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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない X36
審判 査定不服 商3条2項 使用による自他商品の識別力 登録しない X36
管理番号 1261564 
審判番号 不服2011-17625 
総通号数 153 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2012-09-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-08-12 
確定日 2012-08-02 
事件の表示 商願2010- 81237拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は,「福岡相続サポートセンター」の文字を書してなり,第36類に属する願書記載のとおりの役務を指定役務として,平成22年10月19日に登録出願されたものであり,その後,指定役務については,原審における平成23年3月17日付け提出の手続補正書により,第36類「不動産資産の相続税に関する助言・コンサルティング,建物又は土地の情報の提供,建物の管理」に補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は,「本願商標は,『福岡相続サポートセンター』の文字を書してなるところ,その構成中,『福岡』の文字部分は,九州地方北部の県又は市の名称であることを容易に理解させるものであり,『相続サポートセンター』の文字部分は,近時,『相続に関する支援をおこなうところ』ほどの意味合いを有する語として,相続に関する相談・助言を行う業界において,多数使用されている実情が見受けられることからすれば,本願商標は全体として,『福岡において相続に関する支援をおこなうところ』ほどの意味合いを認識させるにすぎず,これをその指定役務に使用しても,単に役務の質,提供の場所を表示するものと認める。したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当する。また,本願商標は,提出された資料からは,同法第3条第2項を適用することはできない」旨認定,判断し,本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号の該当性について
本願商標は,「福岡相続サポートセンター」の文字を書してなるところ,その構成中,「福岡」の文字は「九州地方北部の県,福岡県北西部にある市」の意味,「相続」の文字は「死亡した人(被相続人)の財産に属した一切の権利義務を一定の親族(相続人)が包括的に承継すること」の意味,「サポート」の文字は「支援」の意味,「センター」の文字は「その分野の中心となる機関・施設」の意味(広辞苑第六版)を有するものである。
そうすると,本願商標は,その構成文字から「福岡にある相続に関する支援をおこなうところ」ほどの意味を容易に理解させるものである。
そして,「不動産資産の相続税に関する助言・コンサルティング」を含む相続に関する助言や相続手続の代行等の業務を行う事業者が,その業務を行うに際し,本願商標と同様に,地名と「相続サポートセンター」を組み合わせた「○○(地名)相続サポートセンター」の表示を普通に使用している事実がある(以下,(a)ないし(d)のとおり)。
(a)「税理士法人あさひ会計(山形県山形市在)」が運営する「山形相続サポートセンター」と題するホームページ
(http://www.asahikaikei.com/)には,「山形市を中心に,山形全域の相続手続・相続税申告を親身にサポート!」の記載がある。
(b)「横沢税理士事務所(長野県上田市在)」が運営する「長野・上田相続サポートセンター」と題するホームページ
(http://www.nagano-souzoku.com/)には,「長野・上田で相続・遺言の相談なら,長野・上田相続サポートセンター 無料相談予約受付中」及び「長野相続サポートセンターでは,長野県を中心として,相続手続,相続税対策,相続税申告,遺言書作成など,相続に関するトータルサポートを行っています。相続に関する疑問・質問がございましたら,お気軽にご相談下さい。電話やメールだけではなく,出張でのご相談も実施しております。長野県在住の皆様のお役に立てるよう所員一同努力する所存です。」の記載がある。
