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審決分類 審判 査定不服 商3条2項 使用による自他商品の識別力 登録しない X28
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない X28
審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない X28
管理番号 1259874 
審判番号 不服2010-14941 
総通号数 152 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2012-08-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-06-17 
確定日 2012-07-06 
事件の表示 商願2009-38196拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、別掲1のとおりの構成よりなり、第28類「土人形」を指定商品として、平成21年5月25日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要旨
原査定は、「本願商標は、元禄の頃、仙台の堤町近くの台原で江戸の陶工上村万右衛門が創製した陶器の一種である『堤焼』による人形で、日本三大土人形の一つとして知られている『堤人形』(株式会社岩波書店 広辞苑第六版参照)の文字を、未だ普通に用いられる方法の域を脱しない態様により、毛筆で縦書きしてなるものであるから、本願商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、単に当該商品が『堤人形』であると認識するにとどまり、自他商品の識別標識とは認識しないものといえる。したがって、本願商標は、単に商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であり、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるため、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審において通知した審尋
請求人に対して、平成23年3月4日付けで通知した審尋の内容は、別掲2のとおりである。

4 審尋に対する回答書の要旨
請求人は、「指定商品『土人形』について使用した結果、本願商標は需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるものとなっており、本願商標は、商標法第3条第2項の要件を具備しており、商標登録を受けることができるものである。」旨述べている。

5 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号について
本願商標は、別掲1に表示するとおり、「堤人形」の文字を、毛筆体で縦書きした構成よりなるところ、別掲2に示した事実によれば、本願に係る指定商品を取り扱う業界において、「堤人形」の文字は、「仙台市堤町で製造される土人形」を表す語として、一般的に使用されている。
また、甲第19号証の1 8頁23行ないし28行及び8頁39行ないし9頁5行並びに別添2(平成23年3月4日付け審尋)第1 2(5)及び(8)によれば、請求人以外の者によって、商品「仙台市堤町で製造される土人形」について、「堤人形」の文字が使用されていることが認められる。 そうとすれば、本願商標を、その指定商品中、「仙台市堤町で製造される土人形」に使用しても、これに接する取引者、需要者は、当該商品の品質を表示したものと理解するにとどまり、自他商品の識別標識とは認識し得ないものであり、かつ、本願商標を「仙台市堤町で製造される土人形」以外の「土人形」について使用するときは、その商品の品質の誤認を生ずるおそれがある商標といわなければならない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。
