ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 全部申立て 登録を取消(申立全部取消) X30 |
---|---|
管理番号 | 1253726 |
異議申立番号 | 異議2011-900047 |
総通号数 | 148 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2012-04-27 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2011-02-09 |
確定日 | 2012-02-27 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第5368427号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第5368427号商標の商標登録を取り消す。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第5368427号商標(以下「本件商標」という。)は,「ツリー634」の片仮名及び数字からなるものであり,平成22年5月7日に登録出願,第30類「菓子及びパン,コーヒー及びココア,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,即席うどんのめん,その他の穀物の加工品,穀物を主材とする惣菜,調理済みのめん類,ぎょうざ,サンドイッチ,しゅうまい,すし,たこ焼き,お好み焼き,焼きそば,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,べんとう,ホットドッグ,ミートパイ,ラビオリ,即席菓子のもと,穀物を主原料とする粉末状・粒状・顆粒状・錠剤状・カプセル状・ゼリー状・グミ状又は液状の加工食品」を指定商品として,同年10月21日に登録査定,同年11月12日に設定登録されたものである。 2 登録異議申立ての理由(要旨) 登録異議申立人(以下「申立人」という。)は,本件商標は,商標法第4条第1項第7号及び同第15号に該当するものであるから,同法第43条の2第1号により,取り消されるべきものである旨申立て,その申立の理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として,甲第1号ないし同第6号証(枝番を含む)を提出した。 (1)商標法第4条第1項第7号について 「東京スカイツリー」は、完成時に634メートルの世界一の高さの電波塔として著名であり、本件商標は、「東京スカイツリー」の名声名誉にただ乗りするものであり、公益性の高い東京スカイツリーの事業主体と何ら関係のない一私人が指定商品について独占使用することは、公正な競業秩序を害するものであって、公の秩序又は善良の風俗に反するものである。 (2)商標法第4条第1項第15号について 「東京スカイツリー」は、完成時に634メートルの世界一の高さの電波塔として著名であり、東京スカイツリーを中核とした商業施設において広範な営業活動がなされるため、本件商標が付された商品が、事業主体と組織的又は経済的に何ら関連のある者の事業に係る商品であるかの如く需要者に認識され、出所の混同を生じるおそれがある。 3 当審における取消理由 当審において,商標権者に対して平成23年10月21日付けで通知した取消理由は,別掲のとおりである。 4 商標権者の意見 本件商標について,前記3の取消理由を通知し,相当の期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが,商標権者は何ら意見を述べるところがない。 5 当審の判断 本件商標についてした前記3の取消理由は,妥当なものと認められる。 したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであるから,商標法第43条の3第2項により,登録を取り消すべきものである。 よって,結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲(当審における取消理由) 1 「東京スカイツリー」の周知性について 申立人の主張及び提出に係る証拠によれば,以下の事実が認められる。 (1)「東京スカイツリー」について 「東京スカイツリー」は,2012年春を開業予定とする東京都墨田区押上に建設中の電波塔ないしその名称であり,その完成時には,自立式電波塔としては世界一の高さの634メートルになる。また,その事業主体は,申立人(東武鉄道株式会社及び東武タワースカイツリー株式会社)であり,当該電波塔の内部及びその足元には,大規模な展望施設や物販店舗・飲食店舗・サービス店舗等約300店の専門店で構成される商業施設を東京スカイツリーの開業に合わせて現在建設中であり,加えて,その建設に伴い墨田区押上・業平橋地区の大規模複合開発による東東京エリアの活性化や国際観光都市東京の実現に貢献することを基本理念の一つとしているものである(甲第3号証-1及び2)。 (2)「東京スカイツリー」は,完成時には634メートルの世界一の高さとなる旨の新聞記事等 ア 「Rising East」のニュースリリース(2009年10月16日)において,「東京スカイツリーの最高高さを634mに決定しました。2012年春開業予定」,「完成後は,東京スカイツリーが自立式電波塔として高さ世界一となる予定であり,日本の文化や技術を世界に知っていただけるまたとない機会となると考えております。」