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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 X14 審判 全部申立て 登録を維持 X14 |
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管理番号 | 1253706 |
異議申立番号 | 異議2011-900161 |
総通号数 | 148 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2012-04-27 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2011-05-09 |
確定日 | 2012-03-01 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第5388649号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第5388649号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第5388649号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成からなり、平成22年10月19日に登録出願され、第14類「ネクタイピン,装身用ピン,カフスボタン,貴金属製の身飾品,ネックレス,イヤリング,貴金属製バッジ,貴金属製のベルト飾り,その他の身飾品,金糸(宝飾品),その他の宝玉及びその原石並びに宝玉の模造品,貴金属製キーリング,その他のキーホルダー,貴金属,宝石箱,貴金属製靴飾り,時計」を指定商品として平成23年1月12日に登録査定、同年2月4日に設定登録されたものである。 第2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する商標は、次の1及び2のとおりであり、いずれも現に有効に存続しているものである。 1 登録第4736462号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲(2)のとおりの構成からなり、2000年4月26日にスイス連邦においてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、平成12年6月30日に登録出願され、第18類「皮革,かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ,かばん金具,がま口口金,傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄,乗馬用具,愛玩動物用被服類」、第25類「ジーンズ製の被服,ジーンズ製のガーター,ジーンズ製の靴下止め,ジーンズ製のズボンつり,ジーンズ製のバンド,ジーンズ製のベルト,ジーンズ製の履物,ジーンズ製の仮装用衣服,ジーンズ製の運動用特殊衣服,ジーンズ製の運動用特殊靴」及び第35類「広告,トレーディングスタンプの発行,経営の診断及び指導,市場調査,商品の販売に関する情報の提供,ホテルの事業の管理,財務書類の作成,職業のあっせん,競売の運営,輸出入に関する事務の代理又は代行,新聞の予約購読の取次ぎ,書類の複製,速記,筆耕,電子計算機・タイプライター・テレックス又はこれらに準ずる事務用機器の操作,文書又は磁気テープのファイリング,建築物における来訪者の受付及び案内,広告用具の貸与,タイプライター・複写機及びワードプロセッサの貸与」を指定商品及び指定役務として、平成15年12月26日に設定登録されたものである。 2 国際登録第834108号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲(2)のとおりの構成からなり、2004年(平成16年)7月7日に国際商標登録出願され、第3類「Bleaching preparations and other substances for laundry use; cleaning, polishing, scouring and abrasive preparations; soaps; perfumery, essential oils, cosmetics, hair lotions; dentifrices.」、第9類「Nautical, surveying, photographic, cinematographic, optical, weighing, measuring, life-saving and teaching apparatus and instruments; electric monitoring apparatus; luminous or mechanical signals; apparatus and instruments for conducting, switching, transforming, accumulating, regulating or controlling electricity; apparatus for recording, transmitting and reproducing sound or images; magnetic data carriers, recording discs; automatic vending machines and mechanisms for coin-operated apparatus; cash registers, calculating machines, data processing and computer equipment; fire extinguishers.」、第14類「Precious metals and their alloys and goods in precious metals or coated therewith not included in other classes; jewellery, precious stones; horological and chronometric instruments.」