(2)商標法第3条第2項について
請求人は、「請求人の登録商標(登録第2354191号及び登録第2365147号)に人形の文字を付した本願商標こそ、・・・請求人が先代以来周知性と自他商品識別力を確立してきた本来の商標そのものというべきであり、原査定が登録商標に『人形』の文字を付加することにより、あたかも構成態様が根底から普通名称に変わるかのように判断するのは、本末転倒の誤りが明白である。よって、原査定の理由は、いずれの角度からも失当として是認できるものではなく、本願商標は、郷土の歴史文献を正確に捉え、商標法第3条第2項により登録されるべきである。」旨述べ、その根拠となる証拠として、原審において甲第1号証ないし同第2号証及び当審において甲第3号証ないし同第30号証を提出している(枝番を含む。当審における平成22年6月18日受付けの審判請求書において提出された甲第1号証ないし同第13号証及び同23年4月18日受付け回答書において提出された甲第14号証ないし同第28号証は、提出済みの号証の番号に続けて読み替えた。)。
(3)商標法第3条第2項に関する判断
商標法第3条第2項の要件を具備するためには、使用商標は、出願商標と同一であることを要し、出願商標と類似のものを含まないと解すべきである。
そこで、使用に係る商標についてみるに、提出された証拠中、「注文リスト」(甲第20号証)、「損益計算書」(同第21号証)及び「『農村文化/ふるさと回廊/つゝみ人形 仙台市/土艶やか 江戸の香り』と題する、2000年5月21日発行の日本農業新聞の抜粋記事」(同第23号証の11)には、本願商標が記載されていないものである。
また、「『堤焼之史』(奥付なし。発行者不明。資料5頁に昭和40年9月9日の日付が認められる。)と題する書籍」(同第3号証)、「『堤人形/うれいを含んだ美/庶民が作った芸術品』と題する、昭和41年5月23日付け河北新報の抜粋記事」(同第4号証)、「『郷土玩具辞典(新装普及版)』(株式会社東京堂出版:1997年9月25日初版発行)」(同第5号証)、「『仙台市博物館図録 堤人形の美』(仙台市博物館:平成元年5月12日発行)」(同第6号証)、「『仙台市史 特別編3 美術工芸』(仙台市:平成8年3月31日発行)」(同第7号証)、「『郷土玩具辞典(新装普及版)』(株式会社東京堂出版:1997年9月25日初版発行)」(同第9号証)、「『どうとく』(宮城県教育委員会:昭和61年3月31日発行)」(同第10号証の1)、「『郷土みやぎの輝く星 先人の心に学ぶ』(株式会社学習研究社:昭和60年4月1日初版発行)」(同第10号証の2)、「昭和58年年賀切手発行記念シート」(同第12号証の1)、「『年賀切手に仙台の「堤人形」』と題する、昭和57年10月2日付け河北新報の抜粋記事」(同第12号証の2)、「平成8年用年賀切手発行記念シート」(同第12号証の3)、「『堤人形職人/イヌに模様/青葉区堤町』と題する、2005年(平成17年)12月29日付け朝日新聞の抜粋記事」(同第13号証の1及び同第23号証の3)、「『亥 着々』と題する、2006年(平成18年)12月10日付け読売新聞の抜粋記事」(同第13号証の2及び同第23号証の4)、「ラベルをふたの内側に貼った包装木箱」、「シールを貼り、押印した包装木箱」、「ゴム印の印影」及び「シール」(同第16号証の2)、「人形の包装木箱に貼るラベル」(同第16号証の4No.2ないしNo.4、No.6及びNo.8)、「『堤人形』の文字を付した包装紙」(同第17号証)、「請求人会社の店内に掲げられている額」(同第22号証の写真1)、「同店内に掲示している説明板」(同第22号証の写真2)、「請求人会社の駐車場案内板」(同第22号証の写真3ないし5)、「つゝみ人形移転先案内図」の看板(写真6)、「請求人会社の表札」(同第22号証の写真7)、「請求人会社『堤人形製造所』までの案内図」(