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審決分類 審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) X16354143
管理番号 1256592 
異議申立番号 異議2011-900100 
総通号数 150 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2012-06-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2011-03-16 
確定日 2012-04-23 
異議申立件数
事件の表示 登録第5376012号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5376012号商標の商標登録を取り消す。
理由 1 本件商標
本件登録第5376012号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、平成22年4月28日に登録出願され、第16類「印刷物,紙類,文房具,荷札」、第35類「広告,トレーディングスタンプの発行,商品の販売に関する情報の提供,ホテルの事業の管理,職業のあっせん,書類の複製,文書又は磁気のデータのファイリング」、第41類「興行の企画又は運営(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。),演芸の上演,演劇の演出又は上演,音楽の演奏,音響用又は映像用のスタジオの提供,娯楽施設の提供,映画・演芸・演劇・音楽又は教育研修のための施設の提供,映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,技芸・スポーツ又は知識の教授」及び第43類「宿泊施設の提供,宿泊施設の提供の契約の媒介又は取次ぎ,会議室の貸与,展示施設の貸与」を指定商品及び指定役務として、同年11月26日に登録査定、同年12月10日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由
(1)商標法第4条第1項第8号について
本件商標をみると、その構成中、下段の漢字部分は、「阪急東通商店街」と顕著に表示されていて、まぎれもなく「阪急」の表示が見て取れる。そして、この「阪急」の部分が、登録異議申立人である「阪急阪神ホールディングス株式会社」、「阪急電鉄株式会社」(以下「阪急電鉄」という。)、「エイチ・ツー・オー リテイリング株式会社」(以上3社を「申立人ら」という。)及びそのグループ企業の著名な略称と客観的に把握され、阪急電鉄ないし申立人らのグループを想起・連想させるものであり、かつ、申立人らの承諾を得ていない。
よって、本件商標は商標法第4条第1項第8号に該当し、その登録を取り消されるべき商標である。
(2)商標法第4条第1項第15号について
その構成中に著名商標「阪急」の文字を明瞭に包含する本件商標に接する需要者・取引者は「阪急」の文字に強く注意を引かれ、これより阪急電鉄ないし申立人らのグループ企業、またはその略称である「阪急」を容易に思い起こす。また、商標「阪急」が強い自他識別力を有する著名な商標であり、周知性はもとより著名性を備えているため当該商標「阪急」と阪急電鉄及び持株会社のもと阪急電鉄及びこれを中核とし多角的業務を行っている多数の企業「阪急グループ」との結びつきは密接であり、「阪急」表示によって阪急電鉄ないし申立人らのグループ企業あるいは阪急グループたる企業グループが極めて容易に連想される。
そうとすると、本件商標は、他人の著名な商標と他の文字または図形等を結合した商標であって、他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれのある商標であるから、商標法第4条第1項第15号に該当し、その登録を取り消されるべき商標である。