(c)「株式会社世田谷相続サポートセンター(東京都世田谷区在)」が運営する「世田谷相続サポートセンター」と題するホームページ
(http://www.setagaya-souzoku.jp/)には,「世田谷相続サポートセンターは,主に世田谷区の皆様を対象とした,相続税対策と相続税申告に関する相談窓口です。生前贈与・不動産・生命保険などを活用した相続対策のご提案や,税理士や司法書士との提携により遺産分割・相続税申告・名義変更といった各種相続手続きのサポートをさせていただいております。」の記載がある。
(d)「松本会計事務所(静岡県浜松市在)」が運営する「浜松相続サポートセンター」と題するホームページ
(http://www.hamamatsu-souzoku.com/)には,「地元浜松に密着した信頼と実績ある当センターに安心してお任せ下さい!当センターは税理士を中心とした専門スタッフが中心となって相続税・贈与税といった税金の相談のみならず,遺言・遺産分割協議・不動産登記まであらゆるサポートをいたしております。」の記載がある。
以上において認定した事実及び本願商標の構成自体が「福岡にある相続に関する支援をおこなうところ」の意味を容易に理解させるものであることを総合考慮すれば,「福岡相続サポートセンター」の文字からなる本願商標は,これに接する取引者,需要者に「福岡県(福岡市)にある相続に関する支援業務を行うところ(事業者)」ほどの意味合いを容易に認識させるものであるから,その指定役務中「不動産資産の相続税に関する助言・コンサルティング」に使用しても,その役務の質,提供の場所を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標である。
したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当する。

(2)商標法第3条第2項の該当性について
請求人は,本願商標が商標法第3条第2項の要件を具備すると主張し,証拠方法として,原審において資料1ないし資料15を,当審において甲第1号証ないし甲第39号証を提出している。
ところで,出願に係る商標が,商標法第3条第2項に該当し,登録が認められるかどうかは,使用に係る商標及び役務,使用開始時期,使用期間,使用地域,当該役務の営業規模等並びに広告宣伝の方法及び実績等を総合考慮して,出願に係る商標が使用をされた結果需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができるものと認められるかどうかによって決すべきものであり,その場合に,出願に係る商標及びその指定役務は,原則として使用に係る商標及び役務と同一であることを要するものというべきである。そこで,以上の観点を踏まえて,本願商標が商標法第3条第2項に該当するか否かについて検討する。
(ア)本願商標「福岡相続サポートセンター」の使用状況
請求人は2005年4月から本願商標の使用を開始したと主張するが,甲第1号証「『福岡相続サポートセンター』概略書」において,「2005年4月 株)三好不動産の1部門として発足」との記載はあるものの,請求人提出の証拠からは,2005年4月時点において,請求人が「福岡相続サポートセンター」の文字を商標として使用していることの具体的事実は確認できない。
そして,請求人が提出した証拠をみると,作成日・発行日等の日付と作成者が確認できるのは,2010年6月以降のもの(甲第6号証)であり,請求人は2010年6月より以前の本願商標の具体的な使用事実を立証していない。
そこで,作成日・発行日等の日付と作成者が確認できる証拠(資料5ないし9,資料13,資料15,甲第2号証ないし同第22号証,同第25号証ないし同第29号証,同第32号証,同第39号証)において,本願商標の使用状況を以下確認する。
(a)資料9,甲第2号証,同第3号証は,「2011/03/09」「2011/08/12」「2011/07/30」との出力日が表示された請求人のウェブサイト(写し),同第20号証は,「2011/08/12」との出力日が表示された株式会社西広APが運営する「eーぐらんざ」と題するウェブサイト(写し)であるところ,これには,別掲に示す「図形と福岡相続サポートセンター等の文字を組み合わせた標章」(以下「使用標章」という。)が表示され,「相続でお悩みの方へ」「生前の相続対策はもちろん,亡くなった後からでもできる対策,あるいは各種の相続手続きまで,相続の専門家があなたを全面的にサポートします。」(甲第3号証)などとして,請求人の行う業務の紹介がされている。
