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審決分類 審判 一部申立て  登録を維持 X03
審判 一部申立て  登録を維持 X03
審判 一部申立て  登録を維持 X03
審判 一部申立て  登録を維持 X03
管理番号 1258405 
異議申立番号 異議2011-900405 
総通号数 151 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2012-07-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2011-11-16 
確定日 2012-06-08 
異議申立件数
事件の表示 登録第5434690号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5434690号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5434690号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおり、筆記体風の「Automatic」及び「Beauty」の文字を上下二段に横書きした構成からなり、平成23年3月17日に登録出願され、第3類「ラテックスを主成分とし皮膚保護剤を添加した粘性のある速乾性の乳状液で瞼の皮膚面に塗布し塗布面を皺寄せて接着し二重瞼とする美顔用皮膚接着剤,つけまつ毛用接着剤,二重瞼形成用のり状化粧品,二重瞼形成用テープ状化粧品,その他の化粧品,つけまつ毛,つけづめ用剥離剤,かつら装着用接着剤,つめ用接着剤,化粧用接着剤,せっけん類,研磨紙,研磨布,研磨用砂,人造軽石,つけづめ用つや出し紙,その他のつや出し紙,つけづめ用つや出し布,その他のつや出し布,つけづめ,つけづめ装飾用シール,つめ装飾用シール,化粧用コットン,化粧用綿棒」並びに第5類及び第21類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同年7月28日に登録査定、同年8月26日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する国際登録第1048131号商標(以下「引用商標1」という。)は、「ROUGE AUTOMATIQUE」の文字を横書きしてなり、2010年2月4日のフランス国においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して、2010年7月27日に国際登録され、第3類「Make-up products.」を指定商品として平成23年3月18日に設定登録されたものである。
同じく国際登録1080555号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲(2)のとおりの構成からなり、2010年9月9日のフランス国においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張し、第3類に属する商品を指定商品として、2011年3月7日に国際登録されたものであるが、未だ国内登録がされていないものである。
以下、引用商標1及び2を一括して単に「引用商標」ということがある。

3 登録異議申立ての理由
(1)本件商標の指定商品のうち第3類の「二重瞼形成用のり状化粧品,二重瞼形成用テープ状化粧品,その他の化粧品,つけづめ装飾用シール」は、引用商標1の指定商品と抵触する。そして、上記指定商品との関係で、本件商標は、その構成中の「Automatic」の文字部分を要部とするものであり、引用商標1も、その構成中の「AUTOMATIQUE」の文字部分を要部とするものであるから、両商標は称呼、外観及び観念において類似するものである。よって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものである。
(2)本件商標の指定商品中第3類に属する全商品は、先願である引用商標2の指定商品と抵触する。そして、本件商標の要部である「Automatic」の文字部分と引用商標2の要部である「AUTOMATIQUE」の文字部分とは、称呼、外観及び観念において類似するものである。よって、本件商標は、商標法第8条第1項の規定に違反して登録されたものである。
(3)引用商標は、遅くとも本件商標の商標登録出願時には申立人の取り扱う商品を表示するものとして周知著名になっていたものであるから、引用商標と類似する本件商標がその指定商品に使用された場合には、申立人又は申立人と何らかの関係を有する者の業務に係る商品等であると誤信されるおそれがある。よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものである。
(4)本件商標は、引用商標の顧客吸引力を利用するものであり、又は顧客吸引力を希釈化させる等の不正な目的で使用するものであるから、商標法第4条第1項第19号に該当するものである。
(5)以上のとおり、本件商標は、第3類に属する全指定商品について、商標法第4条第1項第11号、同第15号及び同第19号並びに同法第8条第1項の規定に違反して登録されたものであるから、その登録を取り消すべきものである。