3 本件商標に対する取消理由
当審において、商標権者に対して、平成24年1月6日付けで通知した取消理由の要旨は以下のとおりである。
(1)引用商標「阪急」の著名性及び独創性
ア 申立人らの提出した証拠によれば、「阪急」(以下「引用商標」という。)の著名性について、以下の事実が認められる。
(ア) 阪急電鉄(「阪急電鉄」という場合は、その前身各社を含めていう場合がある。)は、1907年に設立された箕面有馬電気鉄道株式会社を前身とし、1918年に社名を「阪神急行電鉄株式会社」に変更し、その後、「京阪神急行電鉄」と名称変更後、1973年に現社名「阪急電鉄株式会社」となったものであり、京阪神の三大都市を結ぶ有力私鉄会社である(甲2の2、甲3の1)。
(イ)阪急電鉄が「阪急」を略称とした(「阪急」と略称された)時期は明確ではないが、1920年完成のビルを「阪急ビル」としたほか、阪急電鉄の事業拡大に伴い、「阪急食堂」、「阪急マーケット(後の「阪急百貨店」)」などが開業し、さらに、1936年1月にはプロ野球球団「阪急職業野球団」(後の「阪急ブレーブス」)が設立され、その本拠地として「阪急西宮球場」が建設された(甲3の1)。また、1961年には「株式会社阪急国際交通社」(その後「株式会社阪急交通社」と社名変更)が設立され(甲3の1)、このほか、「阪急不動産」(甲4の6)、「新阪急ホテル」(甲4の4)」、「阪急スイミングスクール西京極」(甲3の1)、「阪急グランドビル」(同)、「阪急32番街」(同)など、「阪急」を名称(の一部)に使用してきた。
さらに、阪急電鉄、阪急不動産株式会社は、構成中に「Hankyu」の文字を有するハウスマークを使用してきた(甲3の4、甲4の6)。
また、阪急電鉄を「阪急」と略称されることもあり(甲2の4、甲2の5)、2010年1月発行(昭文社)の「まっぷる たびまる大阪」には、「阪急バスターミナル」「阪急うめだ本店」「阪急梅田駅」「阪急高架下」のように阪急電鉄や阪急百貨店を「阪急」と略称されている(甲4の7)。
(ウ)2006年に阪急ホールディングスと阪神電気鉄道が統合し(甲3の1、甲3の3)、さらに、グループ再編が行われ、阪急電鉄、阪神電気鉄道、阪急阪神交通社ホールディングス、阪急阪神ホテルズなどの「阪急阪神ホールディングスグループ」と、阪急百貨店、阪神百貨店等の小売に関連した事業を展開している「エイチ・ツー・オー リテイリンググループ」及び「東宝グループ」からなる「阪急阪神東宝グループ」は、2008年度末には、197社・7団体、売上高1兆4067億円の企業グループであり(甲2の7)、同グループには、2011年3月現在も「阪急」を名称(の一部)に使用した企業が多数ある(甲4の8)。
(エ)「阪急」の語は、特定の意味を有する語として辞書等に掲載される成語とは認められず、創造性の高い造語と認められる。
イ 以上によれば、引用商標「阪急」は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、阪急電鉄の略称としても使用されているほか、百貨店、ホテル、旅行の主催、不動産等を含む申立人らのグループに係る業務を表示するものとしても広く需要者に知られているものといえる。
(2)本件商標と引用商標の類似性の程度
本件商標は、下段に「阪急東通商店街」の文字を顕著に表してなるものであり、その構成中の「阪急」の文字は、前記のとおり、特段の意味のない語であるが、「東通(り)」は「東側にある通り」を表すものであり、「商店街」の文字は「商店が立ち並んだ通り」を意味する語であるから、「阪急」の文字と「東通」の文字と「商店街」の文字を結合してなるものと容易に理解されるものである。
そうすると、本件商標からは、構成全体として一つの商店街の名称としてとらえられる場合もあるといえるとしても、前記のとおり、引用商標が周知著名であることから、「阪急」の文字部分よりは、申立人らのグループ又はこれらと緊密な関係にある営業主の業務に係る商品又は役務であるとの観念を生じ、「ハンキュウ」の称呼を生ずるものというのが相当である。
してみれば、本件商標は、引用商標「阪急」とは、同文字部分を共通にするばかりでなく、上記称呼及び観念を共通にするものというべきである。
(3)本件商標の指定商品及び指定役務と引用商標に係る役務の関連性の程度、需要者の共通性等
申立人ら阪急阪神東宝グループは、一般消費者を需要者とする各種役務を幅広く行っていることが認められ、また、本件商標の指定商品(印刷物、文房具等)は、百貨店等においても取り扱われるものであり、同グループは映画の興行等を行っており、さらに旅行に関する業務を行っているから、本件商標の指定商品及び指定役務と引用商標を使用する役務とは、需要者を共通にし、関連性を有するものと認められる。
(4)まとめ
以上のとおり、本件商標の要部と引用商標とは、外観、称呼、観念において共通する部分が多く、本件商標と引用商標とは類似性の程度が高いこと、引用商標は、阪急電鉄を含む申立人らのグループの業務を表すものとして広く知られているものであり、かつその独創性も高いものであること、本件商標の指定商品及び指定役務と引用商標に係る役務の関連性が高いことからすれば、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、本件商標をその指定商品又は指定役務に使用した場合、これに接する需要者が、周知著名な商標である引用商標を連想・想起して、これらの商品又は役務が申立人らとの間に緊密な営業上の関係又は同一の表示による商品化事業を営むグループに属する関係にある者の業務に係る商品又は役務であると誤信するおそれがあるものと認められる。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。

4 商標権者の意見
上述した取消理由の通知に対し、商標権者は意見書を提出していない。

5 当審の判断
本件商標は、前記3の取消理由により、商標法第4条第1項第15号に該当する。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものであるから、同法第43条の3第2項の規定に基づき、これを取り消すべきものとする。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲 本件商標(色彩は原本参照)


異議決定日 2012-03-13 
出願番号 商願2010-34022(T2010-34022) 
審決分類 T 1 651・ 271- Z (X16354143)
最終処分 取消  
前審関与審査官 海老名 友子石井 恵美子 
特許庁審判長 内山 進
特許庁審判官 板谷 玲子
小畑 恵一
登録日 2010-12-10 
登録番号 商標登録第5376012号(T5376012) 
権利者 船橋 修治
商標の称呼 イイストリート、ハンキューヒガシドーリショーテンガイ、ハンキュー、ヒガシドーリショーテンガイ、トーツーショーテンガイ 
代理人 森岡 博 
代理人 森岡 博 
代理人 森岡 博 

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