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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 X30
管理番号 1261657 
異議申立番号 異議2012-900020 
総通号数 153 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2012-09-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2012-01-30 
確定日 2012-08-02 
異議申立件数
事件の表示 登録第5446720号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5446720号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5446720号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおり、「堂島ロール」の文字を書してなり、平成21年12月21日に登録出願、第30類「ロールケーキ」を指定商品として、同23年9月29日に登録すべき旨の審決がなされ、同年10月28日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、要旨以下のとおり理由を述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第16号証を提出した。
(1)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項16号について
本件商標は、「堂島ロール」の文字を普通に用いられる方法の範囲内で表したものであり、これをその指定商品(ロールケーキ)に使用しても、(大阪市北区)堂島を産地・販売地とする商品の品質を表示するに過ぎず、自他商品識別機能を果たし得ない。かつ、上記商品以外の商品に使用するときは商品の品質の誤認を生じるおそれがある。また本件商標は同法第3条第2項の規定に該当するものでもない。
(2)異議申立てに至った経緯
平成15年(2003年)頃、「吉留達也」氏(以下「吉留氏」という。)と、ホテルアンビエント堂島の調理シェフであった申立人は、ロールケーキの製造、販売を行うこととなり、申立人が「堂島ロール」と命名したロールケーキを作り、同ホテルのケーキショップ(以下「旧モンシュシュ」という。)で販売したところ、半年くらいの間に大変な人気ケーキとなり、ホテルの周りにそれを買い求める長い客の行列がほとんど毎日のようにできた。
そして、吉留氏は、現在の「株式会社モンシュシュ」(以下「モンシュシュ」という。)の代表者の「金美花」氏(以下「金氏」という。)を堂島ロールの販売員として採用した。
その後、ホテルアンビエント堂島は他の資本に譲渡され、吉留氏は名古屋港のテーマパーク「イタリア村」(名古屋港イタリア村株式会社)を運営する事業を開始し、その事業が多忙を極めたため、「堂島ロール」の製造販売からはいっとき離れた。これに乗じて金氏は、「堂島ロール」の評判に乗って独立後の自店舗で販売を拡大するようになった。
イタリア村の事業が破たんした後、吉留氏が「堂島ロール」の製造販売を再開しようとした頃、金氏は、吉留氏に無断で自らの名で「堂島ロール」に関係する商標を出願し、図形がらみの商標で登録を得た。こうした事実を知った吉留氏が金氏に問いただしたところ、いったんは非を認めたが、その後、金氏の態度は代理人を介して日に日に強硬になり、ついには吉留氏が再開した「堂島ロール」のケーキ販売を違法行為だと弁護士を通じて言ってくるようになった。
さらには、「堂島ロール」の生みの親の申立人が、「堂島ロール」を周知させた創始者の吉留氏の承諾を得て、福岡市のケーキショップで「堂島ロール」を販売している事業(アンセノンヌーボー)に対し、金氏やモンシュシュが、不当に様々な妨害行為を行うに至っている。
事ここに至っては、2003年(平成15年)にホテルアンビエント堂島で「堂島ロール」及び「旧モンシュシュ」を立ち上げた吉留氏や申立人としては、両者が有名にした「堂島ロール」を利用して、その独占主であるかのような金氏やモンシュシュの信じがたい振る舞いを放置することができなくなった。
(3)商標法第3条第2項の非該当性について
ア 金氏が審査過程で提出し、不服審判で援用した平成22年1月7日付の上申書(著名資料)には、虚偽があり、事実に反する内容に基づいて、商標法第3条第2項の適用を受け、本件商標が登録になったものである。