4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
本件商標と引用商標1との類否について検討するに、本件商標は、別掲(1)のとおり、筆記体風に一連に表された「Automatic」及び「Beauty」の文字が二段に配され、全体をやや上方に湾曲させた構成からなるものであって、全体がまとまりよく一体のものとして看取されるばかりでなく、これより生ずると認められる「オートマティックビューティ」の称呼もよどみなく一連に称呼することができるものである。また、その構成中の「Automatic」の文字は「自動の、自動的な」等を意味し、同じく「Beauty」の文字は「美、美人」等を意味する、いずれも親しまれた英語であるものの、両者に観念上や視覚上の軽重の差はなく、たとえ、上記「Beauty」の文字が化粧品分野においてしばしば採択し使用される語であるとしても、本件商標のかかる構成にあっては、殊更、「Beauty」の文字部分を捨象し、「Automatic」の文字部分のみが独立して自他商品の識別標識としての機能を果たすものとみるのは不自然である。そうすると、本件商標は、全体をもって、既成の親しまれた観念を有しない一種の造語として認識し把握されるものであって、「オートマティックビューティ」の一連の称呼のみを生ずるものというべきである。
一方、引用商標1は、同書同大の文字をまとまりよく一体的に横書きしてなるものであり、これより生ずると認められる「ルージュオートマティック」の称呼もよどみなく一連に称呼することができるものである。また、その構成中の「ROUGE」の文字は「紅、ほほ紅、口紅」を意味する英語及び仏語であり、同じく「AUTOMATIQUE」の文字は「自動の、自動式な」を意味する仏語であるものの、両者に観念上や視覚上の軽重の差はなく、たとえ、上記「ROUGE」の文字が化粧品分野においてしばしば採択し使用される語であるとしても、引用商標1のかかる構成にあっては、殊更、「ROUGE」の文字部分を捨象し、「AUTOMATIQUE」の文字部分のみが独立して自他商品の識別標識としての機能を果たすものとみるのは不自然である。そうすると、引用商標1は、全体をもって、既成の親しまれた観念を有しない一種の造語として認識し把握されるものであって、「ルージュオートマティック」の一連の称呼のみを生ずるものというべきである。
しかして、上記「オートマティックビューティ」の称呼と「ルージュオートマティック」の称呼とは、「ビューティ」及び「ルージュ」の音の顕著な差異により、それぞれを一連に称呼するときは全体の音感音調が明らかに異なり、容易に区別することができるものである。
また、本件商標と引用商標1とは、それぞれの構成態様の差異及び綴りの相違に照らし、外観上判然と区別し得るものであるし、いずれも既成の親しまれた観念を有しないものである以上、観念上両者を比較すべくもない。
してみれば、本件商標と引用商標1とは、称呼、外観及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものではない。
(2)商標法第8条第1項違反について
本件商標と引用商標2との類否について検討するに、本件商標は、前示のとおり、全体をもって、既成の親しまれた観念を有しない一種の造語として認識し把握されるものであって、「オートマティックビューティ」の一連の称呼のみを生ずるものである。
一方、引用商標2は、別掲(2)のとおりの構成からなるところ、上方に描かれた図形と下半部に表された文字部分とが常に不可分一体のものとして認識されるべき理由は見出し難く、該図形部分と文字部分とはそれぞれ独立して自他商品の識別標識としての機能を果たすものといえる。そして、上記文字部分のうち、「GUERLAIN」の文字と「ROUGE」及び「AUTOMATIQUE」の文字とは、書体を異にし、分離して配置されていること、「GUERLAIN」の文字が申立人の略称を表すものとして認識されることがあることなどからすると、引用商標2は、全体として「ゲランルージュオートマティック」の称呼が生ずるほか、各文字部分に相応して「ゲラン」、「ルージュオートマティック」及び「オートマティック」の各称呼を生ずる場合があることは否定し得ない。
しかして、本件商標から生ずる「オートマティックビューティ」の称呼と引用商標2から生ずる上記各称呼とは、各構成音の差異により、それぞれを一連に称呼するときは全体の音感音調が明らかに異なり明瞭に区別することができるものである。また、本件商標と引用商標2とは、それぞれの構成に照らし、外観上判然と区別し得る差異を有するものであるし、本件商標が既成の親しまれた観念を有しないものである以上、観念上両者を比較すべくもない。
してみれば、本件商標と引用商標2とは、称呼、外観及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。
したがって、引用商標2が本件商標の先願に係るものであるとしても、本件商標は、商標法第8条第1項の規定に違反して登録されたものではない。
(3)商標法第4条第1項第15号該当性について
