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審決分類 審判 査定不服 商3条2項 使用による自他商品の識別力 登録しない X2039
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない X2039
管理番号 1261563 
審判番号 不服2011-14866 
総通号数 153 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2012-09-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-07-11 
確定日 2012-08-02 
事件の表示 商願2009- 88292拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 本願商標
本願商標は、別掲1のとおりの構成からなり、第20類、第39類、第41類及び第42類に属する願書記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成21年11月20日に立体商標として登録出願されたものである。そして、指定商品及び指定役務については、原審における同22年4月26日付け手続補正書により、第20類「プラスチック製の花卉運搬用容器,プラスチック製の花卉包装用容器」及び第39類「プラスチック製の花卉運搬用容器の貸与」に補正されたものである。

第2 原査定の理由
原査定は、「本願商標は、『花等を運搬する容器』の形状の一形態を表示したものと容易に理解し得る立体的形状よりなるものであるから、これを補正後の指定商品・指定役務中の『花等を運搬する容器』及びこれに関連する役務、例えば『プラスチック製の花等を運搬する容器,花運搬用容器の貸与』等に使用しても、その商品の形状、役務の提供の用に供する物の形状を表示するにすぎず、自他商品・役務識別標識としての機能を果たし得ない。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。また、出願人は、出願人が援用する商願2008-50685に添付の資料1ないし資料50により、本願商標は、補正後の指定商品『プラスチック製の花卉運搬容器,プラスチック製の花卉包装用容器』又は指定役務『花卉運搬用容器の貸与』について長期間使用した結果、花卉業界の生産者又は取引者にとって周知著名であり、識別力を有するに至った旨主張しているが、これらの資料をもって、本願商標が使用をされた結果、特定の者の出所表示として、その商品・役務の取引者・需要者の間で広く認識されるに至ったとは認められない。」旨、認定、判断し、本願を拒絶したものである。

第3 当審の判断
1 立体商標について
立体商標は、商品若しくは商品の包装又は役務の提供の用に供する物(以下「商品等」という。)の形状も含むものであるが、商品等の形状は、本来それ自体の持つ機能を効果的に発揮させたり、あるいはその商品等の形状の持つ美感を追求する等の目的で選択されるものであり、本来的(第一義的)には商品、役務の出所を表示し、自他商品、自他役務を識別する標識として採択されるものではない。
そして、商品等の形状に特徴的な変更、装飾等が施されていても、それは前記したように、商品等の機能又は美感をより発揮させるために施されたものであって、本来的には、自他商品を識別するための標識として採択されるのではなく、全体としてみた場合、商品等の機能、美感を発揮させるために必要な形状を有している場合には、これに接する取引者、需要者は当該商品等の形状を表示したものであると認識するに止まり、このような商品等の機能又は美感と関わる形状は、多少特異なものであっても、未だ商品等の形状を普通に用いられる方法で表示するものの域を出ないと解するのが相当である。
そうとすれば、商品等の機能又は美感とは関係のない特異な形状である場合はともかくとして、商品等の形状と認識されるものからなる立体的形状をもって構成される商標については、使用をされた結果、当該形状に係る商標が単に出所を表示するのみならず、取引者・需要者間において、当該形状をもって同種の商品等と明らかに識別されていると認識することができるに至っている場合を除き、商品等の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標として商標法第3条第1項第3号に該当し、商標登録を受けることができないものと解すべきである。

