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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 110
管理番号 1255121 
審判番号 取消2011-300094 
総通号数 149 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2012-05-25 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2011-01-31 
確定日 2012-03-12 
事件の表示 上記当事者間の登録第2474518号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
登録第2474518号商標(以下「本件商標」という。)は、「LEVELMASTER」の文字を書してなり、昭和55年9月12日に登録出願、第10類「電気式レベル検知装置、電気式レベル測定装置、水準器、水準測量機、これらの部品及び附属品」を指定商品として、平成4年11月30日に設定登録されたものである。
そして、本件審判の請求の登録は、平成23年2月16日にされたものである。

2 請求人の主張
請求人は、本件商標のの登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁の理由を次のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び第2号証を提出した。
(1)請求の理由
本件商標は、その指定商品について継続して3年以上日本国内において使用した事実がないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
(2)弁駁の理由
ア 被請求人は、本件商標が付された商品を、日本の代理店である日本エンジニアリング貿易株式会社(以下「日本エンジニアリング貿易」という。)を通じて輸入・販売している、として乙第1号証(国際的協定又は国際的契約成立届出書)を挙げている。そして、本件商標は、商標権者により「水準測量機」に使用されている、と答弁している。
しかし、乙第1号証では、現に営む事業の内容として「汽笛、音波式除塵器の製造販売業」とあり、本件商標の指定商品に関する事業とは無関係である。
よって、乙第1号証は、本件商標が商標権者により「水準測量機」に使用されていることの証拠とはなり得ない。
イ 被請求人は、同人の使用に係る商品は乙第2号証ないし同第4号証に示す「水準測量機」であり、乙第2号証ないし同第4号証で使用されている「LEVELMASTER」が本件商標の使用に該当することは明白であると答弁している。
しかし、乙第2号証ないし同第4号証は、カタログであり、発行年月日が明記されておらず、他の証拠によって発行年月日が立証されているわけでもない。
また、乙第2号証ないし同第4号証に係るカタログは、英文で表記されていることと相まって、日本国内において頒布されたものであるかどうかも不明である。
よって、上記カタログにおける「LEVELMASTER」の使用が本件商標の日本国内における使用に該当することは明白であるとする被請求人の主張は根拠がない。
ウ 被請求人は、本件商標に係る商品がわが国で使用されたことを証明するとして乙第5号証ないし同第8号証を挙げている。乙第5号証ないし同第8号証は、被請求人からセムコ株式会社(以下「セムコ」という。)へのInvoice(送り状)である。被請求人は、乙第5号証ないし同第8号証の明細欄に商標「LEVELMASTER」が表示されているから、本件商標に係る商品がわが国で使用されたことが乙第5号証ないし同第8号証によって証明されているとしている。
しかし、乙第5号証ないし同第8号証に「LEVELMASTER」の表示があるからといって、表示されている上記「LEVELMASTER」が本件商標に係る商品を指しているものとは、乙第5号証ないし同第8号証からは不明である。
また、乙第5号証ないし同第8号証に表示されている上記「LEVELMASTER」が本件商標に係る商品を指していることを立証するための補助的な証拠が提出されているわけでもない。すなわち、乙第5号証ないし同第8号証は、被請求人からセムコヘー方的に送付した送り状であり、相手方のセムコからの受領書など、受け取ったことの証拠書類などは提出されていない。
よって、本件商標に係る商品が我が国で使用されたことが乙第5号証ないし乙第8号証によって証明されているとする被請求人の答弁は根拠がない。
エ 被請求人は、「乙第5号証ないし同第9号証により、本件商標に係る商品が本件審判の請求の登録前3年以内(以下「本件要証期間」という。)に日本で販売されたことは明らかである。」と答弁している。