との記載がある(甲第4号証-1)。 イ 「東京タワーの後継電波塔」(21.10.17 日経)とする切り抜きには「東京スカイツリー伸びる」及び「高さ634メートル,世界一」との記載とともに「東武鉄道は16日,東京都墨田区に建設中の新電波塔『東京スカイツリー』の高さを従来計画より約24メートル延長し,634メートルに変更すると発表した。」「634メートルは『むさし』と読め,『武蔵の国(今の東京,埼玉,神奈川の一部)』の語呂合わせも意識し,覚えやすくする狙いもあるという。」との記載がある(甲第4号証-2)。 ウ 「夜空彩る『粋』と『雅』」(21.10.17 産経)とする切り抜きには「東京スカイツリー,高さ634メートルに」の記載とともに「平成24年春に開業予定の電波塔『東京スカイツリー』(東京都墨田区)が,世界最高の634メートルの高さになることが決まった。」との記載がある(甲第4号証-2)。 エ 「スカイツリー計画変更 634メートルに」(21.10.17 東京)とする切り抜きには,「アンテナで世界一死守」との記載とともに,「東京都墨田区で建設が進んでいる東京スカイツリーの高さが,当初計画の六百十メートルより二十メートル伸びて,六百三十四メートルになることが決まった。事業主体の東武タワースカイツリーが16日,発表した。」「高さは,東京都や埼玉県の大部分がかつて『武蔵の国』だったことなどから『634(ムサシ)の語呂合わせも意識した。」との記載がある(甲第4号証-2)。 オ 「世界一へ 24メートル背伸び」(21.10.17 朝日)とする切り抜きには,「東京都墨田区で建設が進む『東京スカイツリー』の高さが,610メートルから634メートルに変更されることになった。事業主体の東武タワースカイツリーが16日発表した。同社によると,12年春の開業時点で,観光利用も兼ねた電波塔としては世界一の高さになるという。」との記載がある(甲第4号証-2)。 カ 「スカイツリー 24メートル上乗せ」(21.10.17 読売)とする切り抜きには,「『世界一』へ設計変更 高さ634メートルに」との記載とともに「東京都墨田区で建設中の新タワー『東京スカイツリー』について,事業会社の東武タワースカイツリーは16日,完成時の高さを当初の610メートルから634メートルに変更すると発表した。」との記載がある(甲第4号証-2)。 (3)「東京スカイツリー」を単に「ツリー」と記載している新聞記事 ア 「早くも『名所』化」(22.3.29 毎日(夕刊))とする切り抜きには,「週末は千人以上が訪れ,ツリーの東西にあって間近で眺められる東武橋や京成橋は,歩行の妨げになるほどのにぎわい。」「東武鉄道は四月上旬,ツリー北側に約五十平方メートルの『撮影スペース』を設ける予定だ。」との記載がある(甲第4号証-2)。 イ 「どんどん伸びるの楽しみ」(22.3.29 朝日(夕刊))とする切り抜きには,「ツリー周辺の町内会でつくる『新タワー関連まちづくり連絡会』」,「自宅マンションの五階のベランダからツリーが見えるという。」との記載がある(甲第4号証-2)。 ウ 「シンボルへ 成長期待」(22.3.30 読売(都内版))とする切り抜きには,「『ツリー』高さ日本一」の文字が長方形内に目抜きで表されているほか,「浅草に恩恵/隅田川を挟んで対岸からツリーを望む台東区。」「吾妻橋近くや川沿いの親水テラスなどでは,ツリーをカメラに収める観光客が目立ち,国際観光都市らしく外国人の姿も少なくない。」との記載や,「記念写真を無料贈呈/撮影したツリーの写真で看板を制作して贈ったこともあるという。『観光地には大抵,参道があり,観光客はそこを歩いて土産物を買う。例えば,浅草からツリーまで歩いてもらえる,そういう仕掛けが必要』と注文を付けた。」との記載がある(甲第4号証-2)。 (4) 職権による証拠調べ 当審において,職権により証拠調べをした結果,「ツリー」又は「634」の文字について,以下の事実が認められる。 ア 「<先人からの贈りもの 列島2010フォトリレー>4*東京スカイツリー*伝統の『そり』『むくり』」2010.10.21 北海道新聞夕刊全道 1頁 夕一 「『うわっ,大きい』。カメラを手にした人たちが東京都墨田区に建設中の東京スカイツリーを見上げる。最も薄い藍(あい)染めの色「藍白」に染め上げられたツリーは,真っ青な空に美しく映える。建築技術の粋を集めて建設が進むが,実は伝統的な技法が用いられている。ツリーの足元部分の用地は東京タワーより狭く,高さは倍近い。」「日建設計構造設計室主管の小西厚夫さん(47)は『日本らしい美しいシルエットを出したかった。見る場所によって違う見え方をするおもしろさを加え,長く飽きのこない,愛されるタワーを目指した』と話す。完成は来年12月の予定。自立式電波塔としては,高さ世界一の634メートルになる。」との記載がある。 イ 「(天を衝く 東京スカイツリー)4色のあで姿へ,わくわく /東京都」2010.10.14 東京地方版/東京 33頁 東京西部 「天を衝(つ)く」「ただいま 488m/634m」「東京スカイツリー(墨田区)で13日夜,初めて行われた照明の点灯実験。ツリーの周囲には多くの見物客が詰めかけ,夜空にそびえる白いタワーが,紫や水色でライトアップされる様子を楽しんだ。」「ツリーのライトアップを考案した照明デザイナー戸恒浩人(とつねひろひと)さんは『今日の光を見て未来の光を想像していただき,完成するまでわくわくする気持ちを皆さんと共有したい』と談話を出した。ツリーの足元の東武橋や北十間川沿いはカメラを手にした家族連れやカップルでごった返した。」