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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Y25
管理番号 1258204 
審判番号 取消2011-300091 
総通号数 151 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2012-07-27 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2011-01-28 
確定日 2012-05-14 
事件の表示 上記当事者間の登録第4692776号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4692776号商標の指定商品中、「第25類 被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く)」については、その登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4692776号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成14年8月7日に登録出願され、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として平成15年7月18日に設定登録されたものである。
そして、本件審判の請求の登録日は、平成23年2月17日である。

第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び弁駁の理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出している。
1 請求の理由
請求人が調査したところによると、本件商標は、その指定商品中「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。)」について、本件商標の商標権者である株式会社エー・カンパニー(以下「エーカンパニー社」という。)によって継続して3年以上日本国内において使用されておらず、現在も使用されている事実は見いだせない。加えて、商標登録原簿上において、通常使用権及び専用使用権の設定登録がなされておらず、使用権者が使用していることも考えられない。
したがって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定に基づき、その指定商品中の上記商品についての登録を取り消すべきものである。
2 弁駁の理由
(1)被請求人は、本件商標の商標権者であったエーカンパニー社より本件商標権を譲り受け、平成23年7月13日付けで商標権移転登録申請書を提出している旨主張している。そのうえで、エーカンパニー社が本件審判の請求の登録前3年以内に本件商標を使用した実績があると主張し、乙第1号証ないし乙第14号証を証拠として提出している。
しかし、被請求人が提出した上記証拠は、エーカンパニー社が本件審判請求の予告登録前3年以内に日本国内において請求に係る指定商品「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。)」(以下、「本件商品」という。)について本件商標を使用したことを立証するものではない。
(2)乙第1号証について
(ア)商標の同一性
乙第1号証は、エーカンパニー社が被服等の包装に使用していたと主張する包装袋の写真である。該袋に使用されている商標(以下「使用商標」という。)は、欧文字「R」「・」「o」「n」「e」を同一の書体・大きさ・色並びに等間隔にて一連に横書きしてなる。
上記使用商標は、本件商標と明らかに同一でなく、商標法第50条第1項における社会通念上同一の商標にも該当しない。
本件商標は、黒色の正円輪郭内に「R」の欧文字を書した図形の右横に、欧文字「ne」を一列に並べた上段部分と、その直下に片仮名「アールワン」を横書きした下段部分からなる。上段部分は、「R」の欧文字を含む正円形と欧文字「ne」を一体としてデザイン化した特異な構成からなり、独立して商品の出所表示たり得るものである。また、上段部分から生じる称呼は「アールエヌイー」であり、下段に書された片仮名「アールワン」が上段部分の称呼を表しているといった事情はない。
よって、上段部分と下段部分は、いずれが主要部分でいずれが補助的(付記的)部分であると断じることは不可能な程に分かち難く、全体で一体不可分の商標として捉えるべきものである。
そこで、本件商標と使用商標とを比較すると、使用商標は、欧文字「R・one」のみからなり、本件商標の下段部分の片仮名「アールワン」を併記するものではない。また、本件商標と使用商標の欧文字部分を比較しても、「R」の欧文字を含む正円形の有無や、その構成文字において相違する。よって、使用商標は、本件商標と同視し得ず、本件商標と社会通念上同一の商標であるとはいえない。
