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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Y11
管理番号 1261560 
審判番号 取消2011-300875 
総通号数 153 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2012-09-28 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2011-09-21 
確定日 2012-07-30 
事件の表示 上記当事者間の登録第5039781号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第5039781号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成17年11月29日に登録出願、第11類「乾燥装置,換熱器,蒸発装置,蒸留装置,熱交換器,工業用炉,飼料乾燥装置,ボイラー,暖冷房装置,業務用ごみ焼却炉,家庭用ごみ焼却炉,浄水装置,樹木・植物・生ごみ等のバイオマスを燃料とするボイラー」並びに第7類、第37類、第41類及び第42類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成19年4月13日に設定登録され,その商標権は、現に有効に存続しているものである。

2 請求人の主張
請求人は、「本件商標の指定商品中の『第11類 ボイラー,樹木・植物・生ごみ等のバイオマスを燃料とするボイラー』について登録を取り消す。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求めると申し立て、その理由を「本件商標は、その指定商品中の上記商品について、継続して過去3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても使用されていないから、その登録は、商標法50条第1項の規定により取り消すべきものである。」旨述べた。

3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として、乙第1ないし第7号証(枝番を含む。)を提出した。
(1)使用の事実
ア 使用者について
商標権者は、株式会社ゼロエミッション・ホールディングス(以下「ゼロエミッション・ホールディングス」という。)との間で、平成20年8月20日に、本件商標の商標権を、ゼロエミッション・ホールディングスに使用許諾する契約を締結した(乙1)。なお、上記契約の締結後、ゼロエミッション・ホールディングスは、住所を移転し、かつ、社名を「株式会社ZEエナジー」に変更した(乙2)。また、上記使用許諾契約書における商標権者の住所は、本件商標の商標登録原簿の住所と相違しているが、これは、商標権者が代表取締役を務める株式会社ゼロエミッション(以下「ゼロエミッション」という。)の住所を商標権者の住所として記載したものである(乙3)。なお、ゼロエミッションは、平成20年に役員の人員整理を行い、現在同社の役員は商標権者1名であり、平成20年以降、営業活動含め実質的な企業活動は、ゼロエミッション・ホールディングス(現株式会社ZEエナジー)が行い、商標権者は、ゼロエミッション・ホールディングスが開催するセミナー等で講師を務めるという関係になっている。
したがって、乙号証において、平成20年8月以前に作成したカタログ等の社名は、「株式会社ゼロエミッション」となっている。平成20年8月は、本件審判の請求の登録よりも3年2月前となるが、商標権者及び使用権者が継続して本件商標を使用していることを示すため、平成20年以前の証拠も提出する。
イ 本件商標の使用
(ア)乙第4号証は、当初の通常使用権者であるゼロエミッションが作成した「バイオマスボイラー」についての商品カタログであり、ゼロエミッションに商標の使用が許諾された後、2007年10月に1000部印刷されたものである。
上記カタログの表紙に、本件商標と社会通念上同一と目される、「E」の文字をロゴ化した図形とその横に「Zero Emission」の文字が表されている。
なお、「バイオマスボイラー」については、本件商標出願時、商品の説明書と共にこの指定商品表記で出願したが、特許庁審査官からの拒絶理由通知で慫慂された補正案に従って「樹木・植物・生ごみ等のバイオマスを燃料とするボイラー」に補正されたものであり(乙5)、通常使用権者が本件商標を使用している商品「バイオマスボイラー」は、本件請求に係る指定商品「樹木・植物・生ごみ等のバイオマスを燃料とするボイラー」と同一である。
(イ)乙第6号証の1は、2010年9月にゼロエミッション・ホールディングスが農林水産省の補助事業により「山村再生支援センター」に「バイオマスボイラー」を納品した際の納品書である。この納品書の「品名」欄には本件商標と同一の「ゼロエミッション\zero emission\図形Zero Emission」が表されている。なお、ゼロエミッション・ホールディングスの住所地が旧住所地になっているが、これが同一会社であることは乙第2号証のとおりである。
乙第6号証の2は、納品先である「山村再生支援センター」について、農林水産省の外局である林野庁が平成21年5月22日に発表したプレスリリースである。
(ウ)乙第7号証は、2009年末に引き合いのあった株式会社リサイクルワンに対し、2010年1月21日付けでゼロエミッション・ホールディングスが発行した植物工場の冷温水供給システムの見積書写しである。この見積書の右上に本件商標と社会通念上同一視し得る「図形Zero Emisson」が表わされている。
この見積書の2番目の項目「木質ボイラー施設」から明らかなように、本件商標を「ボイラー」について使用していることが明らかである。
(2)むすび
以上のとおり、本件商標の通常使用権者が、本件商標及びこれと社会通念上同一と認められる商標を請求に係る指定商品「ボイラー,樹木・植物・生ごみ等のバイオマスを燃料とするボイラー」について使用していることは明らかである。

