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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 X09
審判 全部申立て  登録を維持 X09
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管理番号 1256569 
異議申立番号 異議2011-900343 
総通号数 150 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2012-06-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2011-09-26 
確定日 2012-04-05 
異議申立件数
事件の表示 登録第5420304号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5420304号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5420304号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、平成22年11月23日に登録出願、第9類「電気通信機械器具の部品及び付属品」を指定商品として、同23年4月26日に登録査定、同年6月24日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する商標は、以下のとおりであり、これらをまとめていうときは、以下、「引用商標」という。
(1)登録第4985540号商標(以下「引用商標1」という。)は、「IHOME」の欧文字を標準文字で表してなり、2005年1月21日に米国においてした商標登録出願に基づき、パリ条約第4条による優先権を主張して、平成17年6月30日に登録出願、第9類「時計付きラジオ,ヘッドホン,オーディオスピーカー」を指定商品として、同18年9月8日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
(2)登録第5059386号商標(以下「引用商標2」という。)は、「IHOME」の欧文字を標準文字で表してなり、平成18年10月25日に登録出願、第9類に属する「電気通信機械器具」を含む商標登録原簿に記載のとおりの商品のほか、第11類、第18類及び第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同19年6月29日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
(3)「iHOME」又は「iHome」の欧文字よりなる使用商標(以下「引用商標3」という。)である。

3 登録異議申立ての理由
申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同第15号、同第7号及び同第19号に該当し、取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第31号証を提出した。
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、これより生ずる「アイホーン」の称呼が引用商標1及び2より生ずる「アイホーム」の称呼と類似し、かつ、引用商標1及び2と外観上類似する。
また、本件商標は、引用商標1及び2の指定商品と同一又は類似の商品について使用するものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第15号について
引用商標は、申立人の業務に係る商品「目ざまし時計、時計付きラジオ、携帯用のスピーカー、家庭用オーディオシステム、ヘッドホン、充電ステーション」等について使用され、本件商標の登録出願前より、日本及び世界の家電製品の業界において、極めて広く知られていたものである。
本件商標は、引用商標に類似する商標であるから、これをその指定商品について使用するときは、該商品が申立人の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(3)商標法第4条第1項第7号について
著名な引用商標を含む本件商標の使用・登録を容認することは、引用商標の有する出所表示機能を稀釈化するばかりでなく、引用商標に化体した業務上の信用にただ乗りすることを認めることとなり、健全な取引秩序を乱すものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。
(4)商標法第4条第1項第19号について
本件商標は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている引用商標と同一又は類似の商標であって、不正な目的をもって使用するものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。

4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号について
ア 本件商標について