さらに、本件商標については、上段部分から「アールエヌイー」、下段部分から「アールワン」の称呼が生じる一方、使用商標からは「アールワン」の称呼しか生じない。上述したように、本件商標の上段部分は、特異なデザインであり、本件商標の構成上重要な要素を占めることに鑑みると、上段部分から生じる「アールエヌイー」の称呼を無視できるものではなく、「アールワン」の称呼の発生のみをもって本件商標と社会通念上同一の商標の使用とするのは妥当でない。加えて、本件商標、使用商標共に特定の意味合いを想起させることのない造語商標であり、その観念においても同一でない。
以上より、使用商標は、商標法第50条第1項に規定される「書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標、平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標、外観において同視される図形からなる商標」にあたるものではなく、本件商標と社会通念上同一の商標とは認められない。
(イ)使用行為
被請求人は、本件審判の請求の登録後に撮影された包装袋の写真を提出するのみであり、本件商品との関係で、該包装袋がエーカンパニー社によって使用された時期、場所、枚数等については具体的に明らかにされていない。
よって、乙第1号証は、エーカンパニー社が顧客に商品を販売する際に、本件商標が付された包装用袋を用いた事実を証明するものではない。
(ウ)以上より、乙第1号証は、エーカンパニー社が本件商標又は本件商標と社会通念上同一の商標を本件商品について使用していたことの証明にはならない。
(3)乙第2号証及び乙第3号証について
乙第2号証は、被請求人の親会社である株式会社ライトオンがエーカンパニー社より事業承継を受けたことを報じるニュース記事であり、乙第3号証は、エーカンパニー社の店舗リストである。しかしながら、これらの証拠は、エーカンパニー社が「R・one」、「R-one」、「アールワン」なる店舗を展開していた事実が記述されているに止まり、本件商標の表示はどこにも見られない。
よって、乙第2号証及び乙第3号証は、本件商標の具体的使用状況を明らかにするものではなく、これらをもって本件商標の使用事実は証明されない。
(4)乙第4号証及び乙第5号証について
(ア)被請求人は、エーカンパニー社が経営していた店舗「R・one」の外観写真として、乙第4号証及び乙第5号証を提出し、エーカンパニー社が「被服」を取り扱っていた旨主張している。
乙第4号証については、同一の書体・大きさ・色並びに等間隔にて一連に横書きされた欧文字「R・one」が、店舗正面の上部分に使用されている。
乙第5号証については、やや不鮮明ではあるが、同一の書体・大きさ・色並びに等間隔にて一連に横書きされた欧文字「R・one」が、店舗柱部分に使用されているようである。
まず、乙第4号証及び乙第5号証の写真については、第二答弁書の「証拠方法」の欄において、撮影した日付、店舗名を示しているのみであり、写真自体には撮影日が記録されていない。よって、上記写真が、実際に本件審判の請求の登録前3年以内に撮影されたものかは充分に証明されていない。
また、上記写真から、「R・one」のどの店舗なのかが分かる情報を読み取ることもできないため、それらが本当に「エルム店」、「エスパル山形店」で撮影された写真なのかも不明である。よって、当該写真をもって、要証期間内の使用の事実の証拠とするには不十分である。
(イ)商標の同一性について比較検討しても、乙第4号証及び乙第5号証において使用されている商標「R・one」は、上記乙第1号証に係る使用商標と同様の構成からなり、本件商標と社会通念上同一の商標にはあたらない。
(ウ)被請求人は、エーカンパニー社が、「R・one」とするコーナーに、「被服」を着用させた胴体部分のマネキン人形を置いて「被服」を陳列していた行為は、「商品」に係る使用にあたると主張したうえで、その補足資料として乙第8号証、乙第12号証及び乙第13号証を提出している。
しかしながら、請求人は、当該行為は商品の品揃え、商品の陳列サービスについての商標「R・one」の使用、すなわち、第35類「被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」についての使用にあたるものと考える。
(エ)以上より、乙第4号証及び乙第5号証は、エーカンパニー社が本件商標又は本件商標と社会通念上同一の商標を本件商品について使用していたことを証明するものではない。
(5)乙第6号証及び乙第7号証について
(ア)乙第6号証(納品書)からは、「R・oneロゴシール」、「R・ONEポリエチレン袋」、「R-one白無地ショツプバッグ(紙袋)」といった品名のシールや袋が、エーカンパニー社に納品された事実は読み取れるが、これらのシール等に、どのような態様の商標が具体的に付されていたかを明らかにする証拠は一切提出されていない。また、本件商品との関係において、これらのシール等がエーカンパニー社によって使用(顧客に配布)された時期、場所、配布枚数等、具体的な使用状況についても一切明らかにされていない。
よって、乙第6号証は、エーカンパニー社が取引先からシール及び包装用袋を購入したことを証明するにすぎず、エーカンパニー社が顧客に本件商品を販売する際に、本件商標が付されたシール及び包装用袋を用いた事実を証明するものではない。
したがって、乙第6号証をもって本件商標の使用の事実を証明することはできない。