同第22号証)、「『出番待つ「サル」/干支人形づくり最盛期/仙台』と題する、平成15年(2003年)11月24日発行の河北新報の抜粋記事」(同第23号証の1)、「『ケッコーカラフル/仙台・堤人形/干支作り盛ん』と題する、平成16年(2004年)11月20日発行の河北新報の抜粋記事」(同第23号証の2)、「『堤人形(1)/素朴さがうける土人形』と題する、1979年(昭和54年)3月21日発行の毎日新聞の抜粋記事」(同第23号証の5)、「『堤人形(2)/作者の気性が表れる』と題する、1979年(昭和54年)3月23日発行の毎日新聞の抜粋記事」(同第23号証の6)、「『ふるさとの玩具/堤人形(宮城県仙台市)/手作りの温かさで豊かな江戸文化表現』と題する、1989年(平成元年)5月24日発行の日本農業新聞の抜粋記事」(同第23号証の7)、「『堤人形にもサルが登場/仙台/休日返上で干支作り』と題する、平成3年(1991年)12月16日発行の河北新報の抜粋記事」(同第23号証の8)、「『みやぎ/技の余韻其の九「堤人形」』と題する、1992年(平成4年)11月26日発行の読売新聞の広告記事」(同第23号証の9)、「『東北の玩具/鄙のぬくもり/堤人形/芳賀強さん(五一)/仙台市/ほとんどが予約制/今や大人の装飾品』と題する、平成5年(1993年)1月14日発行の河北新報の抜粋記事」(同第23号証の10)、「『東北ワイド/きょうから師走/仙台 干支の飾り製作盛ん/未』と題する産経新聞の抜粋記事(発行年月日不明)」(同第23号証の12)、「『ししのり金太郎』(堤人形)と題する昭和58年用の、また、『堤人形・唐辛子乗りねずみ』及び『堤人形・蕪乗りねずみ』と題する平成8年用の年賀切手発行記念シート」(同第24号証)、「国鉄バス東北の『民芸品シリーズNo.3』と称する、1981年、仙台駅発行の記念乗車券、昭和59年から同61年まで及び平成2年から同5年まで発行された、宮城交通による『郷土玩具記念乗車券』、1980年、仙台市交通局による『仙台観光記念乗車券』」(同第25号証)、「『伝統を守り育てる仙台の物産』(仙台市物産振興協会:発行年不明)」(同第26号証)、「『宮城の伝統的工芸品』(宮城県:発行年不明)」(同第27号証)、「『ガイドブックせんだい』(発行者不明:発行年不明)」(同第28号証)、「『みやぎの伝統的工芸』(株式会社宮城県学校用品協会:平成元年11月発行)」(同第29号証)、「『子どものための/職人ガイドブック/2010』(宮城県教育委員会:平成22年(2010年)3月9日発行)」(同第30号証)は、本願商標と外観において同視できる程度に商標としての同一性を損なわないものとは認められず、本願商標と同一のものということはできないものであるから、「堤人形」の文字自体が単独で自他商品の識別標識として使用されているとは認め難い。
なお、甲第16号証の1及び同号証の3における「ラベルをふたの内側に貼った包装木箱」、同第16号証の4のNo.1、No.5及びNo.7における「人形の包装木箱に貼るラベル」は、本願商標「堤人形」と同一と認められる商標が記載されているものの、同第20号証の1及び3によれば、本願商標と同一の商標が付された人形は、年間数体程度の注文であることが認められ(なお、「鯉乗り金太郎」に関する注文リストの添付はない。)、同第21号証(枝番を含む。)によれば、全体としての売上げについても、年間約1,600万円から1,700万円程度であることが認められることからすれば、「宝船」、「和藤内」及び「鯉乗り金太郎」についてはもとより、それ以外を含めたとしても、譲渡の数量及び営業の規模(売上高等)が決して大きいものということはできない。
そして、上記(1)のとおり、請求人以外の者によって、商品「仙台市堤町で製造される土人形」について、「堤人形」の文字が商品の品質を表示するものとして使用されている。
さらに、甲第14号証及び同第15号証は、商標「つゝみ」に関する商標法第3条第1項第4号に関する拒絶査定不服審判についての審決であり、同第19号証の1は、同法第4条第1項第7号に関する無効審判についての審決であるから、本件とは事案を異にするものである。