本件商標は、別掲のとおり、上段に薄墨色の「iHorn」の欧文字を大きく表し、下段に黒色で「アイホルン」の片仮名をやや小さく表してなるものであるところ、その構成中の「Horn」の欧文字部分のみを分離して抽出するとすれば、該文字部分は、「ホーン」と発音され、「角」などを意味する英単語であることは認め得るとしても、本件商標中の上段の「iHorn」の欧文字部分は、各文字が同一の間隔で一連に書され、外観上まとまりよく表されているものであるから、構成する文字全体が、特定の意味合いを看取させない造語を表したと認識されるばかりでなく、下段の「アイホルン」の片仮名部分は、上段の「iHorn」の欧文字部分とは、やや隙間が存在するものの、該「iHorn」の欧文字部分の称呼を特定すべき役割を果たすものと無理なく認識できるものである。
このことは、平成23年(行ケ)第10203号、知財高裁平成24年2月21日の判決において「・・・一般に,欧文字と仮名文字とを併記した構成の商標において,その仮名文字部分が欧文字部分の称呼を特定すべき役割を果たすものと無理なく認識できるときは,仮名文字部分より生ずる称呼が,その欧文字部分より生ずる自然の称呼とみるのが相当である。」と判示していることからも妥当なものである。
そうすると、本件商標より生ずる自然の称呼は、「アイホルン」であるとともに、構成全体として特定の観念を有しない造語よりなるものとみるのが相当であり、ほかに本件商標からその他の称呼、特定の観念が生ずるとするような事情も見あたらない。
イ 引用商標1及び2について
引用商標1及び2は、「IHOME」の文字を標準文字で書してなるものであるから、その構成文字に相応して、いずれも「アイホーム」又は「イホーム」の称呼を生ずるものであって、特定の観念を有しない造語よりなるものであり、ほかに本件商標から特定の観念が生ずるとするような事情も見あたらない。
ウ 本件商標と引用商標1及び2との対比について
(ア)外観について
本件商標は、前記認定のとおり、構成全体をもって、一つの商標を表したものと認識されるというのが相当であるから、「IHOME」の文字よりなる引用商標1及び2とは、外観上明らかに相違するものである。
(イ)称呼について
まず、本件商標より生ずる「アイホルン」の称呼と引用商標1及び2より生ずる「アイホーム」の称呼についてみるに、両称呼は、前半部の「アイホ」の音を共通にし、第4音において「ル」の音と「ホ」の長音、第5音において「ン」の音と「ム」の音の差異を有するものであるところ、第4音の「ル」の音と「ホ」の長音は、前者が母音「u」を帯有する弾音であるのに対し、後者は、「ホ」の母音「o」が長く伸ばされた音であるから、音質、音感において著しく相違するものである。
そうすると、両称呼は、そのうちの第5音の「ン」の音と「ム」の音が末尾に位置し、やや聴取され難い音であるとしても、第4音における「ル」の音と「ホ」の長音の差異を有することにより、それぞれの称呼を全体として称呼した場合においても、その語調、語感が相違したものとなり、互いに紛れるおそれはないものといえる。
次に、本件商標より生ずる「アイホルン」の称呼と引用商標1及び2より生ずる「イホーム」の称呼は、上記「アイホルン」と「アイホーム」の称呼上の差異に加え、称呼における識別上重要な要素を占める語頭において、「ア」の音の有無の差異をも有するものであるから、それぞれの称呼を全体として称呼した場合においても明らかに聴別し得るものである。
(ウ)観念について
本件商標と引用商標1及び2は、いずれも造語よりなるものであるから、観念上比較することはできない。
エ まとめ
してみれば、本件商標と引用商標1及び2は、外観、称呼及び観念のいずれの点についても、互いに紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
したがって、本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとする申立人の主張は理由がない。
(2)商標法第4条第1項第15号について
ア 引用商標の著名性について
(ア)申立人の提出に係る証拠によれば、以下の事実を認めることができる。
申立人は、1965年(昭和40年)11月に、アメリカ合衆国デラウェア州の法律のもとに設立された家電製品の製造販売を業とする会社であり、2005年(平成17年)より、引用商標を付したクロックラジオの販売を開始した。日本における引用商標を付した商品の販売開始は、2008年(平成20年)であり、その販売高は、2008年(平成20年)が約1200万円、2009年(平成21年)が約6200万円、2010年(平成22年)が約9950万円であった(甲21:申立人の上席副社長の宣誓書)。
申立人は、引用商標3を付したクロックラジオ、携帯用スピーカー、家庭用オーディオ機器等について、本件商標の登録出願日(平成22年11月23日)後からその査定日(平成23年4月26日)後にかけて、「WeROCK」(平成23年5月1日発行)、「WOOFIN’」(2010年(平成22年)12月30日発行)、「週刊アスキー」(2011年(平成23年)1月18日号)、「MacFan」(平成23年10月1日発行)、「特選街」(平成23年3月3日発行)といった日本で発行された雑誌において広告をした(甲24の1)。
また、2010年(平成22年)12月ころに、引用商標3を付した上記商品についての日本語版カタログを作成した(甲25)。
さらに、引用商標3を付した商品について、日本向けにインターネット上で広告をした(甲28。ただし、その掲載日は明らかではなく、プリントアウトの日付は、2011年(平成23年)12月16日である。)。
(イ)前記(ア)で認定した事実によれば、引用商標を付した商品「目ざまし時計、時計付きラジオ、携帯用スピーカー、家庭用オーディオ機器」等の日本における販売開始が2008年(平成20年)であるとする証拠は、甲第21号証の申立人の上席副社長の宣誓書のみであり、これを裏付ける証拠の提出はなく、また、上記商品の日本での販売高を裏付ける証拠の提出もない。