(イ)乙第7号証において使用されている商標「R・one」は、上記乙第1号証、乙第4号証及び乙第5号証に係る各使用商標と同様の構成からなり、本件商標と社会通念上同一の商標にはあたらない。また、乙第7号証のロゴシールが、乙第6号証で示される「ロゴシール」と関連するものかは立証されていないため、エーカンパニー社が当該ロゴシールを発注した相手、納品を受けた時期及び納品枚数等については明らかにされていない。さらに、本件商品との関係において、上記ロゴシールがエーカンパニー社によって顧客に配布された時期、場所、配布枚数等、具体的な使用状況についても不明である。
したがって、乙第7号証も、エーカンパニー社による本件商標の使用の事実を証明するものではない。
(6)乙第9号証ないし乙第11号証について
(ア)被請求人は、エーカンパニー社が小売等役務商標制度導入前の2007年3月以前に本件商標を使用していた証拠として、店舗賃貸借契約書の写し(乙第9号証)、有限会社アイパックからエーカンパニー社に対して発行された請求書(乙第10号証及び乙第11号証)を提出し、出願当時には小売等役務商標制度がなかったことから、エーカンパニー社は、販売する商品を指定商品とした商標出願を行い、登録を得ていたものと主張している。
(イ)しかしながら、乙第9号証の契約書からは、エーカンパニー社が「アールワン」なる名称の店舗を展開した事実が読み取れるにとどまり、本件商標が具体的にどのように本件商品に使用されたかは立証されていない。また、乙第10号証及び乙第11号証の請求書は、エーカンパニー社が「R-one LDアームバッグ」なる品名の袋を購入した事実を証明するのみであり、当該袋に付された商標の具体的な態様は不明である。
加えて、本件商品との関係において、当該袋がエーカンパニー社によって顧客に配布された時期、場所、配布枚数等についても明らかにされていない。
(ウ)以上より、乙第9号証ないし乙第11号証は、エーカンパニー社が小売等役務商標制度導入前の2007年3月以前に本件商標を使用していた証拠にはなり得ない。
(エ)なお、乙第9号証ないし乙第11号証は、本件審判の請求の登録日(2011年2月17日)前3年以前に発行された資料であり、要証期間における本件商標の使用にあたるものとして判断される余地もない。
(7)以上のとおり、被請求人の提出する証拠は全て、本件商標が日本国内において本件審判の請求の登録前3年以内に請求に係る指定商品について使用されていた事実を証明するものではない。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、との審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第14号証を提出している。
1 請求の理由に対する反論
請求人は、本件商標は被請求人によって継続して3年以上日本国内において使用されておらず、現在も使用されている事実は見いだせないと主張する。
しかしながら、被請求人は、被服等の商品を包装する手提げ袋(乙第1号証)に本件商標を使用しており、商品の包装に標章を付し、これを譲渡していた。
したがって、請求人の主張は理由がない。
2 本件商標の譲渡について
再生債務者であったエーカンパニー社から株式会社ライトオン又はその子会社への一部事業の譲渡が、名古屋地方裁判所により許可され、株式会社ライトオンは、100%出資子会社の株式会社チャイムを設立して、事業の一部を譲り受けた。そして、その一環として、本件商標は、平成23年4月28日にエーカンパニー社から株式会社チャイムに譲渡され、平成23年7月13日に特許庁へ商標権移転登録申請書が提出された。
3 本件商標の使用の事実について
本件審判の請求の登録(平成23年2月17日)前3年以内に、当時の商標権者であったエーカンパニー社が、本件商標を、継続して日本国内において、その指定商品中「被服」について使用していた事実を、以下に示す乙第2号証ないし乙第14号証に基づき立証する。
(1)2011年4月24日付けのファッションニュースオンラインにおいて、「ライトオンがエー・カンパニーから事業譲渡」との記事が取り上げられており、その中で、ライトオンが、婦人服専門店エーカンパニー社から、「R・one(アールワン)」3店舗とスタッフを引継ぐこと、及び2010年度のエーカンパニー社の売上高が約36億円であったことが掲載されている(乙第2号証)。この記事から、エーカンパニー社が一定以上の売上規模を有する婦人服専門店であり、「R・one(アールワン)」を店舗名として使用していたことがわかる。乙第3号証は、エーカンパニー社の2010年11月末日時点の店舗一覧であるが、4店舗で、ショップ名として「R・one」を使用し、「アールワン」と称呼されていたことがわかる。
なお、「R-one山形エスパル店」は、2011年2月6日を最終営業日として閉店している。また、「R-oneジャスコ郡山店」は、2011年3月より、店舗の入っているショッピングモールの名称が「ジャスコ」から「イオン」に名称変更したことに伴い、「R-oneイオン郡山店」に名称変更している。
(2)乙第4号証は、エーカンパニー社の経営する「R・oneエルム店」において、2010年8月2日に撮影された写真であり、乙第5号証は、エーカンパニー社の経営する「R・oneエスパル山形店」において、2011年1月14日に撮影された写真である。ともに、ショップ名を「R・one」とするコーナーに、「ブラウス、帽子」等をコーディネートした胴体部分のマネキン人形を置き、「ブラウス、帽子」等の「被服」に該当する商品を陳列していることから、「R・one」というショップが、「被服」を取り扱っていることがわかる。