イ 「堂島ロール」の製造販売の真の創案者及び事業主体は吉留氏である。
平成22年1月7日付上申書の2頁の3行目には、「出願人は2003年(平成15年)11月から、本願商標『堂島ロール』の使用を商品『ロールケーキ』について開始しました。」と述べているが、これは事実に反する。前述のとおり、甲第1号証の「アンビエント堂島ホテル内にパティスリーとして開業したのが『モンシュシュ』なのです。」との記載より、ホテルアンビエント堂島の経営主体がセラヴィリゾート株式会社であり(甲5)、そのセラヴィリゾート株式会社の代表取締役が吉留氏であった(甲6)。さらに甲第7号証の申立人の陳述のとおり、吉留氏が個人的に同ホテルの1階に「旧モンシュシュ」の店舗をつくり、その開店資金を負担すると共に、経営責任も担い(甲8ないし甲12)、金氏はその旧モンシュシュの「堂島ロール」の販売を担当する実質上の店員(形式的には販売委託者として有利な条件が与えられた)に過ぎなかった(販売の報酬は販売実績の所定%として支払われた)。
言い換えれば、本件商標「堂島ロール」の使用をロールケーキについて開始したのは、その旧モンシュシュの経営者である吉留氏であり、それが2003年(平成15年)11月から2006年(平成18年)3月まで続いた。
ウ また、上記上申書では、その2頁において「上述で説明したとおりの特殊な形状と、何よりもその美味によって、瞬く間に需要者の間に広まるところとなりました。」との記載も、実際はホテルアンビエント堂島当時の「堂島ロール」を販売する「旧モンシュシュ」の経営をしていた吉留氏に係る事実である。
エ さらに、上申書26頁の「モンシュシュ過去のメディア情報」と記載されるリストについても、前述のとおり2004年1月号と記載されるものから2006年1月28日記載のものまでは、吉留氏が経営者であった、ホテルアンビエント堂島の当時の「旧モンシュシュ」にマスコミ・メディアから取材があったものである。
そして、「堂島ロール」を求める長い行列ができるようになり、かつ上記のようなマスコミ(メディア)による取材が頻繁に行われるようになったのも、同ホテル1階の「旧モンシュシュ」が吉留氏によって開店してから半年以内に生じた事実であり、同ホテルに「旧モンシュシュ」が営業されていた約2年3ヶ月の間に、「堂島ロール」は既に需要者に広く知られるところとなっていた。
オ 2006年にホテルアンビエント堂島がセラヴィリゾート株式会社の手を離れることとなって以後、同ホテル内の「旧モンシュシュ」はなくなり、同ホテル内で新たに「堂島ホテルロール」として販売が開始され、他方、金氏は同ホテルに近い路面店で同名の「モンシュシュ」を開店した。言い換えれば、ホテルアンビエント堂島の「旧モンシュシュ」で吉留氏が獲得した周知性に金氏が乗る形で「堂島ロール」の販売を継続したのである。
カ なお、金氏は、自身の名前又はモンシュシュを出願人として、「堂島ロール」のパッケージ商標や「堂島ロール(標準文字)」及び特定のゴシック調字体「堂島ロール」(本件商標)、さらに「モンシュシュ/MonChouChou」等の商標登録出願を行っている事実が判明したが、「堂島ロール」の創業者である吉留氏はこのような出願行為を承諾していない。つまり、これらの出願行為は、金氏若しくはモンシュシュが吉留氏には秘密裏に行ったものである。
キ また、「堂島ロール」が2003年から2006年にかけて、ホテルアンビエント堂島で吉留氏によって需要者の間に広く知られる周知性を獲得した後、2006年2月以降、金氏が「堂島ロール」を路面店で使用・継続し、またホテルアンビエント堂島以外で吉留氏が創業者である株式会社ヴィ・サ・ヴィが経営するレストランで、商標「堂島ロール」がロールケーキに使用されていた事実、及び吉留氏から営業を引き継いだ申立人が福岡市で正当な承継者として「堂島ロール」の使用を継続している事実がある。東京高裁平成14年(行ケ)第279号(判決言渡日:平成14年12月26日)では、対象商標の使用主体が2以上あることを理由に商標法第3条第2項の適用を否定している。
ク 多少繰り返しになるが、平成22年1月7日付の上申書における商標法第3条第2項の主張証拠は、ほとんどが2009年9月のウェブサイトの内容に過ぎず(長期間の継続使用を証明するものではない)、しかも本件の出願商標が付されたものが認められないことに加え、こうしたウェブサイトについて事業者がどの程度閲覧しているかも、必ずしも明らかでなく、さらに上記ウェブサイト以外の宣伝広告もほとんど存在せず、そして最も重要なことは、堂島ロールの使用が本件の被申立人によって始まったものではないことなど、本件商標が同法第3条第2項に該当するとして登録されたことは不当である。
