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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Y35
管理番号 1258175 
審判番号 取消2011-300432 
総通号数 151 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2012-07-27 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2011-05-10 
確定日 2012-05-09 
事件の表示 上記当事者間の登録第5058264号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第5058264号商標の指定役務中、第35類「広告,経営の診断又は経営に関する助言,商品の販売に関する情報の提供」については、その登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5058264号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、平成18年10月31日に登録出願、第35類「広告,経営の診断又は経営に関する助言,商品の販売に関する情報の提供,電子計算機・タイプライター・テレックス又はこれらに準ずる事務用機器の操作」を指定役務として、同19年6月29日に設定登録されたものである。
そして、本件審判請求の予告登録は、平成23年5月30日にされている。

第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁の理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定役務の一部である「第35類 広告,経営の診断又は経営に関する助言,商品の販売に関する情報の提供」について、商標権者によって継続して3年以上日本国内において使用されておらず、加えて、商標登録原簿上において、通常使用権及び専用使用権の設定登録がされておらず、使用権者が使用していることも考えられない(甲2)。
2 弁駁の理由
(1)乙第1号証ないし乙第7号証について
商標権者が、MICEサービスとしているのは、ブロードバンドを利用し、離れた場所でも同じ教室にいるかのように双方向でライブな研修が受けられるeラーニングシステムの提供であって、請求に係る指定役務のいずれの使用を立証するものではない。
ア 乙第1号証は、アドビ製品の導入事例として商標権者が紹介された記事であり、同人の遠隔研修システムMICE(Multifunctional Interactive Creative E-learning system)にアドビ製品を導入した経緯や効果が記載されているにすぎず、商標権者が請求に係る指定役務に本件商標を使用していることは明らかではない。
イ 乙第2号証は、商標権者のeラーニングシステムの資料であり、同人の提供するMICEが多機能性、双方向性、創造性を有するeラーニングシステムであることやそのシステム構成イメージ、学習機能の説明があるにすぎない。
ウ 乙第3号証は、商標権者の双方向ライブ型eラーニングのパンフレットであり、MICEが双方向ライブ型eラーニングシステムであって、需要者側のニーズで全社員研修・社長講和、成果発表会・コンテスト、営業所や代理店向けの説明会等に利用できることを紹介しているにすぎない。
エ 乙第4号証は、商標権者のセミナーコースガイドであり、ここで紹介されているMICEも双方向ライブ型eラーニングであって、同人の提供するプラットホームとして紹介されているにすぎない。
オ 乙第5号証は、商標権者が株式会社NTTビジネスアソシエ西日本向けに作成した「MICEを利用した映像会議システムのご提案」の資料であり、同資料では、MICEとは遠隔研修システムであり、会議や説明会など幅広いニーズに対応が可能であることや、MICEシステムを利用する場合の費用、推奨環境、MICEシステムの構成などが紹介されているが、これに請求に係る指定役務に関する記載はない。
カ 乙第6号証は、商標権者の「様々な育成施策の運営・サービスのご案内」の資料であり、同資料では、同人の会社概要や事業内容等が紹介されている。この資料の5-2ではMICEの紹介がなされているが、MICEは双方向ライブ型eラーニングシステムであることやその特徴、利用実績例、利用時の風景等が紹介されているにすぎず、請求に係る指定役務に本件商標が使用されていることは認識できない。
キ 乙第7号証は、商標権者のセミナーコースガイドであって、「MICE(マイス)」の文字は目次部分にあるにすぎず、どのような内容を指すものであるか明確にされていない。
ク 小括
よって、被請求人の提出する乙第1号証ないし乙第7号証は、MICEを遠隔研修システムの提供として紹介するものにすぎず、いずれによっても、請求に係る指定役務に本件商標が使用されていることは明らかになっていない。
また、乙第2号証ないし乙第6号証には、本件商標と同じく正方形の中に「MICE」の文字が書された図形が表れているが、当該図形には「マイス/MULTIFUNCTIONAL/INTERACTIVE/CREATIVE/E-LEARNING SYSTEM」の文字が加えられており、本件商標と社会通念上同一のものとはいえない。
(2)乙第8号証ないし乙第10号証について
ア 乙第8号証は、西日本電信電話株式会社(以下「NTT西日本」という。)からの「MICEシステム利用申込書」等であるが、これは、NTT西日本が小型ビジネスフォンの新商品説明会に商標権者の提供する遠隔研修システム「MICE」を利用するための申込書等であり、請求に係る指定役務とは一切関係がない。
イ 乙第9号証及び乙第10号証も、NTT西日本からの「MICEシステム利用申込書」等であるが、これらも、NTT西日本がカラー複合機新商品説明会に商標権者の提供する遠隔研修システム「MICE」を利用するための申込書等であり、請求に係る指定役務とは一切関係がない。
ウ 小括
よって、乙第8号証ないし乙第10号証においても、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において本件商標が請求に係る指定役務について使用されていたことは立証されていない。
(3)まとめ
以上より、被請求人が提出する乙第1号証ないし乙第10号証の証拠は、いずれも本件商標が日本国内において本件審判請求の登録前3年以内に請求に係る「広告,経営の診断又は経営に関する助言,商品の販売に関する情報の提供」に使用されたことを立証するものではない。