そうとすれば、本願商標が請求人の出所を表示する商標として、指定商品の需要者の間で全国的に広く認識されているものとは認められない。
してみれば、本願商標は、使用をされた結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができないものと認められるから、商標法第3条第2項には該当せず、商標登録を受けることができないものである。
(4)むすび
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当し、かつ、同法第3条第2項の要件を具備するものでもないから、これを登録することはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲1 本願商標



別掲2 平成23年3月4日付け審尋の要旨

第1 「堤人形」又は「つゝみ人形」の文字の使用事実について
請求人は、平成22年6月17日付け審判請求書の「3.本願商標が登録されるべき理由」中において、証拠として提出した甲第1号証ないし同第3号証をもとに、「堤人形」又は「つゝみ人形」の商品名を全国に広く知らしめたのは請求人であり、原査定の理由が最初から依存する辞書辞典の解説の普通名称のそのものの記述自体とその引用が間違いである旨主張する。
しかしながら、本願に係る指定商品を取り扱う業界においては、「仙台市堤町で製造される土人形」を表す語として、「堤人形」又は「つゝみ人形」の文字が使用されている実情があり、このことは、例えば、以下の1ないし3に示すような辞書・辞典等の記載、新聞記事情報の記載及び関連判決の判示事項からも認められるところである。
1 辞書・辞典等の記載について
(1)株式会社岩波書店「広辞苑 第六版」の「つつみ‐にんぎょう【堤人形】」の見出し語の下に、「『堤焼』参照。」の記載が有り、当該「つつみ‐やき【堤焼】」の見出しの語の下には、「陶器の一種。元禄(一六八八?一七〇四)の頃、仙台の堤町近くの台原(だいのはら)で江戸の陶工上村万右衛門が創製したもの。特に土人形は『堤人形』として有名。」の記載がある。
(2)株式会社三省堂「大辞林 第三版」の「つつみにんぎょう【堤人形】」の見出し語の下に、「堤焼の人形。」の記載があり、当該「つつみやき【堤焼】」の見出しの語の下には、「陶器の一種。元禄(一六八八?一七〇四)の頃から、仙台の台の原で江戸の陶工上村万右衛門が創製した陶器。のち堤町に移ったのでこの名がある。初期には茶器を焼いたが、のち日用品類が多くなった。人形は堤人形として有名。」の記載がある。
(3)株式会社小学館「大辞泉 増補・新装版」の「つつみにんぎょう【堤人形】」の見出し語の下に、「仙台市堤町産の土人形。堤焼を母体とし、京都の伏見人形などの影響を受けながら洗練された郷土色をもつ。」の記載がある。
(4)株式会社講談社「講談社 カラー版 日本語大辞典 第二版」の「つつみにんぎょう【堤人形】」の見出し語の下に、「宮城県仙台市青葉区堤町に伝わる、元禄期に起源をもつとされる土人形。浮世絵や歌舞伎を題材にしたものが多い。」の記載がある。
(5)株式会社小学館「日本大百科全書 15 二版」の「堤人形 つつみにんぎょう」の見出し語の下に,「仙台市青葉区堤町産の土人形。・・・」の記載がある。
(6)株式会社小学館「日本大百科全書 6 二版」の「日本のおもな郷土玩具」の見出し語の下に,「堤人形 つつみにんぎょう」の項の下に、「仙台市青葉区堤町産。・・・」の記載がある。
(7)株式会社平凡社「【新装新訂】 マイペディア 小百科事典 初版」の「堤人形 つつみにんぎょう」の見出し語の下に,「宮城県仙台市で作られた土人形。堤は生産地の町名。・・・」の記載がある。
