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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Y44
管理番号 1258263 
審判番号 取消2010-300950 
総通号数 151 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2012-07-27 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2010-09-02 
確定日 2012-05-22 
事件の表示 上記当事者間の登録第4763195号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
登録第4763195号商標(以下「本件商標」という。)は、「セドナ」の文字を横書きにしてなり、平成15年9月4日に登録出願、第44類「リフレクソロジー,美容,理容,入浴施設の提供,庭園又は花壇の手入れ,庭園樹の植樹,肥料の散布,雑草の防除,有害動物の防除(農業・園芸又は林業に関するものに限る。),あん摩・マッサージ及び指圧,カイロプラクティック,きゅう,柔道整復,はり,医業,医療情報の提供,健康診断,歯科医業,調剤,栄養の指導,動物の飼育,動物の治療,植木の貸与,農業用機械器具の貸与,医療用機械器具の貸与,漁業用機械器具の貸与,美容院用又は理髪店用の機械器具の貸与,芝刈機の貸与」を指定役務として、同16年4月9日に設定登録され、その商標権は現に有効に存続しているものである。

第2 請求人の主張
請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の指定役務中、第44類「リフレクソロジー,美容,理容,入浴施設の提供,あん摩・マッサージ及び指圧,カイロプラクティック,きゅう,柔道整復,はり,医業,医療情報の提供,健康診断,歯科医業,調剤,栄養の指導」の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁、口頭審理における陳述並びに上申書において要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第5号証を提出した。
なお、被請求人が提出した乙各号証は、口頭審理において、枝番号はそのままに、乙第1号証を乙第4号証と、乙第4号証を乙第5号証と、乙第5号証を乙第6号証と、乙第6号証を乙第7号証と、乙第7号証を乙第1号証とそれぞれ訂正したので、以下、訂正後の号証番号によることとする。
1 請求の理由
本件商標は、その指定役務中、上記の取消請求に係る役務について継続して3年以上日本国内において使用した事実が存しない。
2 答弁に対する弁駁
(1)標章「セドナ・コース」の役務「リフレクソロジー」についての使用時期について
本件審判の請求の登録前3年以内に被請求人が役務「リフレクソロジー」について標章「セドナ・コース」を使用しているというためには、その登録前に少なくとも乙第4号証の印刷物(リトリートリーフレット)が頒布されていることが証明されなくてはならないところ、その証明はされていない。
すなわち、乙第2号証の2に記載の20,000部の印刷は「リトリートリーフレット増刷」であり、乙第3号証の2に記載の30,000部の印刷はリトリートリーフレットの印刷であり、乙第5号証の2に記載の20,000部の印刷は「リトリートリーフレット改訂版」であり、全3回の印刷が同一内容のリトリートリーフレットの印刷であったといえないばかりでなく、2ないし3か月に一度20,000部ないし30,000部のリトリートリーフレットの印刷がされている事実に照らし、最後に印刷されたリトリートリーフレット改訂版も納品日の平成18年9月2日後2ないし3か月を経過した、遅くとも平成18年12月には頒布し終えていたはずであり、その後の印刷がないことから、(証明はされていないものの)仮に最後に印刷されたリトリートリーフレット改訂版が乙第4号証のリトリートリーフレットであったとしても、該リトリートリーフレットは平成19年1月以降には頒布されていないとみるのが相当である。
このことは、被請求人は役務「リフレクソロジー」について標章「セドナ・コース」を本件審判の請求の登録前3年以内に使用していないことを意味する。これに反する被請求人の主張には何ら根拠がない。
なお、乙第6号証は、本件審判の請求の登録前3年以内に標章「セドナ・コース」の役務「リフレクソロジー」についての使用を証明するものではない。
(2)商標の同一性について
ア 「コース」の文字部分について
被請求人は、標章「セドナ・コース」中「コース」の文字部分は役務の識別機能を果たすものではない旨主張するが、理由がない。
