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審決分類 審判 一部無効 商4条1項15号出所の混同 無効としない Y09
審判 一部無効 商4条1項7号 公序、良俗 無効としない Y09
管理番号 1258186 
審判番号 無効2010-890071 
総通号数 151 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2012-07-27 
種別 無効の審決 
審判請求日 2010-09-02 
確定日 2012-05-14 
事件の表示 上記当事者間の登録第4891354号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4891354号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成16年11月11日に登録出願、第9類及び第38類に属する別掲2のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同17年7月28日に登録査定、同年9月2日に設定登録され、その後、商標登録の一部取消し審判により、その指定商品及び指定役務中、第38類「電気通信(放送を除く。),電気通信ネットワークへの接続の提供,放送,報道をする者に対するニュースの供給,電話機・ファクシミリその他の通信機器の貸与,電気通信に関する情報の提供,電気通信に関するコンサルティング,放送番組表に関する情報の提供」についての登録を取り消す旨の審決がされ、同22年10月21日にその確定審決の登録がなされたものである。

第2 引用商標
請求人が本件商標登録の無効の理由に引用する登録商標は、以下の1ないし4のとおりである。
1 登録第4715131号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲3のとおりの構成からなり、平成15年1月30日に登録出願、第9類及び第38類に属する別掲4のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同年10月3日に設定登録され、現に有効に存続するものである。
2 登録第4400293号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲5のとおりの構成からなり、平成11年6月25日に登録出願、第9類に属する別掲6のとおりの商品を指定商品として、同12年7月14日に設定登録されたものであるが、存続期間の満了により、その登録の抹消が同23年3月16日にされたものである。
3 登録第4431588商標(以下「引用商標3」という。)は、「INTEL INSIDE XEON」の欧文字を標準文字で表してなり、平成11年7月15日に登録出願、第9類に属する別掲7のとおりの商品を指定商品として、同12年11月10日に設定登録され、現に有効に存続するものである。
4 登録第4721003商標(以下「引用商標4」という。)は、「INTEL INSIDE CENTRINO」の欧文字を標準文字で表してなり、2002年7月4日にドイツ連邦共和国においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して、平成14年12月4日に登録出願、第9類に属する別掲8のとおりの商品を指定商品として、同15年10月24日に設定登録され、現に有効に存続するものである。
以下、引用商標1ないし4を一括して、単に「引用各商標」ということがある。

