• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Y25
管理番号 1256515 
審判番号 取消2011-300566 
総通号数 150 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2012-06-29 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2011-06-22 
確定日 2012-05-01 
事件の表示 上記当事者間の登録第4985165号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4985165号商標(以下「本件商標」という。)は、「SCOTT BURGRAY」の文字(「S」及び「B」の文字は、それぞれ他の文字より大きく表されている。)を横書きしてなり、平成18年1月18日に登録出願され、第25類「靴下,靴下止め,足袋」を指定商品として平成18年9月8日に設定登録されたものである。
また、本件審判の請求の登録日は、同23年7月26日である。

第2 請求人の主張
請求人は、本件商標の指定商品「靴下,靴下止め,足袋」について登録を取り消す、との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁の理由を要旨以下のように述べている。
1 請求の理由
本件商標は、請求人の調査によれば、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても、指定商品「靴下,靴下止め,足袋」について使用された事実がない。なお、上記商品について専用使用権又は通常使用権の設定が登録された事実もない。
したがって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により、その登録が取り消されるべきものである。
2 弁駁の理由
(1)被請求人は、本件審判請求の登録前3年以内に我が国においてその請求に係る指定商品中「靴下」について、本件商標を使用している旨主張し、それを証明するために、乙第1号証ないし乙第8号証を提出している。
(2)乙第1号証ないし乙第3号証の「納品書」及び「物品受領書」に「スコットバーグレイ 紳士靴下 アソート」の文字が表示され、乙第6及び第7号証の「FAX専用お申込用紙」に「Scott Burgray 靴下ギフトボックス」の文字が表示されていることは認める。
しかし、乙第1号証ないし乙第3号証の日付である「2010年11月4日」(被請求人主張の「2011年11月4日」は誤記。以下同じ。)、乙第6号証の日付である「2008年5月2日」及び乙第7号証の日付である「2009年2月5日」(被請求人主張の「2008年9月20日」は誤記。以下同じ。)の各時点においては、被請求人が商標権者(上記の各時点における商標権者は株式会社セイユウ)との関係において通常使用権の設定登録を受けている事実はなく(特許庁ホームページ、特許電子図書館、経過情報検索の登録情報)、被請求人は通常使用権者ではないから、通常使用権者による本件商標の指定商品における使用の事実がないことは明らかである。
したがって、被請求人が主張する通常使用権者による本件商標の指定商品についての使用はなく、被請求人の主張はその正当な理由がない。
(3)ちなみに、被請求人は、本件商標権に対して平成23年3月24日(作成日平成23年3月29日)に本件移転登録申請書(譲渡)を特許庁に提出し、平成23年4月22日(作成日平成23年4月6日)に移転登録済通知書が発送され(特許庁ホームページ、特許電子図書館、経過情報検索の登録情報)、本件商標の商標権者となっているが、乙第1号証ないし乙第3号証の日付である「2010年11月4日」、乙第6号証の日付である「2008年5月2日」、乙第7号証の日付である「2009年2月5日」の各時点においては、商標権者ではなく、商標権者としての本件商標の指定商品についての使用の事実はない。なお、現在においても商標権者としての本件商標の指定商品についての使用の事実はなく、専用使用権者又は通常使用権者による本件商標の指定商品についての使用の事実もない。
(4)以上述べたように、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが、継続して3年以上、日本国内において本件商標をその指定商品について使用していないから、被請求人の主張には理由がない。

第3 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第8号証を提出している。