しかしながら,「福岡相続サポートセンター」の文字単独での使用状況をみると,「福岡相続サポートセンターとは?」(甲第2号証),「福岡相続サポートセンターでは,相続に関する各種相談を無料で受けると共に,その後ご希望があれば,相続に強い専門家をコーディネートしながら具体的な提案活動やコンサルティングを行っています。」(甲第3号証)などとして,請求人の業務の紹介などの説明文の一部として用いられているものがほとんどであって,これらの「福岡相続サポートセンター」の文字の使用を需要者が商標として認識するとはいい難い。
(b)資料5及び同6,甲第6号証ないし同第19号証は,フリーペーパー雑誌「ぐらんざ」No.127?140(2010年6月号?2011年7月号)であるところ,請求人が,これらのフリーペーパー雑誌に「相続いろは知恵ぶくろ」とのタイトルの記事を掲載していること,そして,No.127,129,132,135,138において,使用標章を表示し,請求人の開催するセミナーの広告をしていたことが認められる。
しかしながら,「福岡相続サポートセンター」の文字単独での使用状況をみると,「『福岡相続サポートセンター』では,6回シリーズの相続対策セミナーを開催しています。」(甲第11号証),「相続問題のいざこざから自身を守れるようお手伝いするべく,『福岡相続サポートセンター』では,相続の基礎知識から賢い対策の講じ方など,初心者でもわかりやすく説明をしてくれるセミナーを開催。」(甲第14号証)などとして,請求人の業務の紹介などの説明文の一部として用いられているものがほとんどであって,これらの「福岡相続サポートセンター」の文字の使用を需要者が商標として認識するとはいい難い。
(c)資料7,甲第21号証,同第22号証は,雑誌「ふくおか経済」Vol.265,272(2010年9月号,2011年4月号)であるところ,請求人が,これらの雑誌に,請求人の業務の広告や紹介記事を掲載していることは認められる。
しかしながら,「福岡相続サポートセンター」の文字単独での使用状況をみると,「生前の対策,相続発生後の対策,各種手続き等私たち『福岡相続サポートセンター』にお気軽にご相談ください。」(資料7,甲第22号証)として,請求人の業務の広告や紹介の説明文の一部として用いられているものであって,この「福岡相続サポートセンター」の文字の使用を需要者が商標として認識するとはいい難い。
(d)資料8,甲第25号証ないし同第29号証は,「日本経済新聞(2010年5月29日)」「西日本新聞(2010年6月8日,同年6月13日,同年9月3日,同年9月17日)」「週刊全国賃貸住宅新聞(2010年6月7日)」「週刊住宅(2010年6月7日)」の記事であるところ,これらの新聞に,請求人の業務の紹介等が記事として掲載されていることは認められる。
しかしながら,「福岡相続サポートセンター」の文字単独での使用状況をみると,「設立した子会社,福岡相続サポートセンター(福岡市)には,ファイナンシャルプランナーなどの資格を持つ社員を3人配置。このほか弁護士や税理士など23人と契約し,財産の生前分与や没後の手続き,税申告などを助言する。」(資料8)などとして,請求人の業務の紹介等の説明文の一部として用いられているものであって,これらの「福岡相続サポートセンター」の文字の使用を需要者が商標として認識するとはいい難い。
(e)資料13,甲第32号証は,「相続対策セミナー」と題するチラシ(平成23年2月25日,同年2月26日)であるところ,請求人が,これらのチラシに使用標章を表示し,請求人の開催するセミナーの広告をしていたことが認められる。
しかしながら,「福岡相続サポートセンター」の文字単独での使用状況をみると,「皆様の幸せな相続を実現するために,福岡相続サポートセンターが定期的に開催している6回シリーズのセミナーです。」(資料13)として,請求人の業務紹介の説明文の一部として用いられているものであって,この「福岡相続サポートセンター」の文字の使用を需要者が商標として認識するとはいい難い。
(f)資料15,甲第39号証は,刊行物「愛情相続1」(2010年6月2日第1刷発行,同年7月15日第2刷発行,西日本新聞社発行)の一部(写し)であるところ,請求人が,当該刊行物に,請求人の業務の広告,紹介文を掲載していることは認められる。