まず、コース(course)は、周知のとおり、(a)たどるべき道すじ、航路、進路、「登山?」、(b)競争・競泳・競漕・ゴルフなどで、定められた競技路、(c)経過、順序、「事態が予期した?をはずれる」「出世?にのる」、(d)西洋料理で、順番に出される一連の料理。→フルコース、(e)弦楽器で、同音またはオクターブに調弦された数本の弦のひとまとまりを意味し(岩波書店「広辞苑」第六版参照)、いずれの語義の下でも、役務を指してはいない。明らかに、「コース」の文字部分が役務の識別機能を果たすものではない旨の被請求人の主張は、誤りである。
次に、「コース」の称呼を生じる商標(Course/コース)の登録第4450078号は役務(第35類)を指定していること(甲第3号証)、また「コース」の称呼を独立して生じうる商標(Pコース)の登録第5162402号は役務(第35類、第41類)を指定していること(甲第4号証)、さらに「コース」の称呼を独立して生じうる商標(S.O.S.Course/S.O.S.コース)の商願2010-22878はリフレクソロジーを含む役務(第44類)を指定している(甲第5号証)。このことからも、「コース」の文字部分が役務の識別機能を果たすものではない旨の被請求人の認識ないし主張が誤りであることは明らかである。
イ 「セドナ」と「コース」との間に「・」(中黒)が配されていることについて
被請求人は、「・」がセドナとコースとを視覚的に分離すると主張するが、その視覚的分離が被請求人の主観にすぎないことはおくとして、その視覚的分離によれば、なぜ、標章「セドナ・コース」に接した需要者は「セドナ」という名前の施術コースと認識することになるのか、すなわち、なぜ、中間の「・」が「施術」を意味することになるのか明らかでなく、被請求人の主張にはなんら理由がない。
むしろ、「セドナ」と「コース」との間の「・」は、両文字部分を強固に結合し、一体不離の関係にし、セドナコースとの一連の称呼のみを生じさせることを表したものであるというべきであり、被請求人のように「・」は「施術」と読み替えるべきものとすることは、何らの根拠なしに、標章「セドナ・コース」の構成を恣意的に変更するものであり、明らかに誤りである。
ウ 以上のとおりであるから、標章「セドナ・コース」は登録商標「セドナ」と同一性を有するとの被請求人の主張は、理由がない。
3 口頭審理(口頭審理陳述要領書)における陳述
(1)被請求人が平成23年9月12日付け陳述要領書に添付の乙第10号証ないし乙第11号証の3は、リーフレットの頒布時期を証明するものでないばかりでなく、本件審判請求の登録後に作成されたもので証拠能力をも欠いている。また、乙第1号証の1、2及び乙第8号証ないし乙第9号証の2はいずれもリーフレットが頒布された時期を証明するものではない。
なお、被請求人の提出の、平成23年9月12日付け証拠説明書に記載の、乙第1号証の1、2の作成日は不明であり、納品日としている日は平成18年3月15日である。また、乙第9号証の1、2の作成者の記載は誤りで、正しくは、Hitachi Ltd.である。乙第11号証の2については原本の照合を求める。本来別個の2つの文書である価格表とカレンダーとを合成して乙第11号証の2としたかに見える。2つの文書であれば、それらに個々の号証番号が付されてしかるべきである。
(2)頒布時期について
被請求人は、リーフレットについて、「1か月で2万部を頒布したのではない。2006年3月から6か月以上掛けて5万部を頒布したのである」と主張する。また、被請求人は、平成23年8月1日付け通知書で指摘された合議体の疑問に対し、「配布時期は、2006年3月から2007年末」と主張する。
しかし、いずれも単なる主張にすぎず、頒布の時期についてなんら立証していない。
次に、乙第8号証の陳述によれば、平成18年3月15日及び同年4月7日に納付された計5万部のリーフレットを平成18年3月から同年末頃までの9.5か月(286日)の間に頒布したのであるから、2万部の改訂版の頒布を同じ割合で頒布したとみるに何らの支障もないから、改訂版は約114日間(50,000部/286日=20,000部/114.4日)で頒布したということができる。20,000部の改訂版(平成18年9月12日納品)は平成18年9月以降頒布されたのであるから、納品日から上記114日後の、翌年平成19年1月(「南青山」の閉鎖)頃には頒布を完了していたはずである。
仮に、そうでないとしても、頒布開始から8.5か月(260日)後の、平成19年5月(「大阪高島屋」の閉鎖)頃には頒布を終えていたとみるのが自然である。これに反し、その5月の、さらに7か月後の平成19年末まで頒布していたとの認識はきわめて不自然であるから、乙第8号証の陳述は事実を述べているとは到底いえない。以上のとおりであるから、乙第8号証の陳述は単なる主張と解するほかない。
(3)乙第6号証について
