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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Y28
管理番号 1261615 
審判番号 取消2011-300249 
総通号数 153 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2012-09-28 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2011-03-04 
確定日 2012-08-10 
事件の表示 上記当事者間の登録第4858959号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4858959号商標(以下「本件商標」という。)は、「キルティックテープ」の片仮名と「KIRTICK TAPE」の欧文字とを上下二段に横書きしてなり、平成16年7月1日に登録出願、第28類「身体の部分に貼着して使用する伸縮性粘着布テープ状の運動用テーピングサポータ,テープ状原反から形成される運動用具」を指定商品として、同17年4月22日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張
請求人は、「本件商標は、その指定商品についての登録を取り消す。審判費用は、被請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、甲第1号証ないし甲第4号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者及び通常使用権者のいずれもが請求に係る指定商品に使用した事実はなく、かつ、その不使用につき正当な理由は存在しないから、商標法第50条第1項の規定により、その登録は取り消されるべきである。

2 答弁に対する弁駁
(1)本件商標の商標権者について、平成22年12月9日に、有限会社リンドバーグトレーディングコーポレーション(旧社名)から、株式会社リンドバーグ(現社名)に商号変更をしており、本件審判の商標権者(被請求人)の名称が株式会社リンドバーグであることについて確認した。
(2)商標権者については、閉鎖事項全部証明書(甲第3号証)及び履歴事項全部証明書(甲第4号証)により、下記の事実を確認した。
ア 「有限会社リンドバーグトレーディングコーポレーション」について
会社解散の年月日 平成22年12月9日(同日に、株式会社リンド バーグに商号変更し、移行したことにより解散)
イ 「株式会社リンドバーグ」について
会社設立の年月日 平成22年12月9日(同日に、有限会社リンド バーグトレーディングコーポレーションを商号変更し、移行したこ とにより設立)
(3)登録商標の使用説明書に添付された「FAX注文用紙」及び「納品書兼請求書」には以下のことが示されている。
ア 「FAX注文用紙」について
ファックス受信日:2008年11月24日
発信元:ヤマダシンキュウセッコツイン(やまだ鍼灸接骨院)
商品:「キルティック/テープ」(2段書)5.0cm×5m
(24本入り)3ケース
注文用紙が示す注文先:リンドバーグスポーツ
イ 「納品書兼請求書」について
売上日:平成20年(2008年)11月25日
発送先:やまだ鍼灸接骨院
商品:「キルティック」5.0cm×5m(24本入り)3ケース
発送者:株式会社リンドバーグ
(4)注文先及び発送者について
上述のとおり、株式会社リンドバーグの設立年月日は、平成22年12月9日であり、上記納品書兼請求書の売上日である平成20年11月25日の時点では、「株式会社リンドバーグ」はまだ設立されていないため、存在しない法人が表示された納品書兼請求書が提出されているものである。
これに対して、被請求人は、「納品書兼請求書の発行者が株式会社リンドバーグとなっているが、これは平成20年11月25日に発行した納品書兼請求書のデータのみが残っており、納品書兼請求書の原本および控えが所在不明であるため、やむをえず、被請求人が現在使用している納品書兼請求書フォームにデータの内容を出力したためである。」と説明している。
被請求人は、残っていたデータを、現在リンドバーグ株式会社が使用している納品書兼請求書に出力して新たに書類を作成したことを明確に自認しており、このような書類はいつでも、どのようにでも作成できることは常識である。また、仮にデータが残っていたことが事実であったとしても、そのデータの情報自体、後日改変できないものではなく、そのようなデータを出力して作成したと明言している書類は証拠として信用することはできない。
さらに、このように存在しなかった証拠書類を作成して答弁書と共に提出している事実、種々の書類は現実にはコピー機によってどのようにでも変更作成であることに鑑みると、同様に提出されたFAX用紙にある「2008.11.24」を受信日(2008年11月24日)、すなわち、注文の受注日であると主張している証拠についても、これを信用することは難しい。
