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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 025
管理番号 1259736 
審判番号 取消2011-300648 
総通号数 152 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2012-08-31 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2011-07-06 
確定日 2012-06-18 
事件の表示 上記当事者間の登録第4188250号商標の登録取消審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 登録第4188250号商標の商標登録は取り消す。 審判費用は,被請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
登録第4188250号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲に示すとおりの構成からなり,平成8年12月9日に登録出願,第25類「履物」を指定商品として,平成10年9月18日に設定登録され,現に有効に存続しているものである。

2 請求人の主張
請求人は,結論同旨の審決を求め,その理由及び答弁に対する弁駁の理由を次のように述べ,証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
(1)請求の理由
本件商標は,その指定商品について継続して3年以上日本国内において使用した事実が存しないことから,その登録は商標法第50条第1項の規定により取消されるべきものである。
(2)弁駁の理由
ア 本件商標の使用に該当するかについて
本件商標は,「FLEXY」の白黒の文字を横書きにしてなるところ,乙第1号証で提出された商標織ネームは,「F」と「Y」の文字がオレンジ色で「LEX」の文字は濃紺色で表されている。乙第2号証の商標織ネームが付された靴の写真によれば,白い生地を背景にしているためオレンジ色で表された「F」と「Y」の文字は,濃紺色の「LEX」の文字よりも目立たず,読み取りにくくなっている。加えて,文字のデザイン上,「F」の文字の左下部分及び「Y」の文字の右上部分が反転させられていて,「F」と「Y」の文字のみが他の文字と異なるデザインを施されていることも相俟って,「F」と「Y」の文字は「LEX」の文字と分離して認識されやすいものといえる。
そうとすると,乙第1号証及び乙第2号証で示された商標織ネームは,「F」,「LEX」,「Y」と需要者に認識・把握される場合もあり得るから,本件商標と社会通念上同一の商標ということはできない。
イ 使用証拠について
被請求人は,通常使用権者が本件商標を平成21年6月7日にくつっ子まつりで使用した旨を主張するところ,乙第3号証には,平成21年4月27日付けの日本ケミカルシューズ工業組合が通常使用権者に対して発行したくつっ子まつり出店料の領収書が示されている。しかし,通常使用権者が平成21年6月7日にくつっ子まつりに出店していたとしても,このことによって,通常使用権者が本件商標を「履物」について使用したということはできない。乙第2号証の写真に示される5足の履物には,乙第1号証の織ネームが付されてはいるが,この写真がいつ,どこで,誰が撮影したものであるかは明らかにされていない。
また,乙第4号証の上段は,JR新長田駅前で撮影されたものと思われるが,各テントに貼られた表示は判読不可能であり,撮影日時は不明である。同じく,下段の写真は,履物の販売風景と思われるが,これについても撮影日時及び場所が不明である。
したがって,乙第2号証及び乙第4号証は,撮影日時,場所,撮影者が不明であるから,証拠力に欠けている。
してみれば,本件商標を付した履物が平成21年6月7日にくつっ子まつりで販売されたことが,被請求人の提出した証拠によって証明されたということはできない。
ウ 結論
以上より,商標権者又は通常使用権者が,本件商標又は本件商標と社会通念上同一の商標をその指定商品「履物」について,審判請求登録の日前3年以内に日本国内で使用したことが,被請求人の提出する証拠によって証明されたということはできない。

3 被請求人の主張
被請求人は,本件審判請求は成り立たない,審判費用は請求人の負担とするとの審決を求めると答弁し,その理由を次のように述べ,証拠方法として乙第1号証ないし乙第6号証を提出した。
本件商標は,被請求人の通常使用権者である株式会社あとりえ岡田(以下「あとりえ岡田」という。)が,平成21年6月7日に神戸市長田区で行われたくつっ子まつりで使用しており,商標法第50条第1項には当てはまらない。
くつっ子まつりは,日本ケミカルシューズ工業組合が長田で春と秋の年2回行うイベントであり,サンプル品やB品在庫などを販売する場として利用されている。当該通常使用権者は,在庫OEM商品を当該まつりで販売するにあたり,客先商標のままでは販売できないため,本件商標を上から貼り付けて販売している。

4 審尋
当審判体は,平成24年3月13日付けの審尋により,被請求人に対し,乙第1号証及び乙第2号証に示された織ネームを「靴」について使用した時期が確認できる書面の提出を求めたが,被請求人からは何らの回答もなかった。

