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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 X3739
審判 全部申立て  登録を維持 X3739
管理番号 1255323 
異議申立番号 異議2011-900369 
総通号数 149 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2012-05-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2011-10-12 
確定日 2012-04-05 
異議申立件数
事件の表示 登録第5429526号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5429526号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第5429526号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成22年12月8日に登録出願、同23年6月29日に登録査定、第37類「自動車用部品の修理又は整備,消防設備の点検・保守・修理」及び第39類「寄託を受けた物品の倉庫における保管」を指定役務として、同年8月5日に設定登録されたものである。

第2 本件登録異議申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は商標法第4条第1項第11号及び同第15号に該当し、同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第44号証を提出した。
1 申立人が引用する商標
申立人が引用する商標は、以下の(1)ないし(8)のとおりであり、いずれの商標権も現に有効に存続しているものである。
以下、それらの商標をまとめていうときは「引用各商標」という。
(1)登録第3332869号商標(以下「引用商標1」という。)は、「麒麟」の文字を横書きしてなり、平成4年9月29日に登録出願、「自動車の修理又は整備,火災報知機の修理又は保守」のほか第37類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として、同9年7月18日に設定登録されたものである。
(2)登録第3146657号商標(以下「引用商標2」という。)は、「KIRIN」の文字を横書きしてなり、平成4年9月25日に登録出願、「自動車の修理又は整備」のほか第37類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として、同8年4月30日に設定登録されものである。
(3)登録第3273556号商標(以下「引用商標3」という。)は、「KIRIN」の文字を横書きしてなり、平成4年9月29日に登録出願、「自動車の修理又は整備,火災報知機の修理又は保守」のほか第37類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として、同9年4月4日に設定登録されたものである。
(4)登録第3332868号商標(以下「引用商標4」という。)は、「キリン」の文字を横書きしてなり、平成4年9月29日に登録出願、「自動車の修理又は整備,火災報知機の修理又は保守」のほか第37類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として、同9年7月18日に設定登録されたものである。
(5)登録第3315769号商標(以下「引用商標5」という。)は、「麒麟」の文字を横書きしてなり、平成4年9月29日に登録出願、「寄託を受けた物品の倉庫における保管」のほか第39類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として、同9年5月30日に設定登録されたものである。
(6)登録第3084917号商標(以下「引用商標6」という。)は、「KIRIN」の文字を横書きしてなり、平成4年9月25日に登録出願、「寄託を受けた物品の倉庫における保管」のほか第39類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として、同7年10月31日に設定登録されたものである。
(7)登録第3315767号商標(以下「引用商標7」という。)は、「KIRIN」の文字を横書きしてなり、平成4年9月29日に登録出願、「寄託を受けた物品の倉庫における保管」のほか第39類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として、同9年5月30日に設定登録されたものである。
(8)登録第3315768号商標(以下「引用商標8」という。)は、「キリン」の文字を横書きしてなり、平成4年9月29日に登録出願、「寄託を受けた物品の倉庫における保管」のほか第39類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として、同9年5月30日に設定登録されたものである。
2 具体的理由
(1) 引用各商標の周知・著名性について
申立人の前身のビール会社であるジャパン・ブルワリーが初めて「キリンビール」と名付けたビールを世に送り出したのは、明治21年であり、その高い技術力から、「キリンビール」は、その当時から良質のビールとして高い人気を呼び、販売数を伸ばしていた(甲第12号証)。
そして、申立人は、明治40年2月創業以来、「キリンビール」の販売を中心に、酒類事業、さらには、飲食・食品事業、医薬事業など、多岐にわたる事業を展開しており(甲第13号証)、引用各商標若しくは「キリン(騏麟)」と称呼及び観念し得る商標は、今現在も、申立人の代表的出所標識として、盛大かつ継続的に使用されている(甲第12号証)。
