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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 X25 審判 全部申立て 登録を維持 X25 審判 全部申立て 登録を維持 X25 |
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管理番号 | 1256587 |
異議申立番号 | 異議2011-900422 |
総通号数 | 150 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2012-06-29 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2011-11-28 |
確定日 | 2012-05-09 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第5434097号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第5434097号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第5434097号商標(以下「本件商標」という。)は、「LoveNature」の文字を標準文字で表してなり、平成23年3月14日に登録出願、第25類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、同年7月25日に登録査定、同年8月26日に設定登録されたものである。 2 登録異議の申立ての理由 登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は商標法第4条第1項第11号、同第15号及び同第19号に該当し、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第16号証を提出した。 (1)申立人が引用する商標 申立人が引用する登録第5277217号商標(以下「引用商標」という。)は、「LIFE NATURE LOVE」の文字を標準文字で表してなり、平成21年5月8日に登録出願、第25類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、同年10月30日に設定登録されたものであり、その商標権は現に有効に存続しているものである。 (2)具体的な理由 ア 申立人が使用する商標の著名性について (ア)「フリーシティー」の名称で事業を行っている申立人は、被服、バッグ等の販売を行っている。フリーシティーは、メジャーなスキー・スノーボード会社と協力して、スキー用の被服もデザインし、それを製造・販売してきた。 商標「LIFE NATURE LOVE」は2001年10月31日に使用が開始され(甲第3号証)、2010年8月2日時点において、商標「LIFE NATURE LOVE」を使用した製品は世界14か国で販売されている(甲第4号証)。 以下、申立人が使用する商標「LIFE NATURE LOVE」を「引用商標」ということがある。 なお、引用商標を使用した製品は、フリーシティーの社長であるニーナ ガドゥーノを通じて、当初はセレクトショップ「ロンハーマン」により販売され、現在はフリーシティーにより販売されている。 また、引用商標を使用した製品は、多くのいわゆるセレブ達に愛用されている(甲第4号証)。 引用商標を使用した製品の米国及び全世界における売上高は、2006年が米国で約854万ドル(約10億円)、世界で約1005万ドル(約12億円)(1ドル=117円)、2007年が米国で約1005万ドル(約12億円)、世界で約1183万ドル(約14億円)(1ドル=118円)、2008年が米国で約1143万ドル(約12億円)、世界で約1345万ドル(約14億円)(1ドル=104円)である(甲第4号証)。 さらに、ニーナ ガドゥーノ及び引用商標を使用した製品は、多くの雑誌等に取り上げられてきた(甲第5号証ないし同第8号証)。 (イ)引用商標を使用した製品は、我が国においては株式会社聖林公司(Seilin & Co.)を販売代理店として、遅くとも2004年から販売されてきた(甲第9号証ないし甲第11号証)。 現在では聖林公司のオンラインショップにおいても、「LIFE NATURE LOVE」のジップパーカ、ニットキャップ等が販売されている(甲第12号証ないし甲第14号証)。 メンズノンノ2011年10月号では、「LIFE NATURE LOVE」のトートバッグが掲載されている(甲第15号証)。 (ウ)このような状況下、引用商標は、本件商標の出願日はもとより、それ以前から、我が国及び外国(特に米国)において、「被服」についての商標として周知・著名であったといえる。 イ 商標法第4条第1項第11号について (ア)本件商標は、欧文字「LoveNature」を標準文字で横書きした構成からなり、本件商標を構成する「Love」「Nature」の各語は、それぞれ「愛」「自然」を意味する語として、ともに我が国においてよく知られた英語であり、それぞれ日常語化するほど一般に浸透している。 しかしながら、「Love Nature」の語句が一連の熟語的意味合いを有する言葉として別個独立の観念をもって一般に親しまれているとは認められない。しかして、需要者・取引者が時と所を異にして本件商標に接するときは、いずれが前節あるいは後節であったかを判別することは極めて困難であるといえる。 したがって、本件商標は、「愛」「自然」の各観念を生ずる語の組み合わせからなる商標として印象づけられる。 よって、本件商標からは全体として「愛、自然」といった漠然とした観念が生ずる。 (イ)一方、引用商標は、欧文字「LIFE NATURE LOVE」を標準文字で横書きした構成からなり、引用商標を構成する「LIFE」「NATURE」「LOVE」の各語もそれぞれ「生活」「自然」「愛」を意味する語として、ともに我が国においてよく知られた英語であり、それぞれ日常語化するほど一般に浸透している。しかして、引用商標からは全体として「生活、自然、愛」といった漠然とした観念が生ずる。 (ウ)そこで、本件商標から生ずる漠然とした観念である「愛、自然」と引用商標から生ずる漠然とした観念である「生活、自然、愛」とを比較すると、これらはそれぞれ人間が生存していくうえで不可欠の要素であるという点において共通し、ともに「自然、愛」という観念を共通にする。したがって、本件商標と引用商標とは観念において相紛らわしい商標である。 しかも、本件商標は引用商標の構成要素である「NATURE」及び「LOVE」の語をそのまま含んでいる。一方、前記したとおり、引用商標は「被服」についての商標として周知・著名である。このような状況下、本件商標に接する需要者・取引者は、本件商標を引用商標のいわゆるセカンドラインであると認識する可能性が極めて高い。 (エ)「商品及び役務の区分」に基づく類似商品・役務審査基準の下、本件商標のすべての指定商品が引用商標の指定商品と同一又は類似である。 (オ)したがって、本件商標と引用商標とは類似の商標であり、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品も同一又は類似であるので、本件商標は商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。 ウ 商標法第4条第1項第15号について (ア)前記したとおり、引用商標は、本件商標の出願日はもとより、それ以前から、我が国及び外国(特に米国)において、「被服」についての商標として周知・著名であったといえる。 (イ)また、前記したとおり本件商標と引用商標とは観念において類似する商標である。 しかも本件商標は引用商標の構成要素である「NATURE」及び「LOVE」の語をそのまま含んでいるので、本件商標は、引用商標のいわゆるセカンドラインであると認識される可能性が極めて高い。 (ウ)さらに、本件商標の指定商品と引用商標がその商品について周知・著名である「被服」とは,同一の店舗で販売されているという実情がある。 (エ)また、本件商標の商標権者はアパレル事業を営んでおり(甲第16号証)、申立人とは同業者の関係にある。 (オ)このような状況下、本件商標が商標権者によりその指定商品に使用されれば、当該商品はあたかも申立人あるいは少なくとも申立人と経済的又は組織的に何らかの関連を有する企業によって提供された商品であるかのようにその出所につき誤認・混同を生じさせることは明らかである。 (カ)したがって、本件商標は商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。 エ 商標法第4条第1項第19号について (ア)前記したとおり、引用商標は、本件商標の出願日はもとより、それ以前から、我が国及び外国(特に米国)において、「被服」についての商標として周知・著名であり、申立人の提供する商品について絶大な信用が化体した重要な財産である。 (イ)また、前記したとおり、本件商標と引用商標とは観念において類似する商標である。 (ウ)しかも、本件商標は引用商標の構成要素である「NATURE」及び「LOVE」の語をそのまま含んでいるので、本件商標は引用商標のいわゆるセカンドラインであると認識される可能性が極めて高い。 また、本件商標の商標権者はアパレル事業を営んでおり(甲第16号証)、申立人とは同業者の関係にある。したがって、商標権者が申立人の周知著名商標「LIFE NATURE LOVE」の存在を知らなかったということはあり得ず、申立人の周知著名商標「LIFE NATURE LOVE」の構成要素である「NATURE」及び「LOVE」の語をそのまま含んだ本件商標を偶然に採択したということは到底考えられない。 よって、本件商標は不正な目的をもって登録されたといえる。 (エ)かかる目的を持った本件商標について、その登録・使用を認めることは、著名商標についてのいわゆる「ただ乗り」行為を是認することとなり、商標法及び産業財産権法上の秩序を乱すという問題のみならず、社会経済上の一般的秩序を乱すものであるというべきである。 よって、本件商標は商標法第4条第1項第19号に違反して登録されたものである。 オ むすび 以上述べたとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同第15号及び同第19号に該当し、同法第43条の2第1号により取り消されるべきものである。 3 当審の判断 (1)引用商標の周知・著名性について 申立人提出の証拠及び同人の主張によれば、引用商標は、米国で2001年(平成13年)10月31日に使用が開始され、引用商標が使用されたパーカーなどの商品(以下「申立人商品」という。)が遅くとも2004年(平成16年)から我が国に輸入されたことが認められる。 しかしながら、我が国に輸入されたと認め得る申立人商品の数量は100にも満たないし(甲第9号証ないし甲第11号証)、申立人商品の販売や広告については明らかにされていない。また、申立人の社長の宣誓書(甲第4号証)には「引用商標は世界的に著名なブランド名かつ高級品の代名詞となっている。」旨が記載されているものの、同宣誓書の2006年(平成18年)ないし2008年(平成20年)の年間の売上高が米国で10億円ないし12億円、世界で12億円ないし14億円の記載が事実だとしても、その程度の売上高では、引用商標が米国はもとより世界で著名なブランド名や高級品の代名詞となっているとは到底認めることはできない。 