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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Z09
管理番号 1255216 
審判番号 取消2011-300074 
総通号数 149 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2012-05-25 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2011-01-26 
確定日 2012-03-30 
事件の表示 上記当事者間の登録第934891号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第934891号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、昭和44年1月20日に登録出願、第11類「電気機械器具、電気通信機械器具、電子応用機械器具(医療用機械器具に属するものを除く)電気材料」を指定商品として、同46年10月30日に設定登録され、その後、3回にわたり商標権の存続期間の更新登録がされ、また、商標権の一部取消審判の請求(取消05-7314)があった結果、指定商品中「電線、ケーブル(光ファイバー・光ファイバーケーブルを含む。)、絶縁テープ、絶縁用ゴム製品」について、平成6年6月20日に登録を取り消す旨の審決がされ、同年10月25日にその確定の登録がされ、同14年5月22日に指定商品を第9類「配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電池,電気磁気測定器,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気ブザー,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,磁心,抵抗線,電極」並びに第7類、第8類、第10類ないし第12類、第17類及び第21類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品とする指定商品の書換登録がされて、さらに、同23年11月8日にその指定商品中の第7類、第9類、第11類、第12類及び第17類に属する指定商品について商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
なお、本件審判の請求の登録は、平成23年2月14日にされたものである。

第2 請求人の主張
1 請求の趣旨
請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の指定商品中の第9類「電池,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨次のように述べている。
2 請求の理由
本件商標は、その指定商品中の本件審判の請求に係る指定商品について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが使用した事実が存在しないから、その登録は、上記指定商品について、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
3 答弁に対する弁駁
乙各号証からは、本件審判の請求に係る指定商品に本件商標を使用しているとは認められない。
乙第7号証は、商標「ドリーム」及び商標登録第1821882号に係る商標を付した自動ドアに係る総合カタログであり、この自動ドアは、赤外線ビームを検出方式とする電気モータと歯付ベルト駆動方式の「電動式の自動開閉ドア」である。
また、乙第3号証の1は「赤外線スイッチ」の部品、乙第4号証の1及び乙第5号証の1は「電動式の自動開閉ドア」の構成部品であるコントロールユニットの部品、乙第6号証の1は「無停電電源装置」の部品であって、乙第4号証ないし乙第6号証のいずれにも本件商標が付されていない。
よって、これらの証拠は、本件審判の請求に係る指定商品には属さない商品に、需要者・取引者が視認することができない箇所へ、視認が困難な大きさで、被請求人の標章が付されていることを示すかあるいは全く別の標章が付されていることを示すにすぎないものである。
さらに、乙第3号証ないし乙第6号証の部品は、被請求人が商標「ドリーム」及び商標登録第1821882号に係る商標を付して販売する目的で「電動式の自動開閉ドア」、「赤外線スイッチ」、「無停電電源装置」を製造するために購入されており、被請求人以外の第三者に販売されていない。
したがって、被請求人の提出資料は、いずれも本件審判の請求に係る指定商品について、本件商標が本件審判の請求の登録前3年以内に使用されたことを示す証拠とは認められない。