しかし、日本海事協会による水位検知装置の使用承認証明書である乙第9号証は、本件要証期間より前の2006年9月8日に発行されており、上記証明書の有効期間が本件要証期間をまたぐ2011年9月8日までであるからといって、本件商標に係る商品が本件要証期間内に日本で販売されたことを立証することにはならない。
また、乙第9号証は、Modelすなわち装置の型式として「LEVELMASTER WIN」と記載されているとおり、商標としての「LEVELMASTER」が付された商品の使用承認証明書ではない。よって、乙第9号証は、本件商標が本件商標に係る指定商品に使用されていることを証明するものではない。
被請求人は、乙第9号証と上記乙第5号証ないし同第8号証を併せて「本件商標に係る商品が本件要証期間内に日本で販売されたことは明らかである。」と答弁している。
しかし、乙第5号証ないし同第8号証は、本件商標に係る商品が我が国で使用されたことを立証するものではなく、乙第9号証も本件商標に係る商品が本件要証期間内に我が国で販売されたことを立証することにはならないから、乙第5号証ないし同第9号証を併せても、本件商標に係る商品が我が国で使用されたことを立証することにはならない。
オ 被請求人は、「本件要証期間内に、被請求人の日本の代理店である日本エンジニアリング貿易からその顧客に対し、本件商標に係る商品のカタログ(乙第2号証ないし同第4号証)が送付されたことを証明するものである。」として、乙第11号証ないし同第16号証を提出している。
乙第11号証ないし同第16号証は書類送付書であって、乙第11号証ないし同第16号証には「Levelmaster」なる文字が表記されている。被請求人の答弁によれば、乙第11号証ないし同第16号証における「Levelmaster」なる文字で表されているものは乙第2号証ないし同第4号証のカタログである、としている。
しかし、乙第11号証ないし同第16号証の書類送付書に添付したというカタログが乙第2号証ないし乙第4号証として挙げられているカタログであることは何ら立証されていない。
また、乙第11号証ないし同第16号証は、被請求人から顧客あてにカタログを送付したことを一方的に立証しようとするもので、これを補強する相手方からの受領書など、受け取ったことの証拠書類などは提出されていない。
このように、乙第11号証ないし同第16号証に標記されている「Leve1master」なる文字が、本件商標を表示するものであるかどうか不明である。また、上記「Levelmaster」なる文字が付される商品が本件商標に係る指定商品に使用されるものであるかどうかも不明である。
よって、乙第11号証ないし同第16号証の書類送付書によるカタログの頒布が、商標法第2条第3項第8号に規定する商標の「使用」に該当する、との被請求人の答弁は根拠がない。
カ 以上のとおり、本件商標が、その指定商品について継続して3年以上日本国内において使用された事実の心証を、乙第1号証ないし同第16号証から得ることはできない。

3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第16号証を提出した。
(1)請求人は、「LEVELMASTER」の文字からなる本件商標が、その指定商品について継続して3年以上日本国内において使用した事実がないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである旨主張している。
しかし、被請求人は、以下に示すとおり、本件商標を「水準測量機」について、本件要証期間内に日本国内において使用している。
(2)本件商標を使用している者
被請求人(Kockum Sonics A.B.)は、本件商標が付された商品を、日本の代理店である日本エンジニアリング貿易(Nippon Engineering & Trading Co.,Ltd.)(東京都港区南青山6丁目13番2号の402)を通じて輸入・販売している。
乙第1号証は、被請求人と日本エンジニアリング貿易との間での「国際的協定又は国際的契約成立届出書」である。
しかして、本件商標は、商標権者により、以下に述べる「水準測量機(Level gauging systems)」に使用されている。
(3)使用に係る商品・商標
本件商標が使用されている商品は、乙第2号証ないし同第4号証に示すとおり、「水準測量機(Level gauging systems)」である。当該「水準測量機(Level gauging systems)」のカタログには、本件商標と同一の商標である「LEVELMASTER」が表示されている(乙第2号証ないし同第4号証)。
当該「水準測量機(Level gauging systems)」を使用することにより、喫水検査・調整及び傾船度測定と並行しながら、各タンク内の水位、水量、温度、水圧を継続的に監視することができる(乙第2号証の第4ページ)。