、第16類「Paper, boxes of paper, table napkins of paper, cardboard and cardboard articles; printed matter; bookbinding material; photographs; stationery; adhesives for stationery or household purposes; artists' materials; paint brushes; typewriters and office requisites (except furniture); instructional and teaching material (except apparatus); plastic packaging materials (not included in other classes); printers' type; printing blocks.」、第24類「Fabric; face towels of textile; sheets (textiles), table napkins of textile, table linen (textile) and tapestry (wall hangings).」及び第26類「Lace and embroidery, ribbons and braid; buttons, hooks and eyes, pins and needles; artificial flowers.」を指定商品として、平成22年7月9日に設定登録されたものである。 以下、引用商標1及び2をまとめていうときは、単に「引用商標」ということがある。 第3 登録異議申立ての理由の要点 1 商標法第4条第1項第11号について 本件商標は、「AJ」及び「AKIJUN」を二段に書してなる構成から「エイジェイ」の称呼を、引用商標は「AJ」及び「ARMANI JEANS」を左右に配してなる構成から「エイジェイ」の称呼を生ずるものである。したがって、本件商標と引用商標とは、共に「エイジェイ」の称呼を共通にする類似の商標であって、その指定商品も互いに類似するものである。 2 商標法第4条第1項第15号について 申立人は、イタリアを代表するファッションデザイナーの一人であるジョルジオ・アルマーニ氏が創立したファッションブランドを展開する企業であり、同氏が国際的に展開する各種「アルマーニ」ブランドは、ファッション業界で有力なブランドのーつとして国際的に知られている。 申立人の「AJ ARMANI JEANS」ブランド(以下「同ブランド」ということがある。)は、被服、履物、かばん、宝飾品、貴金属製品、時計その他のファッションアイテムの提供を目的として1981年に誕生し、今日まで世界的に展開されている。我が国においては、1988年から同ブランド商品の販売が開始され、2006年時点で、直営店を2店舗、フランチャイズ店を8店舗、マルチブランドストアを54店舗展開している。 また、申立人は、同ブランドの略称として「AJ」のみを単独でも使用しており、積極的に世界各国で商標登録を行っている(甲10)。店舗又は商品についても「AJ」商標を単独で使用している(甲6ないし8)。その結果、「AJ」ブランドも本件商標の出願日の時点において既に申立人の商品「被服、履物、かばん、宝飾品、貴金属製品、時計その他のファッションアイテム」を指称する商標として周知なものになっていた。 申立人の名声に鑑みれば、本件商標に接した需要者・取引者が、申立人の業務にかかわる商品であると誤認し、商品の出所について混同するおそれがあるばかりでなく、申立人と経済的又は組織的に何らかの関係がある者の業務に係る商品であると誤認し、商品の出所について混同するおそれがある。 そうとすれば、本件商標をその指定商品に使用する場合、申立人の商品と混同を生じさせるおそれが高いものである。 3 よって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反して登録されたものであるから、取り消されるべきものである。 第4 当審の判断 1 引用商標の周知著名性について 申立人は、引用商標はイタリアのデザイナー兼実業家であるジョルジオ・アルマーニが展開する服飾ブランドであって、この略称として「AJ」の文字を使用しており、引用商標はいずれもジョルジオ・アルマーニに係るブランドとして周知著名となっている旨主張し、証拠方法として甲第4号証ないし甲第9号証(枝番号を含む。)を提出している。 しかしながら、上記証拠を徴するも、「AJ」と「ARMANI JEANS」の文字部分が一体不可分のものとして使用されている事実は認められるところであるが、それらの証拠において、単に「AJ」と省略されて使用されている例や、「AJ」の文字部分がそれのみ単独で使用されていると認められる例は、ほぼ発見することができない。 もっとも、ティーシャツ、帽子、靴、ベルト、ジーンズパンツ等に図案化された「AJ」の文字が描かれているものや、アルマーニジーンズの店舗内に「AJ」の文字やオブジェを配した様子などが散見されるところであるが、これら商品の広告宣伝には、「ARMANI JEANS」、あるいは、「アルマーニジーンズ」の文字がともに表示されているものである。 また、雑誌記事等において「AJ」の文字が表示されているものも見受けられるが、これらも「ARMANI JEANS」、「アルマーニジーンズ」、「ジョルジオ・アルマーニ」、「アルマーニ」等とともに表示されているものであって、本件商標に係る「AJ」の文字部分のみが、「ARMANI JEANS」等と別個に用いられて周知性を獲得しているとまではいい難いものである。 さらに、申立人は、諸外国における商標登録例(甲10)を証拠として提出しているが、その事実をもって、我が国において「AJ」の文字が、請求人に係る商標として、該文字のみで取引者、需要者の間に広く認識されているとはいえないものである。 