれの称呼を全体として称呼した場合においても、明瞭に聴別し得るものである。 さらに、本件商標は、外国人の姓を表したと認識されるのに対し、引用商標は、構成全体として造語よりなる商標と認識されるものであるから、両商標は、観念上比較することができない。 してみると、本件商標と引用商標は、外観、称呼及び観念のいずれの点についても相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。 したがって、本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとする申立人の主張は理由がなく、採用することができない。 (2)商標法第4条第1項第19号 申立人は、1782年の創業以来、ヨット及び各種商品についてイギリス及びその他の諸外国(特に欧州)で商活動を行っている申立人グループに属する企業であり、そのデザイン及び各種設計を担う企業であって、引用商標は、長年の使用により、イギリス及びその他の諸外国(特に欧州)の需要者の間に広く認識されている旨主張し、甲第3号証及び甲第4号証を提出する。 しかし、甲第3号証(申立人の創業からの略歴、訳文の添付なし)及び甲第4号証(申立人グループのホームページ、掲載日が不明)によっては、引用商標が申立人の業務に係るヨット及び各種商品ないしこれら商品のデザインの考案等の役務を表示するものとして、本件商標の登録出願日(平成23年7月11日)及び登録査定日(平成23年11月24日)の時点において、日本国内においてはもとより、イギリスをはじめとする諸外国(特に欧州)においても、その需要者の間に広く認識されていたと認めることは到底できない。 また、引用商標が、単に「Nicholsons」と略称されて、申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして、上記時点において、日本国内及び外国の需要者の間に広く認識されていたと認めるに足りる証拠の提出もない。 さらに、前記(1)認定のとおり、本件商標は、引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点についても相紛れるおそれのない非類似の商標である。 そうすると、本件商標の商標権者が、引用商標ないしその構成中の「Nicholsons」の周知性にただ乗りするなど、不正の目的をもって本件商標を採択し、登録を得たと認めることはできない。その他、本件商標が不正の目的をもって使用する商標であると認めるに足りる証拠の提出はない。 したがって、本件商標は、不正の目的をもって使用するものということはできないから、本件商標が商標法第4条第1項第19号に該当するとする申立人の主張は理由がなく、採用することができない。 (3)むすび 以上のとおり、本件商標の登録は、登録異議の申立てに係る指定役務について、商標法第4条第1項第11号及び同第19号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきものとする。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲 (引用商標) |
異議決定日 | 2012-08-20 |
出願番号 | 商願2011-48534(T2011-48534) |
審決分類 |
T
1
652・
262-
Y
(X42)
T 1 652・ 222- Y (X42) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 白倉 理 |
特許庁審判長 |
小林 由美子 |
特許庁審判官 |
小川 きみえ 鈴木 修 |
登録日 | 2011-12-09 |
登録番号 | 商標登録第5456541号(T5456541) |
権利者 | 株式会社ドワンゴ |
商標の称呼 | ニコルソン |
代理人 | 石橋 政幸 |
代理人 | 緒方 雅昭 |
代理人 | 宮崎 昭夫 |