さらに、引用商標3を付したクロックラジオ、携帯用スピーカー、家庭用オーディオ機器等についての日本における広告も、いずれも本件商標の登録出願日(平成22年11月23日)以降ないしその登録査定日(平成23年4月26日)以降に発行された雑誌に掲載されたものや、カタログのみであり、日本向けのインターネットでの広告は、その掲載日が明らかではない。
なお、申立人は、引用商標3を付した商品の英語版カタログ(甲26)を提出するが、これが日本で頒布されたものであるか否かが明らかではなく、そのうえ、作成日も明らかではない。
さらに、申立人は、引用商標3を付した商品へのインターネットアクセス数(甲27)、引用商標の登録リスト・登録証(甲29及び甲30)、引用商標3を付した商品が賞を獲得したとする証拠(甲31)をも提出するが、インターネットアクセス数や引用商標の登録リスト等は、必ずしも引用商標の著名性に直結するものとはいえないし、また、引用商標3を付した商品に与えられた賞の内容・規模などは全く不明であるといわざるを得ない。
以上を総合すると、引用商標が、申立人の業務に係る商品「クロックラジオ、携帯用スピーカー、家庭用オーディオ機器」等を表示するものとして、出願時及び登録査定時において、我が国の需要者の間に広く認識されていた商標と認めることはできない。
イ 本件商標と引用商標との類似性について
前記(1)で認定のとおり、本件商標と引用商標1及び2とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても、互いに紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきであり、また、本件商標と引用商標3とは、本件商標と引用商標1及び2との類否判断と同様の理由により、外観、称呼及び観念のいずれの点についても、互いに紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきである。
ウ まとめ
以上によれば、本件商標に接する需要者が、引用商標を想起又は連想することはないというのが相当であるから、本件商標は、これをその指定商品について使用しても、該商品が申立人の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれのある商標と認めることはできない。
したがって、本件商標が商標法第4条第1項第15号に該当するとする申立人の主張は理由がない。
(3)商標法第4条第1項第7号について
本件商標が商標法第4条第1項第7号に該当するとする申立人の主張は、本件商標中に著名な引用商標を含む、とするものである。
しかしながら、本件商標は、その構成態様からみて、引用商標を含むものでないことは明らかであるのみならず、引用商標が、本件商標の登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国において著名性を獲得していなかったものであることは、前記(2)で認定のとおりである。
そうすると、申立人の主張は、前提において失当といわざるを得ず、そのほか、本件商標が「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」とみるべき理由があると認めるに足りる証拠の提出はない。
したがって、本件商標が商標法第4条第1項第7号に該当するとする申立人の主張は理由がない。
(4)商標法第4条第1項第19号について
前記(2)で認定のとおり、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国において著名性を獲得していなかったものであり、また、引用商標が、本件商
標の登録出願時及び登録査定時において、外国における需要者の間に広く認識されていた商標であると認めるに足りる証拠の提出はない。
さらに、本件商標は、引用商標とは、先に認定のとおり、外観、称呼及び観念のいずれの点についても、互いに紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきものであるから、本件商標は、引用商標の著名性へのただ乗りをする等、不正の目的をもって使用されるものと認めることはできない。
したがって、本件商標が商標法第4条第1項第19号に該当するとする申立人の主張も理由がない。
(5)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号、同第15号、同第7号及び同第19号のいずれにも違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲(本件商標)

異議決定日 2012-03-26 
出願番号 商願2010-94703(T2010-94703) 
審決分類 T 1 651・ 22- Y (X09)
T 1 651・ 261- Y (X09)
T 1 651・ 222- Y (X09)
T 1 651・ 271- Y (X09)
T 1 651・ 262- Y (X09)
最終処分 維持  
前審関与審査官 久保田 正文 
特許庁審判長 水茎 弥
特許庁審判官 渡邉 健司
井出 英一郎
登録日 2011-06-24 
登録番号 商標登録第5420304号(T5420304) 
権利者 池田工業株式会社
商標の称呼 アイホーンアイホルン、アイホーン、アイホルン、ホーン、ホルン 
代理人 浅村 肇 
代理人 岡野 光男 
代理人 高原 千鶴子 
代理人 浅村 皓 
代理人 特許業務法人浅村特許事務所 

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