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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Y30
管理番号 1263085 
審判番号 取消2011-300777 
総通号数 154 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2012-10-26 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2011-08-12 
確定日 2012-09-05 
事件の表示 上記当事者間の登録第4664602号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4664602号商標(以下「本件商標」という。)は、「Up to you」の欧文字と「アップトゥーユー」の片仮名とを二段に横書した構成よりなり、平成14年7月4日に登録出願、第30類「菓子及びパン」を指定商品として、同15年4月18日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張
請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べている。
1 請求の理由
本件商標は、継続して3年以上、日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもがその指定商品について使用をしてないから、その登録は商標法第50条に基づき、取り消されるべきである。
2 答弁に対する弁駁
(1)被請求人の提出に係る乙各号証について
ア 乙第1号証は、本件商標の登録原簿の写しであり、本件審判請求の予告登録が平成23年8月29日になされたことを確認するものであるため検討は省略する。
イ 乙第2号証は、被請求人の会社案内であり、これには本件商標の記載はみられず、また、その作成日についても不明である。なお、「プロフィール」の「沿革」の項において、その末尾に「平成20年11月 グラマシーニューヨーク阪急西宮店を出店」との記載があることから、この頃に作成されたものと推測される。
ウ 乙第3号証は、本件商標を付した商品の外箱及び該外箱を開けて梱包された商品の見える状態を撮影した写真であると述べているが、撮影日は明らかではない。
エ 乙第4号証は、本件商標を付した商品の外箱を展開した状態を撮影した写真であると述べているが、撮影日は不明である。
オ 乙第5号証は、被請求人の経営する近鉄百貨店阿倍野店(以下「阿倍野店」という。)内の洋菓子販売店「キースマンハッタン」(以下「キースマンハッタン」という。)のショーケースを平成20年9月6日及び平成20年9月14日に撮影した写真であると述べている。
確かに、各写真の右下部分には、「2008/09/06」及び「2008/09/14」の表示が見受けられるが、こうした表示はカメラの設定により変更可能であり、これら表示が写真を撮影した日付を証明するものであるとは断定できない。また、写真内には撮影のためにショーケース前に便宜的に置かれたものと思われる「近鉄/キース」の表示が認められるが、その他に当該ショーケースの設置場所を示す表示は一切見受けられず、そのような一時的に設けられた表示のみをもって、当該ショーケースが阿倍野店に設置されていたと認定するのは、客観性に欠けるものといわざるを得ない。
カ 乙第6号証は、被請求人の代表者が作成した書面であり、被請求人に係る商品「焼菓子」(以下「使用商品」という。)を阿倍野店に出店していた被請求人の販売店において、「平成18年7月下旬から平成20年9月中旬頃まで」販売していたことを、近鉄百貨店本店の「宮本雅弘」氏が記名捺印し認証した「証明願」であるが、以下に述べるところから客観的な証拠書類として採用することはできない。
(ア)「宮本雅弘」氏がその当時、上記事項を証明できるような立場にあったかも明らかではない。
(イ)答弁書の記述(3頁19行)及び会社案内(乙2)を総合すると、会社案内が作成されたと考えられる平成20年11月頃において、「キースマンハッタン」の店舗は、まだ「近鉄阿倍野店地下一階」に出店されており、これ以降に地下二階に移転したものと考えるのが合理的である。ところが、「証明願」には「近鉄百貨店阿倍野店(住所省略)地下2階の洋菓子売り場に出店している」被請求人経営の販売店で「平成18年7月下旬頃から平成20年9月中旬頃まで」商品を販売したことを証明する内容となっていることから、時系列に矛盾が生じており、このような書証に証明力がないことは明らかである。
(ウ)「証明願」に〔別紙3〕として添付された乙第5号証と同一写真の日付け表示が正しい撮影日であるとすれば、これらは捺印日から3年以上前のショーケースの状態を示したものということになり、これがどの店舗の写真であるか記憶しているのは困難であるといわざるを得ない。
(エ)乙第5号証(及び〔別紙3〕)の下側に貼付された写真が「2008(平成20)年9月14日」に撮影されたものであるとすれば、当該日付は「証明願」において対象商品の販売が終了した時期であると記された「平成20年9月中旬頃」に該当する。
そして、被請求人は、同写真は「商品陳列状態の変更を被請求人に報告するために」撮影されたものであると述べているが、陳列の変更からわずか数日以内に販売が打ち切りになるのは、現実の取引の実情に照らして不自然さが否めない。