第3 請求人の主張
請求人は、本件商標の指定商品中、第9類「電気通信機械器具用モジュール,その他の電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」についての登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び弁駁の理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第70号証(枝番を含む。)を提出した。
1 請求の理由
(1)利害関係
請求人は、世界的に広く知られている半導体メーカーであり、その所有に係る引用各商標は、請求人の取り扱いに係る商品の出所識別標識として継続使用されており、本件商標の登録出願時には既に請求人の商品を表示するものとして周知著名であった。
本件商標は、請求人の商品の出所表示として極めて著名な引用各商標と同じ綴りの“Inside”の文字を含み、かつ、請求人が実際に取り扱う商品と同一又は類似若しくは密接に関連する商品を指定商品に含むものであるから、請求人の業務に係る商品と出所の混同を生ずるおそれがある。また、本件商標は、引用各商標の世界的な名声、顧客吸引力に便乗するものであり、少なくとも、請求人と無関係の被請求人が本件商標を使用すれば、請求人の著名商標の出所表示力が希釈化され、請求人に精神的及び経済的な損害を与えることが明らかである。
したがって、請求人は、本件商標の登録無効審判請求について利害関係を有する。
(2) 本件商標登録を無効とすべき理由
ア 商標法第4条第1項第15号該当性
(ア)請求人会社の沿革及び名声
請求人「Intel Corporation」(インテル・コーポレーション)は、1968年(昭和43年)7月18日にアメリカ合衆国カリフォルニア州で創業された世界最大の半導体製品メーカーである。請求人の日本での本格的な営業活動は、1971年(昭和46年)10月開設の「インテルコーポレーション日本支社」(東京都渋谷区)により開始され、1976年(昭和51年)4月28日には「インテルジャパン株式会社」(東京都世田谷区)として法人登記され、その後、1997年(平成9年)に「インテル株式会社」と名称変更して現在に至る(甲5)。
半導体業界における請求人の名声は、1970年(昭和45年)に世界初のICメモリ(商用DRAM)「1103」を、また、1971(昭和46年)年に世界初のマイクロプロセッサ「4004」を開発したことに始まり、これ以後、現在に至るまで、例えば、デスクトップ型パーソナルコンピュータ向けのプロセッサでは、「8008」、「8086」、「286」、「INTEL 386」、「INTEL 486」、「Pentium」、「Pentium II」、「Celeron」、「Pentium III」、「Pentium 4」といったように、数年毎に先進技術のマイクロプロセッサを開発、製品化し(甲6)、マイクロプロセッサの世界市場の約80%を占めている(甲7、甲42)。
請求人の世界半導体市場の売上ランキングは、1989年(平成1年)の8位、1990年(平成2年)の5位、1991年(平成3年)の3位に続き、1992年(平成4年)に1位を獲得して以降、2009年(平成21年)まで18年連続して半導体売上高で世界第1位を維持している(甲5、甲8)。
請求人のハウスマーク「INTEL」のブランド評価額は、既に1993年(平成5年)の時点で178億1,000万米ドル(全米第3位)と推定されていた(甲43)が、その後も上昇を続け、英国のブランド評価コンサルティング会社インターブランド(Interbrand)社が行った2003年(平成15年)度評価では、311億1,000万米ドル、世界第5位(甲44)、2004年(平成16年)度評価では、334億9,900万米ドル、世界第5位にランキングされていた(甲45)。インターブランド社による最新の評価でも、2009年(平成21年)は、306億3,600万米ドル、世界第9位にランキングされている(甲46)。
(イ)引用各商標「intel/inside」によるブランド戦略と「 INSIDE」形式の知名度
1990年(平成2年)末から1991年(平成3年)初頭、請求人は、その商号商標「INTEL」を冒頭に冠した「INTEL INSIDE」の文字及び「intel\inside」の文字からなるロゴマーク(引用商標1)を商標として採択し、膨大な広告費用を投じて、引用各商標「intel/inside」のロゴマークと「インテル、入ってる」のキャッチコピーを用いたテレビコマーシャルを含む広告宣伝活動を展開すると共に、当該商標に関する商標使用許諾制度「インテル・インサイド・プログラム」(INTEL INSIDE PROGRAM)を導入した(甲10)。例えば、日本国内では、日本電気、松下電器産業(現パナソニック)、日立製作所、シャープ、三菱電機、東芝、ソニー、富士通、日本IBM、セイコーエプソン、デルコンピュータといった日本を代表する大手電機・コンピュータメーカーに引用各商標が使用許諾され、これらのライセンシーが製造販売するコンピュータ関連の商品及びその広告活動に広く使用されるに至った(甲11?甲38)。
このインテル・インサイド・プログラムは、請求人のプロセッサを搭載したライセンシーの製造に係るパソコン等の最終製品に引用各商標のロゴマークステッカーを貼付して表示し、さらに、当該ライセンシーの製品の広告宣伝活動にも引用各商標の使用を許容して、その広告宣伝費の一部を請求人が支援するというユニークなライセンス方式を特色とするものである(甲39、甲40)。
請求人の主要商品であるマイクロプロセッサ等の半導体製品は、これによって制御される最終製品(例えば、パソコン、携帯電話、情報通信機器、デジタル腕時計、電子レンジ、エアコン、自動車、ロケットとその用途は極めて多様である)の中に主要部品として内蔵されるものであるため、最終製品の購買者である一般消費者は外部から見ることができないものである。しかし、上記インテル・インサイド・プログラムを用いたマーケティング戦略により、請求人のプロセッサを搭載したパソコン等の最終製品は、他社のプロセッサを搭載した最終製品から容易に識別することが可能となった。これにより請求人は、他社のプロセッサを搭載した最終製品(パソコン)から自社のプロセッサを搭載した最終製品(パソコン)を差別化することに成功すると同時に、引用各商標は、請求人の高度な技術に裏打ちされた高い品質を最終製品の需要者(すなわち一般消費者)に保証する機能を果たすこととなり、一般消費者における請求人及び引用各商標の知名度は大きく上昇したのである(甲5、甲39、甲40)。
加えて、1994年(平成6年)頃から急速に浸透した職場環境におけるパソコン一人一台時代の到来(甲41)、一般家庭へのパソコンの普及、インターネット等情報通信技術産業の発展と相まって、請求人及び引用各商標の知名度は、半導体・コンピュータ関連の取引者、特定層の需要者のみならず、業種を越えて、一般の消費者を含む広範囲の需要者の間でも広く知られ不動のものとなった。
請求人が、自社の商標「intel/inside」を最終製品メーカーに使用許諾して、ライセンシーの広告宣伝費を援助することにより、自社商標の知名度を最終製品の需要者である一般消費者にまで広く認識させることに成功したインテル・インサイド・プログラムは、請求人が開発、導入して成功したブランド・マーケティング戦略のビジネスモデルとして高く評価されていることで有名である(甲47、甲48)。
(ウ)「 INSIDE」形式の商標は請求人の商品等出所識別標識として認識理解されている
請求人は、引用各商標及び「INTEL INSIDE」(甲49)のみならず、これらの商標と同様に「INSIDE」と他の語を組み合わせ、かつ、「INSIDE」の語で完結する「 INSIDE」形式の商標(甲51?甲57)をファミリー商標として所有し、商標登録を取得し、これらのうちの多くは、現在に至るまで継続して使用されている(甲11?甲38、甲58?甲61)。
また、請求人は、これらの「 INSIDE」形式のファミリー商標について、世界各国で総計500件を超える商標登録を所有している(甲62)。
このように、請求人の商品等の出所識別標識としての著名性は、引用各商標にとどまらず、「 INSIDE」の形式自体にまで及ぶものである。つまり、インテル・インサイド・プログラムによる広範囲な使用を通じた「intel/inside」の高度な著名性の獲得により、上記引用各商標に共通する「 INSIDE」の形式は、取引者、需要者の間で請求人の業務に係る商品の出所を表示する識別標識として認識理解されている。
例えば、諸外国における判決(甲63?甲69)は、「 INSIDE」形式の商標を他人が使用した場合には、請求人の著名商標「INTEL INSIDE」と共通する「 INSIDE」の形式が請求人と何らかの経済的又は組織的な関係を取引者、需要者に示唆し、請求人の業務に係る商品又は役務と出所混同を生ずるおそれがあり、また、そのような商標の使用は請求人商標の顧客吸引力への便乗行為であると認定して、他人による「 INSIDE」の形式の商標の登録及び使用を禁じている。
上記判決の存在は、「 INSIDE」の形式自体が、取引者、需要者に請求人若しくは請求人の著名商標「intel/inside」を想起連想させ、請求人の業務に係る商品等と誤認混同を生じさせるおそれが認められたことを証明するものである。
以上より明らかなとおり、引用各商標は、本件商標の登録出願時から設定登録時に至るまで、請求人の業務に係る商品を表示するものとして取引者及び需要者(一般の消費者を含む)の間で広く認識され著名であったものである。また、「intel/inside」をはじめとする引用各商標に共通して採用する「 INSIDE」の形式は、請求人が採択する「 INSIDE」形式のファミリー商標の基幹的構成要素となっており、当該「 INSIDE」形式自体もまた、請求人の商品の出所識別標識として取引者、需要者に広く認識されていたものである。
(エ)本件商標の構成の特徴
本件商標は、黒塗りの正方形の図柄の中に「KDDI」、「Module」及び「Inside」と横書きした文字を上中下三段に平行に配置したもの(以下「KDDI\Module\Inside」という。)と、当該正方形の下に黒白の横縞からなる図柄を右上方向にずらして重ね合わせたものからなる商標である(甲1の1)。
本件商標の構成文字「KDDI\Module\Inside」は、請求人及びそのライセンシーが使用して世界中で広く知られている「intel/inside」をはじめとする引用各商標が構成する「 INSIDE」形式のファミリー商標に共通する「 INSIDE」の形式を使用している。
この「 INSIDE」の形式は、請求人が創造したフレーズであり、英文法の観点よりみても、文法規則から外れた特異な表現であり、それゆえに、当該形式自体が取引者、需要者に強く印象付けられ、自他商品役務の識別標識として機能する。
引用各商標は、上述したインテル・インサイド・プログラムを通じて、取引者のみならず、一般消費者を含む需要者において著名なものであることから、「 INSIDE」形式を採用した商標に接した取引者、需要者は、「INSIDE」の前に位置する語の如何を問わず、「 INSIDE」という形式に注意を惹かれてこれに着目し、引用各商標を直感するから、商品の出所源として請求人を想起連想する。
したがって、他人が「 INSIDE」と同じ形式を使用すれば、需要者は引用各商標と請求人を直ちに想起連想し、請求人が使用する引用各商標のファミリー商標のひとつであって、請求人がライセンスするものと誤信する可能性が高い。
本件商標に接する者は、その構成文字「KDDI\Module\Inside」の構成語である「KDDI」、「Module」及び「Inside」の文字部分を別個に抽出して、「intel/inside」をはじめとする引用各商標の個々の構成語と比較対照する訳ではない。つまり、本件商標を観る者は、「KDDI\Module\Inside」という構成文字全体を一纏まりのフレーズとして認識理解し、その構成全体の特徴を商品出所識別標識として理解するとみるのが自然である。
したがって、本件商標において、「 INSIDE」という形式が取引者、需要者の注意、関心を引き、これと同じ形式を特徴とする請求人の引用商標1をはじめとする引用各商標と請求人を容易に想起連想させるというべきである。
(オ)本件商標の指定商品「電気通信機械器具用モジュール,その他の電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」
請求人の代表的半導体製品であるマイクロプロセッサは、コンピュータが動作するための核となる演算処理機能を一つのLSIに集約したものであり、パソコン・携帯情報機器等のコンピュータや通信機器だけでなく、デジタル腕時計、電気アイロン、電子レンジ、電気炊飯器、冷凍・冷蔵庫、加湿器、エアコン等の電気製品や、自動車、ロケット等に至る多様な機器に内蔵され、その制御を司る重要部品である。また、請求人は、半導体製品、コンピュータ、ネットワーク通信機器、ソフトウェア製品等の分野における設計、コンサルティング、プログラムの提供、研究開発等のサービス提供者としても広く知られている(甲5)。
本件商標が使用される指定商品「電気通信機械器具用モジュール,その他の電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」(以下「本件商品」ということがある。)は、請求人の主要取扱い商品である半導体製品、並びにコンピュータ及びネットワーク通信関連製品、さらには、これらと関係が密接な商品を包含する。また、本件商品は、半導体製品を主要部品として内蔵し、これにより制御される電子機器や通信機器を包含する。
したがって、本件商標の指定商品中、本件商品は、引用各商標に係る指定商品並びに請求人の取り扱いに係る商品と同一又は類似若しくは密接に関連するものを含むことは明らかである。
(カ)ライセンシーによる引用各商標の使用の事実
上述のとおり、請求人がインテル・インサイド・プログラムに基づき、引用各商標を多数の大手コンピュータメーカー等の企業に使用許諾し、引用各商標は請求人自身の商品のみならずライセンシーが取り扱う商品にも広く使用され周知である点にも留意すべきである。
(キ)出所混同のおそれ
前記事情の下で、被請求人が、「 INSIDE」の形式からなる本件商標を使用すれば、これに接した者は、本件商標から著名商標「intel/inside」を想起連想し、本件商標を請求人の所有する「 INSIDE」形式のファミリー商標の一つであると誤信し、請求人より使用許諾を受けて使用するものであると誤信するおそれがあることは明らかである。
また、本件商標に接した者は、被請求人が取り扱う商品に対して請求人が何らかの承認、保証を与え、あるいは、その開発、製造販売、提供等において請求人が被請求人と業務提携、技術協力、後援等を行なっていると誤信するおそれもある。
商品及び役務の出所混同のおそれとは、他人によって取引過程に置かれた商品等であると誤信される場合のみならず、当該他人と何らかの経済的又は組織的な関係を有する者によって取引過程に置かれた商品等であると誤信される場合(いわゆる広義の混同)も含むと解されることはいうまでもない。
