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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Z25
管理番号 1263060 
審判番号 取消2010-301293 
総通号数 154 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2012-10-26 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2010-12-07 
確定日 2012-09-06 
事件の表示 上記当事者間の登録第4412884号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4412884号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成11年9月30日に登録出願、第25類「被服」を指定商品として、同12年9月1日に設定登録、その後、同22年8月3日に商標権の存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続しているものである。
なお、本件審判請求の登録は、平成22年12月27日にされている。

第2 請求人の主張(要旨)
請求人は、「本件商標の登録を取り消す。審判費用は、被請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第6号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても、その指定商品につき使用されていないものである。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。

2 答弁に対する弁駁
乙第10号証ないし乙第22号証は、被請求人が本件商標を「被服」について使用していることを証明していない。
(1)乙第10号証について
当該号証中に表示の日付は、本件審判請求の登録前3年以内(以下、「要証期間」という。)のものではなく、他に、乙第10号証中に「要証期間内」に本件商標が、「被服」に使用されたことを示す証拠は一切ない。
(2)乙第11号証について
「株式会社松屋浅草店140周年催事広告」(以下「催事広告」という。)及び「株式会社松屋浅草店宛出荷明細表」(以下「松屋宛出荷明細票」という。)によれば、平成21(2009)年に松屋浅草店において、被請求人は、「被請求人製品」を販売したようである。
しかしながら、そこで陳列された「被請求人製品」に本件商標が使用されていたという事実は、これらの証拠には示されていない。
ところで、「松屋宛出荷明細票」に示された本件商標の表示は、本件商標の衿ネーム状のタグを貼付したものであって、当該タグは、「松屋宛出荷明細票」の発行時に実際に貼付されていたか疑わしく、また商品との関係が全く不明であり、本件商標が「被服」について使用されていた証拠とは認められない。
(3)乙第12号証について
同号証中、株式会社松屋、N氏の「陳述書」によれば、平成21(2009)年10月28日から同年11月3日迄の「株式会社松屋浅草店140周年大創業祭」(以下「創業祭」という)に広告掲載された被請求人の製品である「蝶刺繍入婦人ニット」の存在については、憶えているが、「Open the market」の衿ネームについては記憶にない旨述べているとおり、「被請求人製品」に本件商標が使用されていた事実を被請求人は証明していない。
ほかに乙第12号証中に要証期間内に本件商標が「被服」に使用されたことを示す証拠はない。
(4)乙第13号証について
同号証中、「株式会社松屋買掛金明細票」及び「A銀行当座勘定照合表」等の資料中に本件商標の表示は存在しないことから、株式会社松屋浅草店等において、本件商標を使用した被請求人製品が展示・販売されていたという事実は認められない。
ほかに、乙第13号証中に「要証期間内」に本件商標が「被服」に使用されたことを示す証拠はない。
(5)乙第14号証について