Copyright(c)2008の表示は、単に2008年に著作物を完成したとの著作者の認識を示すにすぎないから、被請求人の主張は理由がない。なお、乙第6号証は、その右下の表示から、本件審判請求の登録後の2010/11/18の18:33に作成された文書であることは明らかである。
(4)商標の同一性
被請求人は、「セドナ・コース」中のコースの文字部分に識別力があることについては争っていない。
(5)乙第7号証(売上明細)について
価格表(乙第11号証)に関連して、被請求人は、「乙第7号証に示すように、要証期間内にセドナ(コース)を選択し、『セドナ』という商品名のリフレクソロジーの施術を受けた需要者が存在している」と主張するが、そのような需要者が存在したことは証明されていない。
(6)価格表(乙第11号証)について
乙第7号証は、「『セドナ』という商品名のリフレクソロジーの施術を受けた需要者が存在している」ことを証明するものではないから、被請求人の「この価格表は要証期間内においても上記店舗に掲示されていたというべきである」との主張はなんら理由がない。
4 上申書
(1)被請求人は、乙第12号証を提出したが、立証の趣旨が不明である。また、被請求人は、乙第13号証の1ないし6及び乙第14号証を提出したが、いずれも、ウェブアーカイブの記録又はその情報に関するもので、以下に述べるとおり、証拠能力を欠く。
(2)財団法人知的財産研究所は、平成22年3月、平成21年度特許庁産業財産権制度問題調査研究報告書として、「ウェブアーカイブに記録された先端技術情報の公知性等に関する調査研究報告書」(以下「報告書」という。)を公表した。
この報告書に示されているとおり、ウェブアーカイブに記録された情報が信頼できるか否かは個々に判断されるもので、一概に、信頼できるということはできない。
このことは、審・判決例において、明らかである。報告書によれば、「我が国においては、ウェイバックマシンに記録された情報を信頼できるとした東京地方裁判所判決(平成16年(ワ)第10431号)と、信頼できないとした知的財産高等裁判所判決(平成18年(行ケ)第10358号)とがあった。英国においては、ウェイバックマシンに記録された情報を信頼できるとした英国知的財産庁の決定(BL 0/362/09)があった。ドイツ及び欧州特許庁においては、それぞれ信頼できないとしたドイツ連邦特許裁判所判決(17 W (pat)1/02)、欧州特許庁技術審判部審決(T 1134/06)があった。」
報告書はまた、「ウェブアーカイブ文献は出版された文献のように発行日情報がなく、また、インクの上書き跡等のアナログ情報による改ざん性の推定も容易ではないことから、どのようなシステムに蓄積された情報(どのような存在証明及び非改ざん性証明がなされたシステムに蓄積された情報)であれば、裁判となった場合、日付情報と非改ざん性について、裁判官が合理的に確からしいとする心証に達するかに論点がある」とされる。
さらに、「現在既に民間のウェブアーカイブサービスは存在しており、米国、英国、ドイツ、欧州特許庁の審査実務において、米国のNPO法人であるインターネットアーカイブが運営しているウェイバックマシンに記録されている情報を、特定のウェブページが公衆に利用可能となった日付を確認するために利用されていた。しかしながら、ウェイバックマシンに記録された情報の信頼性が争われた審決・判決等において、その信頼性に対する判断は事例により異なるものであった」と報告している。
ところで、請求人は、ウェブアーカイブに記録された情報を以て、使用の事実があった旨を証明しようとしているが、その情報の信頼性については全く明らかにしようとしていない。その情報を直ちに信頼することができないことは、上記の報告書のよく知らしめるところである。

第3 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求め、答弁及び口頭審理における陳述並びに上申書において、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第16号証(枝番号を含む)を提出した。
1 答弁の理由
(1)答弁の要旨
被請求人は、請求に係る登録商標を、請求に係る指定役務「リフレクソロジー」について、審判の請求登録前3年以内に使用しているので、請求人の主張には理由がない。
(2)使用事実の立証
ア 乙第4号証(リトリートリーフレット)
乙第4号証は、被請求人が頒布したリーフレットの写しであり、乙第4号証の1が表面、乙第4号証の2が裏面であって、三つ折りの形態で配布されたものである。
乙第4号証の1の左右中央の下部に「株式会社RAJA」「東京都中央区銀座1-7-10」の記載があり、このリーフレットの頒布者が被請求人であることが理解できる。
このリーフレットは被請求人が運営するリフレクソロジーサロンの広告物であり、前記サロンで提供されるサービスが説明されている。また、サロンの所在地は左右中央の上部に地図と共に記載されている。その中に、「Healing Spa ハービスエント大阪」(大阪府大阪市北区梅田二丁目2番22号)及び「Healing Spa 京都駅地下街ポルタ」(京都府京都市下京区烏丸通塩小路下ル東塩小路町902)の記載がある。