そうすると、引用商標は、ジョルジオ・アルマーニに係る被服等の商品を表示するブランドとして相当程度知られているとしても、構成中の「ARMANI JEANS」の文字に周知性が認められるものであって、これを、単に「AJ」と省略して、該文字のみが取引者、需要者の間に広く認識されているものとまではいえない。 2 商標法第4条第1項第11号について (1)本件商標は、別掲(1)のとおり、「AJ」と「AKIJUN」の欧文字を二段書きしてなるところ、全体として外観上まとまりよく一体的に表されており、これより生ずる「エイジェイアキジュン」の称呼も格別冗長なものでもなく、一連に称呼し得るものであって、特定の意味合いを有さない一種の造語と認められるものである。 そして、申立に係る第14類の指定商品との関係においては、構成中の「AJ」の文字部分は商品の規格・型式又は品番を表すための記号・符号の一類型として理解される場合があることからすれば、「AJ」の文字部分を捨象したその余の文字部分をもって取引に資するか、あるいは、まとまりよく表された構成全体をもって一体不可分の商標として、取引に資するというのが自然であって、「AJ」の文字部分のみが分離・抽出され、取引に資されるとみるべき格別の理由は見出せない。 そうとすれば、本件商標は、「エイジェイアキジュン」の称呼のみを生ずるか、あるいは、略称されるとしても「アキジュン」の称呼を生ずるものとみるのが相当であるから、単に「エイジェイ」の称呼を生ずることはないものといわなければならない。 (2)他方、引用商標は、別掲(2)のとおりの構成からなるところ、左側に大きく表された「AJ」の文字は、本件商標と同様、その右側に小さく二段に表された「ARMANI」及び「JEANS」の文字部分の(頭文字を採択した)省略形として容易に認識し把握されるものであって、該「ARMANI JEANS」の文字と分離して別個独立の自他商品の識別標識として認識し理解されるものとはいい難く、それ自体からは独立した称呼及び観念は生じないものというべきである。なお、該「ARMANI JEANS」の文字からは、「アルマーニのジーンズ」という程の意味合いが理解されるものである。 そうすると、引用商標からは、全体として「エイジェイアルマーニジーンズ」又は「アルマーニジーンズ」の称呼を生ずるものとみるのが自然であり、「エイジェイ」のみの称呼は生じないものというべきである。 (3)そこで、本件商標と引用商標とを対比するに、本件商標から生ずる「エイジェイアキジュン」又は「アキジュン」の称呼と、引用商標から生ずる「エイジェイアルマーニジーンズ」又は「アルマーニジーンズ」の称呼とは、それぞれの構成音が著しく異なるばかりでなく、構成音数も相違し、それぞれを一連に称呼するときは、全体の音感・音調が明らかに異なり、彼此紛れることなく明瞭に区別することができるものである。 また、本件商標と引用商標は、上記のとおり、いずれも「AJ」の文字部分のみが独立して自他商品の識別標識としての機能を果たすものとはいい難く、本件商標は、その構成全体又は「AKIJUN」の文字部分が、自他商品の識別機能を果たす要部であり、一方、引用商標は、その構成全体又は「ARMANI JEANS」の文字部分が、自他商品の識別機能を果たす要部として認識、把握されるというべきであるから、それぞれの構成に照らし、外観上からも明確に区別し得る差異を有するものである。 さらに、本件商標は、親しまれた既成の観念を有する成語を表したものとはいえず、他方、引用商標は「アルマーニのジーンズ」という程の意味合いを看取させるものであるから、両者は観念上からも明確に区別できるものというに相当する。 してみれば、本件商標と引用商標とは、称呼、外観及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の別異の商標といわなければならない。 (4)以上のとおり、本件商標と引用商標とは非類似の商標であるから、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品又は指定役務が同一又は類似するものであるとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものではない。 3 商標法第4条第1項第15号について 本件商標と引用商標とは、上記2のとおり、別異の商標であるから、本件商標をその指定商品に使用する場合には、たとえ引用商標が需要者間に相当程度知られていることを考慮したとしても、これに接する取引者、需要者が引用商標を連想、想起するようなことはないというべきであり、該商品が申立人若しくはジョルジオ・アルマーニ又はこれらと経済的、組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、その出所について混同を生ずるおそれはないものと判断するのが相当である。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものではない。 4 結語 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号のいずれの規定にも違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲(1)本件商標 別掲(2)引用商標1及び2 |
異議決定日 | 2012-02-21 |
出願番号 | 商願2010-81231(T2010-81231) |
審決分類 |
T
1
651・
271-
Y
(X14)
T 1 651・ 262- Y (X14) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 菅沼 結香子、鈴木 斎 |
特許庁審判長 |
水茎 弥 |
特許庁審判官 |
井出 英一郎 高橋 謙司 |
登録日 | 2011-02-04 |
登録番号 | 商標登録第5388649号(T5388649) |
権利者 | 株式会社L & COMPANY |
商標の称呼 | エイジェイ、アキジュン、アキ、エイケイアイ、ジュン、ジェイユウエヌ |
代理人 | 寺田 花子 |
代理人 | 鮫島 睦 |
代理人 | 特許業務法人あーく特許事務所 |
代理人 | 勝見 元博 |
代理人 | 田中 光雄 |