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審決分類 審判 査定不服 商4条1項7号 公序、良俗 取り消して登録 X33
管理番号 1255098 
審判番号 不服2011-16813 
総通号数 149 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2012-05-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-07-20 
確定日 2012-04-04 
事件の表示 商願2010- 61101拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願商標は、登録すべきものとする。
理由 1 本願商標
本願商標は、「のぼうの城」及び「のぼうのしろ」の文字を上下二段に書してなり、第33類「日本酒、洋酒、果実酒、中国酒、薬味酒」を指定商品として、平成22年7月22日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由
原査定は、「本願商標は、『のぼうの城』及び『のぼうのしろ』の文字を2段に普通に用いられる方法で書してなるところ、該文字は、小説家和田竜の原作である『忍ぶの城』の映画化を前提として執筆した小説のタイトルであり、2010年10月時点で発行部数が70万部を突破しているものである。そして、『のぼうの城』の舞台となった埼玉県行田市においては、映画化を商取引や地域の振興・観光政策の一環として広く利用していくこと及び映画制作関連会社の映画制作等に関して積極的に支援、活動している実情にあるから、これを自己の商標として採択、その指定商品について独占的に使用することは、該文字を標章として使用した場合、各地の観光政策や地域の円滑な商取引が阻害されるなど、公正な取引秩序を乱すおそれがあるとともに、社会、公益の一般道徳に照らしても妥当ではない。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第7号について
商標法第4条第1項第7号にいう「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」には、その構成自体がきょう激、卑わい、差別的若しくは他人に不快な印象を与えるような文字又は図形である場合及び商標の構成自体がそうでなくとも、指定商品又は指定役務について使用することが社会公共の利益に反し、又は社会の一般的道徳観念に反するような場合も含まれるものと解される。
そうすると、本願商標は、その構成自体がきょう激、卑わい、差別的若しくは他人に不快な印象を与えるような構成ではないことは明らかであるから、本願商標をその指定商品について使用することが、社会公共の利益に反し、又は社会の一般的道徳観念に反するような場合に含まれるか否かについて、以下に検討する。

(2)本願商標の本号の該当性について
本願商標は、前記1のとおり、「のぼうの城」及び「のぼうのしろ」の文字を上下二段に書してなるところ、その構成中上段の「のぼうの城」の文字は、インターネット記載の情報によれば、平成19年11月28日に単行本として、同22年10月6日に文庫本(上巻、下巻)として、「和田竜」が著作し、小学館より発売された書籍のタイトル(http://www.amazon.co.jp/s?_encoding=UTF8&search-alias=books-jp&field-author=%E5%92%8C%E7%94%B0%20%E7%AB%9C)であり、また、映画「のぼうの城」は、同23年9月17日に全国映画館で公開される予定であったが、震災の影響により、同24年秋に映画の公開が予定されていることがうかがえる(http://nobou-movie.jp/index.html)。
また、当審において職権により調査するも、確かに原審説示のとおり、「のぼうの城」の舞台となった埼玉県行田市においては、映画制作関連会社の映画制作等に関して積極的に支援するとともに、映画のモデルとなった同市に実存するお城「忍城」をはじめとする施設への観光客集客に力を入れていることがうかがえる。
しかしながら、前記のとおり、「のぼうの城」の文字は、そもそも「和田竜」が著作した書籍のタイトルであり、実存するお城の名称ではないから、これが極めて公共性の高いものとはいえず、また、映画化を機に、上記「忍城」をはじめ、行田市のさらなる観光化に力を入れていることがうかがえるとしても、同市の公益的な施策として、「のぼうの城」の文字を特に本願の指定商品を含め、地域の特産品や土産物に使用するなどして地域の活性化を図ろうとする具体的な活動は見当たらない。
そして、他に、請求人が公益的な施策に便乗して、その遂行を阻害し、公共的利益を損なう結果に至ることを知りながら、利益の独占を図る意図をもって、本願商標を出願した等の事実を見いだすことはできない。
そうとすれば、本願商標は、請求人がこれをその指定商品について使用することが社会公共の利益に反し、社会の一般的道徳観念に反するとはいえない。
その他、本願商標が、「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」に該当するとすべき理由は見当たらない。

(3)まとめ
したがって、本願商標が商標法第4条第1項第7号に該当するとした原査定は妥当でなく、取消しを免れない。
その他、政令で定める期間内に本願について拒絶の理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決日 2012-03-15 
出願番号 商願2010-61101(T2010-61101) 
審決分類 T 1 8・ 22- WY (X33)
最終処分 成立  
前審関与審査官 小田 明 
特許庁審判長 鈴木 修
特許庁審判官 田中 亨子
大橋 良成
商標の称呼 ノボウノシロ、ノボーノシロ 

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