「現物商品写真」は、同号証中に示された「下げ札」及び「衿ネーム(タグ)」が付された洋服の写真(下げ札には、No.SKO-2847の文字が認められる。)であるところ、当該写真は、平成23年9月28日に作成したものであって、「要証期間内」に本件商標を使用した事実を示すものではない。
そして、乙第14号証中の「現物商品写真」の洋服と同号証中の「催事広告」に掲載の洋服が、洋服自体は同じであるとしても「創業祭」において、被請求人が展示・販売した洋服に同号証に示された「下げ札」及び「衿ネーム(タグ)」が付されていたことを示す客観的証拠はない。
むしろ、被請求人は、衿ネーム(ブランド)の付け替えという行為を自認していることから、同一の洋服に異なるブランドの「衿ネーム(タグ)」が付いている場合があることが明らかであり、当該「現物商品写真」と「催事広告」の洋服が仮に同じであるとしても同一のブランドが使用されていたかは不明である。
ほかに、乙第14号証中に「要証期間内」に本件商標が「被服」に使用されたことを示す証拠はない。
(6)乙第15号証ないし乙第18号証、乙第20号証及び乙第22号証について
これらの各号証は、本件商標の使用有無とは無関係の証拠であって、「要証期間内」に本件商標が「被服」に使用されたことを示す証拠にはなり得ない。
(7)乙第19号証について
「松屋宛出荷明細票」の「Open the market」のタグが「松屋宛出荷明細票」の日付け時点(2009年10月27日)で貼付されていたか不明であり、また「被服」についての使用の証拠ともなり得ず、さらに被請求人も出荷明細票は、「この商標を特定する為に使う出荷明細票ではありません」と述べており、「Open the market」のタグは、当該日付当時はなかったと解することができ、「松屋宛出荷明細票」は、本件商標の使用の証拠には、なり得ない。
(8)乙第21号証について
「株式会社フェイマス・オグチ 衿ネームの種類」に示された「Open the market」の衿ネームは、作成時期及び商品との関連が不明であって、本件商標が「被服」に使用されたことを示す証拠にはなり得ない。
ほかに、乙第21号証中に「要証期間内」に本件商標が「被服」に使用されたことを示す証拠はない。
(9)陳述書について
ア 株式会社P社長の陳述書
当該会社は、被請求人の関係者であり、陳述書全体の記述から当該会社社長が被請求人社長の誘導等にしたがって作成したことは明らかであり、本件商標の使用の「証明」となるような客観性、信憑性のあるものとは認め難い。
イ 株式会社F会長の陳述書
当該陳述書は、被請求人の従業員が接客していたとの内容に尽きるものであり、本件商標の使用とは無関係である。
ウ 被請求人従業員らの陳述書
いずれも被請求人(社長)の指揮命令下にある者の作成であり、本件商標が「被服」に使用されていたことを示す客観的証拠とはなり得ない。
(10)乙号証全体について
被請求人がカットソー製品の製造・販売業務を行っている事実は認められるが、「要証期間内」に本件商標を「被請求人製品」に使用していることを証明する証拠は一切ない。
(11)本件商標の使用の調査について
請求人は、本件審判請求に先立ち本件商標の「被服」への使用調査を行ったところ、その使用は認められず(甲5)、また被請求人への電話調査によっても被請求人代表者(社長)より「『Open the market』という登録商標は、ウチが持っているが未だ商品化したことがない」との回答がなされている(甲6)。
当該電話調査の日付け(平成22年10月2日及び3日)は、調査員の報告書への誤記、又は記憶違いかのおそれがあるも、電話調査の実施は、間違いなく、被請求人社長の上記発言内容は、調査報告に記載のとおりである。
(12)まとめ
以上のとおり、被請求人は、「要証期間内」に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが請求に係る指定商品のいずれかについて、本件商標の使用をしていたことを証明していない。また、請求人は、本件商標を使用していないことについて、正当な理由があることも明らかにしていない。

第3 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨審決を求める、と答弁し、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第22号証(但し、重複及び同一号証内に異なる証拠が存在する)並びに陳述書(6通)を提出した。
