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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 X0942
審判 全部申立て  登録を維持 X0942
審判 全部申立て  登録を維持 X0942
管理番号 1261658 
異議申立番号 異議2012-900022 
総通号数 153 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2012-09-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2012-01-27 
確定日 2012-08-03 
異議申立件数
事件の表示 登録第5447377号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5447377号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5447377号商標(以下「本件商標」という。)は、「Sapie」の欧文字を横書きしてなり、平成23年6月10日に登録出願、第9類「電気通信機械器具,電子計算機用プログラム」及び第42類「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,電子計算機用プログラムの提供」を指定商品及び指定役務として、同年10月12日に登録査定、同月28日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録商標は、以下のとおりであり、その商標権は、いずれも現に有効に存続しているものである。
(1)登録第4669881号商標(以下「引用商標1」という。)は、「SAP」の欧文字を横書きしてなり、1999年8月3日にドイツ連邦共和国においてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、平成12年1月19日に登録出願、第9類「電子計算機用プログラムを記録させた電子回路・磁気ディスク・磁気テープその他の磁気記録媒体,その他の電子応用機械器具及びその部品」及び第42類「金融及び制御管理・生産及び資材管理・品質管理及びプラントの保守・販売及び流通管理・人的資源及びプロジェクト管理・一般事務用(ワードプロセッシング・電子メール・公文書管理等)などの内部目的の範囲で使用する電子計算機プログラムの作成・設計及び開発,その他の電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,コンピュータプログラム及びソフトウェアの貸与又は最新化,電子計算機プログラムの作成・設計・開発に関する指導及び助言,コンピュータプログラム及びソフトウェアに関する調査,インターネットを利用したコンピュータプログラム及びソフトウェアの開発・設計・作成・変更・保守に関する情報の提供,インターネットを利用したコンピュータプログラム及びソフトウェアの貸与に関する情報の提供」のほか、第16類及び第41類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同15年5月9日に設定登録されたものである。
(2)国際登録第759060号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、2001年(平成13年)4月18日に国際商標登録出願、第9類「Machine-readable data media provided with computer programs; computer programs and software; magnetic carriers for computers, namely magnetic tapes, magnetic disks; magnetic wafers and magnetic cards for computers.」及び第42類「Programming, development and design of computer programs and software, particularly for internal function areas such as financial and controlling management, production and materials management, quality management and plant maintenance, sales and distribution, human resources and project management, general office functions such as word processing, electronic mail and archiving; implementation, servicing, leasing, updating, outsourcing and maintenance of computer programs and software; consulting and advising about programming, design, development, use and application of computer programs and software; research in the field of computer programs and software; consultancy and information in the Internet regarding development, creation, programming, production, performance, distribution, application, use, mode of operation, handling, modification, maintenance, leasing, updating, design and outsourcing of computer programs and software.」のほか、第16類及び第41類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成14年8月30日に設定登録されたものである。
(以下、これらをまとめて「引用商標」という場合がある。)

3 登録異議の申立ての理由(要旨)
申立人は、その申立ての理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第12号証(枝番号を含む。)を提出している。
(1)引用商標の周知著名性について
申立人は、1972年に設立されたヨーロッパ最大級のソフトウェア会社であり、同年にISS標準ソフトウェアである「SAP R/1」を開発したことに始まり、現在では、販売及び開発の拠点を50か国以上に展開し、109,000以上の顧客にSAPのアプリケーションとサービスを提供している(甲第4号証及び甲第5号証)。
また、日本においては、1992年に、申立人が100%出資する日本法人として、SAPジャパンが設立され、2002年には、SAP製品の国内導入企業が1,000社を超えている(甲第6号証及び甲第7号証)。
そして、申立人名称は、「SAP AG」であるところ、一般的には、「株式会社」を意味する「AG」を省略した「SAP」をもって、「エスエーピー」又は「サップ」と称されている。
申立人は、申立人の略称でもある引用商標を申立人の製品及びこれに関連するサービス事業を表する代表的な出所識別標識として、あるいは事業全体を表するいわゆるハウスマークとして、現在に至るまで継続して使用しており、その結果、引用商標でもある「SAP」は、インターブランド社が毎年発表している「BEST GLOBAL BRANDS」の2011年度において、第24位にランキングされ、そのブランド価値は、145億4200万ドルと評価されている(甲第10号証の1)。
また、ソフトウェア分野における売上ランキング(GLOBAL SOFTWARE TOP 100)の2011年度においては、第4位にランキングされ、166億5400万ドルの売上となっている(甲第11号証の1)。
以上のことから、申立人の略称である「SAP」が世界的な名声を獲得していることは明らかであり、同時に申立人が提供する商品及びサービスに共通して使用している引用商標が、本件商標の登録出願時に、既にソフトウェア業界及びこれらに関連する商品又はサービスの取引者、需要者において広く認識されるに至り、日本国内のみならず、世界的規模で著名性を獲得したものであることは明白である。
そして、引用商標は、それ自体が造語であって、そこから生ずる「サップ」との称呼は、取引者、需要者の記憶、印象に強く残るものである。
(2)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、その構成上重要な部分である語頭部に、既に周知著名性を獲得している引用商標と同一の「S」、「a」及び「p」の文字を含んでおり、外観において相紛らわしく、また、本件商標は、称呼上、強く明瞭に発音される語頭の「サ」の音を引用商標と共通にし、差異音である「エ」の音は明瞭に聴取され難い語尾に配置されていることから、一連に称呼した場合には、語調、語感が近似して、引用商標と互いに紛れるおそれがある類似の商標であり、さらに、本件商標の指定商品及び指定役務は、引用商標に係る第9類及び第42類に属する指定商品及び指定役務と同一又は類似のものである。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものであるから、取り消されるべきものである。
(3)商標法第4条第1項第15号について
本件商標は、上記のとおり、周知著名性を獲得している引用商標と類似の商標であるから、本件商標がその指定商品及び指定役務に使用されたときは、その商品又は役務の取引者、需要者は、その商品又は役務をあたかも申立人又は同人と経済的若しくは組織的に関係を有する者に係る商品又は役務であると誤認し、申立人の業務に係る商品又は役務と出所の混同を生ずるおそれがある。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものであるから、取り消されるべきものである。

