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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない X09
審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない X09
管理番号 1261593 
審判番号 不服2011-17065 
総通号数 153 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2012-09-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-08-08 
確定日 2012-08-06 
事件の表示 商願2010-65508拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「トリタン」の片仮名を標準文字で表してなり、第9類及び第11類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、平成22年8月19日に登録出願され、その後、指定商品については、当審における同23年10月12日受付けの手続補正書により、第9類「電極」に補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要旨
原査定は、「本願商標は、『トリタン』の文字を標準文字で表してなるところ、該文字は、別掲1によれば、『トリウム入りタングステン電極棒』を指称する語として、広く一般に認識、使用されているものであるから、これをその指定商品中の『トリウム入りタングステン電極棒』に使用した場合には、これに接する取引者、需要者は、前記商品を表示したものとして理解するにすぎず、単に商品の原材料、品質を表したものと認識するにすぎない。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるため、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
本願商標は、前記1のとおり、「トリタン」の文字を標準文字で表してなるところ、該文字は、本願の指定商品である「電極」を取り扱う業界において、「トリア(酸化トリウム)入りのタングステン電極」を指称する語として、原審説示のほか、別掲2に示すように、一般に広く用いられているというのが実情であるから、該文字に接した本願の指定商品に係る取引者及び需要者は、上記のように「トリア(酸化トリウム)入りのタングステン電極」の意味合いを容易に理解するものとみるのが相当である。
そうとすれば、本願商標は、これをその指定商品について使用するときは、単に商品の品質を表示するものとして認識し理解されるにとどまり、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ず、また、本願商標を上記商品以外の商品に使用するときは、該商品があたかも「トリア(酸化トリウム)入りのタングステン電極」であるかのように、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるものというのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。
なお、請求人は、取引者、需要者の大半が、「トリタン」の文字から、「トリウム入りタングステン電極棒」の意味を直感することは不可能であり、他方、請求人は本願商標と同様に「トリタン」の文字からなる登録第968946号商標を有していることからすれば、該文字は、請求人の業務に係る登録商標として尊重されている旨主張する。
しかしながら、「トリタン」の文字が、本願の指定商品を取り扱う業界における取引者、需要者をして、「トリア(酸化トリウム)入りのタングステン電極」であることを表示するもの、すなわち、商品の品質を表示するものとして認識されることは、上述のとおりであり、また、商標が自他商品識別標識としての機能を有するか否かの判断は、査定時又は審決時における取引の実情を勘案して、その指定商品の取引者、需要者の認識を基準に判断すべきものであって、上述のとおりの取引の実情からすれば、前記のとおり判断するのが相当であるから、請求人の主張は採用することができない。
以上によれば、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲1
(1)タングステン電極棒とアークの関係 溶接「虎の巻」ニュースvol.4「・・・例えば、皆さんが最もよく使われているトリタン(トリウム2%入りタングステン電極棒)と最近流通が多くなってきたセリタン(セリウム2%入りタングステン電極棒)は、同じ電流で溶接した場合溶け込みが大きく異なります。・・・」
(http://www.yousetsujoho.com/a/95)
(2)プランゼー製TIG溶接棒について
「・・トリウムは放射性元素であり、環境と人体に悪影響を及ぼす危険性がありながらも、酸化トリウムを含んだ電極棒(通称トリタン)は世界中で広く使われてきました。・・・」
(http://www.ec-plansee.jp/about_tig.html)
(3)2%トリウム入りタングステン電極棒 ウォルフラム社 「トリタン2.0」
(http://store.shopping.yahoo.co.jp/w-shop-wakaba/80004.html)
(4)「岡谷酸素株式会社」ウェブサイトにおいて、「タングステン電極棒の種類と研ぎ方も溶接スピードに大きく関わってきます。多く使われる電極棒として、トリタン、セリタンなどが挙げられますが・・(省略)・・」との記載。
(http://www.okayasanso.co.jp/article/13153183.html)
(5)「特殊電極株式会社」ウェブサイトの「製品情報」中に「トリタン」との記載。
(http://www.tokuden.co.jp/product/yousetu/other/toritan.html)
(6)「溶接雑記」ウェブサイトにおいて、「タングステン」の見出しのもと、 「・・・TIG溶接機の電極に使うタングステンの事で、現在、一般的に最も多く使われているのはトリウムを混ぜた通称トリタン、セリウムを混ぜた通称セリタンだろう。」との記載。
(http://www.hi-welding.jp/column/2003/11/15/tungsten/)
(7)「株式会社セミコム」ウェブサイトにおいて、「タングステンTIG電極溶接棒トリタン価格表」との記載。
(http://www.semicom.jp/kakaku_tngtig_WT20.html)
(8)「DIYツールドットコム」ウェブサイトにおいて、「【マイト工業】トリタン 1.6mm」との記載。(http://www.diy-tool.com/fs/diy/gr3179/m15-0174)
(9)「SANPOWEB」ウェブサイトにおいて、「タングステン電極棒研磨機編」の見出しのもと、「・・・交流アークでは通常、純タングステンやセリウム入りタングステンが用いられ、直流正極アークでは、トリタン、ランタン、イットリアなどが用いられますが、溶接作業の内容によっては交流アーク時でもトリタンの方が作業性の良い場合があります。」との記載。
(http://www.sanpo-pub.co.jp/omoshiro/freshman/post_389.html)
(合議体注)上記項番については、当合議体で振り直した。