以上のとおり、本件商標の登録は、その指定商品中の本件審判の請求に係る指定商品について取り消されるべきである。
よって、請求の趣旨どおりの審決を求める。

第3 被請求人の主張
1 答弁の趣旨
被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第8号証(枝番号を含む。)を提出している。
2 答弁の理由
(1)本件商標は、予告登録の平成23年2月9日前3年の間に日本国内において請求人が取消しを求めている指定商品について使用した事実があるから、取消事由には該当せず、本件審判の請求は成り立たない。
(2)本件商標は、やや図案化した片仮名「フォーカス」とそれを囲うような「○」との組み合わせからなり、また、登録第934892号商標は、やや図案化した欧文字「FOCUS」とそれを囲うような「○」との組み合わせからなるものであって、これらの商標は、共に同一の称呼及び観念を生じ、相互に社会通念上同一と認められる商標である。
(3)本件商標権者は、同社の総合カタログ(乙第7号証)に示すとおり、一般建築用自動ドア装置、特殊・産業用自動ドア装置、自動ドア装置を含む各種システムと停電時駆動装置等のシステム関連装置、自動ドア装置用起動スイッチ等を製造販売している。これらの商品は、第9類の電子応用機械器具及びその部品に相当する。
(4)本件商標の使用について
本件商標権者は、RS-1000用のプリント基板(乙第3号証の1)の右下隅に、本件商標を印刷すると共に、このプリント基板を搭載する自動ドア装置用ビームスイッチを表す「RS-1000」の文字を印刷している。このRS-1000とは、2008(平成20)年9月に印刷されて顧客等に配布された上記総合カタログ(乙第7号証)の64ページに記載されている自動ドア装置用ビームスイッチRS-1000(1ビーム型)を指しており、その制御部に上記プリント基板(乙第3号証の1)が搭載されている。これらの自動ドア装置用ビームスイッチ、制御部、プリント基板は、第9類の電子応用扉自動開閉装置及びその部品、電子回路、集積回路、大規模集積回路に属する。
このプリント基板は、平成5(1993)年以降、現在も採用しているものである。E購買伝票(乙第3号証の2)によれば、東京周波株式会社が、本件商標権者から2009(平成21)年12月21日に上記プリント基板の注文を受けている。また、E購買伝票(乙第3号証の3)によれば、ミツバエレクトロが、本件商標権者から2010(平成22)年3月2日に、上記プリント基板に電子部品や電子素子等を実装して上記制御部を組み立てる注文を受けている。
なお、上記2社のE購買伝票が同一様式であるのは、本件商標権者が作成・給付しているためである。
(5)その他の使用例について
ア 本件商標権者は、建築用自動ドア装置DC-5のコントロールユニットに搭載されるプリント基板(乙第4号証の1)の中央やや右寄りに、本件商標と社会通念上同一と認められる登録第934892号商標を印刷するとともに、このプリント基板を搭載する自動ドア装置を表す「DC5」の文字を中央部よりやや左寄りの上部に印刷している。このDC-5とは、上記総合カタログ(乙第7号証)の19ページに記載されている建築用自動ドア装置を指しており、そのコントロールユニットに上記プリント基板(乙第4号証の1)が搭載されるものであり、これらの自動ドア装置、コントロールユニッ卜、プリント基板は、第9類の電子応用扉自動開閉装置及びその部品、電子回路、集積回路、大規模集積回路に属する。
このプリント基板は、E購買伝票(乙第4号証の2)によれば、東京周波株式会社が、本件商標権者から2010(平成22)年1月21日に上記プリント基板の注文を受けている。また、E購買伝票(乙第4号証の3)によれば、ミツバエレクトロが、本件商標権者から2010(平成22)年3月2日に、上記プリント基板に電子部品や電子素子等を実装して上記自動ドア装置DC-5のコントロールユニットを組み立てる注文を受けている。
イ 本件商標権者は、建築用自動ドア装置DC-4のコントロールユニットBL-1000に搭載されるプリント基板(乙第5号証の1)の中央やや右寄りに、本件商標と社会通念上同一と認められる登録第934892号商標が印刷されている。このDC-4とは、上記総合カタログ(乙第7号証)の20ページに記載されている建築用自動ドア装置を指しており、そのコントロールユニットに上記プリント基板(乙第5号証の1)が搭載されるものであり、これらの自動ドア装置、コントロールユニット、プリント基板は、第9類の電子応用扉自動開閉装置及びその部品、電子回路、集積回路、大規模集積回路に属する。