乙第4号証の2には前記サロンで提供されるサービスの各種コース(メニュー)が記載されている。そして左右中央の下段に「セドナ・コース」と表示されている。
イ 乙第2号証、乙第3号証及び乙第5号証
乙第2号証、乙第3号証及び乙第5号証は乙第4号証のリーフレットの伝票類であり、いずれも枝番1が制作管理表、枝番2が請求書である。
制作管理表において、仕上がり寸法「W100×H210」とあり、折り加工「3折」(乙第3号証の1)と記載されていることから、これらが乙第1号証のリーフレットに係るものであると推認できる。
これら乙号証によれば、2006年3月に2万部、4月に3万部、8月に2万部というように、短期間で7万部の印刷を発注し、納品を受けている。これは3月に2万部頒布したために4月に3万部増刷したという経緯ではなく、数年に亘り頒布する数量を、数回に分けて印刷したものである。
これらの証拠により、乙第4号証のリーフレットが大量に印刷されたものであって、頒布されたことが裏付けられる。
ウ 乙第6号証
乙第6号証は被請求人のホームページの写しである。ここに「セドナ・コース」と表示されている。(http://www.raja.co.jp/salon/type/hs/menu_holistic.html)
エ 乙第7号証
乙第7号証は「サロン別商品売上明細」である。
本件商標を使用した「セドナ・コース」は、乙第4号証の1に記載されている4店舗で提供されていたが、「Rereat南青山」「Retreat大阪高島屋」は閉鎖されているので、他の2店舗における2009年の実績を抜粋して提出する。
この表によれば、「Healing Spa ハービスエント大阪」(サロンコード502)及び「Healing Spa 京都駅地下街ポルタ」(サロンコード801)においては2009年に、「セドナ」の名称でリフレクソロジーが提供されていたことが裏付けられる。
なお、料金(表中の売上単価)は税抜き2万円であって、乙第4号証の2及び乙第6号証記載の料金と一致している。売上金額との差額は、サービス券の利用などによるものである。
(3)商標・役務
ア 商標の同一性
本件商標は、片仮名で「セドナ」と表したものである。そして、乙第4号証の2及び乙第6号証には標章「セドナ・コース」の表示がある。
乙第4号証の2には、「セドナ・コース」の説明として「世界初!2名のリフレクソロジストが施術する究極のVIPコース。」「・・・手と足を施術する贅沢なコース。」「・・・おすすめのコースです。」とあり、乙第6号証にも「・・・楽しみたい方にもオススメのコースです。」とある。
これらの説明文から、標章「セドナ・コース」中「コース」の文字部分は役務の識別機能を果たすものではなく、識別標識として機能する文字部分は「セドナ」であることは明らかである。しかも、「セドナ」と「コース」も間には「・」(中黒)が配されており、両文字部分は視覚的にも分離する態様である。
すなわち、上記標章に接した需要者は「『セドナ』という名前の施術コース」と認識するのである。
そうすると、乙第4号証及び乙第6号証に表された標章「セドナ・コース」は登録商標「セドナ」と同一性を有するというべきものである。
イ 役務「リフレクソロジー」についての使用
乙第4号証の2の上段には「日本で初めての超豪華版全身のリフレクソロジーがここにあります。」と記載されているなど、乙第4号証全てが被請求人が提供する「リフレクソロジー」に関する記事であり、そこに表示された標章「セドナ・コース」の脇には料金や施術時間が表示されていることを総合すると、乙第4号証の2において標章「セドナ・コース」が役務「リフレクソロジー」との関係で使用され、リフレクソロジーの施術内容を識別するための表示として使用されているということができる。乙第6号証においても同様である。
(4)むすび
以上を総合すると、被請求人は本件審判の請求登録前3年以内に、本件商標を請求に係る指定役務について使用していたことが明らかである。
2 口頭審理(口頭審理陳述要領書)における陳述
(1)リーフレット等について
ア 印刷物
3回にわたる印刷の詳細は以下のとおりである。
乙第2号証:「増刷」であり、印刷物は乙第1号証として提出する。
乙第3号証:乙第1号証のリーフレットの「増刷」である。乙第3号証の
1のTitle欄に「増刷」の表示がある。
乙第5号証:乙第4号証として提出したものであり、乙第1号証のリーフレットの「改訂版」である。
イ 頒布時期について
2006年3月15日納品分の2万部(乙第2号証)と、同年4月7日納
品分の3万部(乙第3号証)とは、一括した発注であり、3月納品への対応のため、印刷所の都合により2回の発注として扱われたものである。