答弁の理由
被請求人は、本件審判請求の登録前3年以内に我国において、請求に係る指定商品について本件商標を使用している。
被請求人は、小売店(百貨店)との取引に本件商標を使用し、その商品を販売している。また、小売店(百貨店)の別注品を販売するために、本件商標を展示会において使用している。さらに、本件商標は、ファクトリーブランドとして使用し、その商品を国内小売店(百貨店)にて販売している。
(1)本件商標の使用意図
本件商標は、在庫品販売のため、過去に他の百貨店の元売り場で販売した同一商品を上代価格を変えて販売する目的で特別催事売り場にて使用している。同一商品であっても衿ネームと下げ札を替える(本件の場合、本件商標に付け替える)ことで、価格を変更して販売している(乙11)。
今回の「SKO-2847」の蝶刺繍の商品は、他の百貨店の元売場で、10,000円で販売したものと同一の在庫品を、「創業祭」において、9450円として広告掲載し、販売したものである(乙11中の「催事広告」、「松屋宛出荷明細票」)。
このように、一度他の百貨店で販売された同一商品を別の催事会場で販売する場合、衿ネームを替えておく必要がある。これは、他の百貨店での購入者から、同一商品が他の百貨店と異なる価格で販売されていることを知り、問い合わせがあった場合には正当な説明をしかねるため、同一商品を異なった価格で販売することにより、購入者等に迷惑をかけないためである。
(2)「松屋宛出荷明細票」の信憑性について
株式会社松屋浅草店での催事販売に関しては、売上仕入れ販売(消化仕入)の形態をとっており、これは、百貨店の店頭において販売された時に仕入れたとする取引形態である(乙12中の百貨店仕入れ形態)。
本件においては、株式会社松屋浅草店への商品の納品に「松屋宛出荷明細票」を添付しているところ、この「松屋宛出荷明細票」は同時に、被請求人自身への作業指示書を兼ねている(乙12中の「出荷明細票」)。
この「出荷明細票」(作業指示書)には、会社名、電話番号、素材名、品番、上代、カラー、サイズ、数量を記入している他、被請求人自身が行う衿ネーム付け替え及び下げ札印字作業をする際に、商標の付け間違いをしないように本件商標である「Open the market」のネームを貼付している。
つまり、「出荷明細票」は、百貨店への商品の納品(出荷)の証であると同時に、被請求人自身の作業の指示書に代用しているのであり、百貨店の為に、商標を特定する為のものではない。百貨店にとっては、売れそうか否かが基本であり、商品自体には、関心を持っているはずである。
被請求人は、蝶刺繍の商品を浅草・松屋主催「墨田ニット&カットソーフェア」(乙12中の「墨田ニット&カットソーフェア」出店者の皆様へ)へ、展示品の事前送付のサンプル品として、平成21年9月18日に送付(乙12中の「佐川急便からの請求書である【運賃明細書】」)に掲載した後、広告にまで掲載したと思います(乙12中の「催事広告」)。
故に、株式会社松屋、N氏も被請求人の納品した広告品である蝶刺繍は、憶えていたのだと思われるが、株式会社松屋にとっては、商品ブランドを選別して仕入れるという考え方がないので、本件商標の衿ネームに対し覚えがないのだと思われる(乙12中の株式会社松屋本店社員の陳述書)。
(3)本件商標を付した商品の販売実績
被請求人は、株式会社松屋「買掛金明細票」等と、A銀行の「当座勘定照合表」のコピーを提出したが、再度、品番が「SKO-2847」の商品に絞って説明する。
被請求人は、「創業祭」にて、過去の他の百貨店で販売した価格と異なった価格で販売する商品について、本件商標の衿ネームに付け替えて販売したものであるところ、品番が「SKO-2847」の蝶刺繍の、税込価格が9,450円(上代9,000円)の商品が、2009年10月31日、及び同年11月2に各1枚売れている(乙13中の売上報告書)。
そのほか、上記両日には、上記品番を含む他の品番の商品も売れており、この売上枚数及び金額合計(乙13中の浅草松屋店宛ての売上明細報告書)が、東京ニットファッション工業組合から平成21年11月12日に出展者全員に配付された資料(乙13中の「松屋浅草主催『墨田ニット&カットソーフェア』実績一覧」)と一致する。