しかしながら,「福岡相続サポートセンター」の文字単独での使用状況をみると,【著者略歴】において,「同社が中心となって設立した『福岡相続サポートセンター』で相続コーディネート業務に従事し,『生前対策』や『相続発生後申告までの対策と各種手続き』を相続に強い弁護士,税理士,司法書士,不動産鑑定士等とともに支援する傍ら,セミナー活動を通した啓蒙活動も積極的に行っている。」(資料15,甲第39号証)として,著者の紹介文の一部として用いられているものであって,この「福岡相続サポートセンター」の文字の使用を需要者が商標として認識するとはいい難い。
(g)甲第4号証,同第5号証は,「2011/08/05」との出力日が表示されたインターネット検索結果の写しであるにすぎないから,これらに表示された文字等は商標として使用されていないものである。
(イ)以上のとおり,請求人が提出した証拠からは,2010年6月以前の「福岡相続サポートセンター」の文字の指定役務についての使用状況は確認できない。
そして,2010年6月以降の使用状況をみても,請求人が「福岡相続サポートセンター」等の文字に図形を付加した使用標章を,請求人の行う業務である「不動産資産の相続税に関する助言・コンサルティング」に関する広告として,商標と認識し得る態様で使用していたことは認められるものの,「福岡相続サポートセンター」の文字のみを,その役務について,需要者が商標として認識し得る態様で使用していたとはいうことができない。
また,請求人は,上記の証拠の他に,使用標章を含め,「福岡相続サポートセンター」の文字を使用した役務「不動産資産の相続税に関する助言・コンサルティング」に関する営業規模,広告宣伝の方法及び実績等の具体的,客観的に事実を示す証拠を提出していない。
(ウ)請求人の主張について
請求人は,請求書において,「本願商標は福岡県を中心に九州,西日本地域において周知されている」,そして「地域名を含んだ地域性が強い役務で使用されている周知商標は,その周知性が全国的でなくとも商標法第3条第2項の適用ができる」旨主張している。
しかしながら,登録商標の使用権,禁止権の範囲は日本全国に及ぶものであり,また,本願商標の構成中の「福岡」の文字が「不動産資産の相続税に関する助言・コンサルティング」との関係において,役務の提供の場所を表すものであるとしても,その役務は,福岡県(市)在の需要者のみならず,日本全国の需要者に対しても提供可能なものであるから,商標法第3条第2項の要件を具備するためには,本願商標が請求人の出所表示として,その役務の西日本地域における需要者の間で認識されていることでは足らず,全国的に認識されていることが必要であると解するのが相当である。
そして,上記(イ)のとおり,請求人が提出した証拠からは,本願商標が請求人の指定役務を表示するものとして福岡県を中心に九州,西日本地域においてさえ周知されているとはいい難い。
したがって,請求人の前記主張を採用することはできない。
(エ)小括
以上のとおり,請求人の提出した証拠を総合して勘案しても,本願商標が特定の者の取り扱いに係る役務「不動産資産の相続税に関する助言・コンサルティング」の出所表示として,需要者の間で全国的に認識されているものとはいい難く,本願商標が,前記役務について使用をされた結果,需要者が請求人の業務に係る役務であることを認識することができるに至ったものとは認められないものである。
また,上記(ウ)のとおり,請求人の主張についても採用することはできない。
したがって,本願商標は,商標法第3条第2項の要件を具備するものということはできない。

(3)まとめ
以上から,本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当し,かつ,同法第3条第2項の要件を具備しないとした原査定は妥当なものであって,取り消すべき限りでない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲 別掲(使用標章)









審理終結日 2012-05-23 
結審通知日 2012-05-24 
審決日 2012-06-20 
出願番号 商願2010-81237(T2010-81237) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (X36)
T 1 8・ 17- Z (X36)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 池田 光治平澤 芳行吉田 昌史 
特許庁審判長 小林 由美子
特許庁審判官 谷村 浩幸
田中 亨子
商標の称呼 フクオカソーゾクサポートセンター、ソーゾクサポートセンター 
代理人 戸島 省四郎 

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