第3 被請求人の主張
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、判費用は請求人の負担とする、との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べて、証拠方法として乙第1号証ないし乙第10号証を提出した。
1 答弁の理由
(1)商標権者について
商標権者は、クライアント組織のパフォーマンスアップのための課題解決を支援すべく、人材育成の実践に向けて、組織変革や営業力強化のコンサルティング、対面による集合研修やeラーニングによる遠隔研修、通信教育を組み合わせた複合的研修サービスを提供している(乙1)。
(2)本件商標について
本件商標は、「Multifunctional(多機能性)」、「Interactive(双方向性)」、「Creative(創造性)」、「E-learning System(Eラーニングシステム)」の4つの言葉の頭文字である「M」、「I」、「C」、「E」を抜き出し、これらを結合させた造語である。
(3)本件商標の使用について
商標権者は、本件商標の下、光ブロードバンド回線等を用いた、以下の特徴を有する双方向ライブ型遠隔研修システムを顧客に提供している。
ア 大画面高画質の映像と双方向性の確保で臨場感を提供し、ツールの活用により、受講者の理解度に基づいたリアルタイムなフィードバックを実現
イ 大量の人材を一気にスキルアップする教育ソリューションを提供
ウ 研修プログラムの企画開発、コンテンツ作り、講師派遣、研修実施オペレーション、他の研修との最適な組み合わせ等のサービスをワンストップで提供
本サービスの主たる用途は研修・教育であるが、商標権者は、「E-learning」を研修・教育という狭義の意味ではなく、「業務サポート」という広義の意味で捉え、顧客のニーズに対応しており、研修のみならず全支店のリーダー会議や代理店等向けの新商品説明会等で「MICE」を利用してもらい、幅広く顧客のお役に立つサービスを提供している(乙2ないし乙7)。
(4)「MICE」サービスの利用状況について
なお、「MICE」サービスの過去3年間の利用状況は、商標権者の顧客会社であるNTT西日本が、その取引先である株式会社グローバルコミュニケーションズ(乙8)、株式会社エヌ・エス・ピー(乙9)、HT関西(NTT西日本ホームテクノ、株式会社NTT西日本-みやこ及びテルウェル西日本株式会社(乙10)を対象とした商品説明会に利用されている。
2 まとめ
上記したとおり、商標権者が、本件商標を本審判請求の登録前3年以内に、日本国内において、請求に係る指定役務について使用していたことは明白であって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定によって取消されるべきものではない。