引用各商標は、申立人による継続した盛大な商品の販売活動やぼう大な宣伝広告費用をかけたテレビCMやキャンペーン活動などにより、老若男女を問わず、あらゆる取引者層、需要者層に申立人の業務に係る商品「ビール」などを表示するものとして定着しており、さらに、近年、申立人は、幅広い範囲の業務を展開しており(甲第13号証)、多角経営及び海外展開をする企業であることは、社会一般に知られており、引用各商標は、物流事業を含む業種の分野においても、親しまれるに至っているものである(甲第14号証ないし甲第18号証)。
したがって、引用各商標は、我が国において、少なくとも、申立人の業務に係る商品「ビール」などを表示するものとして需要者の間に広く認識されている周知・著名商標であることは明らかであり、また、本件商標の出願時にその周知・著名性は獲得されているものである。
(2)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、ひづめ図形の下部に「麒麟倉庫株式会社」の文字を並記してなるところ、図形部分と文字部分は、外観上分離して観察されるとともに、それぞれ自他役務の識別標識として認識し把握されるものである。
そして、本件商標は、その構成中の「騏麟倉庫株式会社」のうち「倉庫株式会社」の文字部分が業種名、業態名を表すものとして普通に使用されていることから(甲第21号証)、自他役務の識別標識としての機能を果たす部分(要部)は、申立人あるいは申立人の業務に係る商品又は役務を表示する商標を容易に連想、想起できる「麒麟」の文字部分にあるものである。
そうすると、本件商標は、その構成中の「騏麟」の文字部分をとらえて「キリン」の称呼を生じ、また「古代中国の想像上の動物である騏麟」の観念を生ずるとともに、引用各商標の周知・著名性から申立人の代表的出所標識であることを容易に連想、想起できるものである。
これに対して引用商標1及び5は「麒麟」の文字を書してなり、それぞれの構成文字に相応して「キリン」の称呼を生じるとともに、引用商標1及び5の周知・著名性から申立人の代表的出所標識であることを容易に連想、想起できるものである。
また、引用商標2、3、6及び7は「KIRIN」、引用商標4及び8は「キリン」の文字を書してなるところ、該構成文字に相応して、いずれも「キリン」の称呼を生じるとともに、申立人が永年にわたって「麒麟」の図形や「麒麟」の文字とともに「KIRIN」あるいは「キリン」の文字を使用してきたという取引の実情を考慮すると、「古代中国の想像上の動物である麒麟」の観念を生ずるとともに、引用商標2ないし4及び6ないし8の周知著名性から申立人の代表的出所標識であることを容易に連想、想起できるものである。
そうすると、本件商標と引用各商標とは、「キリン(麒麟)」の称呼及び観念が同一の商標であるので、本件商標をその指定役務に使用した場合には、申立人の引用各商標を容易に連想、想起するものであり、引用各商標を使用した指定役務との間で出所において誤認混同を生じるから、両者は類似する。
以上のとおり、本件商標は、引用各商標と類似する商標であって、引用各商標の指定役務と同一又は類似のものである。
(3)商標法第4条第1項第15号について
本件商標と引用各商標との類似性の程度は高く、引用各商標の周知・著名性及び独創性の程度も高く、申立人の業務に係る商品「ビール」などと物流に係る役務の関連性の程度は、極めて強いものである。
そうすると、引用各商標に類似する本件商標をその指定役務に使用した場合には、これに接した取引者、需要者に対し、引用各商標を連想させ、申立人あるいは申立人と組織的・経済的に何らかの関係のある倉庫会社の役務であると誤信するおそれがあるものである。
さらに、「麒麟」の語が商号商標の採択にあたってありふれているとは到底いえず(甲第44号証)、申立人の子会社であり、高い売上高及び高い評価を維持している「キリン物流株式会社」が全国規模で、「キリン(騏麟)」の称呼及び観念を生じ得る文字商標あるいは図形商標を使用し、申立人の業務に係る商品「ビール」などの物流業務を行っており、物流会社の主たる業務が輸送、保管、荷役、包装、流通加工であるという取引の実情を考慮すると、本件商標の構成中の「麒麟倉庫株式会社」に接する取引者、需要者は、申立人のグループ企業である「キリン物流株式会社」と組織的・経済的に何らかの関係のある倉庫会社であると誤信するおそれがあるものである。
本件商標の指定役務の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として、上記事情を踏まえて、総合的に判断すると、本件商標の構成中に申立人の周知・著名商標である「麒麟」の文字を包含する以上、本件商標から、申立人の業務に係る商品「ビール」などを表示する周知・著名商標を連想、想起し、本件商標をその指定役務に使用した場合には、申立人との間で系列会社などの密接な営業上、経営上の関係がある営業主の業務に係る役務であると誤信されるおそれがあり、引用各商標の持つ顧客吸引力へのただ乗りやその希釈化を招くという結果を生じるものである。
それゆえ、本件商標は、「他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標」に該当するものである。
(4)結び
上記のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反してされたものであるから、同法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきである。

第3 当審の判断
1 引用各商標の著名性について
申立人提出の証拠及び同人の主張によれば、申立人は、明治40年2月創業以来、「キリンビール」の販売を中心に、酒類事業、飲食・食品事業など多岐にわたる事業を展開していること、及び引用各商標は、申立人による継続した盛大な商品の販売活動や宣伝広告費用をかけたテレビCMやキャンペーン活動などにより、本件商標の登録出願の時及び査定時において、申立人の業務に係る「ビール」はじめとする飲料を表示するものとして需要者の間に広く認識されていることが認められる。