しかして、前記カタログにおける「LEVELMASTER」の使用が本件商標「LEVELMASTER」の使用に該当すること及び当該「水準測量機(Level gauging systems)」が請求に係る指定商品中の「水準測量機」に該当することは明白である。
(4)本件商標に係る商品の我が国での使用
ア 乙第5号証ないし同第8号証は、本件要証期間内に、被請求人からセムコに本件商標に係る商品が販売されたことを証明するものである。
すなわち、乙第5号証ないし同第8号証は、被請求人からセムコへの請求書(Invoice)である。これらの請求書の日付は、それぞれ、平成22年1月11日、平成22年1月11日、平成22年10月12日、平成23年1月26日である。しかして、これらの請求書は、いずれも本件要証期間内に発行されたものである。
そして、これらの請求書の明細(specification)には、商標「Levelmaster」が表示されている。
本件商標に係る商品は、セムコの本社工場(兵庫県神戸市西区高塚台5-4-23)に配送され、その請求書はセムコの本社(兵庫県神戸市西区糀台5-10-2)に送付されている(乙第5号証ないし同第8号証)。
また、乙第9号証は、日本海事協会による水位検地警報装置の使用承認証明書である。日本海事協会は、1899年に創立され、船舶、舶用機器、材料試験機などの試験・検査業務を行う団体で、船舶に関するさまざまな事業の進歩発展を図り、人命及び財産の安全、さらに、海洋環境の保全を期すことを目的として活動している団体である(乙第10号証)。
しかして、乙第5号証ないし同第9号証により、本件商標に係る商品が本件要証期間内に日本で販売されてきたことは明らかである。
イ また、乙第11号証ないし同第16号証は、本件要証期間内に、被請求人の日本の代理店である日本エンジニアリング貿易からその顧客に対し、本件商標に係る商品のカタログ(乙第2号証ないし同第4号証)が送付されたことを証明するものである。すなわち、乙第11号証は、日本エンジニアリング貿易から株式会社IHIマリンユナイテッドヘの平成20年3月2日付け書類送付書である。乙第12号証は、日本エンジニアリング貿易から旭洋造船株式会社への平成20年6月2日付け書類送付書である。乙第13号証は、日本エンジニアリング貿易からユニバーサル造船株式会社への平成20年7月15日付け書類送付書である。乙第14号証は、日本エンジニアリング貿易からユニバーサル造船株式会社への平成20年9月1日付け書類送付書である。乙第15号証は、日本エンジニアリング貿易から住友重機械工業株式会社への平成20年9月20日付け書類送付書である。乙第16号証は、日本エンジニアリング貿易から常石造船株式会社への平成21年4月20日付け書類送付書である。
しかして、乙第11号証ないし同第16号証により、本件商標に係る商品のカタログが本件要証期間内に頒布されてきたことは明らかである。当該カタログの頒布は、商標の広告的使用であり、商標法第2条第3項第8号に規定する商標の「使用」に該当する。

4 当審の判断
(1)被請求人提出の証拠によれば、以下の事実が認められる。
ア 商標権者(被請求人)のカタログ(乙第2号証)には、表紙に「LEVELMASTER」の文字が表示され、その下に、「Level gauging systems」の表示が認められる。そして、「Onboard operation」の項には、「最新の技術を使用する業界唯一の適応空気パルス式レベルセンサーである。・・・船上で応用する場合、喫水検査・調整及び傾船度測定と並行しながら、各タンク内の水位、水量、温度、水圧を継続的に監視することができる。・・」旨の記載がある。
イ 商標権者のカタログ(乙第3号証)には、表紙に「LEVELMASTER H8」の文字が表示され、その下に、「Electro pneumatic level and draught gauging」の表示が認められる。そして、商品現物を表したと思しき機器の写真が掲載され、内容として、同機器の使用例や構造等が図示・説明されている。
ウ 商標権者のカタログ(乙第4号証)には、表紙に「LEVELMASTER」の文字が表示され、その下に、「LEVEL AND DRAUGHT GAUGING SYSTEMS」の表示が認められる。そして、次頁には「LEVELMASTER H8」の表示のもと、上記イと同様の写真が掲載され、また、同機器の使用例や構造等が図示・説明されている。
なお、アないしウのカタログは、いずれも英語で記述されており、また、カタログ作成の時期を示す表示は見いだせない。
エ 送り状(乙第5号証ないし同第8号証)によれば、商標権者から神戸市西区糀台在のセムコに対して、2010年(平成22年)1月11日付けで2通並びに同年10月12日付け及び2011年1月26日付けで各1通のINVOICEが送付された。そして、いずれも、セムコを荷受人とし、請求明細に「Levelmaster H8」と記載されたものであった。