別掲2
(1)インターネット英和・和英辞典「weblio」において、「thoriated tungsten electrode」の見出しの下、「トリタン電極; トリウム入タングステン電極」の記載がある(http://ejje.weblio.jp/content/thoriated+tungsten+electrode)。
(2)「特殊電極株式会社」のウェブサイトにおいて、「特殊施工・その他製品」の見出しの下、銘柄欄に「トリタン」の記載及び適用欄に「ティグ溶接用、トリア入りタングステン電極」の記載がある(http://www.tokuden.co.jp/product/yousetu/yousetu_120.html)。
さらに、同ウェブサイトに「タングステン電極棒 ティグ溶接電極棒」の見出しの下、「タングステン電極棒の種類」と称する商品比較表があり、銘柄欄に「トリタン」の記載、識別色欄に「赤」の記載、種類欄に「2%トリア入りタングステン電極棒」の記載及び特性欄に「アークの安定性に優れているが、寿命は短い。」の記載があり、また、「アークの安定性の比較」として、「トリタン>ランタン>セリタン>純タン」の記載及び「寿命の比較」として、「セリタン>ランタン>トリタン>純タン」の記載がある(http://www.tokuden.co.jp/product/yousetu/other/toritan-juntan-seritan.pdf)。
(3)「ティー・エイチ・エム株式会社」のウェブサイトにおいて、「マイクロアーク溶接機」の見出しの下、トーチ先端部には通常トリタン電極を用います。」の記載がある(http://www.thm-co.jp/micro/info.html)。
(4)「産報出版株式会社」のウェブサイトにおいて、「フレッシュマン講座」の見出しの下、「ティグ溶接編2010」のQ&Aとして「Q タングステン電極にはどのような種類がありますか」の記載及び「A ティグ溶接用のタングステン電極には、純タングステン電極(純タン)、酸化トリウム(トリアThO2)を数パーセント含ませたトリア入りタングステン電極(トリタン)や酸化ランタン(La2O3)を数パーセント含ませたランタナ入りタングステン電極(ランタン)、酸化セリウム(セリアCeO2)を数パーセント含ませたセリア入りタングステン電極(セリタン)などがあります。これらのタングステン電極は識別するため電極の片側が色分けされています。」の記載がある(http://www.sanpo-pub.co.jp/omoshiro/freshman/post_568.html)。
(5)「株式会社セミコム」のウェブサイトにおいて、「タングステン」の見出しの下、「タングステンTIG電極棒(トリタン、セリタン、ランタンWL15/WL20、純タングステン)を販売致します。」の記載がある(http://www.semicom.jp/seihin.html)。
(6)「事業者向けサイト 現場を支えるネットストア モノタロウ」において、「トリタン棒」の見出しの下、「MonotaRO トリュウム入りタングステン電極棒」の記載、「ベイジングアドバンスメタルマテリアル アルゴン溶接用 トリュウム入りタングステン電極棒」の記載及び「ダイヘン トリュウム入りタングステン棒」の記載がある(http://www.monotaro.com/s/c-60272/)。


審理終結日 2012-06-05 
結審通知日 2012-06-15 
審決日 2012-06-26 
出願番号 商願2010-65508(T2010-65508) 
審決分類 T 1 8・ 272- Z (X09)
T 1 8・ 13- Z (X09)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 竹之内 正隆内藤 隆仁佐藤 松江高橋 幸志 
特許庁審判長 関根 文昭
特許庁審判官 吉野 晃弘
梶原 良子
商標の称呼 トリタン 
代理人 堀口 浩 

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