判決(甲70)に示された商標法第4条第1項第15号の規定適用の判断基準に照らせば、仮に本件商標と引用各商標に同項第11号の要件を満たす程度の類似性がないとしても、本件商標を構成する「 INSIDE」の形式は、請求人の商品の出所表示として世界的な著名性を有する引用各商標と共通する形式である。本件商標に接する取引者、需要者は、本件商標の「 INSIDE」の形式に強く印象付けられ、請求人の著名な引用各商標を想起連想し、本件商標を請求人の所有する「 INSIDE」形式のファミリー商標の一つであると誤信し、請求人より使用許諾を受けて使用するものであると誤信するおそれがあるとみるべきである。
本件商標と引用各商標の類似性の程度、引用各商標の周知著名性及び独創性の程度、本件商標の指定商品と請求人の業務に係る商品との関連性の程度に照らし、本件商標の指定商品の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として総合的に判断すれば、本件商標が請求人の業務に係る商品と混同を生じるおそれがあることは明白である。
(ク)フリーライド及び希釈化(ダイリューション)について
商標法第4条第1項第15号が、いわゆる狭義及び広義の出所混同を防止する趣旨にとどまらず、著名商標へのフリーライド、さらには「フリーライドのみならず、ダイリューションなども防止する趣旨であると解される」(甲70)。
本件商標は、請求人の著名商標「intel/inside」と同じ「 INSIDE」の形式を採択することにより、取引者、需要者の注意、関心を集め、引用各商標の顧客吸引力にフリーライドし、あるいは、引用各商標の有する強力な出所表示機能を希釈化するものである。
引用各商標は、本件商標の登録出願前から本件指定商品と同一又は類似若しくは密接に関連する商品に使用されていたものである。本件指定商品を取り扱う被請求人が、本件商標の登録出願時に請求人の商標として世界的に広く知られている引用各商標について不知であったとは考え難い。
本件商標は、引用各商標が獲得している世界的な名声と顧客吸引力にフリーライドし、これにより、被請求人の市場参入を容易化し、不当に商業的利益を得んとする意図がうかがえる。それのみならず、本件商標は、引用各商標の出所表示力を希釈化して引用各商標のブランド価値を低下させ、請求人の資産価値を毀損するものである。引用各商標は、英文法の観点よりみても、文法法則から外れた特異な表示形式であり、独創性の高い標章である。
このような状況の下で、取引者、需要者に請求人を容易に連想、奇想させる本件商標を、請求人と無関係の被請求人が使用すれば、請求人の業務に係る商品と強く結合している引用各商標の出所表示力が希釈化され、これにより、世界的な著名商標である引用各商標のブランド価値が低下し、請求人の資産に重大な損害を及ぼすことは避けられない。
本件商標は、引用各商標の著名性へのフリーライド、出所表示力の希釈化(ダイリューション)という観点からも商標法第4条第1項第15号に該当することが明白である。
以上より、本件商標が指定商品中、第9類「電気通信機械器具用モジュール,その他の電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」に使用されたときには、請求人の業務に係る商品と出所混同を生ずるおそれがあるから、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。
イ 商標法第4条第1項第7号該当性
上述のとおり、本件商標は、請求人及び請求人の商標ライセンシーが取り扱う商品と同一又は類似若しくは密接に関連する商品に使用されるものである。本件商標の登録出願時において、引用各商標は請求人の商品等出所表示として世界的に広く知られていたものであり、さらに、引用各商標がインテル・インサイド・プログラムに基づき、国内大手電機メーカーを含む多数のライセンシーに使用許諾されている事実は当該業界において周知であったから、被請求人が、請求人の著名商標「intel/inside」の存在、あるいはインテル・インサイド・プログラムに基づきライセンシーによって引用各商標が使用されている事実について不知で、偶然に本件商標を採択したとは考え難い。
請求人が引用各商標に採択する「 INSIDE」の形式は、誰もが普通に採択する通常の表現ではなく、請求人が独自に創造したフレーズであることは既に述べたとおりである。「 INSIDE」の形式の商標は、請求人が1991年以降、引用各商標「intel/inside」を「インテル、入ってる。」というテレビコマーシャルのキャッチコピーを用いるなどして継続的に使用し、その広告宣伝活動に多大な資本と労力を投下した結果、世界中の取引者、需要者間で広く知られるようになったものである。
引用各商標の世界的な著名性の獲得に、インテル・インサイド・プログラムの導入が寄与している事実は、引用各商標の採択とインテル・インサイド・プログラムに関する多数の文献の存在が示すとおりである(甲39、甲40、甲47、甲48)。
請求人が引用各商標に対して獲得した著名性によって、今日、「 INSIDE」の形式は、請求人の業務に係る商品の出所を表示するファミリー商標の基幹的構成要素として、取引者、需要者に広く認識されている(甲5、甲63?甲69)。引用各商標及び引用各商標に採択される「 INSIDE」形式のファミリー商標ブランドとしての価値は計り知れない。
商標として他に多数の選択肢が存在するにもかかわらず、あえて「 INSIDE」の形式を採択した本件商標は、著名商標「intel/inside」の世界的な名声にフリーライドするものであり、引用各商標の顧客吸引力に便乗して取引者、需要者の注意・関心を集めて、自己の取扱商品の宣伝広告及び営業活動を有利に展開し、これにより商業的利益を得んとする不正の目的で採択使用されるものと推認せざるを得ない。
また、請求人を容易に連想、想起させる本件商標を、請求人と無関係の者が使用すれば、世界的に著名な引用各商標の出所表示力が希釈化され、これにより、引用各商標のブランド価値が低下し、請求人の資産に重大な損害を及ぼすことは避けられない。
「 INSIDE」の形式の商標の他人の登録及び使用を禁じた諸外国における判決等の存在(甲63?甲69)に照らしても、本件商標の登録及び使用の容認は、公正な商取引秩序の維持を旨とする商標法の精神に反するのみならず、周知著名商標に付与されるべき国際レベルの保護と著しくかい離するものといわざるを得ず、国際信義に反することは明白である。
以上のとおり、本件商標は、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがあるから、商標法第4条第1項第7号に違反して登録されたものである。
(3)結語
以上のとおり、本件商標の指定商品中、第9類「電気通信機械器具用モジュール,その他の電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」は、商標法第4条第1項第15号又は同第7号に違反して登録されたことは明らかである。
よって、本件商標は、商標法第46条第1項第1号により、その指定商品中「電気通信機械器具用モジュール,その他の電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」についての登録を無効とされるべきである。
2 弁駁の理由
(1)商標法第4条第1項第15号について
ア 被請求人の著名性について
被請求人は、乙3ないし乙7並びに乙12及び乙13によって、被請求人名称「KDDI株式会社」、その略称「KDDI」及び商号商標「KDDI」は、極めて著名である旨主張するが、被請求人の提出した証拠は、「KDDI」の表示が本件商標の登録査定の時点で著名であったことを立証するものではない。
また、被請求人は、被請求人名称「KDDI株式会社」、その略称「KDDI」及び商号商標「KDDI」は、本件商標の登録出願時のはるか以前より今日まで、個人・法人を問わず、携帯電話・固定電話・インターネット通信の利用者の間で極めて著名になっているとも主張するが、被請求人がその名称を「KDDI株式会社」に変更したのは2001年(平成13年)4月であるから、それからわずか3年7ヵ月の期間で極めて著名にまでなっていたとは認め難いといわざるを得ない。被請求人は、数多くの著名人を採用し、極めて多くのCMを提供してきたと主張するが、広告回数、広告費用等の詳細が不明であり、被請求人が言うところの、本件商標の登録出願時のはるか以前より「KDDI」の表示が極めて著名になっていたことを立証するに至っていない。
よって、被請求人名称「KDDI株式会社」、その略称「KDDI」及び商号商標「KDDI」は、本件商標の登録査定時において著名であったとは認められないものである。
イ 本件商標の構成
被請求人は、本件商標の「KDDI」から本件商標が携帯電話・固定電話・インターネット等の通信サービス分野において著名な「KDDI株式会社」に関連あるものであることを認識せしめると主張するが、上述のとおり、少なくとも本件商標の登録査定時においては、「KDDI」の表示が著名であったとは認められないものである。
また、被請求人は、「Module」及び「Inside」部分から「モジュール(電子工学、コンピュータ)が内部に」とでもいった意味合いを間接的に想起せしめると主張するが、本件商標の構成中、「KDDI」の表示が登録査定の時点で著名であったと認められないこと、「KDDI」と「Module」が同じ大きさの文字で書され、「Inside」の文字だけが約2倍の大きさで強調されて目立った態様で書されているところから、「Module」と「Inside」の文字だけから特定の意味合いを想起するとは考えられない。むしろ、「KDDI」と「Module」の文字が同じ大きさであることから、一体的に捉えられ一つの熟語として認識され、本件商標は、本件商標の登録査定時には、一つの熟語と「Inside」の文字からなる商標と認識されるものであったと考えられる。
そうすると、本件商標は、「INSIDE」の形式からなる商標に他ならず、その登録査定時には「KDDI株式会社」に関連あるものであると認識されることもなかったものであるから、本件商標に接した者は、本件商標から請求人の著名な商標“intel/inside”を想起連想し、本件商標を請求人の所有する「 INSIDE」形式のファミリー商標の一つであると誤信し、請求人より使用許諾を受けて使用するものであると誤信するおそれがあることは明らかである。
また、被請求人は、欧文字「inside」を上述の「モジュール(電子工学、コンピュータ)が内部に」といった意味合いを暗示させる目的で使用することがごく自然なことであると述べるが、「INSIDE」の形式は、請求人が創造したフレーズであり、英文法の観点よりみても、文法規則から外れた特異な表現であり、ごく自然な使用方法ではない。それゆえに、当該形式自体が取引者、需要者に強く印象付けられ、自他商品役務の識別標識として機能するものである。欧文字「inside」が「INSIDE」の形式で使用されることが多々見られるのは、その使用がごく自然なことであるからではなく、請求人の著名な商標「intel/inside」を認識したうえで、その著名性にフリーライドしようとするものだからである。
ウ 出所混同を生ずるおそれ
被請求人は、本件商標は、取引者、需要者をして、本件商標の使用に係る商品が「KDDI株式会社」自身ないし同社と親子関係あるいは系列関係にある法人の業務に係るものである、あるいは、「KDDI株式会社」と関係のある一定の商品化事業に関与する法人の業務に係るものであると明確に認識せしめるとともに、同商品にモジュール(電子工学、コンピュータ)が内蔵されていることを暗示させるため、本件商標の使用に係る商品に接した取引者、需要者をして引用各商標と混同を生ずるおそれを抱かせるような構成態様のものでなないと主張する。
しかしながら、上述のとおり、少なくとも本件商標の登録査定時においては、本件商標の構成中「KDDI」の表示が著名であったとは認めることはできない。また、「KDDI」と「Module」が同じ大きさの文字で書され、「Inside」の文字だけが約2倍の大きさで強調されて目立った態様で書されている本件商標の構成からは、「Module」と「Inside」の文字だけから特定の意味合いを想起するとは考えられない。
よって、少なくとも本件商標の登録査定時においては、本件商標の構成中「KDDI」、「Module」、「Inside」の文字から、取引者、需要者をして、本件商標の使用に係る商品が「KDDI株式会社」自身ないし同社と親子関係あるいは系列関係にある法人の業務に係るものである、あるいは、「KDDI株式会社」と関係のある一定の商品化事業に関与する法人の業務に係るものであると明確に認識せしめるということはなく、同商品にモジュール(電子工学、コンピュータ)が内蔵されていることを暗示させることもなかったものである。したがって、本件商標は、本件商標の使用に係る商品に接した需要者取引者をして引用商標と混同を生ずるおそれを抱かせるような構成態様のものでなないとの被請求人の主張には理由がない。
更に、被請求人は、本件商標の使用に係る商品が2006(平成18年)年7月に初めて販売されて以来、既に4年以上使用され続けているが、取引者、需要者が引用商標と誤認混同した事例は一つも存在しない旨を主張するが、商標法第4条第1項第15号は、混同を生ずるおそれがある商標について規定するものであり、実際に混同が生じたか否かを問うものではないから、被請求人のこの主張にも理由がない。
なお、被請求人は、被請求人の略称・商号商標「KDDI」は、請求人の略称・商号商標「intel」よりも日本において一般の個人や法人の間ではるかに広く知られていると述べているが、根拠が全く不明である。
以上より、本件商標は、引用商用との関係において、出所の混同を生ずるおそれのある商標ではないとの被請求人の主張は理由がない。
エ 特許庁における審査例
被請求人は、引用商標が登録第1757484号(乙10の1)及び登録第4373454号(乙10の2)と併存して登録を認められたことをもって、引用商標中「inside」部分のみが独立して強い識別力を発揮することがないと主張するが、請求人は、引用商標中「inside」部分のみが独立して強い識別力を発揮するとは一切主張していない。請求人が主張するのは、「 INSIDE」の形式は請求人が創造したフレーズであり、英文法の観点よりみても、文法規則から外れた特異な表現であり、それゆえに、「 INSIDE」形式自体が取引者、需要者に強く印象付けられ、自他商品役務の識別標識として機能するということである。
(2)商標法第4条第1項第7号について
被請求人は、「INSIDE」は「内部、内部に」等を意味する普遍的な語であり、例えば「What is inside?」(何かはいっているのか?)とでもいったふうにごく一般的に使用され、他の語と「INSIDE」の語の結合からなる構成態様が請求人の独創であるとは認められないと主張する。
しかしながら、「is」の語は名詞、形容詞、副詞又は前置詞として使用されるものであるから、名詞の後ろに結合される場合には必ず「is」等の動詞が付されるものである。よって、請求人の商標「intel/inside」のような形式は、英文法の規則から外れた特異な表現であり、請求人が使用する前には誰も使用していなかった請求人が創造したフレーズである。
以上より、本件商標は、社会公共の利益に反し、又は社会の一般的な道徳観念に反することはないとの被請求人の主張は理由がない。