第4 当審の判断
1 本件の取消請求に係る役務は、「第35類 広告,経営の診断又は経営に関する助言,商品の販売に関する情報の提供」であるところ、被請求人は、「商標権者は、光ブロードバンド回線等を用いた双方向ライブ型遠隔研修システムを顧客に提供している。当該サービスの主たる用途は研修・教育であるが、商標権者は、『E-learning』を研修・教育という狭義の意味ではなく、『業務サポート』という広義の意味で捉え、顧客のニーズに対応しており、研修のみならず全支店のリーダー会議や代理店等向けの新商品説明会等で『MICE』を利用してもらい、幅広く顧客のお役に立つサービスを提供しているとし、乙第2号証ないし乙第7号証により、その使用を立証する」旨主張する。
そこで、以下、乙第1号証ないし乙第7号証に示された役務が、取消請求に係る役務の範疇に属するものであるか否かについて検討する。
(1)乙第1号証は、アドビ製品の導入事例として商標権者が紹介された記事であり、同人の遠隔研修システムMICE(Multifunctional Interactive Creative E-learning system)にアドビ製品を導入した経緯や効果が記載されているにすぎず、商標権者が請求に係る指定役務に本件商標を使用していることは明らかではない。
(2)乙第2号証は、商標権者のeラーニングシステムの資料であり、同人の提供するMICEが多機能性、双方向性、創造性を有するeラーニングシステムであることやそのシステム構成イメージ、学習機能の説明があるにすぎない。
(3)乙第3号証は、商標権者の双方向ライブ型eラーニングのパンフレットであり、MICEが双方向ライブ型eラーニングシステムであって、需要者側のニーズで全社員研修・社長講和、成果発表会・コンテスト、営業所や代理店向けの説明会等に利用できることを紹介しているにすぎない。
(4)乙第4号証は、商標権者のセミナーコースガイドであり、ここで紹介されているMICEも双方向ライブ型eラーニングシステムであって、同人の提供するプラットホームとして紹介されているにすぎない。
(5)乙第5号証は、商標権者が株式会社NTTビジネスアソシエ西日本向けに作成した「MICEを利用した映像会議システムのご提案」との資料である。この資料では、MICEとは遠隔研修システムであり、会議や説明会など幅広いニーズに対応が可能であることや、MICEシステムを利用する場合の費用、推奨環境、MICEシステムの構成などが紹介されているが、これには、請求に係る指定役務に関する記載はない。
(6)乙第6号証は、「様々な育成施策の運営・サービスのご案内」との商標権者の資料であって、同人の会社概要や事業内容等が紹介されている。この資料の5-2ではMICEの紹介がなされているが、MICEは双方向ライブ型eラーニングシステムであることやその特徴、利用実績例、利用時の風景等が紹介されているにすぎず、請求に係る指定役務に本件商標が使用されていることは認識できない。
(7)乙第7号証は、商標権者のセミナーコースガイド(抜粋)であって、「MICE(マイス)」の文字は目次部分にあるにすぎず、どのような内容を指すものであるか明確にされていない。
(8)その他、被請求人の提出する全証拠に徴しても、請求に係る指定役務に本件商標が使用されていることを見いだすことはできない。
(9)小括
したがって、乙各号証をもってしては、商標権者が本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、請求に係る指定役務「広告,経営の診断又は経営に関する助言,商品の販売に関する情報の提供」について、本件商標を使用したと認めることはできない。
2 被請求人の主張について
前記1のとおり、被請求人は、「商標権者は、光ブロードバンド回線等を用いた双方向ライブ型遠隔研修システムを顧客に提供している。・・・・研修のみならず全支店のリーダー会議や代理店等向けの新商品説明会等で「MICE」を利用してもらい、幅広く顧客のお役に立つサービスを提供している。」旨主張した。
これに対して、当合議体は、被請求人の主張する役務の内容が不明確であって、その役務と請求に係る指定役務との関係が特定できないことから、平成24年1月31日付けの通知書により、被請求人に対し、「(1)請求人の主張する役務が請求に係る指定役務中のいずれの役務についての使用にあたるのか、(2)その使用は商標法第2条第3項各号のいずれの行為にあたるのか等」について釈明を求めたが、被請求人からの釈明はなく、また、平成24年3月1日に行った口頭審理においても、この点について、被請求人は何ら主張、立証をしていない。
3 まとめ
以上のとおり、被請求人は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが請求に係る指定役務のいずれかについての本件商標の使用をしていたことを証明したものとは認められない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条第1項の規定により、その指定役務中の請求に係る「第35類 広告,経営の診断又は経営に関する助言,商品の販売に関する情報の提供」について、取り消すべきものである
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
(1)本件商標

(色彩については原本参照)

(2)使用商標


(色彩については乙第2号証参照)

審決日 2012-03-30 
出願番号 商願2006-101229(T2006-101229) 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (Y35)
最終処分 成立  
前審関与審査官 稲村 秀子田崎 麻理恵 
特許庁審判長 小林 由美子
特許庁審判官 森山 啓
鈴木 修
登録日 2007-06-29 
登録番号 商標登録第5058264号(T5058264) 
商標の称呼 マイス、ミセ 
代理人 特許業務法人三枝国際特許事務所 
代理人 橋本 良樹 
代理人 吉田 親司 
代理人 幡 茂良 
代理人 潮崎 宗 
代理人 石川 義雄 
代理人 蔵田 昌俊 
代理人 小出 俊實 

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