したがって、1か月で2万部を頒布したのではない。2006年3月から
6か月以上掛けて5万部を頒布したのである。
その後、2006年9月に2万部(改訂版)が納品されているが、納品時点では先に納品されたリーフレットの在庫も残っていた(一般に、宣伝広告用のリーフレットは、在庫がゼロにならないよう補充するものである)。
したがって、乙第4号証のリーフレットが要証期間内に頒布されていたこ
とを否認する理由はない(乙第8号証)。
ウ ホームページ(乙第6号証)
乙第6号証は2010年11月18日における画像であるが、下欄に「Copyright(C)2008-RAJA」の記載がある。
したがって、この画像は、2008年から現在まで、継続して提供されて
きたものというべきである。
エ 売上明細(乙第7号証)
後述の(3)通知に対する回答に記載のとおり。
(2)商標の同一性
弁駁書において「コース」の文字部分に識別力がある旨が主張されている
が、登録第4450078号は第35類「広告、経営の診断及び指導、市場調査、商品の販売に関する情報の提供」を指定役務とするものであり、役務「リフレクソロジーの提供」との関係で参考にすることはできない。
加えて、「Course/コース」自体に識別力が認められることと、標
章「セドナ・コース」中の「コース」の文字部分が識別力を有するかは別の観点から考えるべき事項である。
(3)通知に対する回答
ア リーフレットの頒布時期及び頒布方法
配布時期は、2006年3月から2007年末である。
配布方法は、被請求人が運営するリフレクソロジーサロン4店舗(なお、
2007年1月、同年5月に各1店舗閉鎖。)の来店者及び店舗周辺の通行人への手渡しである(乙第8号証)。
イ 乙第7号証(売上明細)について
この種のサービスは全て現金又はカード決済であり、請求書を発行することはない。そして、顧客に発行する領収書(レシート)が紙媒体で店舗に保管されることはなく、全て電子化されている。
乙第9号証は被請求人が使用する「サロン店舗システム・使用の手引き」
の抜粋であるが、精算(施術代金の受領)は全てPOSで管理されている。
各店舗で精算ごとに記録される売上げデータは本部のサーバに記録される。
乙第7号証は、本部のサーバに管理された売上げデー夕から、「セドナ」
に関するものを検索して抽出したものである。
なお、提供する施術のコース名称を「商品名」と位置づけており(乙第9
号証、乙第10号証)、乙第7号証の「商品名称」はこれに対応したコース名である。したがって、「商品名称」欄に記載された「セドナ」はリフレク
ソロジー施術のコース名称である。
商品名称「セドナ」と記録されていること、そして2万円(税抜き)とい
う対価から、乙第7号証のデータが、商品名として「セドナ」を使用して「リフレクソロジー」の役務が提供されたことを裏付けるに不足はない。
ウ 価格表(乙第11号証)
「Healing Spaハービスエント大阪」のフロント付近の現状写
真を提出する。カウンター背後の壁面に価格表が配設してあり、この価格表に「セドナ・コース 90分 21,000円」の表示がある。この写真は現状写真であり、要証期間における使用を直接立証するもので
はない。
しかしながら、乙第7号証に示すように、要証期間内に「セドナ(コース)」を選択し、「セドナ」という商品名のリフレクソロジーの施術を受けた需要者が存在している以上、この価格表は要証期間内においても上記店舗に掲示されていたというべきである。
エ 適用条項について
適用条項は、商標法第2条第3項第8号である。
(4)むすび
ア 乙第4号証のリーフレットは、本件指定役務に関する広告であって、被請求人(商標権者)が頒布したものであり(商標法第2条第3項第8号該当)、その行為は要証期間における使用である(乙第8号証)。
イ 乙第6号証のホームページは、本件指定役務に関する広告であって、被請求人(商標権者)が電磁的方法により提供したものであり(同号該当)、
その行為は要証期間における使用である(特に、コピーライト表示参照)。
ウ 乙第11号証の価格表は、本件指定役務に関する価格表であって、被請求人(商標権者)が展示したものであり(同号該当)、その行為は要証期間においても行われていたと合理的に理解できる。
エ 乙第7号証(売上明細)によれば、要証期間において、商品名称「セドナ」の売上げがあったことが明らかである。
以上から、被談求人(商標権者)は要証期間において本件登録商標をその指定役務「リフレクソロジー」の提供について使用していたことに疑義はない。
3 上申書
(1)ホームページ(乙第6号証)が継続して配信されていた事実について
乙第6号証の右下に表示された「2010/11/18 18:33」の数
字は、乙第6号証の画面を複写した日時を示すものであり、画像の提供が開始された日ではないことは明らかである。
なお、答弁書においてホームページにおける本件商標の使用開始時期を2008年としたが、調査の結果2007年1月であることが判明した。