第4 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第13号証(枝番を含む。)を提出した。
1 商標法第4条第1項第15号該当性
(1)被請求人の沿革・概要・著名性
被請求人「KDDI株式会社」は、1985年(昭和60年)の電気通信事業自由化に基づき自動車電話事業・携帯電話事業に参入した「第二電電株式会社」(DDI)及び「日本移動通信株式会社」(IDO)、並びに、従来より国際電信電話業務を営んでいた「ケイディディ株式会社(前身:国際電信電話株式会社)」(KDD)が2000年(平成12年)10月に「株式会社ディーディーアイ」の名称の下に合併、半年後の2001年(平成13年)4月に現名称「KDDI株式会社」に変更のうえ、今日に至るものである(乙2、乙3)。
被請求人は、携帯電話・固定電話・インターネット通信その他の通信事業、ITソリューション事業、並びに、これらの技術やノウハウを利用した各種の関連事業をその主たる業務としている。個人向けには、携帯電話サービス、ブロードバンド・インターネットサービス、固定電話サービス及び国際電話サービス並びにコンテンツサービスを提供する一方、法人を対象に、的確かつ有効なICT基盤を企業に提供するサーバーセントリュックソリューション事業)、法人向けの通信サービスに関するFMCソリューション事業並びに法人をトータルかつワンストップで世界と結びつけるグローバルICTソリューション事業を手掛けている。更には、被請求人は、高速モバイルインターネットサービス、携帯電話を利用した銀行決済システム、CATVによる多チャンネル放送・高速インターネット・電話サービスといった事業を他企業と締結のうえ手掛ける等、通信を利用した新たな事業にも積極的に関与している(乙3、乙4)。
携帯電話・固定電話・インターネット通信等は、個人の日常生活及び法人の経済活動に不可欠のツールであり、通信自由化を契機に急速に浸透した。例えば、携帯電話の一般世帯における普及率は、1993年(平成5年)3月には「3.2%」であったのが、わずか10年間に爆発的に普及し2003年(平成15年)3月には「94.4%」に達し、その後ずっと90%ないし96%を維持している。また、パソコンや携帯電話等のモバイル端末を利用したインターネットの世帯利用率は、2002年(平成14年)以降今日まで80%前後?92%程度を維持している。法人においては、携帯電話・固定電話・インターネット通信の普及率・利用率は一般世帯よりも極めて高いばかりでなく、より高度かつ複雑な形態で利用されている(乙5、乙6)。
被請求人は、商号商標「KDDI」及び商標「au」を主たるブランドに位置づけ、また、その他の商標を使用しつつ、携帯電話・固定電話・インターネット通信その他の通信事業、ITソリューション事業、並びに、これらの技術やノウハウを利用した各種の関連事業等を展開しているが、同事業に関する日本の中枢的企業の一つとして順調に事業規模を拡大し、今日、社員数18,301名、資本金141,851百万円(2010年3月現在)の企業に発展している。
本件商標が出願・登録された当時の営業収益は2兆9200億円(2005年3月期通期、このうち電気通信事業・2兆3005億円)、3兆06080億円(2006年3月期通期、このうち電気通信事業・2兆3985億円)である。2006年(平成18年)3月末における携帯電話の契約数は2,313万台、インターネット契約(DION、FITH)の契約数は297万台等、被請求人が提供する事業は日本市場に深く浸透し、日本在住の個人あるいは法人の相当数が被請求人の顧客である。被請求人は、商号商標「KDDI」を2000年(平成12年)10月以来ずっと自己の業務の全てに使用するとともに、携帯電話事業には商標「au」を併せて使用してきたが、2003年(平成15年)10月からは、商号商標「KDDI」及び商標「au」に加えて、両商標をコンバインした態様の商標「au byKDDI」を使用することによって、主力事業である携帯電話の顧客(個人及び法人)に対して、同事業が「KDDI株式会社が提供する携帯電話事業」であることをより一層強く印象づけている。
また、被請求人は、TVその他のマスメディアを媒体とする宣伝広告に力を入れており、女優「仲間由紀恵」を2002年(平成14年)4月以降総合イメージキャラクターとして起用し続ける他、数多くの著名人が登場する極めて多くのCMを提供してきた。
さらに、「木曜ナイトドラマ」「Music Lovers」「エンタの神様」「ダウンタウンDX」「24時間テレビ・アイは地球を救う」他(以上、日本テレビ系)、「ひるおび」「ひみつの嵐チャン」「月曜ゴールデン」「うたばん」他(以上、TBS系)、「SMAPxSMAP」「火曜夜10時枠の連続ドラマ」「木曜劇場」他(以上、フジテレビ系)、「水曜夜9時枠の連続ドラマ(相棒シリーズを含む)」「MUSIC STATION」「easy soprts」他(以上、テレビ朝日系)、「ベストヒットUSA2009」(以上、BS朝日)、「au ONAIR MUSIC CHART」「SCHOOL OF LOOK!(学校の英雄)」(以上、FMラジオ)等の番組を提供しており、かつては、これ以外にも数多くの番組を提供してきた(乙3、乙7、乙12、乙13)。
上述のように、被請求人が提供するサービスは、個人や法人の活動に不可欠であり、これらの者の日常活動・経済活動に密接に関わっている。そして、被請求人は、日本においてこれらのサービスを提供する中核的企業として相当多数の市場占有率を誇り、かつ、積極的に宣伝広告活動を行っている。
このため、本件商標の登録出願時のはるか以前より今日まで、被請求人の名称、その略称「KDDI」及び商号商標「KDDI」は、個人・法人を問わず、携帯電話・固定電話・インターネット通信の利用者の間で極めて著名になっている。
また、携帯電話・固定電話・インターネット通信の利用者は、携帯電話等のモバイル端末やパソコン等の機器を購入し携帯電話・固定電話・インターネット通信のサービスを受けるものであるから、携帯電話等のモバイル端末やパソコン等の商品の需要者でもある。したがって、これらの商品の需要者においても、被請求人の名称、その略称「KDDI」及び商号商標「KDDI」は、極めて著名である。
(2)本件商標の構成・指定商品・使用
本件商標は、黒色の正方形とこの下に白黒の横方向ストライプで表現される正方形を右上方に少しずらして重ね合わせた図形、並びに、この図形中の黒色の正方形部分に白抜きに表示された欧文字「KDDI」「Module」「Inside」を上下三段に表示してなる構成からなる。
本件商標の構成中「KDDI」は、本件商標の権利者の著名な略称・商号商標「KDDI」に該当する。「Module」は、英語「module」に相当し、「(1)測定基準(単位)、(2)モジュール(建築・基準寸法算出法の一つ)、(3)モジュール(電子工学、コンピュータ)、(4)モジュール(宇宙・宇宙船の一部を成し、母船から独立して行動できるもの)、(5)モジュール(英・大学の履修の単位)」等を意味する。「Inside」は、英語「inside」に相当し、「(1)内側、内部、(2)内側に、内部に」等の意味を有する(乙8)。そして、本件商標の指定商品は、本件商品を始めとする様々な商品を含むところ、この中には電子工学の技術を利用した製品も数多く含まれる。
してみると、本件商標は、その全体構成において、「KDDI」から本件商標が携帯電話・固定電話・インターネット等の通信サービス分野において著名な「KDDI株式会社」に関連のあるものであることを認識せしめるとともに、「Module」及び「Inside」部分から「モジュール(電子工学、コンピュータ)が内部に」とでもいった意味合いを間接的に想起せしめる。
本件商標は、上記に述べた被請求人の事業中、法人向けの事業である「通信モジュールソリューション」事業において使用されている(乙9)。すなわち、被請求人は、同社が提供する通信サービスに適合する電気通信機械器具用モジュールを通信機械器具、電子応用機械器具等の製造会社に提供し、同モジュールを内蔵した通信機械器具、電子応用機械器具等は内蔵モジュールによりKDDI株式会社の通信サービスを利用することができるようにしている。本件商標を、上記モジュールを内蔵した通信機械器具、電子応用機械器具等について使用することにより、同モジュールを内蔵しない他の商品と識別させている。
(3)出所混同を生ずるおそれはない
本件商標の構成中、欧文字「KDDI」は、同欧文字が被請求人「KDDI株式会社」の著名な略称かつ著名な商号商標「KDDI」に相当すること、「KDDI」の文字が独創的かつ創造的な造語であること、このため、本件商標の指定商品や指定役務に関する事業分野はもちろんのこと、他の事業分野においても「KDDI」の文字を商号や商標に使用する法人が被請求人「KDDI株式会社」及びその傘下にある関連子会社以外には存在しないこと等からして、取引者、需要者をして、本件商標の使用に係る商品が「KDDI株式会社」自身ないし同社と親子関係あるいは系列関係にある法人の業務に係るものである、あるいは、「KDDI株式会社」と関係のある一定の商品化事業に関与する法人の業務に係るものであると明確に認識せしめる機能がある。そして、本件商標の構成中、欧文字「Module」「Inside」は、これら2語を併せて、「モジュール(電子工学、コンピュータ)が内部に」とでもいった意味合いを間接的に取引者、需要者に想起せしめる。
したがって、本件商標の構成中、欧文字「KDDI」「Module」「Inside」は、これら3つの語の全体をもって、取引者、需要者をして、本件商標の使用に係る商品が「KDDI株式会社」自身ないし同社と親子関係あるいは系列関係にある法人の業務に係るものである、あるいは、「KDDI株式会社」と関係のある一定の商品化事業に関与する法人の業務に係るものであると明確に認識せしめるとともに、同商品にモジュール(電子工学、コンピュータ)が内蔵されていることを暗示させる。
以上のように、本件商標には、本件商標の使用に係る商品に接した取引者、需要者をして引用各商標と混同を生ずるおそれを抱かせるような構成態様のものではない。
上述のように、本件商標は、被請求人の企画する事業に賛同する法人により、被請求人が提供する電気通信機械器具用モジュールを内蔵した通信機械器具、電子応用機械器具等について使用され、本件商標の使用に係る商品が同一商標の下に被請求人が企画する一定の商品化事業を営むグループによるものであることを表しているのである。そして、かかる企画は、引用各商標の使用に関する状況とは何らの関係もなく、したがって、本件商標の使用により、引用各商標に関する業務と出所混同を生ずるおそれは一切ない。
本件商標が2006年(平成18年)7月に使用開始されて以来、既に4年間もの期間にわたって本件商標及び引用各商標が併存して使用されていたにもかかわらず誤認混同が一切生じなかったのであり、このことは、本件商標が、そもそも、商標標第4条第1項第15号が規定する「出所混同を生ずるおそれ」のない商標であることを明白に裏付けている。
前記(1)で述べたように、「KDDI」は、我が国の極めて大多数の者に広く知られた、著名な略称・著名な商号商標である。この点、請求人の略称・商号商標の周知著名性については不知であるが、少なくとも、請求人会社の製品(マイクロプロセッサ)がその性格上パソコンメーカー等極めて限られた電気機械器具製造会社を顧客にするにすぎず、一般個人や前記以外の法人には馴染みがないこと、TVその他のマスメディアを媒体とする宣伝広告活動の量において被請求人よりは少ないであろうと思われること等を考慮するに、被請求人の略称・商号商標「KDDI」は、請求人の略称・商号商標「intel」よりも日本において一般の個人や法人の間でよりもはるかに広く知られているであろうと考える次第である。
ともあれ、上述のように、本件商標は、その構成中著名な略称・商号商標に相当する「KDDI」により、同商標の使用に係る商品が「KDDI株式会社」ないし同社と親子関係あるいは系列関係にある法人の業務に係るものである、あるいは、「KDDI株式会社」と関係のある一定の商品化事業に関与する法人の業務に係るものであると明確に認識せしめる。他方、請求人の引用各商標も、その構成中「intel」により、同商標の使用に係る商品が請求人ないし請求人と親子関係あるいは系列関係にある法人の業務に係るものである、あるいは、請求人と関係のある一定の商品化事業に関与する法人の業務に係るものであると明確に認識せしめる。以上のように、本件商標は、引用各商標とは出所混同のおそれが全くない。
更に、本件商標の指定商品中、本件商品は、一般に低廉な商品ではなく、また、同一の商品であっても付随する機能が大きく異なる等の事情がゆえに、これらの商品の需要者は、商品の購入を検討するに当たって、商品の特徴や優劣・価格妥当性等を自ら十分に吟味する、あるいは、販売員等から適切な情報を得る等のステップを経た後に商品購入の可否を判断するのが通常である。すなわち、これらの商品について十分な知識を有したうえで商品取引を行う必要のある取引者層はもちろんのこと、これらの商品の需要者層においても、商品購入に相当の注意を払うのが通常であって、かかる事情を考慮するに、本件商標は、引用各商標とは出所混同のおそれがない。
以上、本件商標は、引用各商標との関係において、出所の混同を生ずるおそれのある商標には該当しない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものではない。
(4)特許庁における審査例
引用各商標は、乙第10号証の1及び同2の2件の登録商標と併存して登録を認められたものであり、引用各商標中「inside」部分のみが独立して強い識別力を発揮することがないと認定されていることが理解できる。
また、乙第10号証の3に見られるように「inside」の語を「内部に」とでもいった意味合いで使用する用法がごく自然であり、そのことが、乙第10号証の4ないし同6の商標においても裏付けられている。
これら登録例からみても、本件商標は、商標法第4条第1項第15号には該当しない。
2 商標法第4条第1項第7号該当性
請求人は、引用各商標の周知著名性がゆえに、今日「 INSIDE」形式は全て請求人のファミリー商標として認識されるので、他者名義のかかる形式の商標は引用各商標にただ乗りし、引用各商標を希釈化するものであると主張している。
しかしながら、たとえ引用各商標が周知著名であったと仮定した場合であっても、それを根拠に、「 INSIDE」形式は全て請求人のファミリー商標として認識され請求人の独占に帰するかのごとく立論・主張することには、到底同意できない。上述のように、「INSIDE」は「内部、内部に」等を意味する普遍的な語であり、例えば「What is inside?」(中に何がはいっているのか?)とでもいったふうにごく一般的に使用される。他の語と「INSIDE」の語の結合からなる構成態様が請求人の独創であるとは認められないし、そもそも商標法は言語の独創的用法について登録するものではない。「 INSIDE」形式は全て請求人のファミリー商標として認識されるとの請求人の主張は、事実に反するものであり、請求人による立証もない。かかる根拠をもって、商標法第4条第1項第7号の適用を主張することは妥当とはいえない。
また、請求人は、外国における判例を引用しこれと同様の判断をしないことが国際信義に反するかのごとき主張をしているが、かかる主張は、本案が我が国商標法第4条第1項第7号の適用可否に関する論議であって、諸外国における登録や使用とはその根拠法令や基準が異なることや、本件商標とは諸事情を異にすることを失念し、強引に同号の適用を求めるものであり、明らかに失当である。
以上、本件商標は、被請求人の業務遂行のために請求人の引用各商標とは全く関係なく採択されたものであり、商標法の目的や国際信義に反するものではない。かような次第につき、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に違反して登録されたものではない。