申立人は、引用商標が申立人の商品である「口紅」について使用され、遅くとも本件商標の登録出願時には申立人の取り扱う商品を表示する商標として周知著名になっている旨主張し、甲第29号証ないし甲第34号証を提出している。
しかしながら、申立人の提出に係る証拠を精査するも、本件商標の登録出願後にプリントアウトされたウェブサイトの写しのいくつかに、「ルージュオートマティック・・・1936年、ふたのない、片手で簡単にオープンできる初めてのリップスティックが誕生・・・」、「ルージュオートマティック、75年目の進化。1936年、歴史の教科書に出てくる程はるか昔に<ゲラン(GUERLAIN)>の『ルージュオートマティック』は発売しました。」、「『ゲラン』のルージュが生まれ変わる・・・中でも1936年に発売された『ルージュオートマティック』は、いつでもどこでも、・・・」等の記述が見られるに止まり、引用商標を使用した商品についての具体的な取引状況(例えば、販売の数量・期間・地域・売上高・市場占有率等)や宣伝広告等の事実を始め、引用商標の使用態様、使用の期間・地域・規模等具体的な使用状態については明らかでない。その他、「GUERLAIN」、「NOUVEAU」及び「ROUGE AUTOMATIQUE」の文字が記載されたポスター及び「Rouge a Levres AUTOMATIQUE」及び「Guerlain」の文字が記載されたポスターの各写しが提出されているが、これらの作成者、作成日、作成部数、頒布の事実等は一切明らかでない。なお、引用商標2と同様の構成からなる標章は、何処にも見当たらない。
そうすると、申立人の提出に係る証拠によっては、引用商標は、申立人の業務に係る口紅に使用されていることが窺えるとしても、申立人の業務に係る商品を表示する商標として取引者、需要者の間に広く認識されているものということはできない。
その他、引用商標が、本件商標の登録出願時及び登録査定時に、申立人の業務に係る商品を表示する商標として取引者、需要者の間に広く認識されているものと認めるに足る証拠はない。
加えて、本件商標と引用商標とは、前示のとおり、いずれも相紛れるおそれのない非類似の商標である。
かかる事情の下に、本件商標をその指定商品中の第3類に属する商品について使用しても、これに接する取引者、需要者が引用商標ないしは申立人を連想、想起するようなことはないというべきであり、該商品が申立人又は申立人と経済的、組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、その出所について混同を生ずるおそれはないものと判断するのが相当である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものではない。
(4)商標法第4条第1項第19号該当性について
申立人は、本件商標が引用商標の周知性獲得後に出願されたこと、本件商標と引用商標とが類似すること、本件商標の指定商品と引用商標が使用されている商品とが密接な関連性を有することを理由として、本件商標は引用商標の顧客吸引力を利用するものであり不正な目的で使用するものである旨主張している。
しかしながら、前示のとおり、引用商標の周知性が認められないばかりでなく、本件商標と引用商標とは類似するところのない別異の商標であるから、申立人の主張は前提を欠くものである。そして、本件商標の指定商品と引用商標の使用に係る商品とが密接な関連性を有するか否かに拘わらず、本件商標は引用商標の顧客吸引力を利用するものとはいえないし、不正の目的で使用するものともいえない。
なお、申立人は、本件商標が不正の目的で使用するものであることを具体的に主張・立証するところがない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当するものではない。
(5)むすび
以上のとおり、本件商標は、その指定商品中の第3類に属する全商品について、商標法第4条第1項第11号、同第15号及び同第19号並びに同法第8条第1項のいずれの規定にも違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲
(1)本件商標


(2)引用商標2(色彩は原本参照)


異議決定日 2012-05-31 
出願番号 商願2011-19232(T2011-19232) 
審決分類 T 1 652・ 271- Y (X03)
T 1 652・ 222- Y (X03)
T 1 652・ 4- Y (X03)
T 1 652・ 262- Y (X03)
最終処分 維持  
前審関与審査官 半田 正人 
特許庁審判長 内山 進
特許庁審判官 前山 るり子
板谷 玲子
登録日 2011-08-26 
登録番号 商標登録第5434690号(T5434690) 
権利者 株式会社ディアローラ
商標の称呼 オートマチックビューティー、オートマティックビューティー、オートマチック、オートマティック、ビューティー 
代理人 蔦田 正人 
代理人 蔦田 璋子 
代理人 達野 大輔 

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