係る事実を裏付けるものとして「陳述書」(乙第12号証)、ホームページの過去ログ(乙第13号証、乙第14号証)を提出する。
ホームページ過去ログは以下の手法で取得したものである。
インターネットサイト「インターネットアーカイブ」(http://www.archive.org/)にアクセスすると、乙第15号証の1の両面が表示される。ここで、上段中央の入力欄に被請求人のHPアドレスを入力するとカレンダー画面(乙第15号証の2)が表示される。上段の年表示部分で年を選択し、カレンダーで月日を選択すると、選択された年月日におけるHP情報が表示される。
乙第13号証は2007年12月29日を選択して得られたデータである。各頁右上のサイトアドレスの表示中数字部分が表示されたデータの記録日と理解できる。
頁の遷移は以下のとおり。
・乙第13号証の1 トップページ
・乙第13号証の2 乙第13号証の1中「ヒーリングサロン」をクリックして表示される画面
・乙第13号証の3 乙第13号証の2中「サロン紹介」をクリックして表示される画面
・乙第13号証の4 乙第13号証の3中「ヒーリングスパ」をクリックして表示される画面
・乙第13号証の5 乙第13号証の4中「取扱メニュー」をクリックして表示される画面
・乙第13号証の6 乙第13号証の5中「ホリスティックリフレクソロジー」をクリックして表示される画面
乙第13号証の6は、2007年に制作された頁であり、前記アーカイブスにおける記録日は2007年11月13日である。頁中段に本件商標「セドナ・コース」が表示されている。
乙第14号証は2008年12月16日を選択して得られたデータであり、乙第14号証の1はトップページ、乙第14号証の2は上記乙第13号証と同じ遷移を経て表示された、乙第13号証の6に対応する画面である。乙第13号証の6と同じ、2007年11月13日に記録された頁が表示されている。
(2)商品売上明細(乙第7号証)の元となるデータ
乙第7号証として提出した「商品売上明細」は、売上げ毎に店舗で入力される元データを、商品名「セドナ」をキーワードとして集計したものであるが、同じ元データを「顧客名」をキーワードとして集計したデータ「顧客マスタ修正」を乙第16号証の1ないし4として提出する。
以下、「顧客マスタ修正」について補足説明をする。
ア 「修正」と標記されていることについて
被請求人の会社のシステムでは、顧客情報等を参照する単独の項目(たとえば「参照」項目等)が存在せず、参照も全て「修正」項目で行うこととされている。要するに、システム上、データを参照しようとすると必ず「修正」項目での参照になるため、常に「修正」が表示される。
「修正」画面において、修正できる項目とできない項目に分かれており、本画面においては「個人情報」の個別項目は修正可能だが、その他の履歴等の修正は不可となっている。
イ 商品売上明細(乙第7号証)と「顧客マスク修正」(乙第16号証)と
の関係
乙第7号証の1行目に、「売上年月日 2009/9/7」「売上金額 18000」と記載され、対応する「顧客マスク修正」(乙第16号証の1)のリスト1行目に「来店日 2009/9/7」「売上 73,977」と記載されており、売上金額が一致していない。これは、乙第7号証は「セドナ」のみを抽出した売上げ記録であるから「セドナ」の売上げのみが記載されており、乙第15号証は顧客毎の売上げであって、同時に売上げられた全ての商品(回数券や岩塩など)の代金も含まれていることによるものである。
(3)リーフレットの頒布時期
被請求人において、店舗毎のリーフレットの在庫管理は行っていなかった。そのために、リーフレット頒布の終期を裏付ける書証は存在しない。

第4 当審の判断
1 乙各号証について
被請求人は、本件商標を取消請求に係る指定役務中の「リフレクソロジー」について使用している旨主張して、乙第1号証ないし乙第16号証(枝番号を含む。)を提出しているので、以下、被請求人の提出に係る乙各号証について検討する。
(1)乙第1号証の1は、リーフレットの写しであり、右上に「元祖」「英国式リフレクソロジー」「ホリスティック リフレクソロジー・サロン」、中央下に「株式会社RAJA」「東京都中央区銀座1-7-10」の記載がある。
(2)乙第1号証の2は、同リーフレットの裏面であり、「優しいアロマの香りと、安らぎのヒーリング音楽が流れる“至福の時空間”。/心とカラダを癒す、日本で初めての超豪華版全身リフレクソロジーがここにあります。」の見出しの下、「ダイヤモンドヘッド・コース」「エアーズロック・コース」の表示とともに、「セドナ・コース」の表示(以下「使用商標」という。)があり、セドナ・コースの説明として「お客様おひとりに対して、リフレクソロジスト2名が呼吸を合わせて同時に施術する贅沢なコース。」の記載があり、その右上に「1時間30分 21,000円」の記載とともに施術を行っている写真が掲載されている。