第5 当審の判断
1 請求の利益について
請求人が本件審判を請求する利害関係を有することについては、当事者間に争いがなく、当審も、請求人は本件審判の請求人適格を有するものと判断するので、以下、本案について判断する。
2 商標法第4条第1項第15号該当性
(1)引用各商標の周知著名性について
ア 引用各商標
引用商標1は、別掲3のとおり、上部中央やや右側の部分がすれ違っている太さの異なる楕円状の円形内に「intel」、「inside」の各文字が上下二段にやや右上がりに表示されているものである。
引用商標2は、別掲5のとおり、上記引用商標1の下段部に「pentium !!!」の文字と感嘆符を配した組み合わせからなるものであり、引用商標3及び4は、前記第2のとおり、「INTEL INSIDE XEON」、「INTEL INSIDE CENTRINO」の欧文字を標準文字で表してなるものであり、いずれも構成中の語頭部に「intel Inside」又は「INTEL INSIDE」の文字を有するものである。
イ 周知著名性
請求人の主張及び提出に係る証拠によれば、以下の事実が認められる。
(ア)請求人(Intel Corporation)は、主として、マイクロプロセッサーの製造販売を業とする半導体メーカーであり、1968年(昭和43年)7月にアメリカ合衆国カリフォルニア州に設立され、50か国以上に海外事業所を有し、我が国では、1976年(昭和51年)に設立されたインテル株式会社を子会社として擁しており、1971年(昭和46年)に世界初のマイクロプロセッサー「4004」を発売した後、「8008」、「80286」、「intel486」、「Pentium」、「Celeron」、「Xeon」、「Core Duo」、「Core 2 Quad」、「Core i7」などのマイクロプロセッサーを順次開発、製造販売した結果、1992年(平成4年)から2009年(平成21年)まで18年連続して半導体売上高1位を維持している(甲5、甲6、甲8)。
(イ)請求人のハウスマークである「INTEL」のブランド評価額は、1993年(平成5年)の時点で178億1,000万米ドル(全米第3位)と推定され(甲43)、ブランド評価コンサルティング会社インターブランド社(英国)が行った2003年(平成15年)度評価では、311億1,000万米ドル、世界第5位、2004年(平成16年)度評価では、334億9,900万米ドル、世界第5位、2009年(平成21年)は、306億3,600万米ドル、世界第9位にランキングされている(甲44?甲46)。
(ウ)請求人の業務に係るマイクロプロセッサーは、パーソナルコンピュータ等の部品の一つとして採用されるため、請求人は、1991年(平成3年)5月に、消費者が請求人のマイクロプロセッサーを搭載したパーソナルコンピュータを簡単に認識できるように引用商標1を採用したインテル・インサイド・プログラムを導入し、コンピュータメーカーに対して引用商標1の使用を許諾した(甲5、甲10、甲39、甲40)。
引用商標1は、2003年(平成15年)に世界130か国、約3,000社のパーソナルコンピュータメーカーの製品に使用されるようになり、我が国では、日本電気、松下電器産業、日立製作所、シャープ、三菱電機、東芝、ソニー、富士通、日本IBM、セイコーエプソン、デルコンピュータといったコンピュータメーカーの広告宣伝において、「pemtium」等の文字とともに使用されている(甲11?甲38、甲40、甲58、甲59)。
しかし、引用商標1は、その構成中の「intel」の文字を省略した態様で使用されていることを認めるに足りる証拠はなく、引用商標2ないし4においても、「intel」の文字を省略した態様で使用されていることを認めるに足りる証拠はない。
(エ)請求人は、2006年(平成18年)1月に、マイクロプロセッサーなどに使用する引用商標1の使用をやめ、別掲9のとおりの構成からなる使用商標1に変更した(甲5、甲47)。
そして、請求人は、2006年(平成18年)1月以降に発売された「Core Duo」、「Core i7」などのマイクロプロセッサーの宣伝などに、使用商標1、「CORE Duo」又は「Core i7」等の文字及び「inside」の文字を組み合わせた使用商標2(別掲10参照)等を使用したほか、マイクロプロセッサーにも使用商標1を付した(甲60、甲61)。
また、使用商標1は、前記(イ)のインターブランド社(英国)が行った2003年(平成15年)、2004年(平成16年)、2009年(平成21年)の評価一覧にも表示されている(甲44?甲46)。
ウ 小括
前記イで認定した事実によれば、「INTEL」の文字又は使用商標1は、請求人の略称ないし同人の製造販売に係るマイクロプロセッサーなどに使用する商標として、本件商標の登録出願時及び登録査定時のいずれにおいても、我が国はもとより外国の需要者の間において広く認識されているものと認められ、また、引用商標1も、請求人に係るマイクロプロセッサーに使用する商標として我が国の需要者の間に広く認識されているものと認められる。
しかし、引用商標1は、その構成中の「intel」の文字を省略した態様で使用された事実が認められないのであるから、その構成中の「inside」の文字のみをもって我が国の需要者の間に広く認識されているものとはいえない。
そして、引用各商標構成中の「inside」の文字についてみるに、使用商標1と共に、「CORE Duo」等の個別のマイクロプロセッサー毎に「inside」の文字が使用されている事実が認められるものの、かかる使用は、本件商標の登録査定時後と認められる。
そうすると、引用各商標は、これに接する取引者、需要者が「intel」又は「INTEL」の文字部分のみをもって、あるいは「intel」と「inside」又は「INSIDE」の各文字とを併せて、請求人の業務に係る商品の出所を表すものと認識、理解するというべきであり、「inside」又は「INSIDE」の文字部分のみに着目し、これを分離抽出して、これらの文字部分を独立した自他商品の識別標識として認識し把握するようなことはないというべきである。
これに対して、請求人は、引用各商標中の「inside」の文字部分のみが周知著名であることを主張するものではなく、英文法の観点からも特異な表現である「 inside」形式が周知著名であると主張する。
しかし、引用各商標の構成中の「inside」又は「INSIDE」の文字部分は、「intel」、「INTEL」の文字部分を他の文字に変えて「○○ inside」のように使用された結果、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の需要者の間に広く認識されているとみるべき事実は認められないこと、そして、商標は、自己の業務に係る商品又は役務と他人の業務に係る商品又は役務の出所を識別するために採択、使用されるものであり、我が国では、複数の欧文字からなる商標において、英文法に添って採択されるものとは必ずしもいえず、むしろ、取引者、需要者の注意を引くために、英文法に拘束されることなく適宜組み合わせて採択、使用されるのが実情であることからすれば、他の文字の後に配された「inside」又は「INSIDE」の文字部分若しくは「○○ inside」又は「○○ INSIDE」の形式は、請求人の業務に係る商品の出所を表すものとして、いずれも我が国の需要者の間に広く認識されているとはいえない。
したがって、請求人の主張は、採用することができない。
(2)本件商標について
ア 本件商標
本件商標は、別掲1のとおり、黒地の正方形と黒の横方向ストライプで表示した正方形を右上方に少しずらして重ね合わせた図形と、該黒地の正方形内に白抜きで上から「KDDI」、「Module」及び「Inside」(他の文字よりやや大きく表示されている。)の欧文字を上下三段に配した構成からなるものである。
そして、本件商標の構成中の「KDDI」の欧文字は、後記ウのとおり、被請求人(KDDI株式会社)の略称と認められるものであり、その構成中の「Module」は、その指定商品中の「電気通信機械器具用モジュール,その他の電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」との関係からすると、電子計算機の機能、部品などの単位の基準としての「モジュール」を、同じく「Inside」の文字部分は、「内部、内部に」(乙8)の意味を有するものとして、一般に認識、理解されている用語であり、これらの意味からすると、上記商品の取引者、需要者は、「Module」と「Inside」の2語を併せ全体をもってして、「モジュール(電子工学、コンピュータ)が内部に」のような意味合いを想起するといえるものである。
イ 本件商標の周知著名性
被請求人の主張及び提出に係る証拠によれば、以下の事実が認められる。
(ア)被請求人は、自動車電話事業、携帯電話事業を展開していた第二電電株式会社、日本移動通信株式会社及び国際電信電話事業を行っていたケイディディ株式会社が2000年(平成12年)10月に株式会社ディーディーアイとして合併し、翌年4月に名称をKDDI株式会社に変更し(乙2、乙3)、携帯電話、固定電話、インターネット通信などの通信事業、ITソリューション事業などを主な業務としている(乙4)。
(イ)被請求人は、2003年(平成15年)10月に携帯電話事業において使用するブランド「au」のロゴマークを、オレンジ色の矩形内に「au by KDDI」の文字を白抜きで表したものに変更した。
(ウ)我が国における携帯電話世帯普及率は、1993年(平成5年)の3.2%から2003年(平成15年)の94.4%へと10年間で一気に0%近くから100%近くへと急増している中で、被請求人は、携帯電話事業において純増数が2004年(平成16年)以降4年連続で1位となった(乙5の1、乙7)。
そして、被請求人の2005年(平成15年)3月期の決算においては、売上、営業利益共に対前年比約14%となり、2006年(平成16年)3月期の決算では、移動通信事業のシェアが約28%となった(乙12の2、乙12の3)。
ウ 小括
前記イで認定した事実によれば、「KDDI」の文字は、被請求人の著名な略称あるいは同人の業務に係る事業のうち、とりわけ携帯電話事業に使用する商標として、本件商標の登録出願時及び登録査定時に我が国の需要者の間において広く認識されているものと認められる。
そうすると、本件商標は、その構成中の「KDDI」の文字から、被請求人の略称あるいは、同人の携帯電話事業に係る商標を想起させるものとみるのが相当である。
(3)出所の混同のおそれ
ア 引用各商標と「 INSIDE」形式について
引用各商標は、前記(1)ウのとおり、引用商標1自体、あるいはその構成中の「intel inside」又は「INTEL INSIDE」の文字部分をもって、本件商標の登録出願時及び登録査定時において我が国の取引者、需要者の間に広く認識されているものと認められ、そのうち、「intel」の文字自体も周知著名なものということができる。しかし、引用各商標の構成中の「inside」又は「INSIDE」の各文字部分は、「intel」の文字と組み合わされることなく単独で使用されている事実が認められず、「CORE Duo inside」のように使用された事実も、本件商標の登録査定時後のものである。
そうすると、引用各商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時のいずれにおいても、これに接する取引者、需要者が「intel」又は「INTEL」の文字部分のみをもって、あるいは「intel」と「inside」又は「INSIDE」の各文字とを併せて、請求人の業務に係る商品の出所を表すものと認識、理解するというべきであり、「inside」又は「INSIDE」の文字部分のみに着目し、これを分離抽出して、これらの文字部分を独立した自他商品の識別標識として認識し把握するようなことはないというべきである。