以上よりすれば、少なくとも「Levelmaster H8」で特定される商標権者に係る商品がセムコに販売され、日本で荷受けされたと推認し得るものである。
オ 書類送付書(乙第11号証)によれば、2008年3月2日、日本エンジニアリング貿易は、株式会社IHIマリンユナイテッドに対し、商標権者に係る「Levelmaster」のカタログ一式を3部送付した。
書類送付書(乙第12号証)によれば、2008年6月2日、日本エンジニアリング貿易は、旭洋造船株式会社に対し、商標権者に係る「Levelmaster H8」に関する書類3部を送付した。
書類送付書(乙第13号証)によれば、2008年7月15日、日本エンジニアリング貿易は、ユニバーサル造船株式会社に対し、商標権者に係る「Levelmaster」に関する書類5部を送付した。
書類送付書(乙第14号証)によれば、2008年9月1日、日本エンジニアリング貿易は、ユニバーサル造船株式会社に対し、商標権者に係る「Levelmaster H8」に関する書類を送付した。
書類送付書(乙第15号証)によれば、2008年9月20日、日本エンジニアリング貿易は、住友重機械工業株式会社に対し、「Levelmaster カタログ 資料」3部を送付した。
書類送付書(乙第16号証)によれば、2009年4月20日、日本エンジニアリング貿易は、常石造船株式会社に対し、商標権者に係る「Levelmaster」に関するリーフレット3部を送付した。
カ 上記オにおいて、「Levelmaster」に関するカタログ等の書類には、商標権者に係るカタログであり、かつ、「Levelmaster」あるいは「Levelmaster H8」で特定され得るものであることを勘案すれば、上記アないしウのカタログが含まれるとみるのが相当であり、これらが送付されたと優に推認され得るものである。
なお、「国際的協定又は国際的契約成立届出書(継続的売買)」(乙第1号証)によれば、日本エンジニアリング貿易は、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律第6条等の規定により、平成6年1月28日付けで、被請求人との関係について、国際的協定又は国際的契約の当事者である旨の届出をし、公正取引委員会で当該届出が受理されている。
キ 上記エ及びオの年月日は、いずれも、本件要証期間内の時期に当たるものである。
(2)本件商標は、「LEVELMASTER」の文字からなるものであるところ、上記(1)アないしウのカタログにおいて表示された標章は「LEVELMASTER」あるいは「LEVELMASTER H8」の文字からなるものであって、「H8」が商品記号として認識されるに止まるというのが相当であるから、その主要部において本件商標とは同じ欧文字で構成されたものであり、これをもって、本件商標と社会通念上同一の商標が商標権者に係る商品のカタログに表示されたと認め得るものである。
(3)上記(1)及び(2)を総合してみれば、商標権者に係る商品「水準測量機」に関して本件商標を表示した商品カタログが、本件要証期間内に、代理店を通じて、日本の需要者に頒布されたということができる。また、同カタログに表示された商標権者の商品「水準測量機」が、本件要証期間内に、日本の企業に対して輸入・譲渡されたと推認することができる。そして、商品「水準測量機」は、本件取消請求に係る指定商品の一と認められるものである。
(4)以上のとおり、本件商標は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者によってその指定商品について使用をされたと認められるから、商標法第50条の規定に基づき、その登録を取り消すことはできないものである。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2012-01-17 
結審通知日 2012-01-19 
審決日 2012-02-01 
出願番号 商願昭55-75030 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (110)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 石田 清
特許庁審判官 酒井 福造
田中 敬規
登録日 1992-11-30 
登録番号 商標登録第2474518号(T2474518) 
商標の称呼 レベルマスター、マスター 
代理人 西村 啓一 
代理人 松尾 和子 
代理人 石橋 佳之夫 
代理人 中村 稔 
代理人 熊倉 禎男 

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