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審決分類 |
審判 一部申立て 登録を維持 X0937 審判 一部申立て 登録を維持 X0937 審判 一部申立て 登録を維持 X0937 |
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管理番号 | 1259905 |
異議申立番号 | 異議2012-900028 |
総通号数 | 152 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2012-08-31 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2012-01-27 |
確定日 | 2012-07-05 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第5448459号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第5448459号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第5448459号商標(以下「本件商標」という。)は,「HAM」の文字を標準文字で書してなり,平成23年4月5日に登録出願,第9類及び第37類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として,平成23年10月11日に登録査定,平成23年11月4日に設定登録されたものである。 2 引用商標 (1)登録異議申立人(以下「申立人」という。)が商標法第4条第1項第11号の取消の理由に引用している商標 ア 国際登録第907610号商標(以下「引用商標1」という。) 「HAMA」の欧文字を書してなり,2007年(平成19年)10月19日に国際商標登録出願(事後指定),第8類,第9類,第11類,第15類,第16類及び第18類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載の商品を指定商品として,平成22年4月23日に設定登録されたものである。 イ 国際登録第1043683号商標は(以下「引用商標2」という。) 「HAMA」の欧文字を書してなり,2009年8月11日にドイツ連邦共和国においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張し,2010年(平成22年)2月5日に国際商標登録出願,第9類,第16類,第18類,第20類及び第28類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載の商品を指定商品として,平成24年2月17日に設定登録されたものである。 以下,引用商標1と引用商標2を併せて「引用商標」という。 (2)申立人が商標法第4条第1項第10号及び同項第15号の取消の理由に引用している商標は,別掲のとおりの構成からなるものである(以下「使用商標」という。)。 3 登録異議の申立ての理由(要旨) (1)商標法第4条第1項第11号について ア 本件商標は,標準文字をもって「HAM」と横書きした商標であるから,「ハム」なる自然称呼を生ずるものであり,一方,引用商標は,「HAMA」の英文字からなるものであるから,いずれも「ハマ」の称呼を生ずるものである。 そこで,両称呼を比較すると,両称呼は,称呼を比較する上で重要な要素となる語頭の音「ハ」を共通にし,それぞれの語尾音「ム」と「マ」は,両唇を閉じておいて,開きながら,呼気を鼻に抜いて出す鼻子音「m」を共通にし,これに帯有する母音は「u」であるか「a」であるかの差異を有するにすぎず,これらの音は,それ自体やわらかい音として発音され,特に語尾に位置するときには明瞭に発音されがたく,聴取されがたいというのが相当であるから,本件商標と引用商標は,その称呼において類似する。 次に,外観について比較すると,本件商標と引用商標は,「HAM」の文字が共通し,語尾「A」の文字に差異を有するものであるが,これらを時と処を異にしてみたときには,需要者・取引者は,語頭の3文字に強い印象・記憶を受け,語尾の「A」は印象・記憶に強く残るとは言えないから,両商標は,「HAM」の文字から受ける視覚的印象が共通し,その外観においても類似する。 イ 本件商標の指定商品中の第9類「写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,電子応用機械器具及びその部品」は,引用商標の指定商品に含まれる商品と同一又は類似の商品である。 ウ 以上のとおり,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当し,第9類の指定商品の登録を取消すべき理由がある。 (2)使用商標の周知・著名性について 使用商標は,1923年(大正12年)にドイツにおいて写真用品に使用されたのを始まりとして,現在に至るまで,約89年間に亘り継続してカメラ用ケース,三脚をはじめとする写真用品に使用されている。 また,使用商標は,ヨーロッパのみならず,アジア,中東,アフリカ,オセアニア,南北アメリカといった世界各国で写真用品について使用されている。また,申立人は,申立人のホームページ等において使用商標を使用した広告宣伝を行っている。 さらに,使用商標は,日本の輸入代理店である株式会社エツミ(以下「エミツ」という。)により,少なくとも平成3年(1991年)から,現在に至るまで約21年間に亘り,日本において写真用品に継続して使用され,広告されている。インターネットで「hama カメラ」を日本語のホームページに限定して検索しても,使用商標を付した商品に関する記載が多数ヒットすることは,使用商標の周知性を裏付けるものである。 以上のとおり,使用商標は,申立人の業務に係る商品である写真用品を表示するものとして,需要者・取引者の間に広く認識されている商標である。 (3)商標法第4条第1項第10号について ア 本件商標は,前記のとおり,「ハム」なる自然称呼を生ずる商標であり,一方,使用商標は,「hama」と赤色の英文字で表示した構成態様からなり,「ハマ」なる自然称呼が生ずる商標である。 前記(1)の理由と同様の理由により,本件商標と使用商標は,その称呼において類似するというべきである。 イ 本件商標の第9類の指定商品は,「写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具」を含むものであり,使用商標の使用される商品は,写真用品であるから,本件商標の指定商品と使用商標の使用される商品とは,類似の商品である。 ウ 前記のとおり,使用商標は,申立人の業務に係る商品を表示するものとして日本も含めた世界各国の需要者の間に広く認識されている商標であり,また,本件商標は,使用商標に類似する商標であって,その商品に類似する商品について使用するものであるから,本件商標は,商標法第4条第1項第10号に該当し,第9類「写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具」 の登録を取消すべき理由がある。 (4)商標法第4条第1項第15号について 前記のとおり,使用商標は,申立人の事業に係る写真用品の商標として,広く一般に知られている商標であり,また,本件商標は,申立人の商品出所標識として広く認識されている「hama」と類似する称呼が生じるものであるから,本件商標を第9類の「写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具」に使用したときには,当該商品が申立人の商品に係るものであると誤信されるおそれがあるのみならず,当該商品が申立人との間にいわゆる親子会社や系列会社等の緊密な営業上の関係等にある者の業務に係る商品であると誤信されるおそれがあるものであるから,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当し,第9類「写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具」の登録を取消すべき理由がある。 (5)結語 以上のとおり,本件商標は,商標法第4条第1項第10号,同項第11号又は同項第15号に該当することは明らかであるから,その商標登録は直ちに取り消されるべきものである。 4 当審の判断 (1)商標法第4条第1項第11号について 本件商標は,「HAM」の欧文字を標準文字により表してなるものであるから,その構成文字に相応し,「エイチエイエム」又は「ハム」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものとみるのが自然である。 一方,引用商標は,それぞれ「HAMA」の欧文字からなるものであるから,それぞれの構成文字に相応して,「ハマ」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものとみるのが自然である。 そこで,本件商標から生ずる「エイチエイエム」及び「ハム」の称呼と引用商標から生ずる「ハマ」の称呼を比較すると,「エイチエイエム」と「ハマ」の称呼は,構成音数の差,相違する各音の音質の差,音構成の差等により明瞭に聴別し得るものである。また,「ハム」と「ハマ」の称呼も,共に2音という短い音構成からなるものであり,それぞれの構成音である「ハ」と「ム」及び「ハ」と「マ」の2音が,1音ずつ明瞭に発音されるものといえるから,両者は,明らかに聴別し得るものである。 次に,外観についてみると,本件商標が欧文字3字,引用商標が欧文字4字の,共に比較的少ない文字構成からなるものであるから,それぞれの構成中の「HAM」の文字を共通にするとしても,「A」の文字の有無により,両者は,外観上も明瞭に区別して看取され得るものである。 また,両商標とも観念を生じないものであるから,観念上は比較することができないものである。 そうすると,本件商標と引用商標は,その外観,称呼及び観念のいずれにおいても全く類似するところのない非類似の商標である。 したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当しない。 (2)商標法第4条第1項第10号及び同項第15号について ア 使用商標の周知,著名性について 申立人は,使用商標は,カメラ用ケース,三脚をはじめとする写真用品について,日本を含め世界各国において使用された結果,申立人の業務に係る商品を表示するものとして,需要者の間に広く認識されている商標である旨主張し,その主張を立証するものとして,甲第5号証ないし甲第第31号証を提出している。 そして,これら甲各号証は,平成3年(1991年)から2008年にかけてエツミにより作成された申立人製品の商品カタログ(甲5?14),2012年4月23日打ち出しのエツミと申立人のホームページ(甲15?29),2012年4月27日打ち出しの「hama カメラ」を検索キーとして検索した日本語ホームページの検索結果(甲30,31)であるところ,これら甲各号証から,使用商標を表示した写真用品が輸入代理店であるエツミを通じ,平成3年(1991年)から現在に至るまで日本において販売されていることが推認し得る。 しかしながら,当該写真用品の販売数量・売上高・市場占有率・広告宣伝の方法や規模などの具体的事実を示すものはなく,これら甲各号証によっては,本件商標の登録出願時・査定時において,使用商標が申立人の業務に係る商品(写真用品)を表示するものとして需要者の間に広く認識されていたと認めることはできない。 イ 本件商標と使用商標の類否について 本件商標は,前記(1)のとおり,「エイチエイエム」又は「ハム」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものである。 一方,使用商標は,別掲のとおり,赤色の「hama」の欧文字を多少デザイン化した構成からなるものであるから,その構成文字に相応して,「ハマ」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものとみるのが自然である。 そうすると,本件商標から生ずる「エイチエイエム」又は「ハム」と使用商標から生ずる「ハマ」の称呼は,前記(1)の理由と同様の理由により,明瞭に聴別し得るものである。 次に,本件商標と引用商標の外観についてみると,本件商標が標準文字で表した欧文字3字からなるのに対し,引用商標が赤色の欧文字4字をデザイン化してなるものであるから,両者は,外観上も明瞭に区別して看取され得るものである。 また,両商標とも観念を生じないものであるから,観念上は比較することができないものである。 してみれば,本件商標と引用商標は,その外観,称呼及び観念のいずれにおいても全く類似するところのない非類似の商標である。 ウ 小括 以上のとおり,使用商標は,他人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標とはいえず,また,本件商標と類似する商標でもない。 そうである以上,本件商標をその指定商品に使用しても,これに接する需要者が使用商標又は申立人を連想,想起するようなことはなく,該商品が申立人又は同人と経済的・組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのごとく,その出所について混同を生ずるおそれはない。 したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第10号及び同項第15号に該当しない。 (3)むすび 以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第11号,同第10号及び同第15号に違反してされたものでないから,同法第43条の3第4項の規定により,維持すべきものである。 よって,結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲(引用商標) |
異議決定日 | 2012-06-26 |
出願番号 | 商願2011-23862(T2011-23862) |
審決分類 |
T
1
652・
26-
Y
(X0937)
T 1 652・ 25- Y (X0937) T 1 652・ 271- Y (X0937) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 白倉 理 |
特許庁審判長 |
小林 由美子 |
特許庁審判官 |
鈴木 修 小川 きみえ |
登録日 | 2011-11-04 |
登録番号 | 商標登録第5448459号(T5448459) |
権利者 | 株式会社リコー |
商標の称呼 | ハム、エイチエイエム、エッチエイエム |
代理人 | 伊藤 孝太郎 |
代理人 | 前田 大輔 |
代理人 | 中村 知公 |