ケ 「堂島ロール」は吉留氏がアンビエント堂島ホテルで開業したケーキショップ・モンシュシュで、申立人が作ったロールケーキの販売が続いたことにより、2003?2006年には行列ができ、マスコミに注目された認知度の高いケーキ名称としての地位を既に得ていたのであるから、これを後のアンケートやインターネットのアクセスで確認しても、やはり「認知度が高い」との結論になることは当然とも言える。ここで、商標法第3条第2項に該当して「堂島ロール」の登録を受ける資格は、吉留氏や申立人にこそある。
コ 以上を総括すれば、本件は、吉留氏や申立人がアンビエント堂島ホテルのモンシュシュで「堂島ロール」の高い認知度を獲得したが、旧モンシュシュで実質的な販売店員として働き優遇されてきた金氏が、吉留氏がイタリア村事業に忙殺されている間に、「堂島ロール」の高い認知度にタダ乗りすることでこれを最大限に利用して独立後の自店舗(モンシュシュ)の販売規模を広げ、かつ吉留氏に無断で「堂島ロール」の商標を秘密裏に自ら申請して「堂島ロール」を独占しようと企て、本家本元である吉留氏や申立人が「堂島ロール」の販売に戻ると、その販売を商標の登録により排除し妨害しようとする挙に出たもので、信義則上からも到底許されるものではない。今回の異議申立はそうした不当な行為を許さない正義のために、金氏(モンシュシュ)による「堂島ロール」の登録を取り消すことを求める切実な緊急の行為である。
(4)まとめ
以上のとおり、本件商標について商標法第3条第2項の適用は認められず、本件の登録は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号(同法第43条の2第1号)により取り消されるべきである。

3 当審の判断
(1)申立人の主張について
申立人の主張は、要するに、以下のようなものである。
平成15年(2003年)に、吉留氏と、ホテルアンビエント堂島の調理シェフであった申立人(有田氏)は、ロールケーキの製造、販売を行うこととなり、申立人が「堂島ロール」と命名したロールケーキを作った。また、吉留氏は、同ホテル1階にケーキショップを開店し、現在の「モンシュシュ」の代表者の金氏を堂島ロールの販売員として採用した。「堂島ロール」は、半年くらいの間に大変な人気ケーキとなり、ホテルの周りにそれを買い求める長い客の行列がほとんど毎日のようにできた。その後、ホテルアンビエント堂島は他の資本に譲渡され、吉留氏は名古屋港のテーマパーク「イタリア村」を運営する事業を開始し、「堂島ロール」の製造販売からはいっとき離れた。これに乗じて金氏は、「堂島ロール」の評判に乗って独立後の自店舗で販売を拡大するようになった。
したがって、「堂島ロール」の製造販売の真の創案者及び事業主体は、吉留氏であって、かつ、本件商標「堂島ロール」の使用は、開業時の旧モンシュシュの経営者である吉留氏によって行われたものであり、それが2003年(平成15年)11月から2006年(平成18年)3月まで続いた。そして、同ホテルに「旧モンシュシュ」が営業されていた約2年5ヶ月程の間に、「堂島ロール」は既に需要者に広く知られるところとなっていた。
よって、堂島ロールの使用が本件の商標権者(モンシュシュ)によって始まったものではないことなど、本件商標が同法第3条第2項に該当するとして登録されたことは不当であり、商標法第3条第2項に該当して「堂島ロール」の登録を受ける資格は、吉留氏や申立人にこそある。
そして、旧モンシュシュで実質的に販売店員であった金氏が、吉留氏がイタリア村事業に忙殺されている間に、「堂島ロール」の高い認知度にタダ乗りすることでこれを最大限に利用して独立後の自店舗(モンシュシュ)の販売規模を広げ、かつ吉留氏に無断で「堂島ロール」の商標を秘密裏に自ら申請して「堂島ロール」を独占しようと企てたものであって、本家本元である吉留氏や申立人が「堂島ロール」の販売に戻ると、その販売を商標の登録により排除し妨害しようとする挙に出たもので、信義則上からも到底許されるものではない。
(2)商標法第3条第2項該当性について
上記した申立人の主張及びその提出に係る証拠によれば、「モンシュシュ」の創業時及びロールケーキの「堂島ロール」が創作された時に、吉留氏、申立人が関係していたことは、十分に窺えるものである。
しかしながら、2003年(平成15年)11月から2006年(平成18年)3月までのホテルアンビエント堂島に「旧モンシュシュ」が営業されていた約2年5ヶ月程の間は、金氏も同様に「旧モンシュシュ」の営業に関わっており、「堂島ロール」を販売していたものということができる。