(3)乙第6号証は、「株式会社RAJA」のホームページをプリントアウトしたものであり、「サロン紹介」の見出しの下、「メニュー(ホリスティック・リフレクソロジー)」の項に、「ダイヤモンドヘッド・コース」「エアーズロック・コース」「セドナ・コース」(使用商標)の表示があり、セドナ・コースの説明として、乙第1号証の2と同様の内容が掲載されている。また、左下には「株式会社RAJA」の記載がある。
さらに、同号証の右上に「http://www.raja.co.jp/salon/type/hs/menu_holistic.html」、右下に「2010/11/18 18:33」の記載がある。
(4)乙第7号証は、「サロン別商品売上明細」と題する書面であり、サロンコード、サロン名、売上年月日、商品名称、登録年月日、登録時刻などが表に記載され、その1段目には、売上年月日の欄に「2009/9/7」、商品名称の欄に「セドナ」、登録年月日の欄に「2009/9/7」、登録時刻の欄に「17:58」の記載がある。
同じく、4段目には、上記と同じ欄にそれぞれ「2009/8/7」「セドナ」「2009/8/7」「16:05」、6段目には「2009/7/13」「セドナ」「2009/7/13」「18:04」、9段目には「2009/6/15」「セドナ」「2009/6/15」「17:26」の記載がある。
(5)乙第13号証の6は、ウェイバックマシンに記録されているインターネットのアーカイブの情報をプリントアウトしたものであり、右上に「http://web.archive.org/web/20071113001426/http://www.raja.co...」、左上に「INTERNET ARCHIVE/WayBackMachine」、その右に「http://www.raja.co.jp/salon/type/hs/menu_holistic.html」の記載があり、その下には上記乙第6号証のホームページと同じ内容が掲載されている。
そして、職権により調査したところ、ウェイバックマシンのアーカイブ情報に、乙第13号証の6と同じ内容の情報が掲載されていることが確認できた。
(6)乙第16号証の1は、「顧客マスタ修正」と題する書面であり、左上に「RAJA」の記載があり、その下に、来店日、来店時間、施術などが表に記載され、その1段目には、来店日の欄に「2009/09/07」、来店時間の欄に「17:58:06」、施術の欄に「セドナ,HF,NB」等の記載がある。
同じく、3段目には、同じ欄にそれぞれ「2009/08/07」「16:05:01」「セドナ,HF,NB」、5段目には「2009/07/13」「18:04:00」「セドナ,HF,NB」、6段目には「2009/06/15」「17:26:13」「セドナ,HF,NB」の記載がある。
2 上記1によれば、次のとおりである。
(1)使用役務について
乙第1号証の1のリーフレットの「株式会社RAJA」「東京都中央区銀座1-7-10」の記載から、乙第1号証の1のリーフレットは、商標権者(被請求人)のものと認められる。
また、乙第6号証のホームページの左下の「株式会社RAJA」の記載及び右上のURLから、乙第6号証のホームページは、商標権者(被請求人)のものと認められる。
そして、そのリーフレット及びホームページの「優しいアロマの香りと、安らぎのヒーリング音楽が流れる“至福の時空間”。/心とカラダを癒す、日本で初めての超豪華版全身リフレクソロジーがここにあります。」「お客様おひとりに対して、リフレクソロジスト2名が呼吸を合わせて同時に施術する贅沢なコース。」及び「セドナ・コース」の記載から、商標権者は、使用商標(セドナ・コース)を用いて、リフレクソロジーの役務を提供していることが認められる。
さらに、商標権者が提供する役務「リフレクソロジー」は、本件取消請求に係る役務に含まれているものである。
(2)使用商標について
本件商標は「セドナ」の文字、使用商標は「セドナ・コース」の文字からなるものである。
そして、使用商標の構成中「コース」の文字は、一般に「○○○コース」のように提供する役務の種類(課程)、内容を表すものとして使用され、認識させるものである。
そうすると、使用商標は、その構成からしてその構成中「コース」の文字部分は識別力を有しないものとみるのが自然であって、「セドナ」の文字部分が独立して自他役務識別標識としての機能を果たし得るものとみるのが相当である。
してみれば、本件商標と使用商標の構成中「セドナ」の文字部分とは、いずれも「セドナ」の文字からなるものであるから、使用商標は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標というべきである。
(3)使用時期について