このプリント基板は、E購買伝票(乙第5号証の2)によれば、東京周波株式会社が、本件商標権者から2008(平成20)年11月21日に上記プリント基板の注文を受けている。また、E購買伝票(乙第5号証の3)によれば、ミツバエレクトロが、本件商標権者から2009(平成21)年1月29日に、上記プリント基板に電子部品や電子素子等を実装して上記DC-4のコントロールユニットBL-1000を組み立てる注文を受けている。
ウ 本件商標権者は、自動ドア装置用停電時駆動装置UPS-2000のプリント基板(乙第6号証の1)の左端上部に、本件商標と社会通念上同一と認められる登録第934892号商標を印刷するとともに、その下に、このプリント基板を搭載する停電時駆動装置を表す「UPS-2000」を印刷している。このUPS-2000とは、上記総合カタログ(乙第7号証)の55ページに記載されている自動ドア装置用停電時駆動装置を指しており、この停電時駆動装置に上記プリント基板(乙第6号証の1)が搭載されるものであり、これらの自動ドア装置用停電時駆動装置、プリント基板は、第9類の電子応用扉自動開閉装置及びその部品、電子回路、集積回路、大規模集積回路に属する。
このプリント基板は、E購買伝票(乙第6号証の2)によれば、株式会社友基が、本件商標権者から2010(平成22)年6月21日に、上記UPS-2000用プリント基板の注文を受けている。また、E購買伝票(乙第6号証の3)によれば、ミツバエレクトロが、本件商標権者から2010(平成22)年8月3日に、上記プリント基板に電子部品や電子素子等を実装して上記停電時駆動装置UPS-2000を組み立てる注文を受けている。
(6)プリント基板への登録商標の表示が使用に該当することについて
搭載されたプリント基板は、コントロールユニットや停電時駆動装置に蓋をした状態では、乙第4号証の1、乙第5号証の1及び上記総合カタログ(乙第7号証)の55ページに示すように、コントロールユニットや停電時駆動装置の外観上は視認することができないが、自動ドア装置を建物等に設置するときには、無目内に取り付けられたコントロールユニットや停電時駆動装置の蓋を外して配線の接続や微調整をする。また、コントロールユニットが故障したときには、補修用のコントロールユニットや停電時駆動装置と交換することもあり、その際に、コントロールユニットや停電時駆動装置の蓋を外して配線の接続や調整をする。このようなコントロ?ルユニットや停電時駆動装置の流通過程において、自動ドアの販売業者、設置業者、メンテナンス業者等により、コントロールユニットや停電時駆動装置の蓋を外して内部のプリント基板が視認される可能性がある。また、上記東京周波株式会社と株式会社友基で製造したプリント基板は、ミツバエレクトロで電子部品や電子素子等を実装するので、この過程においては、プリント基板の外観を視認することができる。
したがって、プリント基板に登録商標を付する行為は、商標法第2条第3項第1号の「使用」に該当する(乙第8号証)。
(7)まとめ
以上のとおり、本件審判の請求の予告登録前3年以内に、日本国内において本件商標権者がその請求に係る指定商品について本件商標及び本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用をしているので、取消事由には該当せず、本件審判の請求は成り立たない。
よって、答弁の趣旨のとおりの審決を求める。

第4 当審の判断
(1)本件審判の請求の登録日(予告登録日)について
被請求人は、本件審判の請求の登録日(予告登録日)が「平成23年2月9日」であるとしているが、本件商標に係る商標登録原簿の記載によれば、本件審判の請求の登録日は「平成23年2月14日」であることが認められる。
なお、本件審判の請求の登録前3年以内の期間(以下「本件要証期間」という。)は、平成20年2月14日から同23年2月13日までの期間となる。
(2)本件商標の使用事実について
ア 被請求人の提出に係る乙各号証によれば、以下の事実が認められる。
(ア)乙第7号証は、被請求人(本件商標権者)が平成20(2008)年9月に作成した「ドリーム自動ドア」と題する総合カタログ(以下「本件カタログ」という。)であり、一般建築用としてDC-5及びDC-4等の機種があり、本件カタログ19ページには、DC-5について、見出しには「静かでスムーズなDCブラシレスモーターを採用 ビームスイッチ回路を内蔵」及び「中量タイプ(強化ガラスドアにおすすめ)」の記載、説明文には「『押し付け機能』『メモリー機能』『キャッチリターン機能』『ビームスイッチ回路』を装備しているほか、オプションで各種信号出力を可能としたコントロールユニット『BL-2000』も準備しています。」の記載及び「●全閉時に『押し付け機能』が働き、常時ドアを閉鎖側に押し付けることによってドアの合わせ目にすき間を残しません。・・・●扉のストロークやブレーキ位置などのデータを記憶する『メモリー機能』によって、施工時に記憶させたデータを保存します。 ●開閉動作中に障害物によってドアが停止した場合は、『キャッチリターン機能』によってドアが反転します。」の記載、仕様欄の「駆動部」の項には「駆動方式 40W DCブラシレスモーター 歯付ベルト駆動」の記載、同じく、「ビームスイッチ部」の項には「投光素子 赤外発光ダイオード」及び「受光素子 フォト・トランジスター」の記載、同じく、「標準装備」の項には「キャッチリターン機能・ビームスイッチ回路」の記載等がされている。