また、被請求人は、現在使用している株式会社リンドバーグの納品書兼請求書に示されている電話番号及びホームページのURLがFAX注文用紙のそれらと同一であることを主張して注文用紙が被請求人のものであることを主張しているが、上述のとおり、提出された納品書兼請求書が証拠として信用できない以上、FAX注文用紙も証拠として信用することは難しい。
(5)商品について
FAX注文用紙には「リンドバーグ キネシオタイプテープ」とあり、納品書兼請求書には「キルティック」とのみある。登録商標の使用説明書には、この商品を指定商品「身体の部分に貼着して使用する伸縮性粘着布テープ状の運動用テーピングサポータ」であると主張しているが、そのことを示す資料の提出がないので、上記標章が指定商品に使用されたかどうかについて確認することができない。
(6)資料における使用の態様について
ア ファックス注文用紙の「キルティック/テープ」(二段書)について
被請求人は、「二段併記である本件商標の標章の上段に記載の『キルティックテープ』と、下段に記載の『KIRTICK TAPE』とは同一の称呼及び観念が生ずるものであるから、それぞれが独立して商標として成立するものであり、FAX注文用紙には本件商標の一方である上段に記載の標章が記載されているので、本件商標の標章が記載されていると言える。」と説明しているが、登録商標は、登録された商標一件についての権利であり、これから、登録商標の上段の記載「キルティックテープ」の商標についての権利、及び、下段の記載「KIRTICK TAPE」の商標についての二つの権利が生ずるものではなく、単に、二段併記の場合に、使用されている一方の段の表記が、社会通念上登録商標と同一と認められる商標であれば、この一方の段の表記の使用をもって、便宜上、登録商標の使用と認められることがあるにすぎない。
さらに、商標権者は、登録商標の上段のカタカナ部分を登録商標の態様で使用することはしておらず、登録商標の上段のカタカナ部分「キルティックテープ」(スペースのない一連の商標)をさらに分割して、上段に「キルティック」、下段に「テープ」と表示している。本件商標のように、上段にカタカナ文字で「キルティックテープ」と記載し、下段に英文字で「KIRTICK TAPE」と記載し両者が称呼・観念において同一な場合、一方の使用をもって登録商標の使用と認められる場合があることは認識しているが、商標権者の使用は、登録商標の上段に一行で記載された「キルティックテープ」を、さらに商標権者の恣意により複数行に分割して使用しているものであり、このように、商標権者の都合により、登録商標の一部を自由に取り出して使用することをもって、登録商標の使用と認められるものではない。
イ 納品書兼請求書の「キルティック」について
被請求人は、「納品書兼請求書に記載の商品名は、『キルティック』となっているが、これは欄のスペースが狭いため、商品名を省略しているためである。」と説明し、「キルティック」は商品名の省略であると明言している。すなわち、被請求人は、商品名「キルティックテープ」を省略して「キルティック」と表記していることを自認しており、換言すると、「キルティック/テープ」(二段書)は商品名として使用であり、商標としての使用でないことを被請求人自ら認めている。
商品名は商標となり得るが、被請求人自身が、商品名の省略として使用であり、登録商標として使用しているものではないことを自認しているのであるから、これをもって登録商標の使用と認めることはできない。
また、登録商標は本来登録された態様で使用されるものであるが、百歩譲って、登録商標が省略した標章で使用され得るとしても、登録商標は商標権者に恣意によって都合よく省略されて使用されるべきものではない。本件商標は、上段にカタカナ表記の「キルティックテープ」、下段に英文字表記の「KIRTICK TAPE」から構成された標章である。当該登録商標からそのカタカナ部分の一部のみを使用する使用が、登録商標の使用と認めるとすれば、それは商標権者を過度に保護することになる。そのような使用は、登録商標の使用と認められない。
(7)証拠の信憑性等について
ア 被請求人(商標権者)は、本件商標を平成17年4月22日から現在にいたるまで使用していると主張しているが、実際に登録商標を継続して使用していたのであれば、継続した三年間の間に一回しか商品を発送していないということはあり得ない。
しかしながら、商標権者は、平成20年11月24日に注文を受け、同月25日に発送した一件のみの資料しか提出していない。一件のみの資料は、その資料が上述したように使用を証明する書類が信用できないことに鑑みると、使用証拠としての信憑性を疑わざるを得ない。
イ 商標権者は、顧客である「ヤマダシンキュウセッコツイン」から受信したと思われるFAX注文用紙の写しを証拠として提出しており、注文された商品の発送時に納品書兼請求書と共に新しい注文用ブランクシートを同封して顧客に発送していたと主張しているが、そのブランクシートを証拠として提出していない。このような用紙は存在しなかったのではなかろうかと疑わざるを得ない。
ウ さらに、添付の「登録商標の使用説明書」の「6.商標の使用の事実を示す書類」の欄の「(2)資料の作成年月日:平成22年5月23日」は意味不明である。「平成22年5月23日」の時点では、「株式会社リンドバーグ」は存在しない。