(8)株式会社東京堂出版「新装普及版 郷土玩具辞典 初版」の「堤の土人形 つつみのつちにんぎょう」の見出し語の下に,「宮城県仙台市堤町産。・・・京都の伏見人形、長崎の古賀人形と並ぶ日本の代表的な土人形とされている。・・・堤町で生産されてきたのでこの名があるが、堤人形と呼ぶようになったのは昭和期に入ってからで、それまでは『おひなっこ』ともいっていた。・・・」の記載がある。
(9)株式会社東京堂出版「新装普及版 日本人形玩具辞典 初版」の「堤人形 つつみにんぎょう」の見出し語の下に,「宮城県仙台市堤町で生産されてきた土人形なのでこの名がある。・・・」の記載がある。
(10)株式会社角川書店「角川日本地名大辞典 4 宮城県」の「つつみまち 堤町<仙台市>」の見出し語の下に,「〔近世?近代〕江戸期から現在の町名。・・・この地には特産品堤焼があった。堤焼は最初、台原(だいのはら)方面の陶土を用いて、藩の御用窯として生産されたものであったが、やがて民窯も登場し黒ものと称して日常雑器をつくり出した。堤町に製品の販売所が設けられ、のち台原から堤町に本拠を移して生産するようになった。また足軽の内職として発達した堤人形も名物の1つ。これは粘土を型抜きして焼き、これに彩色したもの。享保の頃より作られはじめたと推定される。・・・」の記載がある。
(11)河北新報社「宮城県百科事典」の「つつみにんぎょう 堤人形」の見出しの下に,「西の伏見、東の堤は郷土玩具の双へきといわれ、また堤の造形の美と庶民の夢を満たす色彩の妙味は随一と評されている。元禄(1688年-1704年)の初期に堤焼改良のため藩主伊達綱村に招かれた江戸の陶工上村万右衛門の創作といわれる。人形の生まれた堤町は仙台市の北方で旧国道、そして足軽町であり、町に恵まれた粘土によって副業として堤焼、その冬仕事に土人形が作られた。・・・」の記載がある。
2 新聞記事情報の記載について
(1)「みやぎの芸術/古堤人形(仙台市博物館・本出コレクション) 歌舞伎の世界も再現」の見出しの下、「・・・仙台城下の堤町で江戸時代の中頃から制作が始まった堤人形は、以後伝統的に受け継がれ、現在に至っている。新年を迎える時期には、次の干支(えと)にちなんだ像に関心が高まり、本年の『戌(いぬ)=犬=』のように、縁起ものの役目も果たすと同時に、純真な願いを託されるのが通例だった。堤町の人たちの内職に始まったこの人形は、素材である土の性格を活(い)かし、素朴で温もりのある造形を基本としながら、続いて生まれる花巻、相良(さがら)などの土人形と一緒になって、北の国の愛らしい領域を築いてみせた。・・・」の記載がある(1994.02.05 河北新報)。
(2)「仙台・堤のやきもの<笠原信男>(上)/瓦製作の技術生かして」の見出しの下、「・・・仙台市街の北部に位置する堤町周辺では江戸時代から瓦(かわら)製品・陶器・人形を盛んに作っていた。・・・堤人形の全盛期は江戸時代後半の文化・文政ごろ(19世紀前半)といわれる。それ以降も数軒の家が伝統を伝え、今日に至っている。堤焼と堤人形は堤町に住んでいた足軽が内職として作っていた。明治以降は職人が専門に作ったといわれる。また、この周辺では、堤焼や堤人形が製作される以前から仙台の城や寺院用として瓦が焼かれていた。堤町のやきものは、この瓦製作の技術を生かして行われた。・・・堤焼と堤人形は元禄年間(17世紀末)に作られ始めたといわれる。また、仙台藩の5代藩主、吉村の治績を記した『獅山公治家記録』には、18世紀の前半に仙台のやきものを幕府の役人や家臣などに贈った記述がある。この綱村時代にやきものは、堤町ではなく、台原や通町にいた職人たちによって作られた。仙台のやきものが堤町の人々によって担われるのは、江戸時代でも、もう少し後のことである。(東北歴史資料館技術主査)・・・」の記載がある(1995.07.19 河北新報)。
(3)「堤・三春人形など、みちのくの伝統人形一堂に 仙台で特別展 /宮城」の見出しの下、「・・・堤人形は江戸時代、現在の仙台市青葉区堤町周辺に住んでいた下級武士の副業としてつくられ始めた。当初は、民間信仰として天神様や大黒様が作られたが、そのうち庶民の玩具(がんぐ)として普及した。文化文政時代(一八〇四-一八三〇年)には、堤町に十三軒の人形店があったという。・・・」の記載がある(1996.02.01 朝日新聞 東京地方版/宮城 0頁)。
