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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 X05
審判 全部申立て  登録を維持 X05
管理番号 1261681 
異議申立番号 異議2011-685014 
総通号数 153 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2012-09-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2011-07-15 
確定日 2012-07-05 
異議申立件数
事件の表示 国際登録第1025171号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 国際登録第1025171号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件国際登録第1025171号商標(以下「本件商標」という。)は、「Lantox」の欧文字を書してなり、2009(平成21)年9月9日に国際商標登録出願され、第5類「Biological preparations for medical purposes;cultures of microorganisms for medical and veterinary use;medicines for human purposes;balsamic preparations for medical purposes;preparations for medical purpose;drugs for medical purposes;injection solutions;medical water;medical ointment;medical grease.」を指定商品として、平成23年2月1日に登録査定、同年4月22日に設定登録されたものである。
2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標の登録の取消しを求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第9号証(枝番を含む。)を提出した。
(1)引用商標
申立人が引用する登録第3025781号商標(以下「引用商標」という。)は、「Lantus」の欧文字からなり、第5類「薬剤」を指定商品として、平成4年8月28日に登録出願、同7年2月28日に設定登録されたものである。引用商標は、申立人の子会社であるサノフィーアベンティス・ドイチュラント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツングによって所有され、現在も有効に存続するものである。
(2)引用商標の周知・著名性について
ア 引用商標の使用実績
申立人は、2004年にフランス国サノフィ・サンテラボ社とアベンティス・ファーマ社との合併により設立された世界有数の製薬業者である。
引用商標及び対応する片仮名表記「ランタス」は、申立人によって、一般名を「インスリン グラルギン」とする糖尿病治療に用いられるインスリン製剤を表す商標として、我が国においては2003年から10年近くにわたり継続的に使用されている(甲3,甲4)。
当該インスリン製剤は、従来のインスリン製剤とは違い、1日1回の投与でほぼ24時間安定した作用を示す「特効型(超持続型)インスリン」として注目を集め、その販売地域を世界各国に拡大し、現在ではドイツ、アメリカ、フランスなど90か国以上において販売されている(甲4,甲5)。その売上額も年々増加し、例えば、2009年には約30億8000万ユーロ(約3,200億円)(甲6の1・2)、2010年には35億1000万ユーロ(約4,148億8,000万円)(甲6の3・4)である。この額は、糖尿病治療のためのあらゆるインスリン製剤における売上において第1位に相当するものである。
また、日本においても2003年の販売開始以来、順調にシェアを拡大し、2008年11月には糖尿病患者を対象としたインスリン製剤の分野において初めて39.7パーセントの国内トップシェアを獲得して以来、最新の調査を行った2011年2月まで28か月連続でシェア第1位の座を維持し、しかもそのシェアは年々増加している(甲4)。
イ 引用商標の使用態様
甲第7号証は、引用商標が使用されているインスリン製剤の添付文書であり、文書上部において「インスリン グラルギン(遺伝子組換え)注射液」という商品の一般名称と共に「LANTUS」及び「ランタス」の文字が大書されている。また、同じく文書上部には申立人である「sanofi aventis」の名称も明示されている。
ウ 小括
以上の販売実績及び商標の使用態様に照らすと、引用商標は申立人の業務に係るインスリン製剤を表す商標として少なくとも医療用医薬品の需要者及び取引者の間で、周知ないし著名となっている。
(3)本件商標の商標法第4条第1項第11号該当性について
本件商標の称呼「ラントックス」と引用商標の称呼「ランタス」とは、称呼聴別上重要な語頭の「ラン」の音が共通するほか、末尾の「ス」の音も共通するため称呼上近似する。
また、外観についても、欧文字部分が6文字中4文字共通するという点で類似する。
したがって、本件商標と引用商標とは類似する。
また、本件商標の指定商品は、引用商標の指定商品と抵触する。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるから、その登録は取り消されるべきである。
(4)本件商標の商標法第4条第1項第15号該当性について
本件商標は、申立人の業務に係るインスリン製剤を表す商標として需要者及び取引者の間で広く知られた引用商標と類似するものである。また、その指定商品もインスリン製剤と関わりが深い「注射液」、その他薬剤やそれに関連する医療分野における商品であって、需要者及び取引者を共通にする。
さらに、主な指定商品である医薬品の分野においては頭文字が共通する紛らわしい名称の薬剤についての取り違え事例も多数報告されている。
このような事情を総合的に勘案すると、本件商標をその指定商品に使用した場合、これに接した需要者及び取引者は、申立人又は同人と資本関係若しくは業務提携関係を有する者の業務に係る商品であるかのように商品の出所について混同を生ずるおそれは十分に存在する。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであるから、その登録は取り消されるべきである。
3 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号の該当性について
本件商標は、前記1のとおり、「Lantox」の欧文字を横書きしてなり、他方、引用商標は、前記2(1)のとおり、「Lantus」の欧文字を横書きしてなるところ、その構成文字は、共に、辞書等に記載のある既成の語ではないことから特定の観念は生じないものであり、また、我が国で最も親しまれた外国語である英語風の読みに倣い、本件商標からは「ラントックス」の称呼が生じ、引用商標からは「ランタス」の称呼が生ずるものである。
そこで、まず、本件商標の外観と引用商標の外観とを比較すると、両者は、構成文字の6文字中の5文字目と6文字目において「ox」と「us」の顕著な差異を有するので、時と所を異にして観察しても、判然と区別することができるものである。
つぎに、本件商標の称呼「ラントックス」と引用商標の称呼「ランタス」とを比較すると、両者は、本件商標の称呼が6音よりなるのに対して引用商標の称呼が4音よりなるものであり、そのうち語頭の「ラン」及び語尾の「ス」の音を共通にするが、中間音において「ト」「ッ」「ク」の各音と「タ」の音との差異を有するところ、本件商標の称呼は「ラン」と「トックス」との間に息の段落をもって発音され、かつ、「ト」の音が促音を伴うために強く称呼されるのに対し、引用商標の称呼は「ラン」と「タス」との間に息の段落をもって称呼されるものであって、それぞれを一連に称呼するときは、語調、語感を異にし、十分に聴別することができるものであるから、互いに聞き誤るおそれはないというべきである。
また、本件商標と引用商標とは、共に特定の観念を生ずるものではないから、観念においては比較することができない。
してみれば、本件商標は、引用商標とは、称呼、外観及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない別異の商標というべきものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(2)商標法第4条第1項第15号の該当性について
本件商標は、上記(1)のとおり、引用商標とは相紛れるおそれのない別異の商標というべきものである。
そうすると、本件商標は、その登録出願時及び登録査定時に、引用商標が申立人によって使用された結果、その業務に係る商品「インスリン製剤」の出所を表示する商標として周知であったとしても、引用商標とは別異の商標であるから、本件商標の指定商品に使用しても、取引者・需要者をして、その使用商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように商品の出所について混同を生じさせるおそれはないというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号にも該当しない。
(3)結論
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び第15号のいずれにも違反してされたものでないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2012-06-26 
審決分類 T 1 651・ 271- Y (X05)
T 1 651・ 262- Y (X05)
最終処分 維持  
前審関与審査官 吉澤 拓也佐藤 松江 
特許庁審判長 酒井 福造
特許庁審判官 松田 訓子
前山 るり子
登録日 2009-09-09 
権利者 Lanzhou Institute of Biological Products
商標の称呼 ラントックス 
代理人 河合 千明 
代理人 田中 光雄 
代理人 寺田 花子 
代理人 勝見 元博 
代理人 鮫島 睦 

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