3 まとめ
上記のとおり、本件商標が継続して3年以上日本国内において商標権者等によって使用された事実は証明されていない。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証を提出した。
1 本件商標の商標権者について
本件商標については、有限会社リンドバーグトレーディングコーポレーションから、平成22年12月9日に商号変更し、株式会社リンドバーグに登録名義人の表示変更をする登録名義人の表示変更登録申請書を本答弁書と同日付で提出しており、本件審判の請求の時の商標権者と、本答弁書に記載の商標権者とは同一人である。

2 商標権者は、本件商標を平成17年4月22日から現在に至るまで使用している。
(1)本件商標の商品(身体の部分に貼着して使用する伸縮性粘着布テープ状の運動用テーピングサポータ)に関するFAX注文用紙に本件商標の標章を記載したものを、少なくとも平成20年11月25日に「兵庫県神戸市垂水区仲田3-1-5」に居所を有する「やまだ鍼灸接骨院」に頒布した事実があり、当該頒布の日は本件審判の請求の登録前3年以内の時期である。
(2)頒布したFAX注文用紙は、乙第1号証の登録商標の使用説明書に添付されたFAX注文用紙の元となるブランクシートである。
FAX注文用紙においては、左側中央よりやや下部に、本件商標の商品を示すものとして「★リンドバーグ キネシオタイプテープ(5.0m巻)」との表示があり、その下方の欄に二段併記である本件商標の標章の上段に記載のカタカナ部分に対応する「キルティックテープ」が表示されている。なお、二段併記である本件商標の標章の上段に記載の「キルティックテープ」と、下段に記載の「KIRTICK TAPE」とは同一の称呼及び観念が生ずるものであるから、それぞれが独立して商標として成立し、FAX注文用紙には本件商標の一方である上段に記載の標章が記載されているので、本件商標の標章が記載されているといえる。
なお、FAX注文用紙においては、右上に記載の注文先の名称が、「リンドバーグスポーツ」となっているが、これは法人登録されている名称などではなく、商標権者の便宜上の俗名であり、「リンドバーグスポーツ」と商標権者は同一人である。このことはFAX注文用紙に記載の注文用電話番号と商標権者の電話番号とが一致することや同一のホームページのURLを使用していることからも明らかである。
(3)FAX注文用紙の頒布については、平成20年11月25日の時点では、注文された商品に納品書兼請求書とFAX注文用紙の新しいブランクシートとを同封して顧客に納品する発送システムに則って行っていた。つまり、乙第1号証に添付のFAX注文用紙にて平成20年11月24日付のFAXでなされた注文に対し、平成20年11月25日付で売上・納品した商品に同封してFAX注文用紙のブランクシートを頒布している。注文日については、乙第1号証に添付のFAX注文用紙の左端に記載のFAXの受信日(発信元の表示としてヘッダーに「2008.11.24」との印字が残っている)にて、頒布日については、乙第1号証に添付の納品書兼請求書の右上に記載の売上日にて、それぞれ証明する。
なお、納品書兼請求書の発行者が株式会社リンドバーグとなっているが、これは、平成20年11月25日に発行した納品書兼請求書のデータのみが残っており、納品書兼請求書の原本及び控が所在不明であるため、やむをえず、被請求人が現在使用している納品書兼請求書のフォームにデータの内容を出力したためである。また、納品書兼請求書に記載の商品名は「キルティック」となっているが、これは欄のスペースが狭いため、商品名を省略しているためである。