との記載がある。 ウ 「待ちに待った輝き スカイツリー」2010.10.14 東京朝刊 24頁 「東京都墨田区に建設中の『東京スカイツリー』(平成24年春開業予定)で13日夜,開業前の“最初で最後”のライトアップ実験が行われた。金,紫,青と次々にツリーの色が変わっていくたびに,一夜限りの幻想的な光景を見届けようと集まった見物客は『ついたよ!』と興奮した様子で歓声を上げていた。」「『初めての点灯の瞬間が見たかった』と,ツリー近くの源森橋(げんもりばし)に駆けつけたのは会社員の後藤真由美さん(38)。日に日に高さを増していくツリーを背景に昨春出産した娘の写真を撮り続け,成長を記録しているという。」「完成すると高さ世界一の自立式電波塔(634メートル)となる東京スカイツリーは12日現在で488メートル。今後は地上デジタル放送用アンテナが取り付けられる鉄塔『ゲイン塔』の引き上げが行われ,年内には500メートルを突破する見通しとなっている。」との記載がある。 エ 「(天を衝く 東京スカイツリー)ヨコにも膨らむ 第1展望台,来月お目見え /東京都」2010.05.08 東京地方版/東京 31頁 東京西部 「天を衝(つ)く」「ただいま368m/634m」「自立式電波塔としては世界一の高さ634メートルになる東京スカイツリー(墨田区押上)で第1展望台の工事が始まった。空に向かって伸び続けているツリーは,これから横にも膨らんでいく。順調に進めば,6月下旬ごろ,350メートルの高さに,すり鉢のような形をした展望台の外観がお目見えする。」「事業主体の東武タワースカイツリーによると,現在のツリーの高さは368メートル。5日から340メートル付近で,第1展望台の土台部分の鉄骨を組み立て始めた。」「ツリーが完成すれば,第1展望台までは4基の40人乗りエレベーターで昇ることができる。4階の出発ロビーから約50秒で到着するという。」との記載がある。 オ 「JR錦糸町駅周辺,スカイツリー効果高まる-観光客増え売り上げ好調」2010.05.07 日刊工業新聞 26頁 「東京都墨田区で建設が進む電波塔『東京スカイツリー』。3月末に東京タワーを抜き,高さ日本一の記録を更新し続けている。ツリーへの関心が高まる中,ツリーを眺望できる高層ビルが林立するJR錦糸町駅周辺の飲食店やホテルでは,緩やかな経済効果を実感し始めている。」「同店舗はアルカキット館内で最西端に位置し,窓際のカウンター席からは真正面にツリーを見ることができる。」「スカイツリーは2011年12月の完成時に高さ634メートルに達し,完成時点で世界一高い自立式電波塔になる。5月1日現在で高さ368メートルまで建設が進み,12年春の開業を予定している。」との記載がある。 (5)以上の事実によれば,「東京スカイツリー」は,本件商標の登録出願日及び登録査定日の以前から,東京都墨田区押上に建設中の電波塔の名称であること,その完成時には634メートルの世界一の高さであることは,我が国の需要者の間に広く認識されており,その著名性は,現在においても十分に継続していると認められる。 そして,「東京スカイツリー」を単に「ツリー」と称している事実が申立人提出の証拠及び当審の調査においても多数発見されるものである。 2 出所の混同のおそれ 本件商標は,前記1のとおり「ツリー634」の文字を書してなるところ,上記した事実を踏まえれば,その構成中の「ツリー」の片仮名部分は,東京都墨田区押上に建設中の電波塔の名称である「東京スカイツリー」に,また,同じく「634」の数字部分は,その電波塔の完成時の高さである634メートルにそれぞれ通じるといえるものであるから,「ツリー634」の文字よりは,完成時の高さが634メートルの電波塔「東京スカイツリー」に関連するものであることを想起,認識させるのは,容易というべきである。 そして,本件商標の指定商品は,食品関連商品であって,当該電波塔の観光名所としての食べ物に係る土産品に限らず,約300店の専門店で構成される商業施設には,食料品を扱う店舗や飲食店舗でのテイクアウトなどの展開も予想されるということができる。 そうすると,本件商標「ツリー634」をその指定商品について使用した場合,これに接する取引者,需要者は,これより完成時の高さが634メートルの電波塔「東京スカイツリー」を想起,認識し,その展望施設や商業施設などの展開を考慮すれば,該商品が当該電波塔の事業主体又はその事業主体と何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように,商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものということができる。 3 むすび 以上のとおりであるから,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第15号に違反してされたものであるといわなければならない。 |
異議決定日 | 2012-01-18 |
出願番号 | 商願2010-35464(T2010-35464) |
審決分類 |
T
1
651・
271-
Z
(X30)
|
最終処分 | 取消 |
前審関与審査官 | 小田 明 |
特許庁審判長 |
関根 文昭 |
特許庁審判官 |
田中 亨子 末武 久佳 |
登録日 | 2010-11-12 |
登録番号 | 商標登録第5368427号(T5368427) |
権利者 | 有限会社磯笛 |
商標の称呼 | ツリーロクサンヨン、ツリーロッピャクサンジューヨン、ツリー |
代理人 | 藁科 孝雄 |
代理人 | 藁科 孝雄 |