以上によれば、引用各商標は、その構成中の「intel」又は「INTEL」の文字部分若しくは「intel inside」又は「INTEL INSIDE」の文字部分が一体となって商品の出所識別標識として極めて強く支配的な印象を与えるというのが相当であるから、構成文字全体に相応して生ずる「インテルインサイドペンティアム」、「インテルインサイドゼオン」又は「インテルインサイドセントリノ」の各称呼のほかに、かかる文字部分に相応して、「インテル」、「インテルインサイド」の各称呼が生ずるといえるとしても、単に「インサイド」のみの称呼は生じないといわなければならない。
イ 本件商標について
本件商標は、前記(2)のとおり、その構成中の「KDDI」の文字部分が需要者の間に広く認識されているというべきものであるから、たとえ、「Inside」の文字部分が他の文字より大きく表されているとしても、該文字は、「内部に」などの意味を有する英語として一般に広く知られているものであり、これが需要者の間に広く認識されているとみるべき事情も見いだせない。
そうすると、本件商標は、その構成中の「KDDI」の文字部分が商品の出所識別標識として極めて強く支配的な印象を与えるというべきであるから、この文字から被請求人を連想、想起することがあっても、「Inside」の文字部分のみを殊更抽出して認識、把握しなければならない格別の理由は見当たらない。
してみると、本件商標は、「ケイデイデイモジュールインサイド」、「ケイデイデイ」の各称呼が生ずるとしても、単に「インサイド」のみの称呼は生じないものといわなければならない。
ウ 本件商標と引用各商標との類似性
本件商標と引用各商標を比較するに、本件商標から生ずる「ケイデイデイモジュールインサイド」、「ケイデイデイ」の各称呼と引用各商標から生ずる「インテル」、「インテルインサイド」、「インテルインサイドペンティアム」、「インテルインサイドゼオン」又は「インテルインサイドセントリノ」の各称呼とは、その一部において、「インサイド」の読みが一致する場合があるとしても、音構成及び構成音数の顕著な差異により区別し得るものである。
また、本件商標と引用各商標とは、いずれもその構成中に「i」「n」「s」「i」「d」「e」のつづり字を有しているとしても、その余の構成が顕著に相違するものであるから、外観上明らかに相違する。
さらに、本件商標と引用各商標とは、「内部に」等の意味を有する英語として広く知られている「inside」等の文字を有しているとしても、被請求人を想起する「KDDI」及び請求人を想起する「intel」の文字の差異により、観念上相紛れるおそれはない。
以上によれば、本件商標と引用各商標とは、称呼、外観及び観念のいずれにおいても非類似の商標というべきである。
エ 小括
以上のとおり、引用各商標中の「intel」、「INTEL」、引用商標1、引用商標2ないし4の構成中の「intel inside」又は「INTEL INSIDE」は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、本件商品の取引者、需要者の間に広く認識されていたとしても、請求人の著名な略称ないし商標と認められる「intel」の文字の後に付加された「inside」の文字、又は他の文字の後に付加された「inside」の用法、すなわち請求人の主張する「 inside」形式のいずれもが我が国において、上記取引者、需要者の間に広く認識されるに至っていたとまでは認めることができない。
そして、本件商標は、引用各商標と類似しない商標であることも勘案すれば、本件商標は、引用各商標又は「 INSIDE」形式とを殊更に関連付けて看取するということはないというのが相当である。
してみれば、本件商標は、これをその指定商品中、本件商品に使用しても、取引者、需要者が引用各商標を連想し想起して、請求人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように商品の出所について混同を生ずるおそれがある商標とはいえない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
3 商標法第4条第1項第7号該当性
商標法は、「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」について商標登録を受けることができず、また,無効理由に該当する旨定めている(商標法第4条第1項第7号、同法第46条第1項第1号)。商標法第4条第1項第7号は、本来、商標を構成する「文字、図形、記号若しくは立体的形状若しくはこれらの結合又はこれらと色彩との結合」(標章)それ自体が公の秩序又は善良な風俗に反するような場合に,そのような商標について、登録商標による権利を付与しないことを目的として設けられた規定である(商標の構成に着目した公序良俗違反)。
ところで、商標法第4条第1項第7号は、上記のような場合ばかりではなく、商標登録を受けるべきでない者からされた登録出願についても、商標保護を目的とする商標法の精神にもとり、商品流通社会の秩序を害し、公の秩序又は善良な風俗に反することになるから、そのような者から出願された商標について、登録による権利を付与しないことを目的として適用される例がなくはない(主体に着目した公序良俗違反)。
確かに、例えば、外国等で周知著名となった商標等について、その商標の付された商品の主体とはおよそ関係のない第三者が、日本において、無断で商標登録をしたような場合、又は、誰でも自由に使用できる公有ともいうべき状態になっており、特定の者に独占させることが好ましくない商標等について、特定の者が商標登録したような場合に、その出願経緯等の事情いかんによっては、社会通念に照らして著しく妥当性を欠き、国家・社会の利益、すなわち公益を害すると評価し得る場合が全く存在しないとはいえない。
しかし、商標法は、出願人からされた商標登録出願について、当該商標について特定の権利利益を有する者との関係ごとに、類型を分けて、商標登録を受けることができない要件を、商標法第4条第1項各号で個別的具体的に定めているから、このような規定振りに照らすならば、当該出願が商標登録を受けるべきでない者からされたか否かについては、特段の事情がない限り、当該各号の該当性の有無によって判断されるべきであるといえる。すなわち、商標法は、商標登録を受けることができない商標について、第4条第1項第8号で「他人の肖像又は他人の氏名若しくは名称若しくは著名な雅号、芸名若しくは筆名若しくはこれらの著名な略称を含む商標(その他人の承諾を得ているものを除く。)」と規定し、同第10号で「他人の業務に係る商品若しくは役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標・・・」と規定し、同第15号で「他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標・・・」と規定し、同項第19号で「他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であって、不正の目的・・・をもって使用をするもの・・・」と規定している。商標法のこのような構造を前提とするならば、少なくとも、これらの条項(商標法第4条第1項第8号、同第10号、同第15号、同第19号)の該当性の有無と密接不可分とされる事情については、専ら、当該条項の該当性の有無によって判断すべきであるといえる。
また、当該出願人が本来商標登録を受けるべき者であるか否かを判断するに際して、先願主義を採用している日本の商標法の制度趣旨や、国際調和や不正目的に基づく商標出願を排除する目的で設けられた商標法第4条第1項第19号の趣旨に照らすならば、それらの趣旨から離れて、同第7号の「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれ」を私的領域にまで拡大解釈することによって商標登録出願を排除することは、商標登録の適格性に関する予測可能性及び法的安定性を著しく損なうことになるので、特段の事情のある例外的な場合を除くほか、許されないというべきである。
そして、特段の事情があるか否かの判断に当たっても、出願人と本来商標登録を受けるべきと主張する者との間の商標権の帰属等をめぐる問題は、あくまでも、当事者同士の私的な問題として解決すべきであるから、そのような場合にまで、「公の秩序や善良な風俗を害する」特段の事情がある例外的な場合と解するのは妥当でない。
そこで、上記の観点から、本件商標の商標法第4条第1項第7号該当性について検討するに、本号についての請求人の主張は、要するに、本件商標の登録を容認することは、引用各商標が有する出所表示機能を稀釈化するばかりでなく、引用各商標に化体した業務上の信用にただ乗りすることを認めることとなり、取引秩序を乱すものであり(以下、これを「主張1」という。)、さらに、外国における周知著名商標の保護とかい離するものであるから国際信義に反するというものである(以下、これを「主張2」という。)。
しかし、主張1については、請求人は、我が国において引用各商標を本件商標の登録出願日前に登録出願し、商標登録を受けていることが認められる一方、本件商標は、請求人に係る引用各商標を剽窃したなど、本件商標の登録出願の経緯に著しく社会的妥当性を欠くと認めるべき事情があると認めるに足りる証拠はない。
そして、本件商標が引用各商標が有する出所表示機能の希釈化し、又は引用各商標に化体した業務上の信用にただ乗りするものであるか否かは、上記のとおり、商標法は、同法第4条第1項第15号及び同第19号において、商標登録を受けることができない要件を個別的具体的に定めているから、本件商標の登録出願が登録を受けるべきでない者からされたか否かについては、上記各号の該当性の有無によって判断されるべきであり、同法第4条第1項第7号の該当性の問題ではないというべきである。
なお、本件商標は、前記2のとおり、商標法第4条第1項第15号に該当しないものであり、同第19号についても、同号が規定する「不正の目的・・・をもって使用をするもの」に該当するとみるべき特段の事情が見いだせないものであるから、他の要件について論及するまでもなく、本件商標は同号にも該当しないといわざるを得ない。
次に、主張2についてみるに、請求人の挙げた外国における「INSIDE」の文字を有する商標についての判決等は、そのほとんどが商品の出所の混同のおそれを理由とするものと認められるが、かかる商品の出所の混同のおそれについては、我が国商標法の下では、商標法第4条第1項第15号等の規定によって判断すべきものであり、たとえ、外国における判決等において、請求人の主張する、他の文字の後に付加された「INSIDE」の用法、すなわち請求人の主張する「 INSIDE」形式の商標の周知著名性が認定されたとしても、本件商標が「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」であるか否かは、我が国商標法の下で個別具体的に判断すべきであり、外国における判決例をもって、その判断が拘束される理由はない。
したがって、本件商標が商標法第4条第1項第7号に該当するとの請求人の主張は、独自解釈に基づくものであり、前提を欠くものである。
ほかに、本件商標は、その構成態様から、きょう激、卑わい、差別的又は他人に不快な印象を与えるような文字又は図形からなるものではなく、これを商標権者が採択、使用しても、他の法律によりその使用が制限又は禁止されるとみるべき格別の事情も認められない。
そうとすれば、本件商標は、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれのある商標ということができない。
以上によれば、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。
4 むすび
以上のとおり、本件商標は、その指定商品中、「電気通信機械器具用モジュール,その他の電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」について、商標法第4条第1項第15号及び同第7号に違反して登録されたものではないから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
1 本件商標


