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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 X09 |
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管理番号 | 1259916 |
異議申立番号 | 異議2012-900051 |
総通号数 | 152 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2012-08-31 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2012-02-24 |
確定日 | 2012-07-06 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第5453421号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第5453421号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第5453421号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成からなり、平成23年5月30日に登録出願、第9類「写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,家庭用テレビゲームおもちゃ,携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,レコード,メトロノーム,電子楽器用自動演奏プログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,インターネットを利用して受信し、及び保存することができる音楽ファイル,映画フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,インターネットを利用して受信し、及び保存することができる画像ファイル,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,電子出版物」を指定商品として、同年10月3日に登録査定、同年11月25日に設定登録されたものである。 2 本件登録異議申立ての理由(要旨) 本件登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は商標法第4条第1項第19号に該当するとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第5号証を提出した。 (1)申立人の引用する商標 申立人が引用する商願2011-81132(以下「引用商標」という。)は、別掲(2)のとおりの構成からなり、第9類「コンピュータ周辺機器,コンピュータ用モニター,ビデオレコーダー,コンピュータ,ビデオカメラ,モニター付監視装置,ICカード(スマートカード),コンピュータ操作用プログラム(記憶されたもの),盗難防止用電気式設備,テレビ電話」を指定商品として、平成23年11月11日に登録出願されたものである。 申立人は、引用商標を2002年から使用しており、また、引用商標は、中国をはじめ世界各国で商標登録されているか、または、登録出願中である。 申立人は、日本においても、引用商標が付された商品がインターネットを中心に販売されており、日本においても引用商標が付された商品を容易に見出すことができ、特にこの分野について有名な企業の商標と認識されている(甲第2号証)。 (2)申立人について 申立人は、2001年にセキュリティや監視製品の専門メーカーとして設立され、それらに関連する製品や、デジタルビデオテープレコーダー、カメラ、検出器、など幅広い製品を、研究、開発、製造する、世界で著名な企業である。 2002年ないし2004年には、申立人が開発したデジタルビデオレコーダーは、世界でトップセールスを記録するに至った。2008年には、深セン証券取引所に上場した。申立人は強力な研究開発能力を有しており、申立人の会社には、800人のエンジニアが在籍、販売収入の10%が毎年研究開発費として費やされている(甲第3号証)。 (3)引用商標の周知、著名性について 申立人は、引用商標を継続的かつ広範に使用しており、かつ地道な努力を重ね、ようやく引用商標が世界中に普及してきており、実質的な評判や高い信頼を得て、申立人が貿易を行っている世界各国や公共の間で周知・著名性を獲得するに至った。 このように、申立人は中国その他の外国において、引用商標を付した商品を多角的に販売しており、多くの需要者が引用商標を知るところである。 また、申立人の引用商標が付された商品は、中国政府より数々の名誉ある賞や、国際機関または専門分野でよく知られた機関からも、名誉ある賞が授与されている。このように数々の賞が授与され、業界で周知・著名性を獲得している(甲第4号証)。 以上のような事実からすれば、引用商標は、本件商標の出願日である平成23年5月30日時点で、少なくとも中国国内において、申立人の業務にかかる商品を表示するものとして、需要者の間に広く認識されていたものである。 (4)本件商標と引用商標の対比 両商標は、欧文字「d」の中に「a」を入れ込んだ「da」が図形化された構成上顕著な特徴を有する欧文字「dahua」を横書きしてなる商標であり、本件商標の図形化された「d」に色彩が付されている部分を除いて両商標は同一の構成からなる商標である。 よって、両商標は、同一又は類似の外観、同一の称呼、同一の観念を生じるものであり、同一又は類似する商標に該当する。 (5)不正の目的について 本件商標権者の取引先は、中国や台湾であり(甲第5号証)、申立人と同一分野の商品を、日本へ輸入し、日本国内で販売している。両者は生産現場及び販売店舗が共通し、需要者が共通している。 そうであれば、中国国内において広く需要者に認識されている引用商標を付した申立人の商品に本件商標権者が接したことがないとは考えられない。 したがって、本件商標権者は、申立人が所有する商標や、申立人の商品について、認識していた蓋然性が高いものと推認できる。 また、申立人は、日本においても、製品の調査等、販売に向けた具体的な準備をし、実際に販売してきた。万一、申立人が独自に考案した引用商標の登録ができない場合には、これまで時間と労力を費やした開発費等が無駄になり多大な損害が発生する。 以上のことからすれば、本件商標は、引用商標が我が国において登録されていないことを奇貨として、先取り的に出願・登録したものということができ、申立人の引用商標が中国その他の外国で獲得した顧客吸引力や信頼等の不正の利益を得る目的、又は先願主義を採用する我が国の法制を利用して申立人の引用商標が登録されないようにすることにより、申立人に損害を与える目的があったことが推認され、不正の目的をもって本件商標を使用する若しくは使用しようとするものであることは明白である。また、申立人が世界において獲得した顧客吸引力、信頼をただ乗りしようとするものである。 (6)商標法第4条第1項第19号について 以上のことより、本件商標は、「他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標」に該当し、申立人に損害を与える目的その他の不正の目的をもって使用する若しくは使用しようとするものであることは明白であるから、商標法第4条第1項第19号に該当する。 (7)むすび 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当し、商標登録を受けることができないものであるから、その登録は、同法第43条の2第1号により取り消されるべきである。 3 当審の判断 (1)引用商標の周知著名性について 申立人提出の甲各号証によれば、次の事実が認められる。 引用商標は、現在申立人及びその商品である「ビデオレコーダー、セキュリティ及び監視装置(以下『本件商品』という。)」などに表示する商標としてネット上で販売されていることが認められる(甲第2号証)。 2008年ないし2010年の「Top Security 50」と題する一覧によれば、申立人は、「製品グループ/ビデオ監視」部門での販売収入が2007年「5,910USドル」(32位)、2008年「9,250USドル」(19位)、2009年「1億2,320USドル」(15位)との記載がある(甲第3号証)。 また、引用商標は、2003年のセキュリティ及び監視分野において、中国政府による大賞を受賞している(甲第4号証)。 しかしながら、本件商品中の「ビデオ監視」の販売収入(甲第3号証の16枚目ないし18枚目)については、2007年から2009年までの収入が記載されているが、いかなる商品の販売実績であるか明確でなく、その出典及び裏付けとなる客観的な資料の提出もないことから、販売実績の裏付けとなる証拠とはいえない。 また、申立人提出の甲各号証によっては、本件商品の中国市場などにおけるシェアも確認できないこと、本件商品の紹介記事は、申立人のウェブサイト(甲第3号証の5枚目ないし13枚目)以外になく、広告宣伝の方法、回数等も全く明らかでないこと、2002年から2011年にかけて引用商標と同一又は類似の商標を中国、台湾などで出願、設定登録しているとしても、本件商品の使用状況を証明するものでないこと、また、引用商標のブランドに係る受賞は、中国国内におけるもののみであり、その根拠は明らかでない。 以上のとおりであるから、引用商標は、本件商標の出願時及び査定時に、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、日本国内又は外国における需要者の間で広く認識されている商標と認めることはできない。 その他の申立人提出の証拠によっても、引用商標が周知、著名であったと認めるに足りる証拠は見当たらない。 さらに、本件商標が、引用商標の顧客吸引力、信頼にただ乗りすることを意図して出願されたものであるなど、不正の目的をもって使用をするものであると認めるに足る証拠も提出されていない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号所定のその他の要件について論及するまでもなく、同号に該当しない。 (2)結び 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第19号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲 (1)本件商標 (色彩については原本参照) (2)引用商標 |
異議決定日 | 2012-06-28 |
出願番号 | 商願2011-40444(T2011-40444) |
審決分類 |
T
1
651・
222-
Y
(X09)
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最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 山本 敦子 |
特許庁審判長 |
鈴木 修 |
特許庁審判官 |
瀬戸 俊晶 田中 亨子 |
登録日 | 2011-11-25 |
登録番号 | 商標登録第5453421号(T5453421) |
権利者 | 株式会社エーエスケートレーディング |
商標の称呼 | アフア、エイフア、フア、エイチユウエイ、エッチユウエイ |
代理人 | 庄司 隆 |
代理人 | 羽村 行弘 |