(イ)乙第4号証の1(1葉目)は、プリント基板の外観写真の写しと認められるところ、該基板には、左上方に「DC 5」の文字及び数字、中央やや右寄りに「CPU BOARD」の文字及び本件商標の片仮名部分「フォーカス」を欧文字「FOCUS」に代えた商標であって、その構成態様に照らし、本件商標と社会通念上同一と認められるものが表示されている。
また、乙第4号証の1(2葉目)は、コントロールユニットの筐体の写真並びに同ユニットの写真及びその一部を拡大した写真の各写しであり、筐体の左上方には「DC-5 CONTROL UNIT」の文字及び数字、中央下方には「ドリーム自動ドア」の文字及び本件商標権者の名称である「扶桑電機工業株式会社」の文字が表示されており、同ユニットの写真及びその一部を拡大した写真によれば、電子部品等が実装されたプリント基板の左上方に「DC 5」の文字及び数字、中央やや右寄りに「CPU BOARD」の文字及び本件商標の片仮名部分「フォーカス」を欧文字「FOCUS」に代えた商標であって、その構成態様に照らし、本件商標と社会通念上同一と認められるものが表示されていることが確認できる。
次に、乙第4号証の2は、平成22(2010)年1月21日付けで東京周波株式会社が押印をして本件商標権者あてに発行した「E購買伝票」と題する書面の写しであり、その品名欄には「プリント基板/DC-5」と記載されていることが認められ、また、乙第4号証の3は、平成22(2010)年3月2日付けでミツバエレクトロが押印をして本件商標権者あてに発行した「E購買伝票」と題する書面の写しであり、その品名欄には「DC-5組立」、数量欄には「100」などと記載されていることが認められる。
なお、乙第4号証の2及び3には、本件商標は記載されていない。
イ 以上認定した事実によれば、本件商標の使用については、以下のように判断することができる。
(ア)本件商標権者は、自動ドア装置「DC-5」用のコントロールユニットを製造するにあたり、まず、平成22(2010)年1月21日付けで、プリント基板を東京周波株式会社に購買発注したと推認されるところ(乙第4号証の2)、該プリント基版には「DC 5」、「CPU BOARD」及び本件商標と社会通念上同一と認められる商標が表示されている(乙第4号証の1の1葉目)。
(イ)次に、本件商標権者は、平成22(2010)年3月2日付けで、上記(ア)のプリント基版に電子部品等を実装すること及び製品組立をすることをミツバエレクトロに購買発注したと推認されるところ(乙第4号証の3)、該プリント基板においても、「DC 5」、「CPU BOARD」及び本件商標と社会通念上同一と認められる商標等の各表示がされていることを確認することができる。また、該プリント基板を組み込んだ自動ドア装置「DC-5」用のコントロールユニットの筐体には「DC-5 CONTROL UNIT」、「ドリーム自動ドア」及び本件商標権者の名称が表示されており、ねじ止めされた蓋を外すことにより、該プリント基板を視認することができる。
なお、提出された証拠からは、該プリント基板及び「DC-5」用コントロールユニットがいつ納品されたかは不明であり、また、電子部品等の実装前のものを含む該プリント基板及び該コントロールユニットが単体で販売されている事実については、確認できない。
(ウ)本件要証期間内である平成20(2008)年9月に本件商標権者が作成した本件カタログには、「ドリーム自動ドアDC-5」が掲載されているところ、同機種は、ドアの全閉時に常時ドアを閉鎖側に押し付けることによってドアの合わせ目にすき間を残さない「押し付け機能」、扉のストロークやブレーキ位置などのデータを記憶する「メモリー機能」、開閉動作中に障害物によってドアが停止した場合にドアが反転する「キャッチリターン機能」及びビームスイッチ回路を標準装備しているものであることからすれば、電子の作用を応用したものであって、電子の作用をその機械器具の機能の本質的な要素としているものと認められるから、「電子応用扉自動開閉装置」といって差し支えないものであり、また、本件商標権者がいずれも本件要証期間内に外部に依頼をして製造した上記(ア)及び(イ)にいうプリント基板及びコントロールユニットは、その部品と認められるものである。