5 当審の判断
(1)被請求人提出の証拠によれば,以下の事実が認められる。
ア 乙第1号証には,織ネームの実物が貼付され,また,その織ネームを多数連続してテープ状にしたものの写真が示されている。
そして,その織ネームには,「FLEXY」の文字と「PRODUCED BY ATELIER OKADA」の文字が二段に表示されており,「FLEXY」の文字は,「F」と「Y」がオレンジ色に,「L」,「E」及び「X」が濃紺色に彩色されており,また,「PRODUCED BY ATELIER OKADA」は,前記「FLEXY」に比して極めて小さく表示されている。
なお,この織ネームに関して,時期を示す表示などはない。
イ 乙第2号証には,5足の靴が写された写真が示されており,いずれの靴にも,その内底に,前記アの織ネームが貼付されている。
なお,これら写真に関して,時期を示す表示などはない。
ウ 乙第3号証は,日本ケミカルシューズ工業組合が「(株)あとりえ岡田」に宛てた領収書であるところ,その内訳として「くつっ子まつり出店料」,数量・単位として「1ブース」,単価・金額として,いずれも「50,000」の記載があり,領収年月日として「21年4月27日」と手書きされている。
エ 乙第4号証には,2葉の写真が示されている。その上段の写真には,JR新長田駅前に張られたテントの周辺を多数の人が歩行したり立ち止まったりしている風景が写っており,下段の写真には,ワゴン風の台に多数の履物が山と積まれ,それを複数の人が物色しているような光景が写っている。
なお,両写真の関連や時期を窺い知る表示などはない。
オ 乙第5号証は,平成20年7月1日に,被請求人と株式会社あとりえ岡田(以下「あとりえ岡田」という。)との間で締結された本件商標に関する「商標権通常使用権設定契約書」であるところ,これには,当該契約の有効期限は,契約締結日から平成30年6月10日までとされている。
カ 乙第6号証は,あとりえ岡田のWebページであるところ,これには,被請求人が同社の創業者であることや,被請求人の靴に対する心情や考えが記載されている。
(2)前記(1)で認定した事実によれば,以下のとおり判断するのが相当である。
本件商標は,別掲に示す構成からなるものであるところ,前記(1)の織ネーム(乙1及び乙2)に表示された標章中の「FLEXY」の文字部分(以下「使用商標」という。)は,独立して自他商品識別機能を発揮し得るものであって,色彩について異なる点以外は,本件商標と文字の構成や態様を共通にするものであるから,これらの証拠をもって,本件商標と社会通念上同一と認められる商標が靴の内底に表示され使用されたと推認し得る。
そして,あとりえ岡田は,本件商標の通常使用権者であることが認められる(乙5)。
しかしながら,年月日の記載がある「領収書」(乙3)によって,通常使用権者が「くつっ子まつり」に出店をしたであろうことは推認し得るものの,「くつっ子まつり」と前記証拠(乙1及び乙2)とを関連付けることは困難であり,「くつっ子まつり」において,使用商標を付した靴(乙2)が販売された事実,すなわち,商標法第2条第3項2号にいう「商品に標章を付したものを譲渡のために展示する行為」があったものとは認められない。
そして,他の写真(乙4)を含め,被請求人提出の全証拠を総合しても,本件審判請求の登録前3年以内に,使用商標を取消に係る商品「履物」に使用していた事実を認めることができない。
(3)むすび
以上のとおり,被請求人の答弁の全趣旨及び乙各号証を総合的に判断しても,被請求人は,本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において,商標権者,専用使用権者,通常使用権者らのいずれかがその請求に係る指定商品「履物」のいずれかについて,本件商標の使用をしていた事実を証明したものとは認められない。
したがって,商標法第50条の規定により,本件商標の登録を取り消すべきものとする。
よって,結論のとおり審決する。
別掲 別掲(本件商標)




審理終結日 2012-04-11 
結審通知日 2012-04-13 
審決日 2012-04-24 
出願番号 商願平8-139088 
審決分類 T 1 31・ 1- Z (025)
最終処分 成立  
前審関与審査官 椎名 実 
特許庁審判長 小林 由美子
特許庁審判官 鈴木 修
小川 きみえ
登録日 1998-09-18 
登録番号 商標登録第4188250号(T4188250) 
商標の称呼 フレキシー 

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