「被服」を取り扱う業界においては、ショッピングセンターや百貨店内で、商標名であるショップ名のもとに、商品を販売し、また、ショップ名のもとに、商品をコーディネートしたマネキン人形を置くことにより、顧客を誘致するための宣伝広告を展示することが一般的である。そして、商品「被服」における需要者は、ショッピングセンターや百貨店内のショップ名を、商品の出所として認識している。
本件商標もまた、大型ショッピングセンターである「エルム」内、「サンロード青森」内、「イオン郡山(旧ジャスコ郡山)」内において、それぞれ「R・one」のショップ名として使用され、ショップ名のもとに、商品をコーディネートしたマネキン人形を置くことにより、顧客を誘致するための宣伝広告を行っている。
(3)乙第6号証は、willkpot株式会社が、エーカンパニー社に納品した「R・oneロゴシール」、「R・ONEポリエチレン袋」及び「R-one白無地ショツプバック(紙袋)」の2010年12月15日付けの納品書である。乙第7号証は、「R・one」を付したロゴシールの写真である。
エーカンパニー社が、「R・one」を付した包装を、商品の包装に使用するために、これらを発注して、納品されたことがわかる。
(4)以上述べたように、被請求人は、本件商標の使用は「商品」に係る使用であると確信している。
4 使用商標について
使用商標「R・one」は、本件商標と「アールワン」の称呼及び観念を同一にする社会通念上同一の商標である。
同様の判断は、本件指定商品と同一の指定商品における特許庁の審決例(取消2009-3013350、乙第14号証)からもわかる。
5 結論
以上のとおり、本件審判の請求の登録前3年以内の商標権者であったエーカンパニー社は、継続して日本国内において、本件商標と社会通念上同一の商標を、請求に係る指定商品中の「被服」について使用しているので、請求人の主張は、正当なものではない。
よって、本件審判の請求は成り立たない。

第4 当審の判断
1 被請求人の提出に係る証拠について
被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に、当時の商標権者であったエーカンパニー社が、請求に係る指定商品中の「被服」について本件商標を使用していた旨主張し、その証拠として乙第1号証ないし乙第14号証を提出しているので、乙各号証について検討する。
(1)乙第1号証について
乙第1号証は、エーカンパニー社が被服等の包装用に使用していたと主張する手提げ袋を平成23年4月18日に撮影したとする写真と認められるところ、該写真によれば、上記手提げ袋の表面下半部に装飾模様が付され、それに重ねて「R・one」の文字が大きく顕著に表示されていることが認められる。
しかしながら、上記使用商標は、以下のとおり、本件商標と社会通念上同一とはいえないものである。
すなわち、本件商標は、別掲のとおり二段構成からなるところ、上段部分は、円輪郭内に「R」の文字を表し、その右側に「ne」の文字を配した特異な構成からなるものであり、一般に、上記円輪郭と「R」の部分は「マルアール」と称呼されていることもあって、「ROne」の如き綴りを想起し得ないものである。また、上段部分は、それ自体が独立して自他商品の識別標識としての機能を果たし得るというべきものであり、「アールエヌイー」又は「マルアールエヌイー」の称呼を生ずるものといえるとしても、「アールワン」の如き称呼は生じ得ないものである。そして、本件商標は、下段部分の「アールワン」の文字が上段部分の読みを特定したものとはいい難く、上段部分と下段部分とに軽重の差はなく、いずれも識別標識としての要部というべきであるから、それぞれの構成部分に相応して「アールエヌイー」、「マルアールエヌイー」及び「アールワン」の称呼を生ずるものといえる。
他方、使用商標は、欧文字のみからなり、上記のとおりの構成からなる本件商標とは外観上明らかに相違するものであって、「アールワン」の称呼のみを生ずるものである。また、使用商標と本件商標とは、いずれも既成の親しまれた観念を有するものではない。
そうすると、使用商標は、本件商標と「アールワン」の称呼を共通にすることがあるとしても、商標法第50条第1項にいう「書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標、平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標、外観において同視される図形からなる商標その他の当該登録商標と社会通念上同一と認められる商標」ということはできない。
加えて、乙第1号証の写真は、本件審判の請求の登録後に撮影されたものであるばかりでなく、該写真に示された手提げ袋が、本件審判の請求の登録(平成23年2月17日)前3年以内(以下「要証期間」という。)に、商品「被服」等を包装するために実際に用いられていることを具体的に示す証左ということはできない。
(2)乙第2号証及び乙第3号証について