2 商標法第3条第1項第3号該当性について
(1)商標法第3条第1項第3号について
本願商標は、別掲1の第1/7図ないし第7/7図のとおり、角を丸くした四面からなるバケット状の容器(器の底は、凸状となっている。)(以下「バケット容器」という。)を有し、そのバケット容器を支持するように、上方にいくにつれて広くなる4本の支柱が、頂上部分で四角形の枠を構成し、また、バケット容器においても同様に、バケット容器の開口部から下部にいくにつれて広くなる4本の支柱が、底の部分において四角形の枠を構成してなるものである。
ところで、別掲2に掲げるインターネット検索の情報(1)ないし(5)によれば、いずれも、花卉等の輸送(搬送)容器が掲載されているところ、いずれの写真も、下部分に水を注水可能なバケット状の容器本体を有し、花卉等の茎や花の部分を被覆できるように当該容器の上部分をダンボール又はプラスチック製のカバーを有しているものである。
そして、「最新農業技術事典」(2007年10月10日社団法人農山漁村文化協会発行1248及び1249頁)の、花卉を輸送する方式について、「バケット流通」の項によれば、「切り花の輸送には、花を段ボール箱に横詰めして水を与えずに輸送する乾式輸送と、水を与えながら輸送する湿式輸送がある。湿式輸送のうち、専用のバケット(バケツ)を用いて、それを専用の台車に乗せて輸送する方式をバケット輸送と呼び、バケット輸送を利用した流通をバケット流通という。」、「バケット輸送では・・・また、切り花を垂直に立てて輸送するため、茎が屈曲せず、小売段階での調製作業が省力的である。」の記載がある。
上記実情からすれば、別掲1のとおりの形状からなる本願商標は、これに接する者に、下部分が水を注水可能なバケット状の容器本体であり、上部分が切り花を垂直に立てて輸送するために茎が屈曲しないよう茎や花の部分を被覆できる構成からなるものと容易に、把握、認識させるものということができる。
また、花卉を垂直に立てて運搬、包装する容器においては、一般的に安定性が求められるところ、本願商標に係る立体的形状は、バケット容器を支える4本の支柱がバケット容器の開口部及び下部と一体となり、かつ、それらの支柱は下方に向かってやや広がり、一つの四角形の枠を構成しているため、花卉を入れ設置したときに安定感のある形状となっているといえるものであるから、本願商標に係る立体的形状は、切り花等を運搬、包装する容器の機能を発揮させるために必要な形状を有しているということができる。
そうとすれば、本願商標に係る立体的形状は、未だ「プラスチック製の花卉運搬用容器,プラスチック製の花卉包装用容器」の形状を普通に用いられる方法で表示するものの域をでないとみるのが相当である。
してみれば、本願商標をその指定商品「プラスチック製の花卉運搬用容器,プラスチック製の花卉包装用容器」に使用するときは、取引者、需要者は、商品の形状を表示するにすぎないものと理解するに止まり、また、本願商標をその指定役務「プラスチック製の花卉運搬用容器の貸与」に使用するときは、役務の提供の用に供する物を表示するにすぎないものと理解するに止まるから、本願商標は、商品の形状又は役務の提供の用に供する物を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標と判断するのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)請求人の主張について
請求人は、「本願バケットは、花卉を包装又は運搬するための安定性といった機能を高めると認識される場合ことがあっても、四角形の収納部の上部に渡り四つの支持する柱を設けることにより、全体として砂時計のような特異な形状を想起させ、他者と差別化を図りつつ需要者又は取引者に強い印象を与えるように創意工夫を凝らし、包装容器の形状自体に出所表示機能を持たせている」旨主張している。
しかしながら、花卉等を輸送する容器を取り扱う業界においては、茎が屈曲しないように垂直に立てて輸送されている事実が認められるものであり、また、花や茎等をできるだけ痛めないように、バケットの上部は、ダンボール等により保護カバーが施されている事実が見受けられること前記(1)のとおりである。
そうとすると、請求人が主張する「四角形の収納部の上部に渡り四つの支持する柱を設ける」旨の主張は、花や茎等をできるだけ痛めないようにするために、茎等を固定化は安定化せるために支持する機能、特徴を有しているにすぎないものと容易に認識させるものであり、同種の商品が一般に採用し得る範囲内のものにすぎず、本願の指定商品及び指定役務の提供の用に供する物の機能をより効果的に発揮するために採択されたものと理解されるにすぎないものである。
してみれば、たとえ、請求人が、本願商標について、他者との差別化を図りつつ、創意工夫を凝らしたとしても、バケット容器の一形状を認識させるものであるから、その形状から砂時計を想起させるものとは到底いい難いものであり、その特徴が商品等の機能又は美感に資することを目的として採用されうる限りにおいては、出所表示識別のために選択されたものとはいい得ず、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かの判断に影響を及ぼすものではない。
したがって、本願商標は、その指定商品及び指定役務の提供の用に供する物の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標と判断するのが相当であるから、請求人の主張を採用することはできない。