また、これは、株式会社松屋が被請求人あてに発行の乙第13号証中の「買掛支払通知書」に記載された金額(但し、上記両日の欄における上代の75(%)掛け)とも一致する。
(4)本件商標のネーム、下げ札及び商品「洋服」の写真について
本件商標が記載された下げ札(紙製)及び衿ネーム(布製)の現物を添付する(乙14)。その下げ札には、品番、カラー、サイズ、品質等のほか、製造販売者名(被請求人名)が明記されている。
また、後者については、現物商品を平成23年2月頃に撮影したものであるが、品番が「SKO-2847」である蝶刺繍の商品で、「創業祭」の広告(乙14中)に掲載された商品と同一の商品の現物を正本証拠(乙14号証中の現物商品)として提出し、副本証拠は、平成23年9月28日に撮影したものを再度提出する(乙14号証中の現物商品写真)。
当該現物製品(品番「SKO-2847」)は、上記広告品と同一であることは、広告商品に蝶刺繍があることから識別可能である。
さらに、その広告には、「刺繍入り婦人ニット9,450円(毛100%,M・L,8色)」の表示があり、被請求人の「松屋宛出荷明細票」(乙14中)において刺繍、上代、品番、カラー8色、サイズM・L、素材名(ウール天竺:天竺とはニット素材生地名)が明記されており、「催事広告」(乙14中等)の掲載内容と一致している。
(5)「創業祭」出展に関する「Open the market」の商品販売の準備作業及び販売後処理について
ア 「創業祭」に参加予定の各社に対し、株式会社松屋より主なサンプル送付の依頼があり、被請求人は、平成21年9月18日に「SKO-2847」の蝶刺繍のサンプルを送付した(乙17中の「運賃明細書」(答弁書には、「佐川急便送り状」と記載されている))。後日、先方より、これを広告掲載されるサンプルとして使用する旨、連絡があった(当該広告は、乙17中の「催事広告」)。
その後の平成21年9月24日に、「創業祭」への出展者説明会があり、先方より、墨田区のニット・カットソーの商品を表現したいと参加者への趣旨説明とともに、上代は、プロパー設定10,000円前後、仕入原価を上代の75掛け(75%)(乙17中の買掛支払通知書(答弁書では、「買掛金明細書」と記載))とすること等の説明があった。
その説明に対応し、被請求人は、中心上代10,000円前後、ミセス向け、高級感があり値頃な商品在庫として約220枚を選別した。
その中で、本件商標の衿ネームに付け替える商品には、刺繍シリーズ「SKO-2847」が含まれており、当該品番の商品は、平成19年10月に他の百貨店のプロパー販売(10,000円)で、売れ残ったためであり、上代を下げ(9,000円)て、株式会社松屋浅草店にて販売するため、ネームと下げ札を替える必要があったものである。
イ ネームと下げ札を替える作業工程は、平成21年10月1日から同月26日頃までに被請求人の本社3階のサンプル縫製、修理作業、ネーム付け等を行う所(乙19中の作業現場写真)で行った。
これらの作業指示は、ブランド衿ネーム(本件商標)を貼り付けてコピーした「松屋宛出荷明細票」(乙19中)に基づき、付け間違いの起こらないように行い、10月26日から27日にかけて、値札バーコードの裏下部に品番、サイズ、カラーを記入し、本件商標を付した下げ札の穴に打ち付け、準備し、10月28日に「創業祭」の催事場に商品を投入、陳列した。
ウ 被請求人の販売要員(担当者)は、商品が販売された場合、売上状況把握のために値札バーコードの裏側記載の品番、サイズ、カラー及び上代を売上報告一覧に日付別に記入した(乙20中の売上明細:被請求人は、乙21と記載しているが、記載ミスと思われる。)。
エ 「創業祭」の終了後日、株式会社松屋より、11月20日締めの買掛金支払通知書(乙20中:被請求人は、乙21と記載しているが、前期同様記載ミスと思われる。)が届き、消化仕入販売した商品の枚数と金額を確認した。
(6)陳述書(要約)について
ア 株式会社P社長の陳述書
株式会社フェイマスオグチ(被請求人)のウール天竺蝶刺繍の商品は、平成21年10月28日からの松屋浅草店の140周年催事場において、「Open the market」ネームにて展示していた事を憶えている。 なお、P社長は、株式会社松屋浅草店の140周年の催事販売において一緒に広告掲載された会社の社長である。