乙第2号証は、「ファッションニュースオンライン」なるウェブページの写しと認められるところ、右下に記載された「2011/05/06」の数字からすると、平成23年5月6日にプリントアウトされたものというべきであり、もっとも、右上に記載された「2011-04-24;00;00更新」の文字からすると、2011年4月24日時点の事実を掲載したものと認められるが、いずれにしても要証期間内における事実を示すものではない。
その内容も、株式会社ライトオンがエーカンパニー社から一部事業を譲り受けたこと、エーカンパニー社が「CHIME(チャイム)」と「R・one(アールワン)」の店舗を展開していること、などを報じる記事であり、本件商標の使用について具体的に記述するものではない。
また、乙第3号証は、「エーカンパニーSHOPリスト」と題する書面の写しと認められ、これによれば、エーカンパニー社が「R-one山形エスパル店」、「R-oneエルム店」等の店舗を展開していることが認められるものの、本件商標の使用態様、商品、時期等の具体的な使用の事実については一切不明である。
(3)乙第4号証及び乙第5号証について
乙第4号証及び乙第5号証は、エーカンパニー社が展開する店舗の写真と認められ、乙第4号証は2010年8月2日に、乙第5号証は2011年1月14日に、それぞれ撮影したものとされている。これらの写真によれば、店舗の正面入り口上部又は柱部分に「R・one」の標章が表示されていること、店舗入り口には被服を着けたマネキン人形が陳列され、店内には被服、バッグ等が展示されていること、などが認められる。
そして、上記「R・one」の標章は、乙第1号証に示す使用商標と同一の構成態様といえるものであり、これをもって本件商標と社会通念上同一ということはできないばかりでなく、他に、本件商標と社会通念上同一と認められる商標は上記写真中の何処にも見当たらない。
(4)乙第6号証及び乙第7号証について
乙第6号証は、willkpot株式会社がエーカンパニー社宛てに発行した2010年12月15日付けの「納品書」の写しと認められるところ、その「品名及型式」欄に「R・oneロゴシール(キャスト強粘)」、「R・ONEポリエチレン袋490×370」、「R-one白無地ショップバッグ(紙袋:中)」等の記載が認められる。
乙第7号証は、「R・one」の標章が表示されたロゴシールの写真とするものの、その撮影日、撮影場所、撮影者等は一切不明である。
仮に、上記納品書に記載された「R・oneロゴシール(キャスト強粘)」が乙第7号証に示すロゴシールを意味するものであるとしても、乙第7号証に示された「R・one」の標章は、乙第1号証に示す使用商標と同一の構成態様といえるものであり、本件商標と社会通念上同一と認められるものではない。
加えて、乙第7号証に示すロゴシールが被服等の商品について実際に使用されている事実を具体的に示す証左は一切ない。
(5)乙第9号証について
乙第9号証は協同組合サンロード青森とエーカンパニー社との「店舗賃貸契約書」の写しと認められるものの、これらは本件商標やその指定商品について具体的に記述するものではなく、本件商標の使用とは直接関係するものではない。
(6)乙第10号証及び乙第11号証について
乙第10及び第11号証は、有限会社アイパックがエーカンパニー社宛てに発行した平成18年5月1日付け又は同年7月19日付けの「請求書」の写しと認められ、「R-oneLDアームバッグ(小)」等の記載があることが認められるものの、これらの請求書は、要証期間に発行されたものではなく、要証期間における事実を示すものではない。
(7)以上のとおりであるから、被請求人の提出に係る証拠によっては、本件商標が要証期間に請求に係る指定商品中の「被服」について使用されているものと認めることはできない。
その他、本件商標が要証期間に請求に係る指定商品について使用されていることを認めるに足る証拠はない。
2 むすび
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても、請求に係る指定商品「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。)」のいずれかについて本件商標の使用をしていたことを証明したものとは認められないから、商標法第50条の規定に基づき、上記指定商品についての登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別 掲
本件商標

審理終結日 2012-02-28 
結審通知日 2012-03-01 
審決日 2012-04-02 
出願番号 商願2002-67045(T2002-67045) 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (Y25)
最終処分 成立 
前審関与審査官 田口 善久安達 輝幸 
特許庁審判長 関根 文昭
特許庁審判官 田中 亨子
末武 久佳
登録日 2003-07-18 
登録番号 商標登録第4692776号(T4692776) 
商標の称呼 アールワン、アアルワン、アアルエヌイイ、マルアアルエヌイイ 
代理人 特許業務法人樹之下知的財産事務所 
代理人 特許業務法人三枝国際特許事務所 
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