3 使用による識別性について
(1)商標法第3条第2項について
出願に係る商標が、指定商品(指定役務)の品質(質)等を表示するものとして商標法第3条第1項第3号から第5号までに該当する場合に、それが同条第2項に該当し、登録が認められるかどうかは、使用に係る商標及び商品(役務)、商標の使用開始時期及び使用期間、使用地域、当該商品(役務)の販売数量等並びに広告宣伝の方法及び回数等を総合考慮して、出願商標が使用をされた結果、需要者が何人かの業務に係る商品(役務)であることを認識することができるものと認められるかどうかによって決すべきものであり、その場合に、出願に係る商標及びその指定商品(指定役務)は、原則として、使用に係る商標及び商品(役務)と同一であることを要するものというべきである。
(2)商標法第3条第2項の該当性について
請求人は、従来のダンボールによる輸送に変えて、切り花に水を与えながら輸送する、いわゆる湿式輸送に用いる数種類のバケット容器を製造する者であって、該容器を生産者に貸与し、花卉の運搬に使用したあと、これを回収し、洗浄等をおこなって再利用していることから、本願指定役務である「プラスチック製の花卉運搬用容器の貸与」を行っているものと認められる(資料2ないし7)。
また、このリサイクルシステムに係る事業は、「ELF(エルフ)システム」と呼ばれ(資料6)、東京都中央卸売市場の卸売業者の株式会社フラワーオークションジャパンと請求人とが共同開発して2001年1月6日に導入したものであり(資料16及び23(19頁))、その後、非営利活動法人「日本ELFシステム協会」(以下「ELF協会」という。)を設立してELF事業部及び事業代理店の認定やELF事業部活動の検証、ELFシステムの普及、啓蒙等(資料28及び38)を行っているものと認められる。
そこで、上記事実を踏まえて、本願商標が商標法第3条第2項の要件を具備するに至っているか否かについて、以下、検討する。
ア 使用商標及び使用商品又は使用役務について
(ア)使用商標について
本願商標は、別掲1のとおり、バケット容器を支持する支柱及び四角形の枠を構成した特徴を有してなるものであり、その特徴から、資料3(12頁)に掲載のバケット本体の型番「CF-240」(別掲3)とその付属の型番「CF-241」(別掲4)とを組み合わせたバケット容器(以下「使用商標」という。別掲5)が、本願商標と同一の形状よりなるものと認められるものである。
そして、請求人提出に係る証拠によれば、以下aないしgにおいて、本願指定役務について、使用商標が使用されている事実が認められる。
a 資料2の「ELFバケットのしくみ」と題するフロー図に、請求人の事業内容の概略図とともに使用商標が掲載されており、当該概略図から、使用商標が本願指定役務について使用されているものと推認し得るものである。
b 資料3の「ELFシステムについて(2001年6月19日)」と題する資料の11頁に、「ELFシステム概要」と題するフロー図とともに使用商標が掲載されており、同「ELFシステム概要」及び同資料10頁「3.ELFシステム事業内容/ELFシステムは、バケットの再利用・再生事業を行う/基本的にバケットは販売品ではなく、ELFシステム事業部が所有権を持ち、利用していただくものである」の内容から、使用商標が、本願指定役務について使用されているものと推認し得るものである。
c 資料5の「切り花バケット流通システムの開発と成果」と題する資料の16頁に、ELFシステムの概要図とともに使用商標が掲載されており、同じ頁内の「3.ELFシステムとは」及び「4.ELFシステム事業内容」(資料3の11頁と同じ)の内容から、使用商標が、本願指定役務について使用されているものと推認し得るものである。
d 資料6の下部中央に書された「兼弥産業株式会社/ELFシステム事業部」の資料中に、「ELFシステム指定バケット」の表示とともに、使用商標が掲載されており、同資料の左側に書されたELFシステムの説明(ELF(エルフ)システムとは、切花の市場流通において、鮮度保持に努めながら低廉で安全かつ再利用できるバケットを用いて環境保全に努めることを目的とするものです)から、使用商標が、本願指定役務について使用されているものと推認し得るものである。
e 資料29の2002年10月5日発行の「花卉園芸新聞」に使用商標が掲載されており、「JELFA」と題する概要図に請求人の会社の部署である「ELFシステム事業部」の記載から、使用商標が、本願指定役務について使用されているものと推認し得るものである。
f 資料36の「Hanajikan Garden July 2006」に、「花の鮮度を保つバケット、その使い方と流通のしくみ教えます」に使用商標が掲載されており、「バケット流通のしくみ」と題する概略図及びその説明内容から、使用商標が、本願指定役務について使用されているものと推認し得るものである。
g 資料39の「JELFA 日本ELFシステム協会」の最終頁に、「月刊フラワーショップ 2006.vol.3・4 81ぺージ」の記載とともに使用商標が掲載されており、請求人の事業内容を表す「ELFバケットシステム」の記載から、使用商標が、本願指定役務について使用されているものと推認し得るものである。
なお、以下の資料については、その取扱いに係る商品又は役務が確認できないもの、さらには、表示されている商標が本願商標と同一と認められないもの又は商標の表示がないものである。
資料4、7ないし28、30ないし35、37、38、40ないし50
(イ)使用商品及び使用役務について
