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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 X25
管理番号 1258394 
異議申立番号 異議2011-900416 
総通号数 151 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2012-07-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2011-11-18 
確定日 2012-06-01 
異議申立件数
事件の表示 登録第5433016号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5433016号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5433016号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成23年3月9日に登録出願、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として、同23年7月22日に登録査定、同年8月19日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録第5010669号商標は、別掲2のとおりの構成からなり、平成17年12月26日に登録出願、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服」ほか、第5類及び第24類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、同18年12月15日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

3 申立ての理由
申立人は、本件商標の登録を取消すとの決定を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第6号証を提出している。
(1)本件商標は、黒地に白色で2つの角丸長方形(オーバル)状をした線模様を概略「V」字形に重ね合わせてなる図形商標である。
他方、引用商標は、文房具のゼムクリツプを概略「V」字形に展開したごとき線模様からなる図形部分と、「KIRAKU」の欧文字を左横書きしてなる文字部分とからなる結合商標であるところ、両部分を常に一体として把握しなければならないとする理由は見当たらず、その構成からすれば、該図形部分のみが分離して認識され、それ単独で自他商品識別の機能を発揮する場合も少なくないと解するべきである。
(2)そこで、本件商標と、引用商標における図形部分を対比すると、両者には、全体的に概略「V」字形をしており、図形上方の開き具合や、左右の線間隔、線自体の太さや長さのバランスなどが酷似しているほか、左右上端縁がともに半円形状をしていること、中央においては斜め左右に交差する線が目を惹くこと、下端においては半円を描く曲線が目を惹くこと、といった共通点があるために、一見すると、いわゆるハート図形の輪郭を線書きで表現したかのように、2つの角丸長方形を概略「V」字形に重ね合わせた基本的構成態様を看取し得る点において軌を一にしている。
よって、両商標は、各々の外観において互いに相紛らわしく、同一又は類似の商品に付すると出所の混同を生ずるおそれかおるから、本件商標は引用商標に類似している。
そして、本件商標の指定商品中「被服、ガーター、靴下止め、ズボンつり、バンド、ベルト、履物、仮装用衣服」と、引用商標の指定商品中第25類「被服、ガーター、靴下止め、ズボンつり、バンド、ベルト、履物、仮装用衣服」とは、同一の商品である。
(3)ところで、申立人は、1997年4月に介護用衣服の販売を開始、該介護用衣服や商品カタログ、及び申立人のホームページに引用商標を付し、現在も継続して販売しており、かつ、積極的に営業活動を行っており、2005年度は約44万点の商品を売り上げ、商品の販売点数は年々増加の傾向を示している。そして、「KIRAKU」の文字部分だけではなく、図形部分についても相当の業務上の信用が蓄積しているといえるから、引用商標の図形部分と外観上類似している本件商標を介護用衣服等の商品に使用された場合には、申立人の業務に係る商品との間に出所の混同が生じるおそれは極めて高いと思料する。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。
(4)むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反してなされたものであるから、商標法第43条の2第1号により取り消されるべきである。

4 当審の判断
(1)本件商標は、別掲1のとおり、黒塗り正方形内に、二つの等しい長さの平行線と二つの半円形からなる運動競技場のトラック様の図形(以下「角丸長方形」という。)を「V」字形に2つ重ねて、白抜きの線で描いてなるものである。
一方、引用商標は、別掲2のとおりの構成からなるところ、申立人が述べるように、文房具のゼムクリツプを概略「V」字形に展開したような線模様からなる図形と、その下に、「KIRAKU」の欧文字を書してなるものである。そして、このような構成においては、両構成部分を常に一体としてのみ把握しなければならない特段の理由もないことからすれば、該図形部分が独立して自他商品の識別標識としての機能を有するものである。
(2)そこで、本件商標と引用商標の該図形とを比較するに、これらは、一見して、本件商標が黒塗りの正方形内に白抜きの線で描かれていること、及び引用商標の図形が紺色で彩色されていることの差異が見て取れる上に、前者は、同一の角丸長方形を「V」字形に2つ重ねてなる対照的で均整がとれた比較的単純な構成よりなる幾何的図形という印象を受けるものである。
これに対して、後者は、概略「V」字形になるとしても、その左部下段での線の端は途切れており、半円形を構成するものでないのみならず、右部の先端の線は内側に「く」の字形に折り曲げたように描いてなるものである。また、左右の両部分は、その形状が相違し、左右対称になるものでもない。まして、角丸長方形2個を重ねたものというのは困難であり、要は、一筆書き風になる線書きの複雑な「V」字形の幾何的図形と印象されるものである。
してみれば、両図形は、概略「V」字形になるとしても、前者が対照的で均整がとれた比較的単純な構成よりなるものであるに対し、引用商標の図形部分は一筆書き風になる線書きの複雑な図形として印象されるから、その構成及び受ける印象が明らかに異なるものというべきであって、離隔的に観察しても見誤るおそれはないものである。
そうすると、いわゆるハート図形の輪郭を線書きで表現したかのように、2つの角丸長方形を概略「V」字形に重ね合わせた基本的構成態様を看取し得る点において軌を一にしているとの、申立人の主張は採用できない。
したがって、本件商標は、引用商標の図形部分と外観において類似するものではなく、また、両図形部分はそれぞれの構成よりして特定の称呼又は観念を生ずるものといえないから、この点においても類似するということはできない。
その他、本件商標と引用商標とを類似のものとすべき事由は見出せない。
(3)また、申立人の提出した証拠によれば、申立人が同人の販売に係る介護用衣服自体や、商品カタログ、及びホームページに引用商標や該欧文字と図形とを重ねた商標を使用していることは認められるとしても、これらの証拠は、本件商標の登録査定時以前の当該図形商標の使用について、その広告、宣伝の期間、方法、地域、その費用及び具体的な商品の販売額、販売数などの使用実績をほとんど明らかにしていない。
また、上記(2)のとおり、本件商標は、引用商標の該図形部分とは離隔的に観察しても見誤るおそれはない別異の商標である。
そうすると、商標権者が本件商標を介護用衣服等の商品に使用された場合には、申立人の業務に係る商品との間に出所の混同が生じるおそれは極めて高いと思料する、との申立人の主張は採用できない。
(4)まとめ
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲1(本件商標)


別掲2(引用商標)

(色彩については原本参照)


異議決定日 2012-05-24 
出願番号 商願2011-16936(T2011-16936) 
審決分類 T 1 651・ 261- Y (X25)
最終処分 維持  
前審関与審査官 佐々木 悠源岩本 和雄 
特許庁審判長 水茎 弥
特許庁審判官 井出 英一郎
渡邉 健司
登録日 2011-08-19 
登録番号 商標登録第5433016号(T5433016) 
権利者 株式会社BLC
代理人 特許業務法人東京アルパ特許事務所 
代理人 森 寿夫 

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