(4)「最後の窯消さないで 都市計画道路ルート上に 仙台の『堤焼』/宮城」の見出しの下、「・・・元禄年間(一六八八-一七〇四)に江戸の陶工によってもたらされたと言われる堤焼は、厚みのある黒っぽい地肌に、灰白色のうわぐすりがたっぷりかけられた重量感のある陶器。江戸時代の堤町には足軽が多く住み、堤焼を内職とした。水がめやつぼ、火鉢、置物、骨つぼなど、生活道具は何でも焼いた。・・・堤町では、豊富にとれる粘土で雛人形や力士像などの『堤人形』も作られてきた。・・・」の記載がある(1998.09.08 朝日新聞 東京地方版/宮城 0頁)。
(5)「堤人形 仙台市(郷土玩具のいま)/東京・共通」の見出しの下、「・・・江戸時代中期、仙台中心部の北にある堤町で、伊達藩の足軽が内職に作ったのが始まりといわれる。当時は周辺で良質の粘土が豊富に採れた。足軽たちは人形や、堤焼と呼ばれる丈夫なつぼ、湯飲みを焼き、生活の足しにした。文化・文政(一八〇四-三〇)のころに最盛期を迎え、町内で十三軒が人形を作っていた。だが、需要の減少と周辺の宅地化で、今も残るのは芳賀強さん(五七)と、佐藤吉夫さん(六二)の二軒だけ。・・・」の記載がある(1998.11.15 朝日新聞 東京地方版/東京 0頁)。
(6)「仙台城姿絵図などを市文化財に指定 堤人形の土型も 仙台 /宮城」の見出しの下、「・・・堤人形は仙台城下の堤町で生産されることから名がついた。仙台藩は足軽の副業として土人形を作らせた。・・・」の記載がある(1999.02.03 朝日新聞 東京地方版/宮城 0頁)。
(7)「[ふるさと回廊]つゝみ人形、仙台市」の見出しの下、「仙台市に、江戸時代から伝わる伝統工芸品『つゝみ人形』。・・・同市青葉区堤町に伝わる『つゝみ人形』は、三百年ほど前の元禄年間に、良質の粘土が採れたことから、禄高の低い下級武士の内職として、奥州街道の往来人目当ての茶碗(ちゃわん)や皿などとともに焼かれたのが始まり。彩色の優美さ、上品な顔立ち、洗練された形の良さから、『郷土玩具(がんぐ)絵入番付』で『西の伏見、東の堤』と横綱に格付けされた伝統工芸品。・・・」の記載がある(2000.05.21 日本農業新聞 5面)。
(8)「『堤人形』制作実演会開く--村田町 /宮城」の見出しの下、「・・・堤人形は政宗が仙台城下の堤町にある良質の粘土に着目。藩内の産業振興を目的に、藩士の内職として作らせた。優雅な彩色と形の良さが評価され、『西の伏見人形、東の堤人形』と全国土人形の2大源流といわれる。しかし、幕末の世情不安などで次第に衰退。現在は2軒だけが、制作を続けているという。・・・」の記載がある(2004.01.25 毎日新聞 地方版/宮城 20頁)。
(9)「東北の本棚/陸前の街道たどる/仙台・松島の庶民の文化など紹介 東北学院大2教授が編」の見出しの下、「・・・堤人形は奥州街道沿いの堤町で作られた。将軍の前で対戦した『谷風』と『小野川』をかたどった相撲力士の堤人形は『奥州街道を行き来したさまざまな人々によって、江戸からもたらされた最新情報をもとに制作された』と推定する。・・・」の記載がある(2004.12.20 河北新報)。
(10)「愛らしい表情100体/宮城・村田町で『堤人形』展」の見出しの下、「・・・仙台市の伝統工芸品『堤人形』の展示即売会が11-13日、村田町物産交流センターで開かれた。仙台市青葉区堤町で制作された人形など100体以上が展示された。表情豊かな人形が数多く並び、来場者の目を楽しませた。人形職人による制作の実演も行われた。堤人形は、伊達政宗が藩内の産業発展などのため、武士の内職として作らせたのが始まりだと伝えられる。江戸時代後期には『東の堤』『西の伏見』と言われるほどに発展し、全国の土人形の二大源流と称された。」の記載がある(2005.02.18 河北新報)。