資料3(10頁)によれば、「3.ELFシステム事業内容」の項に、「ELFシステムは、バケットの再利用・再生事業を行う/基本的にバケットは販売品ではなく、ELFシステム事業部が所有権を持ち、利用していただくものである」の記載及び前記(ア)aないしgによれば、請求人は、使用商標を、本願指定役務である「プラスチック製の花卉運搬用容器の貸与」の提供に使用していることが認められる。
しかしながら、本願指定商品「プラスチック製の花卉運搬用容器,プラスチック製の花卉包装用容器」の取引に使用している事実は、見いだせない。
イ 使用開始時期、使用期間、使用地域
請求人は、2001年1月6日に、「プラスチック製の花卉運搬用容器の貸与」についてのELFシステムを導入したものであり(資料16)、使用商標については、導入当初から使用していたものと推認できる(資料44)。
また、その使用地域については、26都道府県において、ELFシステムが導入されているものであり、北海道、東北、関東、四国、九州、沖縄の地域毎にみる限りにおいては、ほぼ全国に及ぶものということができる(資料45及び51)。
ウ 営業の規模(店舗数、営業地域、売上高)等
2001年から2011年3月末までのバケット全体の総流通量は、32,397,391個であることがうかがえる(資料62)。
しかしながら、切り花における再利用可能なバケットによる出荷数量について、当審において職権により調査したところ、「農林水産省生産局生産流通振興課花き産業振興室」が作成した「切り花の湿式バケット輸送システム湿式低温流通実績」(http://www.maff.go.jp/j/seisan/kaki/flower/f_kiribana/pdf/keka.pdf)の「2.再利用タイプのバケットによる湿式低温流通実績の推移」の統計表によると、請求人のELFシステム導入当初の2001(平成13年)年の切り花の総出荷量のうち、バケット流通量は、僅かに0.63パーセントであり、その後、緩やかに漸増傾向であるとはいえ、その後の2008(平成20年)年のそれは、僅かに2.93パーセントでしかないものである。
なお、当該統計表は、切り花の品種毎の出荷数量を表しているが、そのうち、最もその流通量が高い品種と認められるバラですら、2008年のそれは、18.81パーセントにすぎない。
そうとすると、請求人等の行う湿式輸送の事業は、切り花の流通市場における流通の全体からすると、極めて少ない占有率といわざるを得ないものである。
また、売上高については、これを確認する証拠の提出はない。
エ 広告宣伝の方法、回数及び内容
請求人の事業であるELFシステムは、本願指定役務である「プラスチック製の花卉運搬用容器の貸与」を主たる内容とする業務であるが、上記(2)にとおり、ELF協会は、そのシステムの普及、啓蒙等を主に行っているものである。
そして、資料53ないし63は、ELF協会が発行する「The JELFA」と題する会員向けの定期刊行物であり、当該刊行物の資料53の2頁目には、「ELFシステム事業部案内」と題して、本件請求人である「兼弥産業株式会社」の記載とともに、使用商標が掲載されている。
また、資料53、54、56、57及び60の1頁目に「ELFバケット品目紹介」とタグの下に、使用商標が掲載されており、また、同資料の別の頁に、「ELFバケット利用品目紹介」のタグの下にも使用商標が掲載されている。
しかしながら、いずれの写真も、切り花をはじめとする各種植物についてのバケット容器の荷姿を中心として掲載したものであって、切り花を安定的に収納可能であること、すなわち、バケット容器の使用方法に係るものであることを理解させるものであるから、本願商標をその指定商品及び指定役務に使用した広告、宣伝とはいえないものである。
そして、上記刊行物の頒布先は、ELF協会の会員名簿(資料46)の会員向けといえるものであるところ、当審において、職権調査したところ、「株式会社花卉園芸新聞社」発行の「花市場のすべて2005-06」の「掲載市場数」(284頁)によれば、全国の中央卸売市場、公設地方市場、地方卸売市場及びその他の市場数は、全体で233市場存在するものであり、これに対し、ELF協会の会員名簿から、卸売市場の業態のみをカウントすると、49団体(手続中のものを含む。)であることがうかがえる。
そうとすると、上記刊行物の頒布先は、限定的であって、また、決して多いものとはいえない。
その他に、新聞や雑誌に掲載されたバケット容器のリサイクル記事やウェブサイトにおける記事も、2001年から2006年の間に40件ほどでしかなく、決して宣伝回数が多いとはいえない。
してみれば、上記刊行物や新聞、雑誌等に掲載された写真からは、切り花等を収納するバケット容器であることを認識させることはあるとしても、これをもって、請求人の取扱いに係る商品又は役務の出所を表示する商標として、取引者、需要者に広く認識されているものとはいえないものである。
オ 小括
以上のとおり、本願商標は、上記ア(イ)のとおりその指定商品である「プラスチック製の花卉運搬用容器,プラスチック製の花卉包装用容器」に使用している事実は認められず、また、本願商標の指定役務である「プラスチック製の花卉運搬用容器の貸与」においてみても、極めて少ない市場占有率といえるものであり、また、請求人提出の証拠を総合勘案しても、本願商標の周知性を客観的に示すものとして十分なものと認めるに足りるものではない。
してみると、本願商標が、その指定商品及び指定役務について使用された結果、請求人の業務に係る商品及び役務であることが取引者、需要者間に広く認識されているに至ったものと認めることはできない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第2項の要件を具備しない。

