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審決分類 審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない X33
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない X33
管理番号 1261452 
審判番号 不服2011-12719 
総通号数 153 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2012-09-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-06-15 
確定日 2012-07-13 
事件の表示 商願2010- 18020拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「芳醇本みりん」の文字を標準文字で表してなり、第33類「みりん」を指定商品として、平成22年3月10日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『芳醇本みりん』の文字を標準文字により書してなるが、その構成中の『芳醇』の文字部分は、『香りが高く味のよいこと』を意味し、『本みりん』の文字部分は、指定商品を表すものと認められる。また、本願の指定商品との関係においては、『芳醇酒』等が多数販売されている事実があることからすると、該文字は全体として『香りが高く味のよい本みりん』程度の意味合いを認識・理解させるにすぎず、これを本願の指定商品中、前記意味合いの商品に使用しても、単に、商品の品質を表示するにすぎない。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
(1)本願商標は、前記1のとおり、「芳醇本みりん」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中、「芳醇」の文字は、「酒の香りが高く味のよいこと」(株式会社岩波書店発行「広辞苑第六版」)を意味する語であり、また、「本みりん」の文字は、以下の(ア)のとおり、「みりん」の同義語であることから、本願の指定商品の商品名を意味する語であると認められる。

(ア)医歯薬出版株式会社発行「新編 日本食品事典」の「みりん(味醂)」の項
「しょうちゅうまたはアルコールに米麹と蒸したもち米を混和して数カ月間保って米の糖化を行ったのち、圧搾して造られる甘い酒である。これは本みりんと呼ばれ、主に調理用に使われる。」

さらに、本願の指定商品を取り扱う業界において、「芳醇」の文字が、「本みりん」(みりん)について、「香り高く味のよい」商品(「本みりん」(みりん))であることを表す語として、一般に使用されている事実が、例えば、以下の新聞記事及びインターネット情報から認められる。
そうとすると、「芳醇」の文字と「本みりん」の文字を一連に書してなる本願商標は、全体として「芳醇な本みりん(みりん)」すなわち「香りが高く味のよい本みりん(みりん)」程の意味合いを容易に認識させるものである。

〔新聞記事関係〕(下線は当合議体が付したもの。)
(イ)2011年2月23日付け日本食糧新聞
「みりん類・料理酒特集:主要メーカー動向=キリン協和フーズ」の見出しのもと、「『熟成蔵出し 黒みりん』(1.8リットルPETボトル、20リットルバッグインボックス)は、ポルトガルのマデイラワインの温めながら熟成させる製法をヒントに開発した独自の製法で、強制的に加温し『温熱熟成製法』にすることで、従来のみりんにはない深い味わいと芳醇な香りを実現している。」との記載。
(ウ)2010年2月24日付け日本食糧新聞
「みりん類・料理酒特集:主要メーカー動向=杉浦味淋」の見出しのもと、「主力は『愛桜 純米本みりん』シリーズで、特に5年前に発売開始した『愛桜 三年熟成純米本みりん』は熟成による芳醇な香りとまろやかな味わいが自慢の逸品だ。」との記載。
(エ)2006年3月8日付け朝日新聞・東京地方版/新潟 34頁
「(笑売半生)独自路線の『濃醇旨口』 『何もせず我慢』が極意 片山静江/新潟県」の見出しのもと、「熟成といえば、住乃井には30年もののみりんをブレンドした長期熟成本みりん『美琳酒(みりんしゅ)』がある。このみりん、漆黒で芳醇な風味がグルメの間で今、大変な話題を呼んでいるそうだ。」との記載。
(オ)2004年10月30日付け京都新聞・朝刊 2頁
「デパ地下味めぐり ジェイアール京都伊勢丹 近鉄百貨店草津店 大丸やましな店」の見出しのもと、「大近の『三河本みりん』」について、「本場三河の伝統醸造法で、もち米、米こうじ、焼酎だけを用いて丁寧に造りました。本みりんが持つ上品な甘みや、まろやかなコク、芳醇な風味などが素材本来の味を引き立て、お料理をより一層おいしく仕上げます。煮物はもちろん、すき焼きなどにもお使いください。」との記載。
(カ)1997年1月28日付け日本工業新聞 31頁
「中埜酢店 本みりん拡大強化 2月に新製品3種、一般小売店に販路」の見出しのもと、「ほんてり本みりん(六〇〇ミリリットル三百六十円など)は、原料に掛米もち米だけを使用。本格米焼酎による二段造り製法で芳醇な香りが特徴。」との記載。