イ 株式会社F会長の陳述書
「創業祭」の催事販売において、被請求人のとなりのブースで接客販売した。被請求人の商品を販売していたのは、被請求人社員のK氏及びT氏に相違ない。
ウ 被請求人社員のK氏の陳述書
Kは、「創業祭」の催事販売の準備、実施にあたり、「松屋宛出荷明細票」(作業指示書)に基づき、品番、サイズ、カラーを裏書きした値札を本体の下げ札(Open the market)等に付ける作業をした。また催事期間中、上記下げ札が付いた被請求人の商品を接客販売したことに相違ない。
エ 被請求人社員のT氏の陳述書
Tは、「創業祭」の催事販売の準備、実施にあたり、「松屋宛出荷明細票」(作業指示書)に基づき、元衿ネームを剥がし特別催販売用付け替え衿ネーム「Open the market」を商品に縫い付けた。又、催事期間中は、被請求人の上記ネーム、下げ札の付いた商品を展示販売したことに相違ない。
オ 被請求人社員のH氏の陳述書
Hは、「創業祭」の催事販売の為の準備作業をした。その内容は、「松屋宛出荷明細票」(作業指示書)に指示されているブランド「Open the market」の下げ札に品番、サイズ、カラーを入れて印字した。同時に再仕上げをし、検針器に商品をとおり作業をしたことに相違ない。
カ 被請求人社員のO氏の陳述書
Oは、「創業祭」の催事販売の準備、実施に辺り商品を段ボール詰め出荷、店頭出し展示、接客、返品作業をした。返品作業の過程の中で、「Open the market」のネーム、下げ札の付いた商品を取り扱った。

第4 当審の判断
1 被請求人の提出に係る乙各号証によれば、以下の事実を認めることができる。
(1)乙第11号証について
ア 「松屋宛出荷明細書」(乙6及び他号証中にも存在)について
「松屋宛出荷明細書」には、出荷日、出荷元、宛先、素材名、品番、上代、カラー、サイズ及び数量等が、記載されているところ、その記載内容からして、2009年10月27日に株式会社フェイマスオグチ(被請求人)から、松屋浅草店に、素材名が「ウール天竺」、品番が「SKO-2847」等、カラーが8種類、上代(税抜き販売価格)が「9,000円」、サイズが「M」及び「L」の商品を出荷したものと認められる。
その他、「松屋宛出荷明細票」の上部には、「刺繍」の文字が記載されていることから、当該商品は、刺繍が施された商品であるとも認めることができる。
さらに、「松屋宛出荷明細票」の欄外の、本件商標と同一と認めうる「Open the market」と記載された横長矩形の表示は、布製の「衿ネーム(タグ)」(乙14)を直接「松屋宛出荷明細票」に貼付したものであることは、被請求人も認めている。
イ 「催事広告」(乙6及び他号証中にも存在)について
この上段には、「松屋創業140周年 大創業祭 11月3日(祝・火)まで開催中 各階にて」と記載されている他、左側上部辺りの位置に「<フェイマスオグチ>」、「蝶刺繍入婦人ニット9,450円(毛100%,M・L,8色)」の表示も確認できるとともに、「蝶模様の被服」が掲載されている。
なお、「催事広告」における「11月3日」が火曜日である年は、2009(平成21)年で符合する。
(2)乙第13号証について
ア 「買掛支払通知書」(乙6及び他号証中にも存在)について
これには、計算日、金額、備考、当月支払高内訳(売上仕入、消費税、差引当月支払高)、発行元、口座名、日付等が記載されているところ、その記載内容からして、平成21年10月28日から同年11月3日迄の売上商品に対する代金を「株式会社松屋」から「株式会社フェイマスオグチ」(被請求人)に支払われる明細が記載されている。
具体的には、10月31日に、12,750円、11月2日に、50,100円が計上されていることが確認でき、これら金額に消費税、振込手数料などが加減されて、平成21年12月18日に支払われる旨の記載が当該「買掛支払通知書」下部において確認でき、実際に、「株式会社松屋」から被請求人宛に支払われたことを示すA銀行発行の「当座勘定照合表」(乙6)も確認できる。
イ 「売上明細報告書」(乙20にも存在)について