1 本件商標の使用について
本件商標は、本件審判請求の登録前3年以内に我が国においてその請求に係る指定商品中「靴下」について使用されている。
(1)本件商標の使用の事実及び使用者
乙第5号証の「納品伝票」には「株式会社セイユウ」、「東京都台東区上野1-12-10」が表示されており、本件商標を使用し株式会社セイユウにより製造された「靴下」を株式会社グローバル・ヴィューが仕入れをした旨の記載がある。
(2)使用にかかる商品
乙第1号証ないし乙第3号証及び乙第5号証ないし乙第8号証には、請求に係る指定商品中の「靴下」の製品名が記載されている。
(3)使用に係る商標
乙第1号証ないし乙第3号証及び乙第6号証ないし乙第8号証には、本件商標が記載されている。
(4)使用時期
乙第1号証ないし乙第3号証には「2010年11月4日」、乙第5号証には「2008年12月27日」、乙第6号証にはファックス受信年月日が「2008年5月2日」、乙第7号証にはファックス受信年月日が「2009年2月5日」と記載されている。
2 まとめ
以上のとおり、本件商標は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において通常使用権者により指定商品中「靴下」について使用していることが明らかであるから、本件審判の請求は成り立たない。

第4 当審の判断
1 事実認定
(1)乙第1号証ないし乙第3号証は、いずれも被請求人が「株式会社ゴートレイド」宛て、又は「久本・・・」宛てに発行した2010年11月4日付の「納品書」及び「物品受領書」の写しと認められるところ、これらには、「品番・品名」欄に「スコットバーグレー 紳士靴下 アソート」と記載されているほか、それに対応した数量等が記載されている。
(2)乙第4号証は、「出荷一覧表」と題する書面の写しと認められるところ、「荷主様控」、「発行日2010/11/04」、「出荷予定日2010/11/04」等と記載され、「お届け先名称 お届け先住所」欄に「11/04 久本・・・ 松戸市幸田・・・」、「輸送指示」欄に「配達指定【11月5日午前】」の各記載等が見られる。このお届け先及び住所は、上記1(1)の納品書及び物品受領書に記載された氏名及び住所と一致する。
また、当該4号証の欄外には「2010年11月4日15時58分 サンラインコーポレーション NO.9737 P.1」と表示されている。
そして、上記欄外の表示に照らし、当該4号証はサンラインコーポレーションによって2010年11月4日15時58分にFAX送信されたものである。
(3)乙第5号証は、「株式会社セイユウ」が被請求人宛てに発行した2008年12月27日付又は2008年1月11日付の「納品書」の写しと認められるところ、いずれも「コード・商品名」の欄に「ギフト用紳士靴下(紺BOX)」等と記載され、それに対応した数量、単価、金額等が記載されている。
(4)乙第6号証及び乙第7号証は、いずれも「FAX専用お申込用紙」と題する書面の写しであって、被請求人に対しFAXにより商品購入の申込をするためのものと認められるところ、乙第6号証の書面には、「お名前」欄に「大藪・・・」、「会社名」欄に「日本生命大原営業部」、「お届け先住所」欄に「千葉県いすみ市大原・・・」、「商品名」欄に「Scott Burgray靴下ギフトボックス」、「紳士 3足組 1ケース20セット(60足)」、「販売価格10,500円(1ケース)×1ケース」、「お届け指定日」欄に「5月9日」等の各記載が見られるほか、その欄外には、「08-05-02 17:50 宛先-03587・・・殿 送信元-日本生命大原営業部 P001/001 T-758 U-90」と表示されている。
乙第7号証の書面にも、乙第6号証と同様、「三浦・・・」、「日本生命」、「弘前市北瓦ヶ町・・・」、「Scott Burgray 靴下ギフトボックス」、「紳士 3足組 1ケース20セット(60足)」、「販売価格10,500円(1ケース)×1ケース」等の記載が見られるほか、その欄外には「2009年2月5日10時37分 ニッセイ 弘前営業部 NO.3304 P.1」と表示されている。
そして、各書面の欄外の表示に照らし、乙第6号証の書面は2008年5月2日17時50分に大藪氏により、乙第7号証の書面は2009年2月5日10時37分に三浦氏により、それぞれ被請求人宛てにFAX送信されたものである。
(5)乙第8号証は、佐川急便株式会社又は西濃運輸株式会社の発行に係る「元払伝票(依頼人控え)」の写しと認められるところ、これらには、依頼人として被請求人が記載され、お届け先として三浦氏又は大藪氏の名前が住所及び電話番号と共に記載されているほか、日付欄に「21年2月17日」又は「2008年5月8日」の記載、品名欄に「紳士くつ下2Pギフトセット30セット」又は「紳士くつ下3Pギフト20セット」の記載等が見られる。