ア 乙第6号証のホームページと同じ内容が掲載された乙第13号証の6の右上の「http://web.archive.org/web/20071113001426/http://www.raja.co...」の記載中「20071113」は、そこに表示された内容(乙第6号証のホームページと同じ内容)の掲載日が2007年11月13日であることを表しているものと認められる。
そうとすれば、乙第6号証のホームページの内容は、2007年(平成19年)11月13日から同号証がプリントアウトされた2010年(平成22年)11月18日まで継続して提供されていたものと推認できる。
してみれば、乙第6号証のホームページの内容は、本件審判請求の登録の日(平成22年9月21日)前3年以内に提供されていたといえる。
イ 乙第7号証の「サロン別商品売上明細」に記載された1段目の売上年月日「2009/9/7」、商品名称「セドナ」、登録年月日「2009/9/7」、登録時刻「17:58」と乙第16号証の1の「顧客マスタ修正」に記載された1段目の来店日「2009/09/07」、来店時間「17:58:06」、施術「セドナ」のそれぞれの記載は一致するものといえる。
同じく、「サロン別商品売上明細」に記載された4段目の売上年月日「2009/8/7」、商品名称「セドナ」、登録年月日「2009/8/7」、登録時刻「16:05」と「顧客マスタ修正」に記載された3段目の来店日「2009/08/07」、来店時間「16:05:01」、施術「セドナ」のそれぞれの記載は一致するものといえる。
同様に、「サロン別商品売上明細」の6段目及び9段目の記載と「顧客マスタ修正」の5段目及び6段目の記載は一致するものといえる。
なお、これらと同様に、乙第16号証の2ないし4の施術「セドナ」に係る記載についても、乙第7号証の商品名称「セドナ」に係る記載内容と一致するものといえる。
そして、これらに記載された「2009/9/7」「2009/8/7」
「2009/7/13」「2009/6/15」の記載は、それぞれ「2009年(平成21年)9月7日」「2009年8月7日」「2009年7月13日」「2009年6月15日」と認められ、これらはいずれも本件審判請求の登録の日(平成22年9月21日)前3年以内である。
(4)小活
以上によれば、商標権者は、本件商標と社会通念上同一と認められる使用商標の下に、本件審判請求の登録前3年以内である2009年(平成21年)6月ないし9月に本件審判請求に係る指定役務中の役務「リフレクソロジー」の提供を行ったものと推認して差し支えない。
また、商標権者は、本件審判請求の登録前3年以内に本件審判請求に係る指定役務中の役務「リフレクソロジー」に関する広告を内容とする情報に本件商標と社会通念上同一と認められる使用商標を付して電磁的方法によりホームページで提供する行為(商標法第2条第3項第8号)を行ったものと認められる。
(5)請求人の主な主張について
請求人は、ウェブアーカイブに記録された情報は、一概に信頼できるということはできない旨主張している。
しかしながら、職権調査でウェイバックマシンのアーカイブ情報に乙第13号証の6と同じ内容の情報が確認できたことや、乙第1号証、乙第6号証、乙第7号証、乙第13号証の6及び乙第16号証の1などの証拠を総合的にみれば、上記のとおり判断するのが相当であるから、請求人の上記主張は採用することができない。
(6)まとめ
以上のとおりであるから、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者(被請求人)がその請求に係る指定役務中の役務「リフレクソロジー」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用をしてることを証明したものと認められる。
したがって、本件商標の指定役務中、本件審判の請求に係る指定役務「リフレクソロジー,美容,理容,入浴施設の提供,あん摩・マッサージ及び指圧,カイロプラクティック,きゅう,柔道整復,はり,医業,医療情報の提供,健康診断,歯科医業,調剤,栄養の指導」についての登録は、商標法第50条の規定により取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2011-12-09 
結審通知日 2011-12-14 
審決日 2012-01-13 
出願番号 商願2003-76301(T2003-76301) 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (Y44)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 石田 清 
特許庁審判長 森吉 正美
特許庁審判官 瀧本 佐代子
小畑 恵一
登録日 2004-04-09 
登録番号 商標登録第4763195号(T4763195) 
商標の称呼 セドナ 
代理人 松永 宣行 
代理人 峯 唯夫 

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