〔インターネット情報関係〕(下線は当合議体が付したもの。)
(キ)リッキービジネスソリューション株式会社のネットショップ「地方からの贈り物」
「福来純三年熟成本みりんと岐阜の本格米焼酎詰合せ・・・芳醇な本みりんと本格米焼酎2種のセット。・・・かつては甘いリキュールとして広く愛飲されていたみりん。江戸の時代からのつくり方を頑なに守り、蔵の中で静かに三年間熟成することで生まれる、芳醇でふくらみのある甘みが自慢の『福来純三年熟成本みりん』と、地元岐阜県の書画家、山田ひろ子さんの元気あふれる書画をラベルにした二種類の本格米焼酎をセットにしました」との記載。(http://chihou-gift.com/SHOP/O050.html)
(ク)九重味淋株式会社のホームページ
「ご家庭向け商品 本みりん・・・厳選の原材料のみを用いて造られた食を彩るにふさわしい自然派調味料、本みりん。上品な甘味と旨味、醸造特有の芳醇な香りは、本場三河の本みりんならでは。創業以来230余年守り続けてきた本物の味をご堪能ください。」との記載。(http://www.rakuten.ne.jp/gold/kokonoe/katei/honmirin.html)
(ケ)田中酒造株式会社のホームページ
「魔法の一滴 本みりん 500ml・・・本みりんの甘味、旨味のもとになるお米に、北海道産のもち米を使用し、丹精込めて造った本みりんは上品なテリ、ツヤはもちろんお料理に芳醇な風味とまろやかな味わいを加えます。」との記載。(http://www.tanakashuzo.com/SHOP/30101.html)

してみれば、本願商標は、これをその指定商品について使用するときは、これに接する取引者又は需要者をして、「香り高く味のよい本みりん(みりん)」程の意味合いを認識・理解させるに過ぎず、その商品の品質を表示するものであるから、自他商品の識別標識としての機能は果たし得ないものというのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、本願商標は、漢字及び平仮名を一体的に構成してなるものであり、「ホウジュンホンミリン」の称呼も、「ん」の語によって韻を踏んでなるものであるため、抑揚よく一気一連に称呼し得るものであり、これによって生み出されるリズム感から、構成全体で強く一体感を有するよう構成されてなるものであるから、本願商標を「芳醇」の文字部分と「本みりん」の文字部分とに分離し、それぞれの語が有する意味を個別に判断されることはなく、造語として認識され得る旨、主張する。
また、請求人は、本願商標が請求人の業務に係る商品の出所を表示するものとして認識されていることが伺える旨主張し、その根拠として、「芳醇本みりん」の文字をインターネットで検索すると、請求人の名称である「キッコーマン」又は請求人のシリーズブランドの名称「マンジョウ」若しくは「万上」と共に検索される旨、加えて、平成22年2月24日発行の日本食糧新聞において、「芳醇本みりん」の語が商品名の欄に記載されている旨(平成24年3月22日付け意見書甲第1号証及び甲第2号証)を主張する。
しかしながら、たとえ、本願商標の称呼が「ん」の語によって韻を踏んでいる等により、本願商標が構成全体で強く一体感を有するよう構成されたものであるとしても、前記(1)のとおり、本願商標からは、全体として「香りが高く味のよい本みりん(みりん)」程の意味合いを取引者又は需要者が一般に認識し、本願の指定商品との関係で、その商品の品質を直接的に表示するものというべきである。また、請求人が提出した前記証拠によれば、例えば、本願商標のみならず、請求人の代表的出所標識である「キッコーマン」や請求人のブランドの名称「マンジョウ」等の文字が併せ表示されており、本願商標のみによっては、請求人の業務に係る商品の出所表示として認識されるものとは、一概にいうことができない。
イ また、請求人は、一部の地域において、本願商標と同一の語を用い、かつ、類似するラベルを表記した商品が販売されており、これにより、実際の取引において混同が生じるおそれがあり、請求人の既存の権利ひいては卸売業者及び最終消費者の利益を守ることを目的として出願した旨、主張する。
しかしながら、前記(1)のとおり、本願商標は、自他商品の識別標識としての機能は果たし得ないものというのが相当であるから、請求人以外の者が本願商標と同一の語を使用し、かつ、類似するラベルを表記した商品が販売されていたとしても、本願商標についての商標法第3条第1項第3号の適用を免れることはできないというべきである。
ウ さらに、請求人は、「芳醇」と他の文字とが結合した過去の登録例を挙げ、本願商標も同様に登録されてしかるべき旨主張する。
しかしながら、本願商標が、自他商品の識別標識としての機能を果たすものであるか否かは、本願商標自体の具体的な構成とその指定商品との関係から、審決時において、指定商品の取引の実情等を考慮して個別かつ具体的に判断されるべきものであって、他の商標登録の事例の存在によって、本件の判断が左右されるものではない。
よって、前記の請求人の主張は、いずれも採用することができない。
(3)まとめ
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものであるから、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2012-05-10 
結審通知日 2012-05-15 
審決日 2012-05-29 
出願番号 商願2010-18020(T2010-18020) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (X33)
T 1 8・ 272- Z (X33)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 松本 はるみ 
特許庁審判長 小林 由美子
特許庁審判官 冨澤 武志
小川 きみえ
商標の称呼 ホージュンホンミリン、ホージュン 
代理人 鈴木 英之 
代理人 西村 一路 

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