2 本件商標の使用について
上記1の認定事実を総合すると、被請求人は、株式会社セイユウから商品「靴下」を仕入れ、それを顧客たる株式会社ゴートレイド、久本氏、大藪氏及び三浦氏に販売したものである。
そして、乙第1号証ないし乙第3号証の「納品書」及び「物品受領書」の商品名欄中の「スコットバーグレー 紳士靴下 アソート」との記載、乙第6号証及び乙第7号証の「FAX専用お申込用紙」の商品名欄中の「Scott Burgray 靴下ギフトボックス」との記載に照らし、上記「スコットバーグレー」及び「Scott Burgray」の文字は、商品「靴下」の識別標識たる商標としての機能を果たすものというべきであり、かつ、観念において相違することもなく、称呼は同一といえるものであるから、本件商標と社会通念上同一のものといえる。
また、乙第1号証ないし乙第4号証に記載された「2010年11月4日」、乙第5号証に記載された「08年12月27日」、乙第7号証に記載された「2009年2月5日」又は乙第8号証に記載された「21年2月17日」の各日付は、いずれも本件審判請求の登録日である平成23年7月26日前3年以内の期間に入るものである。
してみれば、本件商標は、本件審判請求の登録前3年以内に、指定商品中の「靴下」について、被請求人によって使用されていたものと認めるのが相当である。
3 通常使用権者について
(1)請求人は、乙第1号証ないし乙第3号証の日付「2010年11月4日」、乙第6号証の日付「2008年5月2日」、乙第7号証の日付「2009年2月5日」の各時点においては、商標権者は株式会社セイユウであり、被請求人が通常使用権の設定登録を受けている事実はなく、被請求人は商標権者としても通常使用権者としても本件商標を使用したものとは認められない旨主張している。
(2)確かに、商標登録原簿によれば、本件商標の権利者は、平成23年3月24日に被請求人が本件商標権の移転を受けるまでは株式会社セイユウであったことが認められるから、上記3(1)の時点には、被請求人は本件商標の商標権者ではなかった。
ところで、通常使用権の許諾は、明文の契約に限らず、黙示の契約によっても可能であり、商標法50条における通常使用権者による登録商標の使用というために通常使用権の登録を要するものではない(知財高裁平成22年2月25日判決・平成21年(行ケ)第10290号)。
然るに、本件商標の現商標権者である被請求人と前商標権者である株式会社セイユウとは、乙第5号証に示されるように、2008年1月及び同年12月に商品の取引を行っている事実があることからすれば、当時商標権者であった株式会社セイユウは、黙示の契約により本件商標権について被請求人に通常使用権を許諾していたものと推認される。
したがって、上記3(1)の時点においては、被請求人は、本件商標の通常使用権者の立場にあったものと認めるのが相当である。
4 まとめ
以上によれば、本件商標は、被請求人によって、指定商品中の「靴下」について、その取引書類に使用されていたものであるから、その使用は、商標法第2条第3項第8号の商品に関する取引書類に標章を付して頒布する行為に該当するものと認められる。
してみれば、本件商標は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、通常使用権者たる被請求人によって、その指定商品中「靴下」について使用されていたと認められる。
したがって、本件商標の指定商品「靴下,靴下止め,足袋」についての登録は、商標法第50条の規定により取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
審理終結日 2012-03-01 
結審通知日 2012-03-08 
審決日 2012-03-21 
出願番号 商願2006-6901(T2006-6901) 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (Y25)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 日向野 浩志 
特許庁審判長 水茎 弥
特許庁審判官 渡邉 健司
井出 英一郎
登録日 2006-09-08 
登録番号 商標登録第4985165号(T4985165) 
商標の称呼 スコットバーグレー、バーグレー、スコット 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