これは、2009年10月作成の被請求人から「松屋浅草店」宛のものであるところ、その表中の10月31日及び11月2日の両欄を徴するに、10月31日には、品番「SKO-2847」の商品(サイズがL、カラーがオレンジ、上代が9,000円)が1枚、そのほか、別の品番の商品が1枚(上代が8,000円)の計2枚の売上(計17,000円)があり、11月2日には、同じく品番「SKO-2847」の商品(サイズがM、カラーがネイビー、上代が9,000円)が1枚、そのほか、別の品番の商品が、6枚(上代が12,000円ほか)の計7枚の売上(計66,800円)があったことが確認できる。
そして両日の売上額の75%(10月31日は、12,750円、11月2日は、50,100円)が「創業祭」への出展者(被請求人)に支払われる契約であり、その金額が、上記アの「買掛支払通知書」における両日の金額と一致するものである。
(3)乙第14号証について
ア 「下げ札」及び「衿ネーム(タグ)」について
これらは、現物であるところ、これらには、本件商標と同一の態様の文字が表記(下げ札)及び刺繍(衿ネーム:タグ)されており、これらの「下げ札」及び「衿ネーム(タグ)」は、同号証中の蝶刺繍が施された被服の「写真」(但し、正本には、現物の「被服」が提出。以下同じ。)の衿ネーム(タグ)及び下げ札と同一と認められる。
そして当該「下げ札」の裏面には、「NO./」、「COL./」、「SIZE/」、「QUALITY/」及び製造者等を表示する各項目が存在している。
イ 蝶刺繍の被服の「写真」について
同号証中の蝶刺繍が施された被服の「写真」(平成23年9月28日撮影:要証期間外)に表示されている下げ札の裏面には、順に「NO./SKO-2847」、「COL./ネイビー」、「SIZE/L」、「QUALITY/毛 100%」及び「株式会社フェイマスオグチ」(被請求人)等の表示が確認できる。
2 そこで、被請求人が、本件商標を取消請求に係る指定商品である「被服」について、本件商標を使用していたか否かについて判断する。
(1)「松屋宛出荷明細書」と「催事広告」の関係について
前記1(1)アにおける「松屋宛出荷明細票」中の「刺繍」、素材名が「ウール天竺」、カラーが「薄紫、オレンジ、・・・」の8種類、上代(税抜き販売価格)が「9,000円」、サイズが「M」及び「L」の各記載は、前記1(1)イにおける「催事広告」中の 「蝶刺繍入婦人ニット」、「毛100%」、「8色」、「9,450円」、「M・L」の各表示と実質的に一致していることから、2009(平成21)年10月27日に「株式会社フェイマスオグチ」(被請求人)から、「株式会社松屋浅草店」に、出荷した商品のうちの品番が「SKO-2847」と同一の商品が、株式会社松屋浅草店の「催事広告」に掲載された商品であることが推認できる。
(2)蝶刺繍の被服の「写真」と「催事広告」の関係について
当該「写真」は、本件審判請求がなされた後の平成23年9月28日(要証期間外)に撮影されたものであるが、写真上の商品は、「催事広告」における蝶模様の「被服」とは、その蝶模様の構成が一致するほか、「催事広告」に記載の「蝶刺繍入婦人ニット」、「毛100%」,「M・L」及び「8色」の各表示と写真から認識できる商品の品質(蝶刺繍入婦人ニット)及びタグに表示された「毛 100%」、「L」、「ネイビー」の各表示も一致する。
(3)蝶模様の被服の「写真」と「松屋宛出荷明細書」の関係について
当該「写真」の下げ札の裏面に表された「NO./SKO-2847」、「COL./ネイビー」、「SIZE/L」及び「QUALITY/毛 100%」の各表示は、乙第11号証中の「松屋宛出荷明細書」における、「品番 SKO-2847」、カラー(8色)、サイズ(M L)及び「素材名 ウール天竺」の各表示と実質的に一致するものである。
(4)株式会社P社長の陳述書について
被請求人提出にかかる本陳述書によれば、株式会社フェイマスオグチ(被請求人)のウール天竺蝶刺繍の商品は、平成21年10月28日からの松屋浅草店の140周年催事場において、「Open the market」ネームにて展示されていた旨、記載されている。なお、P社長は、株式会社松屋浅草店の140周年の催事販売において一緒に広告掲載された会社の社長であるところ、本陳述書は、同業者によるものであるとしても、被請求人側の指揮命令下にある者によるものでもないうえ、その内容が具体的であって、不自然と思われる点もないものであり、これを否定しなければならない理由は見あたらない。