2 本件商標の指定商品及び指定役務
第9類「耳栓,加工ガラス(建築用のものを除く。),アーク溶接機,金属溶断機,電気溶接装置,オゾン発生器,電解槽,検卵器,金銭登録機,硬貨の計数用又は選別用の機械,作業記録機,写真複写機,手動計算機,製図用又は図案用の機械器具,タイムスタンプ,タイムレコーダー,パンチカードシステム機械,票数計算機,ビリングマシン,郵便切手のはり付けチェック装置,自動販売機,ガソリンステーション用装置,駐車場用硬貨作動式ゲート,救命用具,消火器,消火栓,消火ホース用ノズル,スプリンクラー消火装置,火災報知機,ガス漏れ警報器,盗難警報器,保安用ヘルメット,鉄道用信号機,乗物の故障の警告用の三角標識,発光式又は機械式の道路標識,潜水用機械器具,業務用テレビゲーム機,電動式扉自動開閉装置,乗物運転技能訓練用シミュレーター,運動技能訓練用シミュレーター,理化学機械器具,写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,測定機械器具,配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気ブザー,電気通信機械器具用モジュール,その他の電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,磁心,抵抗線,電極,消防艇,ロケット,消防車,自動車用シガーライター,事故防護用手袋,防じんマスク,防毒マスク,溶接マスク,防火被服,眼鏡,家庭用テレビゲームおもちゃ,携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,スロットマシン,ウエイトベルト,ウエットスーツ,浮袋,運動用保護ヘルメット,エアタンク,水泳用浮き板,レギュレーター,レコード,メトロノーム,電子楽器用自動演奏プログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,計算尺,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,電子出版物」及び第38類「電気通信(放送を除く。),電気通信ネットワークへの接続の提供,放送,報道をする者に対するニュースの供給,電話機・ファクシミリその他の通信機器の貸与,電気通信に関する情報の提供,電気通信に関するコンサルティング,放送番組表に関する情報の提供」