(11)「[技と心・みやぎの伝統芸]堤人形 季節に寄り添って=宮城」の見出しの下、「・・・〈由来〉1700年代に、現在の仙台市青葉区堤町一帯で創始されたといわれる。当時は、仙台藩の城下町北部の街道筋に面し、往来する人たちに土産物として販売されていたという。」の記載がある(2006.04.11 読売新聞 東京朝刊 34頁)。
(12)「(散歩みち:81)堤焼と松川だるま 生活品に『侍町』の息遣い /宮城県」の見出しの下、「・・・北仙台駅のほど近く。かつての侍町の入り口には梅田川が流れる。その小川の先が焼き物の町として栄えた堤町だ。仙台城下北辺の警護のため配置された足軽たち。彼らの副業として陶器の『堤焼』や『堤人形』が生まれた。・・・」の記載がある(2006.12.16 朝日新聞 東京地方版/宮城 34頁 宮城全県)。
(13)「座標<細田洋子(『蕎麦キッチンぶれのわ』庵主)=仙台市> 歴史語る堤焼遺構/道路計画見直し存続を」の見出しの下、「・・・仙台市営地下鉄北仙台駅の北側に広がる堤町は、藩制時代、城下北端の守りとして、奥州街道沿いに置かれた足軽町だった。この辺り一帯は、良質の粘土が採れるため、足軽の副業として、かめや丼などの『堤焼』と、冬の間は土人形の『堤人形』が作られた。・・・」の記載がある(2009.09.05 河北新報)。(14)「仙台市歴史民俗資料館企画展 堤焼展-堤焼・堤人形・瓦-<学芸室長 佐藤雅也>」の見出しの下、「・・・江戸時代後期には、堤町の足軽衆が副業として、台原の粘土を材料に堤焼や堤人形の製作を行うようになり、付近の通町かいわいでは瓦も作られていました。なお、堤焼と呼ばれるようになるのは明治時代中期以降であり、それ以前は、杉山焼または仙台焼と呼ばれていました。また堤人形と呼ばれるようになるのも明治時代以降でした。・・・堤人形は、仙台市青葉区の堤町天神社の神体である菅原道真を模して作ったのが始まりとされ、天神、恵比寿、大黒、ひな人形、赤芥子(けし)=芥子びな=などの信仰関係の土人形、鯉(こい)かつぎ、花笠踊、三番叟(さんばそう)などの歌舞伎や浮世絵を題材とする風俗人形などに、その特徴があります。全国でも東の堤人形、西の伏見人形(京都)と言われるほどです。・・・」の記載がある(2010.05.20 河北新報)。
3 関連判決の判示事項について
(1)仙台地方裁判所 平成15年(ワ)第683号(平成20年1月31日判決言渡)
「2 争点2について」の「(2)検討」中、「ア 『堤人形』について」には、「『堤人形』の語は,前記認定のとおり,遅くとも昭和期には,仙台市の堤町で生産された土人形を指称するものとして使用され,その後も,公的にも仙台の郷土玩具である土人形の名称を表すものとして,普通に使用されていたことが認められる。そして,一般世人の郷土玩具ないし土人形のもつ素朴な美しさに対する再認識が高まるにつれ,『堤人形』は,仙台市の堤町で生産された土人形を指称するものとして,需用者の間に広く認識されてきたものと認めるのが相当である。したがって,『堤人形』の表示は,仙台市の堤町で生産された土人形を表す普通名称といわなければならない。」と判示されている。
(2)知的財産高等裁判所 平成18年(行ケ)第10532号(平成19年4月10日判決言渡)
「3 本件商標の法4条1項11号該当性」の「(2)観念について」中には、「・・・そうすると,これらの事実によれば,本件審決当時,『堤人形』は,仙台市堤町で製造される堤焼きの人形として,本件商標の指定商品である『土人形および陶器製の人形』の販売者等の取引者には,よく知られていたものと推認することができる。」と判示されている。
(3)最高裁判所 平成19年(行ヒ)第223号(平成20年9月8日判決言渡)
「4」の「(2)」中には、「・・・また,前記事実関係によれば,引用各商標は平成3年に商標登録されたものであるが,上告人の祖父は遅くとも昭和56年には堤人形を製造するようになったというのであるから,本件指定商品の販売業者等の取引者には本件審決当時,堤人形は仙台市堤町で製造される堤焼の人形としてよく知られており・・・」と判示されている。