(オ)このように、「証明願」は、被請求人によってあらかじめ準備された書面に細部にわたる検証がなされてないままに記名捺印されたものであり、取引業者の求めに応じて便宜的に作成されたものに過ぎないといわざるを得ず、客観的な証拠力に欠けるものであるといえる。
(2)小括
そうすると、乙第2号証ないし乙第6号証は、いずれも本件商標を審判請求の登録日前3年以内に、その指定商品について使用していたことを証明するものではない。
なお、実際に同期間内に本件商標を付した商品の取引があったとすれば、注文書、納品書及び請求書といった取引に際して発行される書類が存在するはずであるにもかかわらず、これらも一切提出されていない。
3 むすび
以上述べたとおり、被請求人の提出に係る乙第1号証ないし乙第6号証は、いずれも商標法第50条第1項にいう指定商品又は指定役務についての登録商標の使用を証明するに足るものではないから、本件商標は取消を免れない。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論と同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第6号証を提出した。
〈答弁の理由〉
1 本件商標の使用について
本件商標の商標権者は、本件審判請求の登録(平成23年8月29日)前3年以内に我が国において、その請求に係る指定商品中「菓子」について本件商標を使用している。
(1)乙第2号証は、被請求人(商標権者)の「会社案内」であり、これの最終頁には、阿倍野店の洋菓子売り場で平成15年3月(当時は地下1階)から現在(地下2階)にわたって出店している被請求人経営のキースマンハッタンが表示されている。
(2)乙第3号証は、本件商標が蓋に記載された「商品包装箱写真」と、使用商品と本件商標が表示された横長楕円形の紙札とを収容した「商品包装箱内写真」である。
(3)乙第4号証は、商品包装箱を展開してその主要部を縮小複写した画像であって、蓋に相当する面には、反転状態の本件商標が記載され、また、底に相当する面には使用商品である「焼菓子」の表示と、その販売者として被請求人が表示されている。
(4)乙第5号証は、阿倍野店に出店しているキースマンハッタンの商品陳列状態の変更を被請求人に報告するために、平成20年9月6日〔2008/09/06〕(上段)と、同年9月14日〔2008/09/14〕(下段)に撮影されたショーケース内の写真である。
そして、該写真には乙第3号証及び乙第4号証と同一の商品がショーケース内に陳列されていることが認められる。
(5)乙第6号証は、乙第3号証を別紙1、乙第4号証を別紙2及び乙第5号証を別紙3として、使用商品の包装に商標「Up to you」を付したもの(別紙1、2)を、阿倍野店の地下2階のキースマンハッタンで、平成18年7月下旬頃から平成20年9月中旬頃までに渡って販売したことについて「近鉄百貨店(阿倍野)本店 食料品部菓子課の課長」が証明した書面である。
(6)そして、乙第3号証ないし乙第5号証には、使用商品の包装箱及びその包装箱内に菓子と共に添えた紙札の中央に、同一色の「UP TO YOU」の文字が表示され、この文字の「UP TO」は同じ大きさで上下二段に併記され、この「UP TO」の右側に連続して、当該上下文字を合わせた高さと同じ大きさの「YOU」を表しており、本件商標とは、称呼及び観念を同一とし、社会通念上同一のものと認められるものである。
2 むすび
以上のとおり、本件商標は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者により指定商品中「菓子」について使用していることが明らかである。

第4 当審の判断
1 乙各号証によれば、次のとおりである。
(1)乙第2号証は、丸信製粉株式会社と商標権者である株式会社プレジィールの「会社案内」であり、5枚目の見開き頁には、株式会社プレジィールの見出しのもと、同社が運営する、グラマシーニューヨーク、キース・マンハッタン、ジョトォ、バズサーチが紹介され、それぞれ出店先が記載されている。そして、キースマンハッタンについては、出店先の二番目に「近鉄阿倍野店地下一階」の記載があり、6枚目の商標権者の「沿革」の項において「平成15年3月 キース・マンハッタン近鉄阿倍野店を出店」との記載がされている。なお、該会社案内には、作成日が表示されていないものの、記載の最新の沿革からすると、平成20年11月以降に作成したものと認められる。
(2)乙第3号証は、2葉の写真が貼付してあり、上段の「商品包装箱写真」とするものには、中央部に金字で「UP」の文字と「TO」の文字を二段に書し、その右に、二段にした文字と上下の文字の高さを揃えた「YOU」の文字を配置した商標(以下「使用商標」という。)が表示され、その右下に「DUET of Konitz/Pikett and」の白い文字が表示がされている。
また、下段の写真は、上段の写真の「商品包装箱」の蓋を開けたところと認められるところ、蓋裏部中央には、金字で「DUET of Konitz/Pikett and」の表示があり、包装箱内に詰められている使用商品上に使用商標を表示したラベルが入っている。また、菓子の各個包装には、「【コニッツ】/KEITH MANHATTAN」と「【ピケット】/KEITH MANHATTAN」との表示がされている。
(3)乙第4号証は、上記商品包装箱を展開したものであり、蓋部には使用商標が記載され、底部には「品名:コニッツ・ピケット詰め合わせ(KP-9)」の表示と「名称 焼菓子」ほか、「原材料名」、「内容量」と共に「お問い合わせ先 キース・マンハッタン/株式会社プレジィール」と表示がされている。