しかしながら、引用各商標の「麒麟」「KIRIN」又は「キリン」の文字(語)は、「(古代中国の想像上の動物である)麒麟」及び「(首と脚が長い動物である)きりん」の観念が生ずる既成語であり、独創性は必ずしも高くないものであって、本件の指定役務の分野にまで引用各商標が申立人の業務に係る役務を表示するものと認識させるものとは認めることはできないというのが相当である。
2 商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、別掲のとおり、黒く塗りつぶした円形内にひづめのような図形を白抜きし、その下に「麒麟倉庫株式会社」の文字を横書きした構成からなるものであり、その図形部分及び文字部分は、それぞれ独立して自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものとみるのが相当である。
そして、「麒麟倉庫株式会社」文字部分は、容易に商号をあらわしたものと認識させるものであることから、「麒麟倉庫」の文字部分が独立して自他役務識別標識としての機能を果たし得るものというのが相当である。
しかしながら、本件商標は、その構成中「麒麟」の文字部分を分離・抽出し、他の商標と比較して商標そのものの類否を検討することが許されるというべき事情は見いだせない。
そうとすれば、本件商標は、その構成文字に相応し「キリンソウコカブシキガイシャ」の称呼及び商号としての「麒麟倉庫株式会社」の観念を生じるほか、その構成中の「麒麟倉庫」の文字部分に相応し「キリンソウコ」の称呼を生じるものというべきである。
他方、引用各商標は、「麒麟」、「KILIN」又は「キリン」の各文字からなるものであるから、それぞれの構成文字に相応して「キリン」の称呼を生じ、「(古代中国の想像上の動物である)麒麟」又は「(首と脚が長い動物である)きりん」の観念を生ずるものである。
そこで、本件商標の構成中「麒麟倉庫株式会社」及び「麒麟倉庫」の文字部分と引用各商標とを比較すると、両者は、その構成文字からみて、外観上明らかに相違するものである。
また、称呼については、前者から生じる「キリンソウコカブシキガイシャ」及び「キリンソウコ」の称呼と後者から生じる「キリン」の称呼とは、その音数、音構成が明らかに相違し、相紛れるおそれはないものである。
さらに、観念においては、前者が商号の観念を生じるのに対し、後者が「(古代中国の想像上の動物である)麒麟」又は「(首と脚が長い動物である)きりん」の観念を生じるから、両者は、観念上相紛れるおそれはないものである。
してみれば、本件商標の構成中「麒麟倉庫株式会社」及び「麒麟倉庫」の文字部分と引用各商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても、相紛れるおそれのない非類似のものといわなければならない。
また、他に本件商標と引用各商標が類似するというべき理由は見いだせない。
したがって、本件商標と引用各商標とは非類似の商標というべきものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するということはできない。
3 商標法第4条第1項第15号について
上記1のとおり引用各商標は、「ビール」をはじめとする飲料の分野において申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識さ
れているものであるが、本件商標の指定役務の分野にまで申立人の業務に係る役務を表示するものとして認識されているものとは認めることはできないし、上記2のとおり、本件商標と引用各商標とは、相紛れるおそれのない非類似の商標であり、別異のものである。
そうすると、本件商標は、商標権者がこれをその指定役務について使用しても、これに接する取引者、需要者をして、引用各商標を想起させるとは認められず、該役務が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかのように、役務の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
したがって、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当するということはできない。
なお、申立人は、本件商標は申立人のグループ会社である「キリン物流株式会社」と組織的、経済的に何らかの関係のある倉庫会社であると誤信させるおそれがある旨主張するところがあるが、本件商標の構成中「麒麟倉庫株式会社」と「キリン物流株式会社」とは、「麒麟」「キリン」が既成語であり独創性が高いものではなく、かつ、異なる会社の商号を表示したものと容易に認識させるものであるから、出所の混同を生じるおそれのないものである。
4 結び
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項11号及び同第15号の規定に違反して登録されたものでないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲(本件商標)






異議決定日 2012-03-26 
出願番号 商願2010-99236(T2010-99236) 
審決分類 T 1 651・ 271- Y (X3739)
T 1 651・ 26- Y (X3739)
最終処分 維持 
前審関与審査官 平澤 芳行 
特許庁審判長 森吉 正美
特許庁審判官 小畑 恵一
瀧本 佐代子
登録日 2011-08-05 
登録番号 商標登録第5429526号(T5429526) 
権利者 麒麟倉庫株式会社
商標の称呼 キリンソーコ、キリン 
代理人 飯島 紳行 
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