(エ)そうすると、本件商標権者の提出に係る乙第4号証の1ないし3及び乙第7号証を総合すると、本件商標権者は、本件要証期間内に「電子応用扉自動開閉装置及びその部品」の具体的製品として「ドリーム自動ドアDC-5及びその部品」の広告をしており、その製造販売をしていると推認されるものであり、かつ、同期間内に該「DC-5」の本体と共に本件商標(社会通念上同一と認められるものを含む。)が付されたその部品も販売されていると推認されるから、被請求人は、本件商標が本件要証期間内に我が国において本件商標権者により本件審判の請求に係る指定商品中の「電子応用扉自動開閉装置の部品」である「電子応用扉自動開閉装置用の電子部品が実装されたプリント基板」に本件商標の使用をしていることを証明したというのが相当である。
(3)請求人の主張について
ア 本件カタログ掲載の自動ドアについて
請求人は、本件カタログに掲載された自動ドアは、赤外線ビームを検出方式とする電気モータと歯付ベルト駆動方式の「電動式の自動開閉ドア」である旨主張する。
しかしながら、上記(2)イ(ウ)のとおり、本件カタログに掲載されている自動ドア「DC-5」については、「電子応用扉自動開閉装置」といえるものであるから、この点に関する請求人の主張は採用できない。
イ 本件商標の表示方法について
請求人は、乙第4号証の1は「電動式の自動開閉ドア」の構成部品であるコントロールユニットであって、かつ、乙第4号証には本件商標が付されていないことから、該証拠は、本件審判の請求に係る指定商品には属さない商品に、需要者・取引者が視認することができない箇所へ、視認が困難な大きさで、被請求人(本件商標権者)の標章が付されていることを示すかあるいは全く別の標章が付されていることを示すにすぎないものである旨主張する。
しかしながら、乙第4号証のすべてに本件商標が付されていないわけではなく、乙第4号証の1のプリント基板には本件商標(社会通念上同一と認められるものを含む。)が付されており、また、自動ドア装置「DC-5」用のコントロールユニットの筐体の外観上は該プリント基板を視認することができないが、該筐体の蓋は2箇所ねじ止めされているにすぎず、簡単に外すことができ、このねじを外すことにより該プリント基板に付された本件商標を視認することができるところ、外観上直接本件商標を視認することができないことが本件商標の使用を認定することの妨げにならないと解される(乙第8号証、最高裁平成8年(あ)第342号判決参照)ことからすれば、この点の請求人の主張も採用できない。
ウ 部品の販売について
請求人は、乙第3号証ないし乙第6号証の部品は、被請求人が商標「ドリーム」等を付して販売する目的で「電動式の自動開閉ドア」、「赤外線スイッチ」、「無停電電源装置」を製造するために購入されており、被請求人以外の第三者に販売されていない旨主張する。
しかしながら、商標法上、一商品には一商標の使用のみに限られるとの規定はなく、複数の商標の使用も可能であることに加え、乙第4号証の2及び3の「E購買伝票」は、その基本契約が売買契約であることまでを限定するものではなく、また、品名欄に記載された部材を発注者が納品を受けたこと又は購入したことを意味するものではなく、発注者にとって(購買)発注があったことを仕入れ先が確認している点に意味があると解されるものであり、さらに、部品単体で販売されている事実は立証されていないものの、乙各号証を総合すると、少なくとも本件商標が付された自動ドア装置「DC-5」用のコントロールユニットに組み込むプリント基板は、本件要証期間内に同装置の本体と共に販売されていると推認されるから、この点の請求人の主張も採用できない。
(4)まとめ
以上のとおり、被請求人は、本件要証期間内に日本国内において、本件商標権者が本件審判の請求に係る指定商品中の「電子応用扉自動開閉装置の部品」について本件商標の使用をしていたことを証明したものといわなければならない。
したがって、本件商標の登録は、請求に係る指定商品について、商標法第50条の規定により、取り消すべきではない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
本件商標(登録第934891号商標)


審理終結日 2011-11-02 
結審通知日 2011-11-09 
審決日 2011-11-22 
出願番号 商願昭44-3526 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (Z09)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 石田 清
特許庁審判官 酒井 福造
田中 敬規
登録日 1971-10-30 
登録番号 商標登録第934891号(T934891) 
商標の称呼 フォーカス 
代理人 加藤 義明 
代理人 山崎 和香子 
代理人 古澤 俊明 
代理人 アインゼル・フェリックス=ラインハルト 
代理人 齋藤 宗也 

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