そして、引用商標が、本件商標の登録出願の時及び査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして我が国又は米国をはじめとする外国における需要者の間に広く認識されていたものと認めるに足る証拠は見いだせない。 してみれば、引用商標は、本件商標の登録出願の時及び査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして我が国又は外国における需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。 (2)商標法第4条第1項第11号について ア 本件商標は、上記1のとおり「LoveNature」の文字からなるものであり、その構成文字は、同じ書体、同じ大きさ、等間隔で一体に表されており、該文字から生じる「ラブネーチャー」の称呼もよどみなく一連に称呼し得るものである。 そして、「Love」及び「Nature」の文字(語)が、それぞれ「愛、愛する」及び「自然」を意味する語として我が国において親しまれた英語であることから、「自然を愛する、自然を愛せ」ほどの意味合い(観念)を生じさせるものと判断するのが相当である。 イ 他方、引用商標は、上記2(1)及び(2)ア(ア)のとおり「LIFE NATURE LOVE」の文字からなるものであり、その構成文字は、同じ書体、同じ大きさで一体的に表されており、該文字から生じる「ライフネーチャーラブ」の称呼も格別冗長というべきものでなく、よどみなく一連に称呼し得るものである。 そして、「LIFE」「NATURE」及び「LOVE」の文字(語)が、それぞれ「生命、生活」「自然」及び「愛、愛する」を意味する語として我が国において親しまれた英語であるものの、全体として特定の観念を生じないものと認識されるとみるのが自然である。 ウ そこで、本件商標と引用商標とを比較すると、両者は観念においては、前者が「自然を愛する、自然を愛せ」ほどの意味合い(観念)を生じるのに対し、引用商標は特定の観念を生じないものであるから相紛れるおそれのないものである。 なお、申立人は、本件商標と引用商標とが観念において相紛らわしい類似の商標であり、しかも引用商標が周知・著名であることからして、本件商標が引用商標のいわゆるセカンドラインであると認識する旨主張しているが、両商標が観念において相紛れるおそれのないこと及び引用商標が周知・著名な商標とは認められないこと、いずれも上述のとおりであるから、申立人の主張は採用することができない。 さらに、両商標は、外観においては両者の上記各構成文字から、また称呼においては上記各称呼の音構成から、いずれも相紛れるおそれのないこと明らかである。 してみれば、本件商標と引用商標とは、観念、外観及び称呼のいずれの点からみても、相紛れるおそれのない非類似の商標というべきであり、かつ、他に両者が類似するというべき理由は見いだせないから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するということはできない。 (3)商標法第4条第1項第15号及び同第19号について 引用商標が本件商標の登録出願の時及び査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして我が国又は外国における需要者の間に広く認識されていたものと認められないこと上記(1)のとおりであり、また、本件商標と引用商標とは、上記(2)のとおり外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。 そうとすれば、商標権者が本件商標をその指定商品について使用しても、これに接する取引者・需要者をして引用商標を連想又は想起させるものとは認められず、その商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのごとく、その商品の出所について混同を生じさせるおそれはないものというべきである。 さらに、本件商標が不正の目的をもって使用するものと認めるに足る証拠は見いだせない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号及び同第19号に該当するものということはできない。 (4)むすび 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同第15号及び同第19号に違反して登録されたものではないから、商標法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 2012-04-25 |
出願番号 | 商願2011-18023(T2011-18023) |
審決分類 |
T
1
651・
222-
Y
(X25)
T 1 651・ 271- Y (X25) T 1 651・ 26- Y (X25) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 渡辺 潤 |
特許庁審判長 |
森吉 正美 |
特許庁審判官 |
堀内 仁子 高野 和行 |
登録日 | 2011-08-26 |
登録番号 | 商標登録第5434097号(T5434097) |
権利者 | グンゼ株式会社 |
商標の称呼 | ラブネーチャー、ラブナチュレ、ラブナチュール |
代理人 | 東谷 幸浩 |
代理人 | 熊倉 禎男 |
代理人 | 藤倉 大作 |
代理人 | 田中 伸一郎 |
代理人 | 松尾 和子 |
代理人 | 加藤 ちあき |
代理人 | 井滝 裕敬 |
代理人 | 石戸 孝 |
代理人 | 辻居 幸一 |
代理人 | 中村 稔 |