4 当審の判断
(1)乙第1号証ないし乙第4号証、乙第6号証の1及び乙第7号証によれば、以下の事実を認めることができる。
ア 商標権者は、ゼロエミッションの代表取締役であり、他に役員はいない(乙3)。
また、商標権者は、東京都港区赤坂三丁目8番8号に所在(平成22年1月5日に東京都台東区台東二丁目25番6号に移転:乙2)のゼロエミッション・ホールディングスとの間で、平成20年8月20日に、本件商標の商標権をゼロエミッション・ホールディングスに使用許諾する旨の商標権使用許諾契約を締結した(乙1)。なお、商標権使用許諾契約書(乙1)には、使用範囲、使用期間、使用料等についての定めの記載はない。また、該契約書の商標権者の住所は、ゼロエミッションの所在地である(乙3)。
ゼロエミッションの平成18年4月21日移転前の住所とゼロエミッション・ホールディングスの平成22年1月5日移転前の住所は同じである(乙2及び乙3)。
イ ゼロエミッションは、2007年10月に「バイオマスを燃料として利用可能!!」「バイオマスボイラー」と題する商品カタログ(以下「本件カタログ」という。)1000部を作成した。そのカタログの表紙右上隅に本件商標の構成中の図形と同一の図形及び「ZeroEmission」の文字からなる商標(以下「使用商標1」という。)が表示されている。また、「バイオマスボイラー」(以下「使用商品1」という。)の特徴として、「バイオマス資源を炭化したものを化石燃料の代替エネルギーとしての利用が可能」などの説明がされている(乙4)。
ウ 乙第6号証の1は、ゼロエミッション・ホールディングスが「山村再生支援センター」宛てに発行した、2010年09月末日付の「納品書」の写しであり、その品名欄に「ゼロエミッション式バイオマスボイラー 70,000kcal Type」の文字と共に本件商標と同一構成からなる商標(以下「使用商標2」という場合がある。)が表示されている。
エ 乙第7号証は、ゼロエミッション・ホールディングスが「株式会社リサイクルワン」宛てに発行した2010年1月21日付けの「バイオマス乾燥設備」、「木質ボイラー施設」(以下「使用商品2」という。)等に係る「御見積書」の写しであり、その右上隅に使用商標1が表示されている。
(2)前記(1)で認定した事実によれば、以下の事実が認められる。
通常使用権者について
ゼロエミッション(以下「通常使用権者1」という。)は、商標権者が代表取締役であるから、本件商標について商標権者から黙示による通常使用権を許諾され、通常使用権者の立場にあるものとみるのが自然である。また、ゼロエミッション・ホールディングス(以下「通常使用権者2という。)は、前記(1)アのとおり、本件商標に係る使用許諾契約を締結しているものであるから、本件商標の通常使用権者と認められる。
イ 使用について
(ア)通常使用権者1は、2007年(平成19年)10月に使用商標1を付した「バイオマスボイラー」に係る本件カタログを作成したことが認められる。
そして、上記作成時期は、本件審判の請求の登録(平成23年10月11日)前3年以内である2008年(平成20年)10月以前ではあるものの、使用商品1は、1式が1500万円と高額であり(乙6の1)、燃料等の関係からその需要者も限られることから、本件カタログが上記期間内においても頒布・使用されたものと推認することができる。なお、本件カタログの使用者がゼロエミッション・ホールディングス(通常使用権者2)であったとしても、同社は、上記のとおり本件商標について通常使用権を有していると認められるものである。
そして、使用商品である「バイオマスボイラー」は、本件審判請求に係る「樹木・植物・生ゴミ等のバイオマスを燃料とするボイラー」であると認められる。
(イ)通常使用権者2は、本件審判の請求の登録前3年以内である2010年9月末日に山村再生支援センターに使用商品1を納品し、使用商標2を付した納品書を使用したことが認められる。
(ウ)通常使用権者2は、本件審判の請求の登録前3年以内である2010年1月21日に株式会社リサイクルワンに使用商品2に係る見積をし、使用商標1を付した見積書を使用したことが認められる。そして、使用商品2は、本件審判請求に係る「ボイラー」の範ちゅうの商品と認められる。
(エ)使用商標1は、本件商標の構成中の図形と同一の図形と「ZeroEmission」の文字よりなり、本件商標と社会通念上同一の商標と認められるものであり、使用商標2は、前記のとおり、本件商標と同一の構成からなるものである。
(オ)そうすると、上記(ア)ないし(ウ)の各通常使用権者の行為は、いずれも「商品若しくは役務に関する広告、定価表若しくは取引書類に標章を付して・・頒布・・する行為」(商標法第2条第3項第8号)に該当するものと認めることができる。
したがって、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、通常使用権者が請求に係る商品「ボイラー,樹木・植物・生ゴミ等のバイオマスを燃料とするボイラー」について、本件商標及び本件商標と社会通念上同一の商標を使用していたことを証明したというべきである。
一方、請求人は、前記3の被請求人の答弁に対し、何ら弁駁するところがない。
(3)むすび
以上のとおりであるから、本件商標の登録は、その指定商品及び指定役務中、請求に係る商品について、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲 本件商標




審理終結日 2012-06-04 
結審通知日 2012-06-06 
審決日 2012-06-19 
出願番号 商願2005-116015(T2005-116015) 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (Y11)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山田 忠司 
特許庁審判長 内山 進
特許庁審判官 前山 るり子
板谷 玲子
登録日 2007-04-13 
登録番号 商標登録第5039781号(T5039781) 
商標の称呼 ゼロエミッション、イイ 
代理人 古井 かや子 
代理人 石塚 勝久 
代理人 川口 嘉之 
代理人 松倉 秀実 

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