3 まとめ
以上のとおり、本件商標は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者によってその請求に係る指定商品について使用されているものである。

第4 当審の判断
1 提出された証拠によれば以下の事実が認められる。
(1)乙第1号証は、被請求人作成の「登録商標の使用説明書」であるが、これに商標の使用の事実を示す書類として添付されているFAX注文用紙(以下「本件FAX注文用紙」という。)は、A4版横型のものであり、その左側に、下方から「発信元:ヤマダ シンキュウセッコツイン」「電話番号:0787043558」「2008.11.24 3:16」の文字が記載されている。
そして、注文者の欄には、「学校名:」の項に「やまだ鍼灸接骨院」、「連絡先TEL:」の項に「078 704 3558」と記載され、このほか、購入担当者名及びEメールアドレスが記載されている。
また、注文先の欄には、「リンドバーグスポーツ」の記載のほか、「ご注文用TEL 06-6993-4470」、「オンラインカタログ URL http://www.lindsp.com/」等の記載がある。
そして、注文商品に係る部分(商品リスト部分)には、「★リンドバーグ 固定テープ(13.8m巻)」「★ジョンソン&ジョンソン 固定テープ(9.1m・13.8m巻)」などと商品が記載され、その商品ごとに商品名、サイズ、サイズごとの価格(ケース)等が記載され、サイズごとの商品の注文ケース数、金額の各欄がある。そして、その商品の一つに「★リンドバーグ キネシオタイプテープ(5.0m巻)」があり、その商品名欄に「キルティック/テープ」(二段併記)の記載があり、サイズ欄に「2.5cm」「3.8cm」「5.0cm」「7.5cm」の各サイズが記載され、その各サイズごとに、価格(ケース)等が記載され、「5.0cm」の商品の「注文ケース数」の欄に「3ケース」と記載され、金額欄に3ケースの価格に対応する「22602」の数字が記載されている。上記の商品のほか商品のリスト中には、スポーツ選手等が用いることの多い、スプレー類(筋肉の疲労回復用のもの)、スポーツドリンク、プロテイン、アイシング用品等の商品が掲載されている。
(2)同じく、乙第1号証に添付の「納品書兼請求書」は、被請求人が、実際に使用したものではなく、平成20年11月25日に発行した納品書兼請求書のデータを、現在使用している納品書兼請求書のフォームに出力したものと主張しているものであるが、宛先の欄には、「やまだ鍼灸接骨院」の名称、住所及びお客様番号が記載されている。
また、納品者(請求者)の欄には「株式会社リンドバーグ 大阪府守口市金下町2-1-11 リンドビル3F」と記載され、電話番号及びURLには、それぞれ上記(1)の本件FAX注文用紙の注文先の欄の「リンドバーグスポーツ」に記載されたものと同一のものが記載されている。
そして、売上日を「平成20年11月25日」とし、請求内容として「商品コード/商品名」の欄に「キルティック 5.0cm×5m(24本入り)」、「数量 単位」の欄に「3ケース」、「単価」の欄に「7,534」、「金額」の欄に「22,602」の各記載がある。
(3)甲第3号証は、有限会社リンドバーグトレーディングコーポレーションの閉鎖事項全部証明書であり、甲第4号証は、株式会社リンドバーグの履歴事項全部証明書であるが、これらによって、有限会社リンドバーグトレーディングコーポレーションは、平成6年10月25日に設立され、平成22年12月9日に兵庫県高砂市伊保崎二丁目18番17号株式会社リンドバーグに商号変更したことが認められる。また、株式会社リンドバーグ(旧名称時を含む。)は、大阪府守口市金下町二丁目1番11号リンドビル3Fに支店を有していることが認められる。