4 まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、かつ、同法第3条第2項の要件を具備しないものであるから、これを登録することはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲1(本願商標)
第1/7図

第2/7図

第3/7図

第4/7図

第5/7図

第6/7図

第7/7図


別掲2(インターネット検索)
(1)「JA伊那花き部会 最新ニュース」のサイト内「2005年06月18日/新日本流通(株)SCバケット流通テスト(関東)」の項に、次の着荷状態のバケットの写真が掲載されており、「バケットと上に乗っているダンボールとの接合部分をかなりしっかりと固定しなければ輸送中にダンボールの部分がズレ花を傷めてしまう可能性があります。バンドもこの部分がしっかりと固定されなければ意味をなさなくなってしまうでしょう。/また、中で花束をある程度固定しなければ花束が遊んでしまいこれも花をいためる原因になると考えられます。」の記載がある。
(着荷状態)

(http://tksystem.exblog.jp/1002226/)
(2)「農林水産省生産局生産流通振興課花き産業振興室」のサイト内「〈バケット等による湿式低温流通とは〉」の項に、「(1)出荷・輸送において、以下の写真にあるようなプラスチック等のバケットに注水し、そのまま出荷・輸送するか、簡易な容器に注水し縦箱に入れるなどして出荷・輸送するもの。」の記載とともに、「バケットの例」として、次の切り花用の容器の写真が掲載されている。
「バケットの例」

(http://www.maff.go.jp/j/seisan/kaki/flower/f_kiribana/pdf/keka.pdf)
(3)「インパック株式会社」のサイト内「ピポコン」の項に、「水が入っているので新鮮さを保ちます/カバー部はプラスチック段ボールまたは紙製段ボールをお選びください。・・・お花の鮮度が保てます」の記載とともに、次の切り花用の容器の写真が掲載されている。

(http://www.impack.co.jp/products/bucket/pipo-container.html)
(4)「インパック株式会社」のサイト内「CFコンテナ」の項に、「お花を傷めず、かつ素早くバケットのカバー/安全な輸送だけでなく店頭ディスプレイにも4種類のユニットで6種類の組み合わせ/各ユニット スタッキング可能/段積みしても抜群の安定感」の記載とともに、次の切り花用の容器の写真が掲載されている。

(http://www.impack.co.jp/products/bucket/cf-container.html)
(5)「第一包装株式会社」のサイト内「花水器」の項に、「特徴/横積みしても安心!/水を入れたまま、横積みが可能になり、花市場のライン上に横積みしたまま水漏れが無く、乗せて流すことができます。」の記載とともに、次の切り花用の容器の写真が掲載されている。

(http://www.daiichi-housou.co.jp/hanamizuki.html)

別掲3(バケット本体の型番「CF-240」、資料3参照)


別掲4(バケット本体の付属の型番「CF-241」、資料3参照)



別掲5(「使用商標」、「CF-240」と「CF-241」とを組み合わせたもの、資料3参照)


審理終結日 2012-05-28 
結審通知日 2012-05-29 
審決日 2012-06-18 
出願番号 商願2009-88292(T2009-88292) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (X2039)
T 1 8・ 17- Z (X2039)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 田中 幸一山田 正樹 
特許庁審判長 鈴木 修
特許庁審判官 田中 亨子
大橋 良成
代理人 特許業務法人岡田国際特許事務所 

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