(4)乙第5号証は、2葉の写真が貼付してあり、いずれにも撮影場所を特定するための「近鉄/キース」の表示されたカードが左隅に貼られたショーケース内を写した写真であって、上段の写真には「2008/09/06」及び下段の写真には「2008/09/14」の各撮影した日付けが表示されている。
そして、各写真のケースの商品配置は異なるものの、いずれの写真もケース内に、乙第3号証と同じ商品の詰め合わせが陳列されている。
(5)乙第6号証は、乙第3号証ないし乙第5号証の写真を別紙1ないし3として添付された、商標権者が株式会社近鉄百貨店本店食料品部課長の宮本雅弘に対して申請した「証明願」と題する書面であり、同課長が平成23年10月5日付けで「商品『焼菓子』の包装に『Up to you』を付したもの(別紙1、2)を近鉄百貨店阿倍野店〔大阪市阿倍野区阿倍野筋1-1-43〕の地下2階の洋菓子売り場に出店している…販売店(店名キースマンハッタン〔別紙3〕)で、平成18年7月下旬頃から平成20年9月中旬頃までに渡って販売したこと」を証明している。
2 上記1を総合すれば、次のとおり認めることができる。
(1)被請求人(商標権者)は、その包装に使用商標を使用した商品「焼菓子」を、平成20(2008年)年9月6日、同年9月14日及び平成18年7月下旬頃から平成20年9月中旬頃に、被請求人が経営する阿倍野店内の菓子売り場キースマンハッタンにおいて、そのショーケース内に販売のために、展示していた事実を認めることができる。
(2)本件商標は、前記第1のとおり、「Up to you」の欧文字と「アップトゥーユー」の片仮名とを二段に横書した構成よりなるものであるところ、使用商標は「UP/TO YOU」の文字を表してなるものである。
しかして、使用商標は、本件商標の欧文字と構成文字が同一であり、本件商標の片仮名は欧文字の称呼を表すものであって、欧文字と称呼、観念が同一であることからすると、使用商標は本件商標と社会通念上同一のものと認められる商標というべきである。
(3)商標権者が使用する商品は「焼菓子」であり、第30類「菓子及びパン」の範ちゅうに属する商品である。
また、商標権者が使用商品を販売した平成20(2008年)年9月6
日、同年9月14日及び平成18年7月下旬頃から平成20年9月中旬頃(上記2(1))は、いずれも本件審判の請求の登録の日(平成23年8月28日)前3年以内である。
3 請求人の主張
(1)請求人は、写真における日付け表示はカメラの設定により変更可能であり、乙第5号証の写真を撮影した日付は断定できない。また、撮影のため
に便宜的に置かれた「近鉄/キース」の表示のみをもって、当該ショーケースが近鉄百貨店阿倍野店に設置されていたと認定することはできない旨述べている。
しかながら、これら写真の日付け表示が設定により変更されたものであること及び当該ショーケースが阿倍野店に設置されていたものを写した写真でないと確証付けるものはなく、商品陳列状態の変更を報告するために撮影したとの理由も、格別不自然であるということはできない。
(2)請求人は、乙第6号証の証明願について、出店先の食品部菓子課長が出店事実を記憶していたとしても、3年以上前の事項について一商品に使用されていた表示を具体的な資料の参照もなしに明確に記憶しているとは考え難いこと、また、該証明願には、出店先百貨店のフロアーの記載において、時系列に矛盾がある旨述べている。
しかながら、該証明願は、出店先である百貨店における一定の地位にある者が証明しているものであって、その内容にも特段不自然な点は認められないことからして、かかる証明が虚偽等によってなされたものということはできず、その立証もない。
また、乙第2号証の会社案内におけるキース・マンハッタンの出店先としての「近鉄阿倍野店地下一階」の記載は、会社案内の作成時に該フロアに出店していたことが記載されているにすぎないものであるから、この記載をもって、該証明願の「地下2階の洋菓子売り場に出店している」及び「平成18年7月下旬頃から平成20年9月中旬頃まで」との記載に矛盾があるということもできない。
その他の請求人の主張をもって、前記2の認定を覆すことはできない。
4 むすび
以上のとおりであるから、被請求人(商標権者)は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者が本件審判請求に係る指定商品である第30類「菓子及びパン」の範ちゅうに属する「焼菓子」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していることを証明したというべきである。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
審理終結日 2012-04-05 
結審通知日 2012-04-10 
審決日 2012-04-24 
出願番号 商願2002-55867(T2002-55867) 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (Y30)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 寺光 幸子 
特許庁審判長 野口 美代子
特許庁審判官 内山 進
前山 るり子
登録日 2003-04-18 
登録番号 商標登録第4664602号(T4664602) 
商標の称呼 アップトゥーユー、アップツーユー 
代理人 石田 昌彦 
代理人 田中 克郎 
代理人 稲葉 良幸 
代理人 西山 聞一 

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