(5)蝶刺繍の被服の「写真」(乙14)の信憑性について
上記(1)ないし(4)の各一致点よりすれば、例え蝶刺繍の被服の「写真」の撮影日が要証期間外であるとしても、当該「写真」に表示された内容自体は、事実として認めることができ、かつ、当該「写真」の商品は、「SKO-2847」の品番の商品であるとともに、「催事広告」に掲載された商品と同一の商品であると認めるのが相当である。
(6)小括
上記(1)ないし(5)を総合すると、被請求人は、平成21年10月28日ないし同年11月2日の間(要証期間内)に東京都(浅草)において、本件審判請求に係る指定商品「被服」に含まれる「洋服(カットソー)」に本件商標「Open the market」を付して、松屋浅草店を通じて販売したものと認めることができる。
そして当該行為は、「商品に標章を付したものを譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引き渡しのために展示する行為」(商標法第2条第3項第2号)に該当するものである。
(7)請求人の主張について
請求人は、乙第11号証中の 「松屋宛出荷明細書」に示された本件商標の「Open the market」の表示は、本件商標の衿ネーム状のタグを貼付したものであって、当該タグは、「松屋宛出荷明細票」の発行時に実際に貼付されていたか疑わしく、また商品との関係が全く不明であり、本件商標が「被服」について使用されていた証拠とは認められない旨、主張している。
しかしながら、被請求人の主張(主旨)によれば、株式会社松屋浅草店への納品に「松屋宛出荷明細票」を添付しているところ、この「松屋宛出荷明細票」は同時に、被請求人自身へのA商標からB商標に付け替える等の為の作業指示書(松屋への為ではなく、自社作業の為)を兼ねているものである。
そして、在庫品の整理(販売)にあっては、A商標をB商標に付け替えることで、価格を変更して販売することも、複雑な商取引における販売方法の一手法として十分考えられるものといわざるを得ず、このために発生する衿ネーム(タグ)付け替え及び下げ札印字作業に際し、どの商品にどの衿ネーム(タグ)を付け替え、及び下げ札印字作業をすべきかについては、実際の衿ネーム(タグ)を以て指示する手法も付け間違いを回避するに適した一手法と見るのが相当であり、この手法を否定しなければならない特段の理由は見あたらない。
そして、「創業祭」は、平成21年10月28日から翌11月3日に開催されたものであって、衿ネーム(タグ)等の付け替えは、その作業期間を考慮すると当然に出荷日(「松屋宛出荷明細票」には、「2009(平成21)年10月27日」と表示)以前(被請求人によれば、10月1日頃から作業開始:平成23年10月3日答弁書17頁)に貼付されたと見るのが自然であるから、「松屋宛出荷明細票」が実際に発行された時点では当然に「衿ネーム(タグ)」が貼付されていたものと認められる。
3 まとめ
以上のとおり、被請求人(商標権者)は、本件審判の請求登録前3年以内に、日本国内において、取消請求に係る本件指定商品「被服」について、本件商標を商標権者が使用していたことを証明したものというべきである。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条第1項の規定に基づき、取り消すことができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲(本件商標)





審理終結日 2012-04-06 
結審通知日 2012-04-10 
審決日 2012-04-27 
出願番号 商願平11-87813 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (Z25)
最終処分 不成立 
前審関与審査官 田中 亨子 
特許庁審判長 水茎 弥
特許庁審判官 渡邉 健司
井出 英一郎
登録日 2000-09-01 
登録番号 商標登録第4412884号(T4412884) 
商標の称呼 オープンザマーケット 
代理人 柴田 泰子 
代理人 大島 厚 
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