そして、ホテルアンビエント堂島にあった「旧モンシュシュ」が閉店した後も、同氏は、継続して現在の「モンシュシュ」に至るまで、本件商標「堂島ロール」を使用し、そのロールケーキを販売しているものである。
また、本件商標「堂島ロール」の周知性の獲得は、経営者などの個人に帰属するものではなく、出所識別標識の周知性として、営業主体としての法人である「モンシュシュ」に帰属するものであるというべきである。
そうしてみると、ホテルアンビエント堂島で開店した「旧モンシュシュ」で販売されていた「堂島ロール」は、移転後の店舗で販売され、現在の「モンシュシュ」において、継続して「堂島ロール」として販売され続けており、本件商標「堂島ロール」は、一貫して使用されているものである。
そして、拒絶査定不服審判における審判請求人(以下「商標権者」という場合がある。)の主張及びその提出に係る証拠によれば、「堂島ロール」の販売店は、現在の「モンシュシュ」において増えたものであり、本件商標の著名性が全国的なものとなったのは、2007年以降とみるのが相当であって、登録出願時及び登録審決時において、本件商標は、その指定商品「ロールケーキ」について、商標権者により使用をされた結果需要者が請求人の業務に係る商品であることを認識することができるものとなっていると判断するのが相当である。
また、吉留氏や申立人が「堂島ロール」の販売に戻ってきたとしても、少なくとも、全く関係のない第三者の使用ではないから、対象商標の使用主体が2以上あることを理由に商標法第3条第2項の適用を否定しているとして挙げた東京高裁平成14年(行ケ)第279号とは、事情が相違するものであって、上記判断を覆す理由とはならない。
そして、審決における、「なお、請求人以外の者がごく限られた場所で「堂島ロール」の文字(語)を商品「ロールケーキ」に使用しているが、上記(1)の請求人による本件商品の売上実績やマスコミによる紹介の実情を考慮すれば、前述のとおり判断するのが相当である。」との判断は、是認できるものである。
なお、申立人は、本願の出願の経緯に不当性があった旨の主張をしているが、その事実を証明する証拠の提出はないものである。
そうとすれば、本件商標が商標法第3条第2項に該当するとして登録されたことは不当であり、逆に、同法第3条第2項に該当するとして「堂島ロール」の登録を受ける資格は、吉留氏や申立人にこそある、との主張は、認めることができない。
そして、本件商標が商標法第3条第2項に該当するものとした審決の事実認定及び判断に誤りはないから、本件商標は、同法第3条第2項に該当するものというべきである。
(4)証人尋問について
なお、申立人は、吉留氏及び申立人による証人尋問を申し出ているが、証明すべき事実を、「『堂島ロール』を需要者の間に広く知られるものとした事実」及び「『堂島ロール』のレシピを発案し、そのレシピで堂島ロールをつくり、販売に供した事実及び現在も『堂島ロール』を製造販売している事実」としているところ、これらの事実に関する証拠の提出はなく、これが結論に影響を及ぼすものとは認められず、かつ、本件については上記のとおりに判断し得るものであるから、当合議体は,これら2者の証人尋問は必要ないものと判断した。
さらに,有田氏については,申立人であることから,十分に主張,立証を尽くしたものと認められる。
したがって,当合議体は,いずれの者についても証人尋問の必要はないと判断した。
(5)むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものではなく、同法第3条第2項に該当するものであるから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲(本件商標)



異議決定日 2012-07-25 
出願番号 商願2009-96523(T2009-96523) 
審決分類 T 1 651・ 17- Y (X30)
最終処分 維持 
前審関与審査官 小松 孝 
特許庁審判長 水茎 弥
特許庁審判官 渡邉 健司
井出 英一郎
登録日 2011-10-28 
登録番号 商標登録第5446720号(T5446720) 
権利者 株式会社モンシュシュ
商標の称呼 ドージマロール、ドージマ 
代理人 菅原 正倫 
代理人 永田 元昭 
代理人 大田 英司 
代理人 永田 良昭 
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