2 以上によれば、「リンドバーグスポーツ」は、本件審判請求の登録(平成23年3月24日)前3年以内である平成20年(2008年)11月24日にやまだ鍼灸接骨院から、キネシオタイプテープ(5.0m巻)であるキルティックテープ の5cmサイズの商品3ケースについて注文を受け、同月25日に当該商品を納品し、代金を請求したことが認められる。
(1)商標の使用者について
本件FAX注文用紙の注文先の欄には、「リンドバーグスポーツ」と記載され、商標権者等の名称は記載されていない。しかしながら、当該「リンドバーグスポーツ」の電話番号及びURLは、現在被請求人が使用している納品書兼請求書のフォーマットに記載された株式会社リンドバーグの電話番号及びURLと同じものであることからすると、上記「リンドバーグスポーツ」は、被請求人(商標権者)であると認められるものである(なお、商標権者の住所と納品書兼請求書の「株式会社リンドバーグ」の住所が異なるが、納品書兼請求書に記載の住所は、被請求人の支所と同一のものである。)。
(2)使用商標について
ア 商標法第50条第1項の規定によれば、登録商標の使用にあっては、その使用の範囲を当該登録商標と社会通念上同一と認められる商標を含むものとし、その同一の範囲には「平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって、同一の称呼及び観念を生ずる商標」も含むものとして、単に物理的同一の範囲に止まらず、取引社会の通念に照らして同一の商標と認識されるものについても当該登録商標の使用と認めるものとされている。
イ そこで、これを本件についてみるに、上記1(1)のとおり、「本件FAX注文用紙」中には、二段併記の「キルティック/テープ」の文字(以下「使用商標」という。)が書されている。
本件商標は、「キルティックテープ」の片仮名及び「KIRTICK TAPE」の欧文字を二段に書してなるところ、本件商標上段の片仮名部分と使用商標とは、一段と二段という表し方の違いはあるものの文字綴りを同一にし、両商標より生ずる「キルティックテープ」の称呼を共通にするものである。そして、本件商標の欧文字部分は、本件商標の片仮名部分に照応した欧文字を表したものというべきであるから、使用商標が欧文字を欠く構成であるとしても、本件商標と称呼及び観念において違いはないものであり、使用商標は、本件商標と社会通念上同一の商標と認め得るものである。
(3)使用商品について、
使用商標が記載されている商品は「キネシオタイプテープ」(以下「使用商品」という。)であるところ、「キネシオテーピング法によるテーピングのための伸縮するテープ」である「キネシオテープ」は、スポーツ選手等に使用されているものであり、本件「キネシオタイプテープ」は、その名称、商品のサイズ等から上記キネシオテープ(または上記キネシオテープ様のもの)と認められ、さらに、本件FAX注文用紙に記載された商品のほとんどが、スポーツ選手等によって頻繁に用いられるものであることからすると、使用商品は、本件審判請求に係る指定商品である「身体の部分に貼着して使用する伸縮性粘着布テープ状の運動用テーピングサポータ,テープ状原反から形成される運動用具」に含まれる商品であると認められる。

3 請求人の主張について
請求人は、「過去のデータを出力して作成したと明言している『納品書兼請求書』が証拠として信用できない以上、『FAX注文用紙』(注文の受注日)も証拠として信用することはできない。」と述べている。
しかしながら、当該納品書兼請求書が実際に使用されたものでなく、本件審判の答弁に際して作成されたものであるとしても、本件FAX注文用紙が何ら不自然でないことからすると、平成20年11月24日に注文を受け、同月25日に納品した前記取引の事実の存在が不自然とする理由とは認められないから、上記納品書兼請求書自体が、実際に使用されたものでないとしても、上記取引がなかったものとすべき事情は認められない。
したがって、請求人の上記主張は採用することはできない。

4 まとめ
以上のとおりであるから、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者が請求に係る指定商品ついて、本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用をしていたことを証明したというべきである。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2012-03-16 
結審通知日 2012-03-21 
審決日 2012-04-04 
出願番号 商願2004-61150(T2004-61150) 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (Y28)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 八木橋 正雄 
特許庁審判長 野口 美代子
特許庁審判官 前山 るり子
内山 進
登録日 2005-04-22 
登録番号 商標登録第4858959号(T4858959) 
商標の称呼 キルティックテープ、キルティック 
代理人 辻本 希世士 
代理人 辻本 一義 
代理人 神吉 出 
代理人 葛西 さやか 
代理人 葛西 泰二 
代理人 大本 久美 

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