第2 本願商標の商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号の該当性について
本願商標は、別掲1に表示するとおり、「堤人形」の文字を、毛筆体で普通に用いられる方法で表示する標章の域を脱したとはいえない態様で縦書きした構成よりなるものである。
そして、前記第1に示した事実によれば、本願に係る指定商品を取り扱う業界において、「堤人形」又は「つゝみ人形」の文字が、「仙台市堤町で製造される土人形」を表す語として、一般的に使用されていることが認められる。
そうとすれば、本願商標は、「堤人形」の文字を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるにすぎないものであるから、これをその指定商品中、「仙台市堤町で製造される土人形」に使用しても、これに接する取引者、需要者は、当該商品の品質を表示したものと理解するにとどまり、自他商品の識別標識とは認識し得ないものであり、かつ、本願商標を「仙台市堤町で製造される土人形」以外の「土人形」について使用するときは、その商品の品質の誤認を生ずるおそれがある商標といわなければならない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。
第3 商標法第3条第2項について
請求人は、平成22年6月17日付け審判請求書の「3.本願商標が登録されるべき理由」中において、請求人の前記登録商標(登録第2354191号及び登録第2365147号)に人形の文字を付した本願商標こそ、正に、前記歴史経緯に鑑みても、請求人が先代以来周知性と自他商品識別力を確立してきた本来の商標そのものというべきであり、原査定が登録商標に「人形」の文字を付加することにより、あたかも構成態様が根底から普通名称に変わるかのように判断するのは、本末転倒の誤りが明白である。よって、原査定の理由は、いずれの角度からも失当として是認できるものではなく、本願商標は、郷土の歴史文献を正確の捉え、商標法第3条2項により登録されるべきである旨主張する。
しかしながら、商標登録出願された商標が、商標法第3条第2項の要件を具備し、登録が認められるか否かは、使用に係る商標及び商品、使用開始時期及び使用期間、使用地域、当該商品の販売数量等並びに広告宣伝の方法及び回数等を総合考慮して、出願商標が使用された結果,判断時である審決時において、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるものと認められるか否かによって決すべきものであり、商標法第3条第2項の要件を具備するためには、使用商標は、出願に係る商標と同一であることを要するものというべきである。
したがって、本願商標について商標法第3条第2項の適用の主張をするのであれば、(1)実際に使用している商標並びに商品又は役務、(2)使用開始時期、使用期間、使用地域、(3)生産、証明若しくは譲渡の数量又は営業の規模(店舗数、営業地域、売上高等)、(4)広告宣伝の方法、回数及び内容、(5)一般紙、業界紙、雑誌又はインターネット等における記事掲載の回数及び内容及び(6)需要者の商標の認識度を調査したアンケートの結果等の資料を早急に提出されたい。


審理終結日 2012-04-10 
結審通知日 2012-04-13 
審決日 2012-05-17 
出願番号 商願2009-38196(T2009-38196) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (X28)
T 1 8・ 272- Z (X28)
T 1 8・ 17- Z (X28)
最終処分 不成立 
前審関与審査官 佐々木 悠源金子 尚人 
特許庁審判長 渡邉 健司
特許庁審判官 前山 るり子
小林 正和
商標の称呼 ツツミニンギョー 
代理人 佐藤 興治郎 
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