4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標
本件商標は、前記1のとおり、「Sapie」の欧文字を横書きしてなるところ、その構成各文字は、1文字目を大文字で表し、2文字目以降を小文字で表してなるものの、同書、同大で、かつ、等間隔に表されており、視覚上、その構成中の特定の文字部分のみが看者の注意を強く引くとみるべき特段の事情は認められない。
そうとすると、本件商標は、その構成態様と相まって、その構成全体が一連一体のものとして看取、把握されるものというべきであるところ、本件商標を構成する「Sapie」の文字は、辞書類に掲載されている既存の語とは認められないから、看者をして、特定の語義を有することのない一種の造語として認識されるものとみるのが相当である。
してみれば、本件商標は、その構成文字に相応する「サピエ」の称呼を生じ、特定の観念を生ずることのないものである。
イ 引用商標
引用商標1は、前記2(1)のとおり、「SAP」の欧文字を横書きしてなるところ、該文字は、例えば、日本語の辞典類には、国際通貨基金(IMF)の構造調整プログラム(Structural Adjustment Program)の略語としての既述があり、また、英和辞典には、「サップ」と発音され、「樹液、体液」や「坑道」等の複数の語義を有する単語としての掲載例があることからすれば、直ちに特定の意味を想起させるものとはいい難く、また、その構成文字に相応して、「サップ」の称呼を生ずるとみるのが相当である。
また、引用商標2は、別掲のとおり、左辺を垂直線とし、右辺を斜線とする黒色四角形内に「SAP」の欧文字を白抜きで表してなるところ、その構成態様に照らせば、その構成中の「SAP」の欧文字部分が独立して自他商品又は自他役務の識別標識として機能し得るものであるから、引用商標1における場合と同様に、該欧文字部分に相応する「サップ」の称呼を生じ、直ちに特定の意味を想起させることのないものとみるのが相当である。
ウ 本件商標と引用商標との類否
本件商標と引用商標とは、それぞれ上記のとおりの構成からなるものであるから、外観上、両商標が相紛れるおそれはない。
また、本願商標から生ずる「サピエ」の称呼と引用商標から生ずる「サップ」の称呼とを比較すると、両称呼は、共に3音(促音を含む。)という短い音構成からなり、かつ、語頭音「サ」以外の音を異にするものであるから、その音の差異が称呼全体に及ぼす影響は決して少なくなく、それぞれを一連に称呼するときは、語感、語調において少なからず相違し、互いに聴き誤るおそれはないというべきである。
さらに、本件商標は特定の観念を生ずることのないものである一方、引用商標も直ちに特定の意味を想起させることのないものであるから、観念上、両商標が相紛れるおそれはない。
してみれば、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても、相紛れるおそれのない非類似の商標というべきであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものではない。
(2)商標法第4条第1項第15号該当性について
本件商標と引用商標とは、上記(1)のとおり、非類似の商標であり、両商標は、全く別異のものというべきである。
また、申立人の提出に係る証拠をみても、申立人やその日本法人の設立時期や会社概要及び取扱商品等をうかがい知ることはできるものの、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、取引者、需要者の間に広く認識されていると認めるに足る事実は見いだせない。
してみれば、本件商標をその指定商品及び指定役務について使用しても、これに接する取引者、需要者が、該商品及び役務が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品又は役務であるかのように連想、想起することはなく、その出所について混同を生ずるおそれはないというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものではない。
(3)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号のいずれにも違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲
引用商標2(国際登録第759060号商標)


異議決定日 2012-07-26 
出願番号 商願2011-40266(T2011-40266) 
審決分類 T 1 651・ 261- Y (X0942)
T 1 651・ 262- Y (X0942)
T 1 651・ 271- Y (X0942)
最終処分 維持  
前審関与審査官 矢澤 一幸 
特許庁審判長 寺光 幸子
特許庁審判官 田中 敬規
酒井 福造
登録日 2011-10-28 
登録番号 商標登録第5447377号(T5447377) 
権利者 富士ソフト株式会社
商標の称呼 サピエ 
代理人 加藤 恒久 

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