3 引用商標1


4 引用商標1の指定商品及び指定役務
第9類「オペレーティングシステムソフトウエアのための電子計算機用プログラム,ファームウエアのための電子計算機用プログラム,ファクシミリ送受信のための電子計算機用プログラム,その他の電子計算機用プログラム,サーバーコンピュータ,コンピュータ用周辺機器,その他のコンピュータ,集積回路,集積回路チップ,半導体プロセッサ,半導体プロセッサチップ,マイクロプロセッサ,プリント回路基板,電子回路基板,画像用回路基板,音声用回路基板,音声・画像用回路基板,半導体素子,コンピュータ用記憶装置,半導体記憶装置,ビデオグラフィックアクセラレーター,その他のアクセラレーター,画像処理装置,その他の電子応用機械器具及びその部品,モデム,ファクシミリ,コンピュータネットワーク用のルーター・ハブ・スイッチ,電気通信ネットワーク接続用通信装置,その他の電気通信機械器具,電子出版物,耳栓,加工ガラス(建築用のものを除く。),アーク溶接機,金属溶断機,電気溶接装置,オゾン発生器,電解槽,検卵器,金銭登録機,硬貨の計数用又は選別用の機械,作業記録機,写真複写機,手動計算機,製図用又は図案用の機械器具,タイムスタンプ,タイムレコーダー,パンチカードシステム機械,票数計算機,ビリングマシン,郵便切手のはり付けチェック装置,自動販売機,ガソリンステーション用装置,駐車場用硬貨作動式ゲート,救命用具,消火器,消火栓,消火ホース用ノズル,スプリンクラー消火装置,火災報知機,ガス漏れ警報器,盗難警報器,保安用ヘルメット,鉄道用信号機,乗物の故障の警告用の三角標識,発光式又は機械式の道路標識,潜水用機械器具,業務用テレビゲーム機,電動式扉自動開閉装置,乗物運転技能訓練用シミュレーター,運動技能訓練用シミュレーター,理化学機械器具,写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,測定機械器具,配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気ブザー,磁心,抵抗線,電極,消防艇,ロケット,消防車,自動車用シガーライター,事故防護用手袋,防じんマスク,防毒マスク,溶接マスク,防火被服,眼鏡,家庭用テレビゲームおもちゃ,携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,スロットマシン,ウエイトベルト,ウエットスーツ,浮袋,運動用保護ヘルメット,エアタンク,水泳用浮き板,レギュレーター,レコード,メトロノーム,電子楽器用自動演奏プログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,計算尺,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,録画済みビデオディスク及びビデオテープ」及び第38類「電子計算機端末による通信(但し、衛星を用いて行うものを除く。),移動体電話による通信(但し、衛星を用いて行うものを除く。),テレックスによる通信,電報による通信,電話による通信,ファクシミリによる通信,無線呼出し(但し、衛星を用いて行うものを除く。),テレビ会議通信,リアルタイムのメッセージの送信のための通信,その他のメッセージの送信のための通信(但し、衛星を用いて行うものを除く。),コンピュータを利用したリアルタイムのメッセージ及び映像による通信,その他のコンピュータを利用したメッセージ及び映像による通信(但し、衛星を用いて行うものを除く。),電子掲示板による通信,インターネットその他の電気通信ネットワークへの接続の提供(但し、衛星を用いて行うものを除く。),その他の電気通信(但し、衛星を用いて行うもの及び放送を除く。),放送,報道をする者に対するニュースの供給,電話機・ファクシミリその他の通信機器の貸与」

5 引用商標2


6 引用商標2の指定商品
第9類「理化学機械器具,測定機械器具,配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,眼鏡,加工ガラス(建築用のものを除く。),救命用具,電気通信機械器具,録音済みの磁気カード・磁気シート・磁気テープ・光ディスク・光磁気ディスク,録音済みのコンパクトディスク,その他のレコード,メトロノーム,電子応用機械器具及びその部品,オゾン発生器,電解槽,ロケット,業務用テレビゲーム機,その他の遊園地用機械器具,スロットマシン,運動技能訓練用シミュレーター,乗物運転技能訓練用シミュレーター,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気ブザー,乗物の故障の警告用の三角標識,発光式又は機械式の道路標識,鉄道用信号機,火災報知機,ガス漏れ警報器,盗難警報器,事故防護用手袋,消火器,消火栓,消火ホース用ノズル,スプリンクラー消火装置,消防艇,消防車,自動車用シガーライター,保安用ヘルメット,防火被服,防じんマスク,防毒マスク,溶接マスク,磁心,抵抗線,電極,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,ガソリンステーション用装置,自動販売機,駐車場用硬貨作動式ゲート,金銭登録機,硬貨の計数用又は選別用の機械,作業記録機,写真複写機,手動計算機,製図用又は図案用の機械器具,タイムスタンプ,タイムレコーダー,電気計算機,パンチカードシステム機械,票数計算機,ビリングマシン,郵便切手のはり付けチェック装置,計算尺,ウエイトベルト,ウエットスーツ,浮袋,エアタンク,水泳用浮き板,レギュレーター,潜水用機械器具,アーク溶接機,金属溶断機,電気溶接装置,テレビゲーム用のプログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テープ・光ディスク・CD-ROM・光磁気ディスク,その他の家庭用テレビゲームおもちゃ,検卵器,電動式扉自動開閉装置」

7 引用商標3の指定商品
第9類「理化学機械器具,測定機械器具,配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,眼鏡,加工ガラス(建築用のものを除く。),救命用具,電気通信機械器具,録音済みの磁気カード・磁気シート・磁気テープ・光ディスク・光磁気ディスク,録音済みのコンパクトディスク,その他のレコード,メトロノーム,電子応用機械器具及びその部品,オゾン発生器,電解槽,ロケット,業務用テレビゲーム機,その他の遊園地用機械器具,スロットマシン,運動技能訓練用シミュレーター,乗物運転技能訓練用シミュレーター,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気ブザー,乗物の故障の警告用の三角標識,発光式又は機械式の道路標識,鉄道用信号機,火災報知機,ガス漏れ警報器,盗難警報器,事故防護用手袋,消火器,消火栓,消火ホース用ノズル,スプリンクラー消火装置,消防艇,消防車,自動車用シガーライター,保安用ヘルメット,防火被服,防じんマスク,防毒マスク,溶接マスク,磁心,抵抗線,電極,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,ガソリンステーション用装置,自動販売機,駐車場用硬貨作動式ゲート,金銭登録機,硬貨の計数用又は選別用の機械,作業記録機,写真複写機,手動計算機,製図用又は図案用の機械器具,タイムスタンプ,タイムレコーダー,電気計算機,パンチカードシステム機械,票数計算機,ビリングマシン,郵便切手のはり付けチェック装置,計算尺,ウエイトベルト,ウエットスーツ,浮袋,エアタンク,水泳用浮き板,レギュレーター,潜水用機械器具,アーク溶接機,金属溶断機,電気溶接装置,テレビゲーム用のプログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テープ・光ディスク・CD-ROM・光磁気ディスク,その他の家庭用テレビゲームおもちゃ,検卵器,電動式扉自動開閉装置」

8 引用商標4の指定商品
第9類「半導体,マイクロプロセッサ,その他の半導体素子,集積回路,その他の電子回路(電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路を除く。),電子管,コンピュータ用チップセット,コンピュータ用マザーボード・ドーターボード,ソフトウエアをプログラム可能なプロセッサ,マイクロコンピュータ,ワークステーション用コンピュータ,ノートブック型コンピュータ,ラップトップ型コンピュータ,携帯型コンピュータ,手持ち式コンピュータ,その他のコンピュータ,コンピュータ用周辺機器,携帯情報端末(PDA),ファームウエア・オペレーティングシステムソフトウエアのための電子計算機用プログラム,コンピュータ電気通信ネットワーク用ソフトウエアのための電子計算機用プログラム,その他の電子計算機用プログラム,サーバーコンピュータ,その他の電子応用機械器具及びその部品,コンピュータ電気通信ネットワーク接続用通信装置,コンピュータネットワーク用のアダプタ・スイッチ・ルータ・ハブ,無線式のモデム・無線式のLAN接続用カード,無線通信装置,有線式のモデム・有線式のLAN接続用カード,有線通信装置,移動体電話,その他の電気通信機械器具,測定機械器具,配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電池,回路計,その他の電気磁気測定器,電線及びケーブル,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気ブザー,磁心,抵抗線,電極,耳栓,加工ガラス(建築用のものを除く。),アーク溶接機,金属溶断機,電気溶接装置,オゾン発生器,電解槽,検卵器,金銭登録機,硬貨の計数用又は選別用の機械,作業記録機,写真複写機,手動計算機,製図用又は図案用の機械器具,タイムスタンプ,タイムレコーダー,パンチカードシステム機械,票数計算機,ビリングマシン,郵便切手のはり付けチェック装置,自動販売機,ガソリンステーション用装置,駐車場用硬貨作動式ゲート,救命用具,消火器,消火栓,消火ホース用ノズル,スプリンクラー消火装置,火災報知機,ガス漏れ警報器,盗難警報器,保安用ヘルメット,鉄道用信号機,乗物の故障の警告用の三角標識,発光式又は機械式の道路標識,潜水用機械器具,業務用テレビゲーム機,電動式扉自動開閉装置,乗物運転技能訓練用シミュレーター,運動技能訓練用シミュレーター,理化学機械器具,写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,消防艇,ロケット,消防車,自動車用シガーライター,事故防護用手袋,防じんマスク,防毒マスク,溶接マスク,防火被服,眼鏡,家庭用テレビゲームおもちゃ,携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,スロットマシン,ウエイトベルト,ウエットスーツ,浮袋,運動用保護ヘルメット,エアタンク,水泳用浮き板,レギュレーター,レコード,メトロノーム,電子楽器用自動演奏プログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,計算尺,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,電子出版物」

9 使用商標1

(色彩は、原本参照)

10 使用商標2

(色彩は、原本参照)

審理終結日 2011-04-14 
結審通知日 2011-04-18 
審決日 2011-05-30 
出願番号 商願2004-103409(T2004-103409) 
審決分類 T 1 12・ 22- Y (Y09)
T 1 12・ 271- Y (Y09)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 平松 和雄 
特許庁審判長 関根 文昭
特許庁審判官 酒井 福造
末武 久佳
登録日 2005-09-02 
登録番号 商標登録第4891354号(T4891354) 
商標の称呼 ケイデイデイアイモジュールインサイド、ケイデイデイアイモデュールインサイド、ケイデイデイアイ、モジュールインサイド、モデュールインサイド、インサイド 
代理人 伊藤 孝太郎 
代理人 前田 大輔 
代理人 大村 昇 
代理人 中村 知公 
代理人 安島 清 
代理人 木村 三朗 
代理人 高梨 範夫 
代理人 小林 久夫 

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